CPU温度を劇的に下げる方法

はじめに

「高すぎるCPU温度」問題をようやく解決できた話。だらだら書いていたら長くなってしまったので、結論から先に書いておく。知っている人も多そうなやり方なので。

CPU温度問題を解決するのに私がとった手段は以下のようにまとめられる。

1.ダストブロワー等でCPUクーラーまわりにつまったホコリを取り去ってファン、ヒートシンクの冷却効率を上げる。
これで平常時の温度を6度以上下げることが出来た。
2.CrystalCPUIDで、クロック倍率、電圧を下げる(その際、コントロールパネルの電源オプションから、電源設定を「常にオン」にしておく)。特に電圧を下げると効果が高い。
電圧を0.2V下げて、クロック倍率も9倍から6倍に下げることで、高負荷時の上限温度を20度下げることが出来た。

これだけ。これで私のPCのCPU温度は高負荷時70度でファンが唸りまくる状態から、負荷を掛けても50度前後でファンもおとなしくなるという、かなり劇的な効果があった。

ただ、あくまでも、私個人の環境(Core2DuoのE8400)での結果にすぎないので、他の人にどれだけ効果があるのかはわかりませんのでご注意。では、以下本文。

高負荷時に70度を超えるCPU温度

夏ということで、パソコンが熱暴走するという話を目にしたりしなかったりする。私も自分のパソコンの高いCPU温度の問題にずっと悩まされていたのだけど、つい先日これを解決できたので、それまでの過程を書いておきたい。これを解決するまでに一年くらいかかってるあたり、自分のPC周辺知識のなさと解決能力の低さにびっくりするけど、これに困っている人も多そうなので、参考になるかと。

現在使っているパソコンはDosparaのBTOで、一昨年末に購入してずっと使っているんだけど、使い始めてしばらくしてからCPUの温度が高いことがずっと気になっていた。というか、ちょっとでも負荷の高いアプリや、3Dを使ったりしているゲームなんかを起動すると、あっという間にコア温度が60度を超え、放っておくと70度に達するまでになってしまうので、おいそれとゲームなんかできない状況だった。CPU温度が60度台後半になると、冷却ファンがかなりの音を立てて全力回転し出すのが恐ろしい。真冬ならまだなんとかなるのだけど、ゲーム中ずっとCPU温度を眺めながら、ときに唸りをあげるファンの駆動音にびくびくするのが常だった。

ZWEI II ツヴァイ2 限定特典版

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CPU温度と戦いながらクリアしたゲーム。

ゲームとかでもなく、たとえばエクスプローラーで検索した程度でも半端なく上昇する。それどころか、Amazonでページを切り替えるたびに、瞬間的に10度程度は温度が上がるというほどだった。ネットで検索したり、友人に聞いてみたりしても、どう考えても私のPCの温度は異常で、低負荷、アイドル時でも50度を切らないというのはおかしい。CPUはCore2duoのE8400で、FSB333Mhzをクロック倍率9倍でおよそ3Ghzというものなので、どうも元々温度が高くなりがちなCPUらしいのだけど、それにしたって高すぎた。

CPU温度計測に使っているのは「Core TEMP」というツール。以下から本体と日本語化パッチを入手可能。
Core Temp 日本語化 - さよならストレス

負荷を掛けたときのパラメーター。

ダストブロワーで狭いところのホコリを吹き飛ばす

温度をどうにかしようとしてはじめにやったのは、CPUクーラーまわりの掃除。買ってからほとんど掃除などしていなかったので、開けてみるとケースのなかはホコリだらけで、かなりのもんだった。掃除機などを使ってなんとかある程度綺麗にしても、もろに出ている電子部品の森に掃除機のノズルを近づけるのは危なすぎる。100円ショップで売ってた細いところを掃除するためのブラシなどを使ってみたのだけど、ファンの裏側にあるヒートシンクの隙間には届かず、CPUクーラーを外すのもためらわれたので、空気を強く吹き出してホコリを吹き飛ばすダストブロワーを買ってきた。

