企業法務戦士の雑感 このページをアンテナに追加 RSSフィード

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2016-09-25

[]2016年9月25日のメモ

グダグダと仕事やら家事やらに追われているうちに、あっという間に飛び石連休も終わり、日が変われば仕事の負荷がますます増えてくる憂鬱なシーズンに突入してしまう。

立ち止まって考えることも、秋の夜長に本でも読みながら思索にふけることも、かれこれもう何年も果たせていない“夢”のまま変わりない状況だが、いつか、そう遠くないうちに、こんな時が懐かしくなる時もくるのだろう、と信じてやっている。

「解禁前に選考」の何が悪い。

全国の大学でつくる就職問題懇談会と内閣府が、今年度の就職活動について企業や学生を対象に実施した調査結果をまとめた、という記事が載ったのは22日の朝刊。

そして、翌23日、文部科学省のサイトに調査結果(速報版)がアップされた。

http://www.mext.go.jp/b_menu/houdou/28/09/1377496.htm

日経の記事では、就職活動「解禁」前に採用選考を開始した、という会社が56.7%と、5割を超えた、という点がやたら強調されているが*1、個人的には、4割以上の会社が「6月解禁」ルールを守っていたのか・・・ということの方が興味深かったわけで*2

そして調査結果を見ると、「内々定」を出したタイミングに関しては、「6月」という回答がさらに増えて単月で40.1%という数字になっている*3

これと、「就職活動が比較的短期間で済んだ」53.6%という学生の回答を合わせ読むと、浮かび上がってくるのは、5月に入った頃からそろりそろりと五月雨式に採用選考が始まり、6月に入ってヨーイドンと内々定祭りが始まる、という状況。

今年度に関しては、「就職・採用市場が売り手市場だった」と回答した会社が実に82.8%に上っているし*4、現場の実感もその感覚にかなり近い。

それゆえ、ちょっと出遅れたばっかりに、目を付けていた学生をごっそり他社にさらわれた、という企業も今年は決して少なくなかったはずで、来年以降はより「6・1」に近接した採用活動がなされることが想定されるのだけれど、そうなったときに律儀に「解禁日」を守って、1日、2日で採用活動を終わらせてしまう会社と、3月、4月くらいからじっくりと水面下で採用選考を進めていた会社とではどちらが学生フレンドリーか、と言えば、個人的には後者のような気もするわけで、「ルールを守れ」と唱え続けることが能じゃない、ということは、もう少し強調されて然るべきではないかと思う。

思わぬところで登場した元欧州委員会委員の名前

パナマ文書に続いて話題になりそうな「バハマ文書」。

良くまぁこれだけ立て続けに情報がリークされるものだと思うが、そんな中、新聞を賑わせているのが、かつて競争法の世界で“鬼”と恐れられた、欧州委員会のクルス元副委員長が「バハマ登録企業の役員として登録されていた」というニュースである。

バハマ設立企業の役員として登録されていた」という事実だけでは、いかなる色も付けようがないわけで、現時点で安易に評価を下すことはできないのだが、仮に悪い方のシナリオで考えるならば、

「あれだけ「公正競争」の旗を振り回していた方のお名前をこんなところで見かけることになるとは、欧州というのは何と懐の深いところなのだろう・・・」

ということになってしまいそうである。

もちろん、皮肉だが。

Bリーグ、はどこへ行く?

ここのところ1,2週間、広瀬アリス・すずの姉妹を前面に出して*5、かなり派手に前宣を展開していたバスケットボールの新リーグ。

何となくJリーグ開幕前のワクワクするような雰囲気も思い出したりもして、少々懐かしさに浸っていたりもしたものだが、始まってみると開幕戦東京琉球以外のカードは、ほとんどスポーツニュースでも省みられることがなかったし、テレビ中継とも無縁な状況になっているようである。

テレビ中継に関しては、1993年と今とでは、そもそも「テレビ」というものを取り巻く環境が大きく異なっており、サッカーはもちろんプロ野球ですらも「テレビ中継三昧」というパターンからは縁遠くなっているから、あまり言っても仕方ないのかもしれないが、そうであれば、せめて新聞のスポーツ面で報じられる時くらいは、もう少し目立つような取り上げられ方をされても良いのではないだろうか。

