東アジア葬祭事情

一条真也です。

東京に来ています。
今日は、神谷町の森ビル40番にある互助会保証(株)で「東アジア冠婚葬祭業国際交流研究会」が開催されました。わたしは、与えられた「東アジア葬祭事情」というテーマで、韓国・中国・台湾・沖縄の葬儀についてお話ししました。
業界の大手の経営者をはじめ、國學院大學教授で神道文化学部長の石井研士先生、第一生命経済研究所・主任研究員の小谷みどり先生、国立歴史民俗博物館・准教授の山田慎也先生などが聞いて下さいました。


会場となった森ビル40番



わたしは、20ページにおよぶレジュメを作成して、お話しさせていただきました。
最初に、わたしは「東アジアといえば、儒教文化圏とされております」と述べました。
そして、「一般に儒教は宗教ではないなどと誤解されていますが、儒教ほど宗教らしい宗教はありません」として、その証拠に宗教の核心をなす葬儀を最重要視している点をあげました。儒教の祖である孔子は、人間にとって最も親しい人間とは、その字のとおり「親」であると述べました。そして、その最も親しい親の葬儀をきちんとあげることこそ「人の道」の基本であるという価値観を打ち出しました。


20ページにおよぶレジュメ



古代の中国人たちは自分たちのあり方のルールとして「礼」というものを持っていましたが、葬儀を最重要視することで、「死」がこの「礼」の基準となっていきました。
人間はその一生において、さまざまな社会的関係を作っていきます。
一般人なら、成人式、結婚式、葬儀、祭祀といった、いわゆる冠婚葬祭です。
このなかで、冠(成人式)は一般庶民にまで徹底したわけではありません。
また結婚しない人間もいるし、祖先の祭祀をしない者もいます。
しかし、万人に必ず避けられないものがあります。「葬」です。
すなわち、葬礼こそ一般人の「礼」の中心なのです。この中国で生まれた考え方が、台湾や韓国に伝わり、沖縄に伝わり、日本本土に伝わったわけです。
わたしは「孔子とは、2500年前に世界で初めて『葬式は必要!』と訴えた人だと思います」と述べたところ、みなさん、とても興味を抱かれたようでした。



「東経情報」3月7日号



今日は、わたしの他にも、サンメンバーズ(株)の高橋祐介社長が「韓国のブライダル」について話されましたが、非常に興味深かったです。
高橋社長といえば、驚くべき偶然がありました。
昨日、埼玉で開催された勉強会で、なんと「孔子の子孫」こと孔健氏の講演を受けられたというのです。そして、なんと孔健氏は「一条真也という方を御存知ですか」と言って、わたしについての話をずっと続けられたそうです。
実際に、高橋社長がスマホで撮影された写真を見せていただきました。
たしかに、孔健氏がホワイトボードに「一条真也」と書かれていました。
もちろん悪口ではなく(笑)、その反対で過分な評価をいただいたようです。
なんだか、穴があったら入りたい心境です。
研究会を終えて、わたしはモバイルのパソコンを開いてみました。
すると、東京経済発行の「東経情報」に「孔子文化賞受賞」の記事が出ていました。
そこには、孔健氏から表彰状を授与されて微笑むわたしの写真がありました。


2012年3月6日 一条真也