『SFする思考: 荒巻義雄評論集成』荒巻義雄著を読む。 キャリア半世紀。その間、書かれた評論らレビューなどを、まさに網羅した一冊。こんな分厚い本は国書刊行会?違う、違う、そうじゃない。小鳥遊書房から。 作者はSF作家でもあるが、評論家でもある。大学で心理学を専攻したが、家業の土木・建築業のため地元北海道の大学で土木・建築学を学び直したという経歴。 作家と評論家、文系と理系。「二足のワラジ」、「二刀流」。こんなに広範なカテゴリーの評論やレビューを書いているとは知らなかった。 はじめに驚いたのは哲学や現代思想への造詣の深さ。作者の関心の矛先を見ると哲学のトレンドと重なる。サルトルの実存哲学からレヴ…