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サイト説明 ∇うみねこ記事まとめ ∇作品別の感想ログ(更新怠け中)

2015-09-02

アリュージョニスト作者の商業デビュー作『アリス・イン・カレイドスピア』が全8章中1章から8章まで無料公開

 7月出版されたばかりの無名作家デビュー作をWebでほぼ全文公開するという、なかなか大胆な宣伝星海社サイトで行われています(巻頭のカラーページや用語解説を含め、全8章中の8章まで公開となると、残りはあとがきや奥付くらいのものなので、ほぼ全文公開と言って差し支えないでしょう)。出版以降、毎週1章ずつ公開されていてどこまで行くのかと思ったら、ついに昨日クライマックスまで読めるようになってしまいました。期間限定の公開なのかなとも思いましたが、今のところ「掲載期間」の欄にも期限は明記されてないし、ずっとこのまま公開し続けるのかもしれません。

アリス・イン・カレイドスピア』といえば、ごく一部でカルト的な人気を誇るWeb小説幻想再帰のアリュージョニスト』の作家最近さん(「最近」さんというお名前です)の商業デビュー作です。漫画家にしてはてなダイアラーでもある小島アジコさんの精力的な紹介のおかげで、はてな界隈では多少認知されてますが、商業出版という市場で考えるとまず無名と言ってよいでしょう。そんな無名の、しかし確実に力があり読めばきっと面白いという類の新人作家を売り出すためなら、シリーズの第1巻をほぼ丸ごと無料公開しても割に合う、という判断なのかもしれません。実際こういう手法効果的なのか、逆に売り上げが減ったりしないのか等の不安もありますが、もう公開されてる以上、ファンとしてはどんどん話題になって知名度あげていってもらいたいなと思っています(未公開分があとがきくらいしか残ってないのに「この続きはぜひ本書で!」という星海社ツイート*1は流石にどうかと思うのですが、ファンは早くも幻の9章の存在を囁きはじめており平常運転です→公式の告知で訂正されました*2。ひとあんしん)。

 マーケティング特殊性は置いといて、『アリス・イン・カレイドスピア』はよい小説です。『幻想再帰のアリュージョニスト』は200万字を超えてなお連載なかばという大長編ですが、その荒唐無稽豊饒作家性が、『アリス・イン・カレイドスピア』では1冊に綺麗にまとめられています。具体的には、呪術思考テクノロジーの基盤とする独特な世界の中で「神話型熱核融合炉」とか「重力定数すら未定義空間を浮遊戦車が飛び交う」とか「呪占兵の弾道卜占」とかの素敵な文字列が展開されたかと思えば、壁サークル同人乙女が200人の脳内彼氏を呼び出したり、美少女化された聖人廃課金ガチャ召喚されたり、ちょっとなに言ってるか分からない光景が繰り広げられて端正に作られた世界観をどんどん台無しにしていくのですが、最終的には「アリス」というおとぎ話とかでよく聞く名前女の子の元に全てが回収されて綺麗にまとまります。尊い。

 まずは3章、緻密に書き込まれた重厚世界がいきなりわけの分からないひっくり返り方をする序盤の山場までを読んでもらえれば、本作の作風はなんとなく飲み込めるかもしれません。今回の無料公開はなかなか思い切った賭けだと思いますが、この秋には2巻の発売も予定されているので、ともかく最終的な売り上げや知名度、そして最近さんの良い将来に結びついてもらいたいと切に願うところです。

アリス・イン・カレイドスピア 1 (星海社FICTIONS)

アリス・イン・カレイドスピア 1 (星海社FICTIONS)

2015-07-26

7/31(金)に『アリス・イン・カレイドスピア』のネタばれチャットします

 します。本編はもちろんのこと、流れでアリュージョニスト話題とか、『このWeb小説がすごい!』の話題もできるかと思います一見さん大歓迎ですので、奮ってご参加くださいませ。

アリス・イン・カレイドスピア 1 (星海社FICTIONS)

アリス・イン・カレイドスピア 1 (星海社FICTIONS)

2015-07-24

本日発売の『このWeb小説がすごい!』にレビュー記事を書かせていただきましたの報告

 というわけで、本日発売の『このWeb小説がすごい!』のBest10にランクインした『幻想再帰のアリュージョニスト』のレビュー記事を1ページほど書かせていただきました。自分の好きな作品についてこういう場で紹介する機会をいただけたのは大変ありがたい話で、これを切っ掛けにぜひ多くの方に興味を持っていただければと思います。逆に本作のファンの中には他のWeb小説をあまり読まないという方も多いかと思うので、本書の中から自分好みの作品を探してみるのもよいかもしれません。一般Webアンケートと協力者アンケートの傾向の違いなど、データとしてもなかなか興味深い結果が出ているので、その辺追ってみるのも面白いかも知れません。本屋さんなどで見かけましたら、どうぞ是非お手にとってくださいませ(なお今回は普段の文体と違って「だ・である」調の文章になっているので誰こいつという感じですが、そこは笑って流していただけると有り難いです……)。