ダストブロワー/たっぷり460ml AD-152MN2

ダストブロワー/たっぷり460ml AD-152MN2

これ、初めて使ってみたのだけど、非常によい。結構強く吹き出るので、PC内部のホコリはあらかた吹き飛んでしまう。ヒートシンクの隙間も念入りに吹き飛ばせばだいたい綺麗になる。電源部分のファンにかなりのホコリがたまっていたのもこれでいける。さらに、キーボードの隙間とか、本の上部にたまるホコリを飛ばしたりと、いろいろ使える。一本500円強。ただ、拭き取ったり吸い取ったりするわけではなく、ただ吹き飛ばすだけなので、換気しながらやらないと、飛んでいったホコリがすぐに積もってしまう。

もうひとつ注意するべきなのは、本体を傾けすぎると内部の凍りかけの液体が吹き出てきてしまうことで、上側に風を当てたい場合は付属の細いストローみたいな吹き口を曲げてみたりしながらやらないと駄目だということ。逆さにしても液体が出てこないものもあるようだけど。低音の液体はこれ、かなり冷たい。ただ、これを使ってゴキブリ退治はできないので注意。

これでたまりにたまったホコリを吹き払った結果、CPU温度をある程度下げることに成功した。平常50度を超えたりしていたのが、何もしなければ平均44度を維持するまでに下がった。なお、私のPCではこれ以下には絶対下がらないため、Core TEMPの、というかたぶんマザーボードBIOSの温度計測機能の限界がこの数字なのだろう。他のPCではまた異なる結果になると思う。

平常時の温度が下がったとはいえ、Amazon見るだけで10度上昇とか、ゲーム中の温度上昇は解決できていなかった。掃除の結果、かなりの程度まで温度上昇は抑えられても、やはり高負荷状況が続くと、60度中盤程度にまでは上がってしまう。これでは安心して使えない。さらに、夏になり高いCPU温度への不安はかなり強くなってきた。

CrystalCPUIDでクロック、電圧変更

そんなとき、はっと思いついたのが、オーバークロックならぬアンダークロック。高クロック倍率のCPUが問題というならそのクロック倍率を下げればCPU温度を低くできるのでは、と。検索してみると、静音化や省エネ効果を見込んでのアンダークロックは良く行われているようだった。おお、と思ってとりあえず再起動をかけてBIOS画面からCPU倍率、FSBクロックを下げてみようと思ったのだけれど、なぜか自分のパソコンのBIOSでは、クロック倍率の欄の色が変わっていていじれないようになっていた。G31MXシリーズというマザーボードで、Phoenix AwardBIOSというものなのだけれど、ちょっと調べてみてもクロック倍率変更のやり方が分からなかったので、BIOSからの操作は諦めざるを得なかった。
http://www.geocities.jp/drkadokado/PCpage/BIOS10.html
上記リンクを見ると、省電力機能などがどっかでオンになっている可能性が考えられる。ざっと見てもどれがそれなのか、今ひとつ分からなかったので、下手にいじるのも危ないのでBIOSには触れないことにした。

ではWindows上からクロック倍率を操作できるツールはないものかと探してみて見つけたのがCrystalCPUID。
Crystal Dew World
http://www.marbacka.net/asm64/arkiv/crystalcpuid.html

CPU、マザーボードまわりの情報を表示するだけでなく、クロック倍率、電圧も調整でき、動的にそれをコントローすることもできるというソフト。

これだ、これを探していたんだ! と勇んで導入し、いろいろやってみたのだけど、どうもうまくいかない。

このソフトにはMultiplier Managementという機能があり、CPU使用率に応じて、動的にクロック倍率等を変化させることができる。さらに、拡張機能タグからIntel Enhanced SpeedStep Controlを選ぶと、クロック倍率等の変化を固定できる。

