Comments by Dr Marks

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アメリカの国勢調査(Census)は日本よりも簡単かつ複雑:10年ごとの調査で当年も(追加:オバマは何と書くか)

Per Capita は一人当たり per person のことで、ラテン語。Capita(caput) は「頭」。人頭税(headtax)はここから来る。Census は同じくラテン語の censeo(数える、見積もる)から。ルカ伝2章はローマ皇帝の命によるイスラエルで初めての国勢調査(住民登録)でドラマチックに始まる。

アメリカの国勢調査は少しもドラマチックではないから、中味がなんであったかなど10年も経てば忘れてしまう。だから、こうして後代のために記録しておく、なんてルカは言ってるのよ。本当は、テオフィロって人に書いてるのだが、後代の人でもかまわない。だって、テオフィロという名の意味は、神を愛する人、あるいは神が愛する人という意味だから、後代の人、つまりあなたのこと。聖書読んでね。

しかし、このアメリカの国政調査でドラマチックなことが起こらないとも限らない。気象大学校の某氏と私が田村哲の家族を調べていたとき、青山学院に残る妻の名と二人の娘の名前から、彼らがその後どうしたかは、1920年アメリカの国勢調査のデータがものをいった。再婚相手の名前と、当時どこに住んでいたかが、はっきりとわかったのである。現在の調査結果の個票も72年後には一般公開される。だから、生れたばかりの子供なら、そして生きていたら、72年後に自分の名前を公開記録で見ることができる。ご先祖様の記録にもなる。

その年によって、調査項目や文言は多少変わるのだが、Census 2010 は基本的に以下の10問だけである。対象となるのはアメリカ市民だけではない。4月1日現在アメリカに住む(旅行者を除くが、更に詳しい定義あり)外国人も対象となる。F-1などを持っている正規の留学生や同居する家族も当然含まれる。更にいえば、不法滞在者も含むが、移民局に個々の情報が伝えられることはないので安心して本名を書いていい。むしろ、何かのときに在留した証拠となるかもしれない。(原則として、この情報を法廷などで使うことは禁止されているのだが。)

質問紙は一家に1枚で、筆頭者が記入し、二人目以降は10問のうち7問について個別に答えるようになっている。筆頭者とは同居人の代表のことであり住宅の名義人など。なお、同居人は家族でなくても皆原則として1枚に記入する。


問1 何人住んでいるか
問2 問1に含めない人がいる場合の説明
問3 住居の種類(持ち家かどうかなど、住宅ローンを払い終わったかなどもここでチェックする)
問4 電話番号(記入内容に不足があった場合などのため)
問5 姓、名、ミドルネームの頭文字の順で書く
問6 男女の別
問7 4月1日現在の歳と生年月日
問8 ヒスパニックかどうかと、ヒスパニックの場合は出身国を書く(因みに、ヒスパニックは人種名ではない)
問9 ヒスパニックを含めて全ての人が書く人種の欄。
大別して、白人、黒人(Negro)、アメリカ原住民(詳細も)、インド人、日本人、中国人、朝鮮人、フィリピン人、ヴェトナム人、その他のアジア人(詳細も)、グアム人、サモア人、ハワイ原住民、その他の太平洋諸島人(詳細も)、その他の人種(詳細も)
問10 現住所以外に住むことはあるか(旅行を除いて、学寮、軍宿舎、別荘、監獄、など詳細も)

以上である。人種が面倒なだけで、あとは日本に比べていたって簡単、あっさりしているだろう。本当に頭の数だけ数えたにすぎない。人種の面倒さだが、混血の割合がわかっていたら、多いほうを書けばいい。例えば、4分の1が白人、4分の1が朝鮮人、4分の2が日本人なら、日本人に印を付ける。(いろいろな組合せがあるが、父親が白人と日本人のハーフ、母親が朝鮮人と日本人のハーフなら、4分の2が日本人。)

白人と黒人はどこの国から来たか、ヒスパニックを除いては聞かれない。しかし、ヒスパニックを含め、自分が白人か黒人か定かでなかったら、自分が思うところを書けばいい。アジア人の血筋を含め、わかっているだけで6種類などというのは珍しくないから、自分の思うところを書くしかない。それから、完全ハーフもね。50%ずつだから、どちらか好きなのを書くしかない。うん、オバマがまさにそう。黒人て書かず白人て書いたりして。(迷ったら、父親のほうを書く人が多そう。そうだとすると、オバマはやはり黒人。しかし、決まりはない。)

アメリカはメルティングポットではなくサラダボールだなどと近頃はわかったようなことを言う「文化人」もいるようだが、メルティングポット的人間も多いのだよアメリカは。どこにしろ、住まなきゃわからないことは多いのだから、偉そうなことは言わないほうがいい。