会場が熱狂的なファンでどんなに盛り上がっているのだとしても、その結果が、かつての「日本リーグ」と同レベル、J2の試合結果と同じレベルの小ささで扱われてしまっているとなると、コアな層以上にファン層を広げていくのはなかなか難しいような気がしてならない。

当世随一の仕掛け人、川渕チェアマン(古い・・・)が絡んでいる企画だけに、Jリーグの100年構想同様、中長期的視点でいろいろと手を打っているはずだし、だとすれば足元のメディア上での“不人気”など取るに足らないことなのかもしれないが、ちょっと火が付けばもっともっと盛り上がられるスポーツだと思うだけに、これからじわじわと人気が浸透していくことを今は願うのみである。

「○○年ぶり」というフレーズの懐かしさと切なさと。

先日、カープが25年ぶりの優勝を遂げた、というニュースに触発されたのかどうなのか、大相撲秋場所では、大関豪栄道関が貴乃花以来20年ぶりの日本人全勝優勝という快挙を成し遂げ、東レテニスでは大坂なおみ選手が伊達公子選手以来21年ぶり、という決勝進出を成し遂げた。

自分にとってはどちらのエピソードも、“もうそんなに経ったの?”と言いたくなるような感じで、時の流れの速さを身に染みて感じているわけだが、こういうのが続く、というのも何かの巡りあわせなのだろう。

かつて伊達公子選手の体力を振り絞った戦いに一喜一憂し、時に涙した世代の人間としては、彼女に大坂選手並みの身体能力が備わっていたらどれほど凄い戦績を残せていただろう・・・と、思わずにはいられないのだけど。

君の名は。」遂に興行収入100億円突破。

封切りから1カ月。新海誠監督が生み出した史上最高のアニメーションが、とうとう興行収入でも大台を超えた。

日本映画としては3年ぶり。当初話題が先行していた「シン・ゴジラ」を遥かに凌駕する結果を残し、今もなお、スクリーンめがけて映画館に通う人波は途切れることがない。

映像表現の美しさと並んで、ストーリー展開の意外性(そして張り巡らされた伏線が最後の最後で一気に回収される爽快感)にこの作品の最大の魅力があるので、ネタバレになるようなことを今ここで書くわけにはいかないのだが*6、商業主義に毒された“ジブリ”ブランドに殺されかけた日本のアニメ、そして二次元だからこそ描ける良質のドラマの神髄を見事なまでに復活させてくれたこの作品を、自分は一日本人として誇りに思う。

そして、(少々のリスクはあろうとも)「クライマックスは映画館でしか見せない、教えない」というスタンスを徹底することがいかに大事か、ということも、(シン・ゴジラとの比較で)この映画が教えてくれたように思うのである*7

*1日本経済新聞2016年9月22日付朝刊・第34面。

*2:アンケートには建前だけ書いた、という会社も何社かは混ざっているだろうが、それにしても、高い数字である。

*3http://www.mext.go.jp/component/a_menu/education/detail/__icsFiles/afieldfile/2016/09/23/1377501_4_1.pdf

*4http://www.mext.go.jp/component/a_menu/education/detail/__icsFiles/afieldfile/2016/09/23/1377501_4_1.pdf・5頁。

*5:どうでもいいが、この姉妹、特に広瀬すずの方は、この件に限らず、さすがに最近“出過ぎ”じゃないかと思うくらいテレビ画面に映り込んでいたこともあって、個人的には若干食傷気味ではあった。

*6:とりあえず、前宣で繰り返し流れていた映像は、この映画のほんの一部分にすぎない、ということだけは言っておこうか。

*7:これから、「そんな映画だったんだ」ということに気づいて映画館に足を運ぶ人はもっと増えるだろうから、200億円の大台に届くのも夢ではないと思っている。

2016-09-21

[]2016年9月21日のメモ

シルバーウィークといっても、今年のカレンダーの休みは3日だけ。

谷間にも容赦なく重たい予定は入る、ということで、何の面白みもない状態で台風に脅えながら出勤、という事態になってしまっている。

それでも、通常の週に比べれば少しは負荷も減っている、と思いたいところではあるのだけれど。

リオ・パラリンピック金メダルなき閉幕

リオ・パラリンピックが、無事、閉幕にこぎつけた。

このブログでも既に何度か書かせていただいた通り、今回は4年後を意識してか、NHKがかなりの時間を割いて各種目を取りあげていたし、注目競技の映像に触れる機会が増えたことで、(パラリンピックレベルの大会ですら)これまであまり日の当たることが少なかった身障者スポーツの魅力に気付かせてもらえた、というのは、凄く意味のあることだったのではないかと思っている。