しかし、両方の機能を繰り返し試してみても、負荷を掛けるとCoreTEMPでの温度が上昇するのはまえと変わらなかった。

どういうことだろうかとしばらく眺めていると、CoreTEMPには現在のCPUクロックと電圧が表示されているのに気づいた(いまさら!)。そしてそれが負荷に応じて動的に変化している。Multiplier Management機能を無効にしていてもそうなっていた。あれ、これはどういうことだ、と考えていろいろ調べていたら、どうも私のPCでは負荷に応じてクロック倍率が動的に変化するSpeedStep機能(AMDではCool'n'QuietとかPowerNow!とかいう)が最初からついていた。SpeedStep機能はノートパソコン用に開発された省電力機能で、最近のIntel CPUに搭載されているものらしい。以前に使っていたのはCeleron1.7Ghzくらいのヤツで、CPUクロックを動的に変化させる技術がスタンダードになっていたとはまったく知らなかった。

コントロールパネルから電源オプションを開くと、「電源設定」が「最小の電源管理」となっていて、この状態だとSpeedStep機能が有効になっている。有効になっているとMultiplier Managementその他CrystalCPUIDの諸機能と競合して、いくら設定してもクロック倍率の変更が固定化されないということだったようだ。電源オプションは「常にオン」にする必要がある。これ、実は最初の「はじめてのCrystalCPUID」のページにきちんと書いてあった。ちゃんと説明を読まずにソフトを使おうとするからこうなる。

これでようやくCrystalCPUIDの機能が正常に働いて、クロック倍率を下げることに成功した。

しかし、クロック倍率を6倍に下げて、CPUクロックを約2Ghzにしてみても、負荷を掛けると60度くらいはすぐに超えてしまう。三割減してみても、あまり変わらないじゃないかと思っていたところ、まだ電圧設定があると気づいた。CrystalCPUIDだと、電圧変更の部分は最初は調整できないようになっているので、電圧いじるのは危ないような気がして控えていたのだけど、一応やってみるか、とプルダウンメニューのうち、デフォルトの1.113Vから、×印のついていない一番低い状態、0.9125Vに変えてみた。電圧を低くしても、突然電源が落ちるとかはなく、問題なく動いたので安心した。

というわけで、クロック倍率6倍、電圧0.9125Vという状態で、高負荷を掛けてみたところ、CPU温度は50度前後で落ち着いた。電圧はこのままでクロック倍率を9倍に戻してみても、50度前半で収まる程度なので、どうもCPU温度を調整するためには電圧がもっとも効率的なようだ。なお、低電圧で高クロック倍率に何か副作用があるのかどうかは私はよく分からない。


高負荷負担テストにちょうど良い動画。途中で一時停止しておくといい。これを見ながらクロック倍率を変化させると、目に見えて動きがなめらかになるので面白い。

省エネということも考えて、クロック倍率、電圧ともにCrystalCPUIDのプルダウンメニューで×印のついていない最低設定の6倍、0.9125Vを通常使用設定にしている。これなら、CPU使用率が100パーセント近くなっても、温度をまったく気にせずに使用できるわけで、ファン音も気にならず、年来のCPU問題は解決といっていい。

ゲームもこの設定で問題なく動く。ハイエンドな3Dゲームをやるわけでもなければこの状態で何の問題もないだろう。パフォーマンスに不満があれば、その都度倍率等をいじればいいわけだ。このままではCPUファンを買い換えなければならないかもと思っていたので、ソフトウェアで何とかできたのは素晴らしい。

なお、ソフトをスタートアップに設定しておいても、休止状態から復帰するとSpeedStep Controlから設定した固定クロック倍率がリセットされてしまう。休止状態を多用する場合はMultiplier Managementで自動的にクロック倍率、電圧等が調整されるように設定するのがいいだろう。

私の設定。これだと休止状態からの復帰でも温度の上昇を防ぐことが出来る。

再度まとめ

長々と書いてきたけれど、CPU温度問題を解決するのに私がとった手段は以下のようにまとめられる。
CPU温度問題を解決するのに私がとった手段は以下のようにまとめられる。

