白ワインも、赤に劣らず身体に良い。

● 白ワインも、赤に劣らず身体に良い。


 フランス人はあれほど多くの美食をしていても、心臓疾患で亡くなる人が少
ない事が知られています。これはフレンチパラドックスといわれるもので、フ
ランス人がワインを沢山飲むのがその理由だと、説明されています。

 そしてそれには、赤ワインでなくてはならないとされてきました。
 ブドウの皮に含まれる紫色色素が、ワインを作る際に赤色の元となるのです
が、白ワインを作る際にはこの皮の部分を取り除くので、白ワインには心臓に
よいポリフェノール類はあまり含まれていないと考えられていたのです。

 ところが今回、赤ワインに限らず白ワインも、共に心臓に良い効果をもたら
すという報告がありましたので、お知らせします。

 これは、米国化学会が発行している「農業と食物」誌に、コネチカット大学
医学部のDipak K. Das博士らが、イタリアのミラノ大学などと共同研究を行っ
た結果を報告したものです(Journal of Agricultural & Food Chemistry,
Aug. 23, 2006;論文タイトル:Comparison of Cardioprotective Abilities
Between the Flesh and Skin of Grapes)。

 今回の研究は、心臓によいといわれる物質が皮だけでなく、果実の部分にも
あるのではないかという視点から行われたものです。

 研究ではラットを使用し、このラットを3群に分け、通常の食事を与えた群
をコントロールとした群、体重1kgあたり2.5 mgのブドウの果実部分を含む食
事を与えた群、及び2.5 mg/kgの果皮を含む群に分け、それぞれ30日間飼育し
ました。
 そして、30日後にラットの心臓を取り出して、虚血状態にした後に再潅流を
行い、心臓の動きを調べました。

 先ず、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)を用いて、果皮や果実に含まれる
成分を分析したところ、予想どうり、果実には皮に比べて、クマール酸類(sis-,
trans-& p-coumaric), カフェイン,桂皮酸、カテキンなどのポリフェノール
分などの抗酸化物質が少ない事は確認されたのですが、グルコースや果糖、酒
石酸、マレイン酸などの成分は、どちらにも同程度含まれることが分かりまし
た。

 更に電子常磁性共鳴(EPR)スぺクトメトリーで、過酸化物を除去するヒド
リキシラジカルの量を調べたところ、果実及び果皮共に同程度が存在すること
が明らかになりました。

 また、これらの食事で育てたラットの心臓に存在する、全マロン酸アルデヒ
ドの量を比べたところ、果実や皮を食べたラットでもほぼ同様存在する事がわ
かりました。

 以上の結果から、ブドウの果実にはポリフェノールの一種である紫色色素ア
ントシアニンがあまり存在しないにも拘わらず、皮にあるのと同じ量の心臓疾
患を防ぐ抗酸化物質が含まれており、心臓によい効果をもたらすことが明らか
になったとされています。

 実は私は、赤ワインより白の方が好みなのですが、今までは体によいからと
して赤を呑む事が多かったのですが、これからは自信を持って白ワインも飲む
ことにします。

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