2015-07-11

『幻想再帰のアリュージョニスト』がどんな小説なのか改めて説明するよ

 はいタイトル通りです。2014年4月1日の連載開始以来、少しずつ熱狂的なファンを増やしつつある最近のWeb小説幻想再帰のアリュージョニスト』ですが、残念ながらその人気はまだまだ小規模です。観測範囲でたまに話題に上るからタイトルだけは知っていても、内容はよく知らないという人は多いでしょう。あるいは、「多少興味はあるけど目玉グルグルさせたファンが多くてなんか怖いし……正直引くわ……」という感じで手を出せないでいる人もいるかもしれません(猛省します)。

 書籍化されているわけでもなければ、大規模にバズっているわけでもなく、掲載サイト小説家になろう」のランキング常連作品ですらない。にも関わらず、突然はてなホットエントリ感想記事が上がったり、プロ作家言及されたりする『幻想再帰のアリュージョニスト』とは一体どんな作品なのでしょうか。ここでは未読者を念頭に置いて、本作の概要を紹介してみたいと思います

 ちなみに既存作品紹介としては以下のようなページも存在するので、併せてご参考くださいませ。


結局どんな小説なのか

 ご託はいから、これが結局どういう小説なのか一言でまとめてくれよと思われる向きも多いでしょう。本文読むのは大変だし、とりあえず概要だけ一言でまとめてくれという人を見かけたのも一度や二度ではありません。Twitterなど見ていると日夜アリュージョニスト布教に励んでいる人も散見されるので、きっと誰かがうまい紹介をしてくれているはずです。

 無理でした。

 アリュージョニストの「ハマってる人はいるけど周りから見てるとどんな話か分からない」感の原因は、おそらくこういうところにあります。とにかく、要約が難しいのです。ぶっちゃけだって目玉グルグルさせて布教してる人間の一人なので、作品の魅力を一言で伝える上手い言い方なんてものがあれば喜んで飛びつくのですが、いまだ適当言葉が思いつきません。


ではとりあえず冒頭の紹介を

 いちおう、「小説家になろう」の粗筋ページにはこう記載されています

 異世界転生保険とは契約者本人を受取人として、保険量(インシュランス・クオンタム)である新たな人生給付する制度である。無事支払い条件を満たしていたのはいいが、新たな世界で目を覚ますと何やら開幕から左手を怪物に食い千切られているという大惨事。おまけに原因不明トラブル言葉も通じないわ、現代日本技術を異世界に持ち込んでしまうわで第二の人生は開始早々に前途多難。戦わなければ生き残れない仄暗い迷宮で、片腕を失った男は現代日本技術を駆使して戦うことを決意する。現代日本技術――すなわち、サイバネティクスの粋を集めた、機械義肢サイバーカラテを。

 この粗筋から読み取れるイメージは、なろう小説メジャーな異世界転生ものサイバーパンクの要素を組み合わせた物語、といったところでしょうか。端的にまとまったイメージ提示されていて、この文面自体は分かりやすい概要になっていると思います。ただし気をつけなければいけないのは、この「粗筋」が連載半ばの現時点で既に100話以上ある物語のうちの第1話か、せいぜい第2話までという、ほんの始まりの部分についての説明に過ぎないという点です。

 たしか物語の導入部である第1章(1話〜2話)は、概ねこの粗筋に書かれた内容をなぞる形で比較的大人しく進みますアマチュアのWeb小説としてはかなり筆力が安定しているし、派手に物語を展開させるよりも主人公内面や現地人の文化風俗を観察する描写に筆を割いているので、意外と地味な印象を受けるかもしれません。ときどき「サイバーカラテ」という忍殺風のギミックが突っ込まれたりするのが謎ですが、そういう無節操パロディを「今風」と説明することもできるでしょう。

