『パープル・レイン』という映画については一冊の本が書かれているくらいだが、この映画が感動的なのは、主人公キッドの孤独と野心と愛と痛みが、プリンス本人のそれと重なっているからだろうと思う。 演技の中に<生モノ>としてのプリンスがはみ出してしまっている。こういう作品は、以後のスーパースターで大天才で<傑作製造機プリンス>からは決して生み出されなかった。 「パープル・レイン」はプリンスの全キャリアを通じて最大のヒット作だが、決して華やかな作品ではない。むしろ暗い作品だと思う。青臭く、やり場のないエネルギーをぶちまけるような激しさに満ちている。 この「When Doves Cry」という曲のイントロが…