もっとも、日本選手団の結果としては、史上初めて「金メダル0」ということになってしまった。

世界全体の競技レベルが上がった、ということは、あちこちのメディアで散々指摘されているし、メダルの数を見れば「銀10個、銅14個」とロンドンを上回る健闘を見せているのだから良いのではないか*1、ということことなのかもしれないが、これがオリンピックだったら、新聞の見出しも、テレビでのコメンテーターの論調も、こんな前向きなものにはならなかっただろうな、と思えてならない。

自分は「金メダルを持って帰らなければ参加する意味がない」などと言うつもりは毛頭ないし、それはパラリンピックに限らず、五輪でも同様だと思うのだが、「健常者アスリートには高いレベルの要求を突き付ける」メディアが、パラリンピックになると急にハードルを下げるような態度を示すのはやはり矛盾していると思うわけで・・・。

陸上でもテニスでもラグビーでも一戦一戦の勝負に賭ける選手たちの執念は、健常者のそれと、障害者のそれとで何ら変わりはないわけで、常人が容易に辿り着くことができない領域で闘っている、という点も何ら変わるものではないのだから、戦いのプロセスについても、結果についても、同じ基準で評価してあげないと失礼だろう、と考えてしまうのは自分だけだろうか。

会計監査人に対する株主代表訴訟、というチャレンジ

会計不祥事をめぐって、未だ株主のアクションが活発になされている東芝の関係だが、遂に個人株主が「会計監査を担当した新日本監査法人に対し、約105億円の賠償を求める」株主代表訴訟を提起した、というニュースが飛び込んできた*2

数日前に、「会社が株主からなされた会計監査人への提訴請求を蹴飛ばした」というニュースに接したときは、蹴飛ばした理由の方に目が行ってしまい*3、こうなる可能性にまで頭が行っていなかったのだが、会社法の規定上は、「会計監査人を相手取った株主代表訴訟も可能」ということになっているから、理屈の上では、今回のニュースも決しておかしな話、ということではない*4

既に会社の経営が破たんする可能性も上場廃止となる可能性もほぼ消滅している現状とはいえ、課徴金と追加の監査報酬だけで100億円を超えているとなれば、請求は十分に立つ。

会計監査人を訴訟当事者として巻き込むことで、先行して審理に入っている“対取締役訴訟”との関係でより有利な材料を引き出したい、という戦術も見え隠れするところではあるが、結果的にどう転がっていくことになるのか、興味の種は尽きないところである。

三浦大輔投手、引退表明

自分くらいの世代の人間だと、元々そんなに好きではなかったのに、長く現役を続けてくれているがゆえに、いつの間にか何となく親近感を抱くようになった、ということが良くある。

特に、ほとんど同世代の現役アスリートがいなくなってしまった近頃はその傾向が顕著なわけで、ベイスターズ三浦大輔投手も、まさにここ1、2年で好きになった選手だった。

それが、今年遂に引退。

なんたって全盛期には「虎キラー」と称されたような投手だから、応援する余地など一片もなかったはずなのだが、やっぱりこういうニュースを聞くと寂しい気持ちになるわけで。

今年、ベイスターズが大きく負け越している唯一の相手がタイガース*5、それがなければ今頃、2位に付けていても不思議ではなかっただけに、そんな年に“キラー”が引退する、というのも何とも皮肉な印象を受けるが、個人的には、CSの第1ステージは、このチームに番狂わせを起こしてほしい、という思いも強いだけに、長年チームを引っ張ってきた選手の引退劇が、チームに最後のひと踏ん張りをする力を与えてくれるのではないか、と期待してやまないところである。

*1:もっともロシア選手団がドーピング問題で参加できなかったことを考えると、銀、銅のメダルの数を手放しで喜ぶことも本来はできない話だと思う。

*2日本経済新聞2016年9月21日付朝刊・第38面。

*3:元経営陣が関与していることにより請求自体が否定される可能性と、過失相殺で賠償金が減額され費用倒れになる、という可能性が指摘されており、なるほどそれはそうだが、社内の調査委員会も責任追及の可能性を認めている本件で、それを理由に蹴飛ばせるのかな、と首を傾げながら見ていた。