 内省的すぎて屈折した主人公一人称、かなり細かい描写スローペースな展開などで好き嫌いは別れるでしょうが、いずれにしてもしっかり書かれた小説ですから、目の聡い人なら冒頭部分を読むだけで「堅実に(過剰に?)描き込まれた異世界設定や少し硬めの物語を好むタイプの読者の間で流行っているんだろうな」というあたりの予想は容易につくかもしれません(実際、ファン有志による設定wiki作成されており、日夜新しい情報登録されていっています)。ただ、読者の間ではっきり「イロモノ」的な言及をされている本作のイメージと、(いくら「サイバーカラテ」というおふざけらしき要素があるとはいえ)この1章の地味な作風とは、正直あまり重ならないのではないかと思います。もしそこに引っ掛かりを覚えた人がいるなら、違和感はたぶん正解です。


サイバーパンクからオカルトパンク

 先ほど引用したツイートでも示唆されていた通り、実は本作は物語が進むにつれて、「別物」……という言い方には語弊があるかもしれませんが、その作風をどんどん広げていきます。1章で提示されたかに見えた大まかなストーリーライン(9階層からなる巨大迷宮舞台とした、地上vs地獄の陣取りゲーム)は、読者の自然な予想に反して第2章の始まりと共に破棄されます。代わりに提示されるのは、どちらかというと武侠小説のような無頼者たちの格闘アクションの流れなのですが、それと並行してこの異世界(と作品自体)の根本原理をなす「呪術」についての描写が前面に押し出されるようになってきます

 呪術と言っても、この世界呪術はいわゆるJRPG的な「魔法」のイメージとはずいぶん毛色が違います最初こそ「科学」が「呪術」で代替されたような呪術テクノロジー社会描写されますが、本作の呪術はむしろ民俗学とか文化人類学で言う「呪術思考」の延長にあります。やがて「アナロジーは力を持つ」だとか「それっぽく見えるものは実際それっぽい性質を持つ」といった胡乱な理屈が大真面目に語られはじめ、ここら辺から幻想再帰のアリュージョニスト』という作品の枠組みは少しずつ分からなくなっていきます

ここはアナロジー誤謬物理法則を屈服させる呪術世界

 これ以降、「タイピングが速い方がハッカーとして凄腕に見えるからめちゃくちゃ高速でキーボードを叩いて電脳戦に勝つ」「血縁拡張された身体とみなすタイプの感染呪術によって本人もろとも三親等以内の親類を呪殺」「動画再生数が上がると情報ソースとしての信頼性も上がるから過去遡及的に現実改竄される」「敵が逆転フラグを立ててきたのでこちらもなんか勝てそうな感じの言動をとろうとしたけど逆に死亡フラグを踏んで負ける」等々、ちょっと冗談しか思えないような理屈が矢継ぎ早にくりだされ、作品世界根本原理として物語を左右し始めます

 世界をどのように捉え、どのように認識するか。人の思い込み現実法則そのものを決定づける異世界での闘争は、「異なる世界観どうしのぶつけ合い」という様相を呈するようになっていきます。実際、この作品舞台である「ゼオーティア」は様々な世界観を持った勢力が無節操に混在してせめぎ合う闇鍋のような世界なのです。神話歴史倫理観はおろか、一人一人に適用される宇宙法則すら多様化した世界では、呪術の体系、テクノロジーの体系も当然多様化していきます

 世界呪術本質を"言葉"に置く「呪文」の体系、人と人との"関係性"に置く「使い魔」の体系。おのれの"主観"を全ての本質として世界を塗り替えようとする「邪視」の体系がある一方で、あらゆる神秘を"客観"的に再現可能テクノロジーに貶めようとする「杖」の派閥自然科学体系もまた、あくま呪術の一分野として存在します。こういった社会の中に、我々の「地球」由来の様々な神話思想学問などがいわゆる「カーゴカルト」的に取り込まれていくことで、世界さら混沌とした様相を見せていきます(漂着した外国人が神や鬼のたぐいとして伝承に残るように、「外世界」は重要神話的、呪的要素です)。極めつけは、転生者である主人公によってもたらされた電脳サイバネティクス技術結晶であるサイバーカラテ」。外世界からもたらされた最新鋭のテクノロジーがこの世界呪術思考と結びついてどのように変容していくかは、冗談ではなく本作の中心的なテーマひとつなのです。


野放図に広がる大風呂敷行方

 第1章でおおかたの読者が抱いたであろう「過剰な設定の上にさらなる設定を重ねて複雑な世界描写していくタイプの作品」という印象は、この2章を読み進めるうちに修正を迫られるでしょう。なにせ本作の呪術世界原理は、突き詰めれば「説得力と勢いさえあれば何もかも現実になる」と言っているに違いないのです。まどろっこしい理屈詭弁と勢いで力強くねじ伏せるのは確かに快感ですが、物語世界整合性破綻の危機に晒されます。本作のように過剰なまでの情報量で攻めるタイプの作品であればなおさら過去描写の積み重ねを台無しにするような「なんでもあり」は致命的な瑕疵に繋がるはずです。

