交通博物館最後の日

 きょう14日の秋葉原神田祭。いつものような路上ライブやメイド撮影会は影を潜め、祭り袢纏姿の老若男女の「ワッショイワッショイ」のかけ声が、街中に鳴り響いていた。すっかりオタクに占拠されている秋葉原だが、お江戸神田の下町風情がしっかり受け継がれていることに、この街の強さを改めて認識させられた。

 その神田祭りの喧噪の横で、きょうはもう一つの“お祭り”が展開されていた。秋葉原の南、万世橋を渡って中央線の線路をくぐると、そこには尋常ならざる数の人の群れ、そして長蛇の行列。そう、鉄オタの聖地・交通博物館最後の日を惜しむ群衆である。私が行った午後3時前には、入場券を買い求める列が館の敷地を取り囲むように約300メートルまで伸びていた。ふと向かいのガソリンスタンドに目をやると、ベビーカーの臨時駐車場までも。
 やや躊躇したものの、これが最後と思って最後尾に立ち待つこと10数分、ようやく建物に入れた。しかし子供ずれが多いこともあってどのコーナーもパニック状態。特に入り口正面の鉄道模型運転コーナーはすし詰め。通常は30分間模型を走らせて30分休憩とするところを、30分走らせたあと人を入れ語らす愚また再会とフル稼働状態。しかも16時からの回が最後の予定だったのを17時30分からの回まで3回分追加という大盤振る舞い。しかも、いつもなら子供向けの簡単な解説ですますところを、鉄道ファンをもうならせるトリビアなネタまで加えるというサービスぶりだった(常磐線がなぜ途中で交流になっているかなんて知らなかったよ)。運転シミュレーターのコーナーも軒並み2時間待ち。きょうばかりはTDLのビッグサンダーマウンテンも山手線の運転台に負けていた。
 一通り見学して(といってもろくに見られなかった)外に出ると、入ったときよりはるかに多い数の群衆が。さらに新聞、テレビのカメラも散見され、祭りムードは最高潮に達していた。そしてついに入場終了の時間を迎えると、すかさず入場券売り場の上の看板が外され、周りから拍手と歓声が上がった。
 そして、人々に幾多の思い出を残し、交通博物館は眠りについた。