*4:公認会計士協会が、会社法ができた平成18年に出したQ&AがHP上にアップされており、そこでも、今後会計監査人に対する代表訴訟が増える可能性が示唆されている(Q10のA参照)。もっとも、このQ&Aを作成した人も、まさか10年後にこれほどの大企業で最大手の監査法人が代表訴訟を食らう事態になることまでは想定していなかったのではなかろうか。http://www.hp.jicpa.or.jp/specialized_field/pdf/member/00807-002549.pdf

*5:三浦投手も先日9月16日に登板して、今季2敗目を喫している。

2016-09-19

[][]最上級のパフォーマンス、再び。

リオ五輪の閉会式のハンドオーバー&東京プレゼンテーションを見た時は、これを超えるパフォーマンスを目にする機会は当分巡ってこないだろうな・・・と思ったものだが、約1カ月後、再びパラリンピック閉会式、という大舞台でさらに素晴らしい奇跡を目撃することができた。

流れる映像の一部にオリンピックのそれの使い回し感があったことは否めないし*1、“マリオ”的なアトラクションの要素も、会場を派手に使ったマスゲーム的な要素があったわけでもない。

だが、その分、生身の人間にスポットを当て、障碍というバリアを逆手に取った芸術性と迫力を前面に押し出す、という舞台は、少なくともテレビで見ていた視聴者にとってはより凄味を感じさせられるもので、今、五輪の時のプレゼンテーションと見比べても、遜色ない、というか、遥かに凌駕するものだったように思えてならない*2

スポットライトが当たった3人以外にも、車椅子のダンサーダウン症ダンサー等々、様々な障碍を持つ人々が同じ舞台の上に立って、それぞれの表現で「TOKYO」を描く。

その姿の美しさ、神々しさをどう表現すればよいのか、あの10分間の間は、ただ息をのむばかりで上手い言葉が見つからなかった、というのが本当のところである。

オリンピックのパフォーマンスに比べると、より“椎名林檎色”が強まっていたことや、もしかしたら一部の世代にしか響かないかもしれない「東京は夜の七時」*3ハイライトの曲として流れていたことなど、好き嫌いが分かれる要素が多かったことは否定しないが、自分は、あらゆる選手たちがメディアが創り上げるスターシステムに組み込まれ、ともすれば主役が自分たちと同じ人間だ、ということを忘れてしまいそうになるオリンピックとの対比で、戦いの中に生身の人間臭さが残っているパラリンピックを象徴するようなプレゼンテーションだったな、と、最初から最後まで好意的に受け止めている。

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*1:ただ、前半の1964年のエピソードのくだりはとてもよかった。

*2:広い会場でそれがどこまで伝わったか、というのは分からないが、テレビには部分的にしか映らなかった背景のCGなども相当凝っていたようなので、会場にいればいたなりの迫力はまた感じられたのかもしれない。

*3:自分は思いっきりツボだったが(笑)。

2016-09-18

[]2016年9月18日のメモ

やっぱり仕事が始まって、休みの日も含めていろいろと予定が入ってくると、書きたいことも書けずにどんどんクリッピングしたネタだけがたまってくる、という状態になってくる。

元の木阿弥にならないように、とは思っているのだけれど、所詮は人間のやること。大目に見ていただければ幸い。

JASRAC排除措置命令取消審判の決着

気が付けばあっという間に時が過ぎてしまっていたが、ここ数年、知財、独禁の両業界にまたがって話題を振りまいてきたJASRAC事件が遂に終結した。

「テレビなどで使われる楽曲の著作権料徴収をめぐる日本音楽著作権協会JASRAC)の契約方法を巡り、独占禁止法違反(私的独占)に当たるか再審理していた公正取引委員会は14日、契約の見直しや再発防止を求めた排除措置命令が確定したと発表した。」「JASRACが審判請求を取り下げた。」(日本経済新聞2016年9月15日付朝刊・第38面)