 2章も半ばに至り、どんどん捻れていくストーリーラインや飽和した情報支離滅裂世界観オカルト理論そのものの擬似テクノロジーを前にして、きっと多くの読者が不安を覚えることでしょう。「これ、収集つくのか?」と。広げに広げた大風呂敷制御しきれず失速して空中分解していくパターンなんて、いかにもありがちな話です。

 けれど、ここからが、広げきった風呂敷とばらまいた伏線が結びついて有機的に立ち上がってくるここからが本作の真骨頂なのだ……と力説したいところではあるのですが、それを言葉で説明してしまうのは野暮というものでしょう。言葉で凄いと言うのは簡単ですが、その凄まじさを実際に伝えるのは私の手に余りますし、それができたら連日目玉をグルグル回しながらわけの分からないアリュージョニスト語りを垂れ流すアカウントになったりしません。

 ともあれここから先は、錯綜した状況にひとまずの決着がつく2章クライマックスを実際その目で確かめてもらうのが一番でしょう。

2章までで既に文庫数冊分のボリュームがあったのに3章でいきなり主人公が交代して雰囲気がまたガラリと変わるとか(本作はダブル主人公制の作品なのです)、3章を読んだ読者が百合百合尊いと叫びながら目玉をグルグルさせはじめるとか、実は本作は9章構成でかなり先の展開まで見据えて構成が練られてるとかで3章以降も色々あるのですが、というか2章は軽いジャブで3章からが本当の(目玉がグルグルし始めて何を言っているかからない)とかキリがないのでいい加減この辺にしますが、ともかく2章。できれば3章まで読んでもらえれば本作の全容はとりあえず掴め……どうなんでしょうねー……現在連載中の4章もかなり滅茶苦茶なことになってるしちょっと本当に展開が読めないんですけど……ともかく本作は、その全容を把握するのがとても難しい作品なのです(ちなみに今回のこの文章、紹介としてはけっこう支離滅裂な内容になってしまったと思いますが、下読みしてくれたアリュージョニストファンの人には「かなり我慢してあれこれ書きたくなるのを抑えたね」と言われました。コワイ)。


おまけFAQ:でも長いんでしょう?

 本作に興味はあるけどなかなか手が伸ばせない、その抵抗感のいちばんの原因はやはり「長さ」にあるようです。たしかに本作は第1話からして結構ボリュームなので、最初にそこで引いてしまう人は多いようです。ただし作者の最近さんもこの問題は気にされていて、話を短く区切って一話あたりのボリュームを軽くしたり、長すぎる話は分割したりという工夫をされているので、近頃はかなり読みやすくなっています。長めの前後編で構成される1章を乗り越えて2章に入れば、1話あたりの分量はだいぶ軽減されてくるので、全体としては第一印象ほど読みづらい作品にはなっていないと思います

 また、それでもやっぱり長い話を読むのは辛いという人は、次の作品選択肢に入れてもいいかもしれません。

アリス・イン・カレイドスピア 1 (星海社FICTIONS)

アリス・イン・カレイドスピア 1 (星海社FICTIONS)

互いに空想を撃ち合い、解釈で殴り合う。荒唐無稽想像力勝敗を決する改竄戦争舞台で、一騎当千の“妄想狂”たちの、天地の覇権を懸けた壮絶な“世界の書き換え合戦”が幕を開ける!!

幻想再帰のアリュージョニスト』の最近デビュー作。

 『アリス・イン・カレイドスピア』は作者の最近さんにとって初の商業出版物となる作品です。Web小説としてある程度はファンもついている『幻想再帰のアリュージョニスト』ではなく、いきなり新作での商業デビューということは、それだけ作家としての力量を見込まれているということなのでしょう。完全書き下ろしながら、『幻想再帰のアリュージョニスト』とは一種のシェアードワールド関係にあるようですから、その意味でも入門にはぴったりかもしれません。「『幻想再帰のアリュージョニスト』に興味があるけど重そうで抵抗がある」という人は、ひとまず本作を読んで様子見をしてみてもいいのかもしれません。

2015-06-02

本日一信 - 6/5(金)にアリュージョニストのチャットします

ます

http://digicha.jp/timetide/chat_s_view.html

21時くらい開始の予定で考えています。もちろん新作アリスピの話もOK。お暇な方はどうぞおいでませ。

すみません最初6/19(金)というタイトルでしたが6/5(金)の間違いでした……。今週末です。


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