大学卒業間近の頃、オートバイの中型免許を取った。 会社に入って初めてのボーナス、これは寸志と言う形で支給された50,000円であったが、これを使ってヤマハのSRX250Fを買った。排気量250cc、 DOHC単気筒エンジン、スリムなタンクにヤマハの音叉マーク、ハーフカウルが付いた真っ赤なモデル。 一度、有料道路の料金所のおじさんに止められた。大柄な私が跨ると原付に見えたらしい。近くの海岸線や田んぼの中の田舎道、少し遠出して林の中の国道を一人でのんびり走るのが好きだった。 片岡義男の本を片っ端から読んだ。物語に登場するカッコいい女の人みたくヘルメットを取った時、頭を振って長い髪を揺らすことに憧れ…