排除措置命令が出された平成21年2月からカウントしただけでも、実に7年半以上*1

最高裁判決(平成27年4月28日)が出されてからも、さらに1年以上続いていた審判が、ようやくここで幕を下ろすことになった。

http://d.hatena.ne.jp/FJneo1994/20120615/1383589570#tb

この件については、これまで度々このブログでも取り上げてきたので*2、改めて詳細を論じるつもりはないが、既に「新しい徴収制度」の合意も成立しているような状況で、審判を継続する意義はない、と双方が判断した上でのことなので*3、まずはメデタシメデタシ、というべきなのだろう。

このまま“競争状態”が続いてこの審判が昔の笑い話として語られる日が来るのか、それとも、“やっぱり寡占時代のままだった”ということになってしまうのかは分からないが、排除措置命令から審決、そして裁判所での判決まで、当事者が精いっぱいの主張を行い、結論を二転三転させたこの戦いが時代の転換点にふさわしいものだった、ということは間違いない事実だと思っている。

御厨教授が語ったシン・ゴジラ

この休みの間眺めた読み物の中で一番面白かったのが、御厨貴・青山学院大学特任教授(東大名誉教授)が、読売新聞に2ページにわたって掲載したコラムだった。

公開からだいぶ日が経ったからか、中身はネタバレ満載なので、「これから見に行きたい」と思っている方にはお勧めできないが(笑)、内容的にはさすが、と唸らされるところが多い。

特にツボだったのは、

「人材は育てられるものではない。その社会がどれだけ異端者を抱え込むゆとりを持っているか否か、そのノリシロの大きさこそが必要なのだと分かる。」(読売新聞2016年9月18日付・第1面)

のくだりで、日頃“人材育成”と呪文のように唱えている連中に、この部分だけでもコピーを貼り付けてやりたい衝動に思わず駆られた(苦笑)。

それはともかく、矢口蘭堂赤坂秀樹、といった官邸周りの登場人物の視点だけで描かれているのがこの映画だから、政治学者や行政学者がそこに関心を持つ、というのはごく自然なことだし、分析が的確、かつ好意的なものになるのも至極当然といえば当然なのだろうと思う*4

自分は、これまで、ああいう場面*5で常に“機能しない官”を補完する役回りを果たして生きた「民」が、映画の中であまりに描かれなさ過ぎていたことにひどく失望したし、最後のシーンで、「法律作ったから、化学プラントも無人列車もガンガン徴用できるようになったんだ凄いだろ俺たち」的な、“上から目線”を強く感じたことで、かの映画に対する印象が非常に悪くなってしまっているのであるが*6、見方を変えればもう少し楽しめたかもしれない。

「共謀」罪法案、扱いに苦慮するくらいなら・・・

民法債権法)、商法(運送法制)と滞留した基本法の改正をどう進めるか、という状況の中で、刑法改正を伴う「共謀罪法案の提出が話題になってしまうのは、個人的にはいかがなものかと思う。

9月14日付の日経紙の記事によれば、

2020年の東京五輪に向け、テロ対策の取り組みをアピールするため共謀罪を早期に創設したい考えだが、与党に慎重論がある。」(日本経済新聞2016年9月14日付朝刊・第4面、強調筆者)

ということだが、「テロ対策」という観点から策を講じようと考えるのであれば、射程の広い「共謀」罪を持ち出さなくても、現行法の規定だけで何とかなるわけで、なぜわざわざこのタイミングで対決法案を上げようとしているのか、理解に苦しむところ。

常に引き合いに出される「国際組織犯罪防止条約*7との関係でも、本当に外務、法務官僚が唱える“不整合”があるのかどうか、もう少ししっかり検討した方が良いのではないか、と思わずにはいられない*8

本来は、「条約に調印した責任」を問うのか、それとも・・・という話なのではないか思うし、日本という小国には、この先も未来永劫付いて回る問題だけに・・・。

イギリス国民の寛容さに感謝。

英国EU離脱に関し、日本政府のタスクフォースが「要望書」を出したことが、英国内で話題になっている、とのこと。

おそらく「英国及びEUへの日本からのメッセージ」ということで、官邸ホームページにも掲載されている(http://www.kantei.go.jp/jp/singi/euridatsu_taskforce/pdf/message.pdf)ものを指しているのだろうが・・・。

