イレブンフーズ@東品川


久々に東京出張。仕事は午後からなので昼飯どこで食おうかといろいろ考えたが羽田でひらめいたのが4年ぶりくらいにはなるイレブンフーズ。モノレールで浜松町のひとつ手前、天王洲アイルで降りれば歩いて五分ほどだが、再開発によるピカピカのビルがいっぱい建っててちょっと迷う。しかし店の周辺は以前と何も変わらず昭和の香りぷんぷん。まさに都会のエアポケット。
メニューはラーメン700円、チャーシュー麺1000円、各大盛り100円増しのみ。誘惑に負けてチャーシュー麺にすればあのど迫力ラーメンとしばらくぶりのご対面。

たぶん豚中心のダシなんだと思うけど他にはちょっと類を見ない不思議なスープはちょっとトロミが付いていて意外とあっさり。かなり肉厚のキクラゲ、ワカメがどーんと乗り、半生の粗みじん切り玉ねぎが大量に浮かぶ。これらは全てスープの味に大きく影響を加え存在感たっぷり。そしてトロントロンの分厚いチャーシューは脂身程よくジューシーな肉の旨味がスープにまで溢れる。麺は「家系」で良く使われる酒井製麺らしいがやや太めでちょっと平麺やや柔目。しかしこの多様なメンバーがまとまると「無化調」だとかなんだとかそんな薀蓄ラーメンとは別次元のなんともワイルドで見事なハーモニーをかもし出すのですねえ。特にキクラゲがこんなに効果的に美味いラーメンてのは他に知りません。

入り口はつねにフルオープン。カウンターの端にザルが置いてあり、代金はそこに各自が放り込み、お釣りももちろん勝手に取って行くシステム。厨房には洗濯機が鎮座しキクラゲはなんとそこから出てくる。丼はいまどきサービスエリアの安食堂くらいでしかお目にかかれないメラミン食器。営業時間はなんと朝8時から夕方まで。ここが東京都区内とはにわかには信じられず、雰囲気的に中讃のディープうどん屋とかなり通じるものがあります。まさに世間の事など関係なく、ひとり無人の荒野を往くがごときワンアンドオンリー。誰にでも薦めるわけにはいかないが好きな人にはたまらんラーメンですな。

東京都品川区東品川1-34-23
8:00〜18:00(土:8:00〜13:30)
日曜休み

モノレール天王洲アイル京浜急行新馬場のちょうど中間くらい。新馬場は各停しか止まらないので羽田から行くならモノレールの方が吉。(モノレールも急行はNG)

みますや@神田司町

仕事が意外に早く片付いたので何年ぶりかで神田の古本屋めぐり。来週末からの長めの出張に持っていく本を何冊か仕入れ最終の飛行機までさてどうするか。この界隈にもいろいろ選択肢はあるが結局現存する東京最古の居酒屋と言われる「みますや」へ。ここも10年ぶりくらいでちょっと迷う。

創業今年で101年目。関東大震災の後に建て直した店舗は、なんと東京大空襲も半焼で逃れ今に続くという堂々たる風格。入り口には縄のれんに「どぜう」の提灯。店内には神田明神の神棚。先代三遊亭金馬の十八番、落語「居酒屋」のそのまんま。違うところは小僧さんの代わりに今ではアジア系留学生がバイトしてることくらい。もちろんバイトへの教育はしっかりやってるよう。



どぜう丸煮に肉豆腐、まぐろのヅケ、これだけの歴史があっても何の気取りも無い正しい大衆居酒屋なのがすばらしい。これはほんと文化財。かと思えばらっきょうの赤ワイン漬けなんてのも美味いし、全国各地の地酒もかなり揃ってる。ちゃんと変えるべきところは変えてるのもいいですね。
いやあ今回の東京出張は渋くまとめてしまったなあ…