1.ダストブロワー等でCPUクーラーまわりにつまったホコリを取り去ってファン、ヒートシンクの冷却効率を上げる。
これで平常時の温度を6度以上下げることが出来た。
2.CrystalCPUIDで、クロック倍率、電圧を下げる(その際、コントロールパネルの電源オプションから、電源設定を「常にオン」にしておく)。特に電圧を下げると効果が高い。
電圧を0.2V下げて、クロック倍率も9倍から6倍に下げることで、高負荷時の上限温度を20度下げることが出来た。

これだけ。これで私のPCのCPU温度は高負荷時70度でファンが唸りまくる状態から、負荷を掛けても50度前後でファンもおとなしくなるという、かなり劇的な効果があった。

ただ、あくまでも、私個人の環境(Core2DuoのE8400)での結果にすぎないので、他の人にどれだけ効果があるのかはわかりませんのでご注意。

ただ、CrystalCPUIDの機能を使うにはSpeedStep機能が有効になっているPCでないとダメだろう。CPUの種類によっても適切な設定は変わってくるだろうし、私は自分のPC以外では試していないので、どこまで他人に有効かは知らない。あくまで、自己責任で導入すべし、というのは基本。

熱暴走に悩まされていたり、負荷を掛けたときにファンの音がうるさいという不満を持つ人はこれをやってみるといいんじゃないでしょうか。


ツヴァイ2レビュー

ZWEI II ツヴァイ2 限定特典版
おまけに、上掲のゲームをちょっとレビューします。

前作のツヴァイのサントラとアレンジ盤がかなりの出来だったので、続篇のこれには興味があった。ただ、サントラ単独では販売されていない(DL販売はアリ)のでどうしようかと思っていたとき、サントラ付き限定版がかなり安めの値段で中古が見つかったので、やってみることに。

2Dゲームだったツヴァイは体験版しかやっていない。そこでの操作性がかなり悪くて製品版をやる気にはなれなかったのだけど、ツヴァイ2では3Dゲームになり、操作性もかなり改善されていた。デフォルメされたCGモデルもかわいらしい雰囲気で、2Dゲーム的な世界観を維持したまま3D化することに成功してると思う。

ゲームはアクションRPGを得意とするファルコムらしく、非常にプレイしやすく、難易度も丁度良い感じで、とにかく敵を叩くのが爽快。だいたい20時間超くらいでクリアできたので、ゲームの長さとしてもちょうど良い。やりこむと制服や着ぐるみ等見た目が変わる衣装が手に入ったりするらしいけど、そこまではやっていない。全部やると30時間は超えるだろう。

ただ、期待していた音楽面は微妙。まあレベルの高いファルコムサウンドではあるものの、ツヴァイの続篇らしさはあまり感じられない。ロック調、オーケストラ、デジタル音など多彩ではあるものの、ツヴァイといえば民族音楽調だと思っていた向きにはあまりアピールするものではなくなっていた。水の神殿や各種ボステーマ、要所で挿入されるメインテーマのメロディ等、印象的なものはあるのだけれど、そこは残念。主題歌で、インストに歌詞を付けたような詩とメロディの不一致感を感じる。

それと、トレジャーハンターの青年ラグナと城を奪われた吸血鬼の姫様アルウェンという二人のキャラクターをそれぞれ操作しながら進んでいくわけだけど、後半アルウェンがほとんどストーリーにかかわらないのが残念なところ。典型的なツンデレ姫様と思わせて普通に大人な性格だったりとちょっと面白いキャラなのに、ずいぶんもったいない。忍者の子もあわせてキャラを使い切れていない印象がある。

ツヴァイ世界ではまだいくつか出てきていない大陸があるようで、全部で六作くらいは作れる余地が残されてそうだ。個人的にはツヴァイ2の直接の続篇をやってみたいところだけれど。2が出るまでに7年かかってるのと、最近ファルコムPSPにメインプラットフォームを据えているのを考えると、PCしか持ってない私には縁遠そうだ。イース7もいまだにPC版が出ていないし。