確かに経済活動において「不確実性」が脅威となることは否定できないし、

「英・EU関係に空白や停滞が生じないように,英・EUが共同して,必要に応じ英・EU間の暫定取決めを適用する延長可能な暫定期間の設定を含め離脱に向けた継ぎ目の無いプロセスを構築し,既に英国・EU域内に投資を行っている企業への悪影響を排除する措置を早期に明らかにするなど,その全貌を可能な限り早期に世界に向けて示すことを強く望む。」

というメッセージの骨子の中身については、そんなに問題視するような部分はないと思うのだが、民間の有識者団体ならともかく、政府の公式なタスクフォースから一国の政策に対してこういう声明を出す、というのが、相手国の立場で歓迎されるべきことなのか、しかも、状況としてはかなり落ち着いてきたタイミングだけに、いろいろと考えさせられるところはある。

おそらく一部の“自由貿易至上主義者”(及び一部の業界団体)の影響が色濃く反映されているのだろうが、英国民が今ここで「EU離脱」という判断をした背景には当地が抱える様々な事情があるわけで、そこにわざわざ首を突っ込んでいく必要があるのか、そして首を突っ込むに当たって、相手国の事情をどれだけ緻密に考慮しているのか、大いに疑問を抱くところである。

自分がイギリス国民だったら、“国論を二分する問題に土足で踏み込むなんて何てけしからん連中だ”と不満たらたらになるだろうけど、そこは歴史と伝統のある国だけに、賛否両論の枠の中に収めていただけているようなのが唯一の救いといえようか。その寛容さに感謝するほかない。

*1:実際にはその前段から調査は行われているし、事実認定の対象となっていたのは平成18年の話だから、まさに“10年戦争”というべき状況だった。

*2:一番詳細な検討をしたのは、審決の時のエントリーだろうか(http://d.hatena.ne.jp/FJneo1994/20120615/1383589570)。その後の逆転判決についても、いろいろと問題提起したいところはあったのだが、結局、尻切れトンボ的な感じで終わってしまったような気がする。

*3公取委の発表によると、JASRACの取下げに先立ち、イーライセンスも手続への参加を取り下げていたことが分かる(http://www.jftc.go.jp/houdou/pressrelease/h28/sep/160914_2.html)。

*4:その前提の下でも、御厨先生ほどの切れる評論が書ける方はなかなかいらっしゃらないとは思うが。

*5:といっても、我々は未だかつてゴジラほどの災厄に直面したことがあるわけではないので、あくまで他の大災害との比較なのだが・・・。

*6:もう一つ、ゴジラがいるのは「東京」というピンポイントの地点に過ぎないのに、首都圏以外の都市の表情がほとんど描かれていない、という重大な問題もある。

*7:正式名称は、「国際的な組織犯罪の防止に関する国際連合条約

*8政府の見解については、http://www.moj.go.jp/keiji1/keiji_keiji34.htmlに掲載されているのだけれど、何だかなぁ、という感じである。

2016-09-16

[]2016年9月16日のメモ

パラリンピックもいよいよ終盤、ということで、連日メダルの報が日本にも届いてくる。

金メダル確実”といった下馬評も流れていた選手たちが、銀、銅に留まっていたり、ゴールボール車椅子バスケのように上位進出が期待されていた団体競技で壁に阻まれたり、と、思惑どおりに行かないのは健常者スポーツの世界と何ら変わるところはないのだが、「東京」の4年前、というタイミングでプレーヤーも観る側も、“あと一歩”の悔しい経験をしたことが、様々な意味での「底上げ」につながることを期待して。

 「プラットフォーマー企業」の取引実態についての報告書

昨日から日経紙で報道され始めた「『プラットフォーマー企業』の取引実態についての報告書」。

経産省のサイトを見てもそれらしきものが見当たらないので、何でだろう?と思っていたのだが、よく見ると、「第四次産業革命に向けた横断的制度研究会 報告書」(http://www.meti.go.jp/press/2016/09/20160915001/20160915001-3.pdf)というのがそれらしい*1

非常に大きなボリュームを割いて書かれているのが、アプリ決済に関する問題について。

スマートフォン上でアプリストアを運営する事業者は、自らのアプリストアをアプリ提供事業者に利用させる条件として、自らが提供する決済方式以外の方式による決済を制限するとともに、自らが提供する決済方式を利用した場合には、収入の30%程度の手数料を徴収している場合がある。具体的には、アプリストア上でアプリを購入する場合や、アプリストアからダウンロードしたアプリの内部でデータ等を購入する場合には、アプリストア事業者の提供する決済方式を利用しなければならないこととしている。また、リアルの市場で販売している商品に記載されたシリアルナンバーアプリ内で入力することでデータ等を入手する形式も禁じられている場合があり、この場合には、単なる決済手段の拘束にとどまらない販売促進活動(商品とアプリとのコラボレーション等)も事実上制限されている。」

「なお、研究会において、決済手段の拘束については、「電子商店街等の消費者向けeコマースにおける取引実態に関する調査報告書」(平成 18 年 公正取引委員会)における記載との類似性を指摘する意見があった。すなわち、同報告書では、合理的理由なく、電子商店街への出店事業者が直接クレジットカード会社との間で決済を行うことを禁止し、電子商店街の運営事業者がクレジットカード会社との決済を行う方法を義務付け、その結果、直接決済を行う際の手数料率を上回る手数料率を設定することにより出店事業者に不当な不利益を課す場合には、優越的地位の濫用として独占禁止法上の問題につながるおそれがある旨が指摘されているところ、決済手段を拘束することで事業者に不当な不利益を与えている点では同じではないかとの意見があった。他方で、アプリストア事業者が課す手数料率について合理的と考えている事業者も存在するなかで、当該手数料率が不当な不利益に該当するのかは検討を要するとの意見もあった。」(報告書9頁)

書かれていることは、だいぶ前から公に言われていることばかりで新鮮味はないし、現在の状況が「優越的地位の濫用」に該当するかどうかについても、ストレートに見解が示されているわけではない。

それは他の論点についても同様で、最終的な結論も、

これらの取引実態が独占禁止法等の法令違反に当たるかは、詳細かつ精緻な検討が必要であり、一概に結論付けることはできない。例えば、アプリストア事業者が設けている審査基準について、露骨な性的表現のあるコンテンツや、賭博等の法令に違反するコンテンツを禁止すること自体は、アプリストア事業者として当然の配慮であるし、この規定を運用して個別の事案に対して適切に対処していくためには、ある程度抽象的な規定としておかざるを得ないとも考えられる。他方、研究会での議論では、決済手段の拘束や、不透明な返金処理については、優越的な地位の濫用等にあたり得るという指摘があった。」(11〜12頁)

と、どっちつかずな感じになってしまっている。

いろんな立場の方々が入って議論して、玉虫色の報告書を作ろうとすればそうならざるを得ないのは分かるのだが、プラットフォームの寡占化が続いている現状では、どう見ても優越的地位の・・・だろう、という実態は既に存在しているわけで、コンテンツ産業を所管する役所が主催する研究会なら、それくらいのことは書いてほしかったな、と思うところ*2

なお、今日の日経のコラムでは、

公取委経産省は守秘義務契約に阻まれ、プラットフォーマーの取引先から情報を引き出すのに四苦八苦した」(日本経済新聞2016年9月16日付朝刊・第2面)

として、独禁法40条調査の活用云々にも言及されているのだが、行政のオフィシャルな調査への対応で、「民・民の契約の守秘義務があるから回答(協力)したいけど回答できない」ということになってしまうカルチャーは少なくとも自分の周りにはない(笑)ので、眉唾だなぁ、と思いながら読んでいた*3

「相変わらず横暴だなぁ、できれば付き合いたくない会社だなぁ」と思っていても、取引することでそれなりのメリットを手に入れられるのであれば我慢して付き合う、というのは良くある話なわけで、産業育成的視点から切り込むにしても、競争政策の観点から切り込むにしても、そういったビジネスの世界の機微を汲み取っていかないと、ピント外れな方向に向かっていく懸念はあるような気がしている。

欧州委、著作権制度見直し提案

これも日経紙の記事からなのだが、これまでの欧州界隈での議論状況からすれば、

「新聞などの発行元に対し、ニュース記事を掲載したネット企業に使用料を請求できる権利を新たに認めるのが柱」日本経済新聞2016年9月16日付朝刊・第7面)

という記事はかなり胡散臭いので、ここはちょっと原文に当たってみることにしたい。

民進党代表選

結局、蓮舫氏の圧勝で決着、ということで何よりであった。

少なくともコアな旧民主党支持者の中に、ネトウヨに同調して「二重国籍」云々を問題視するような人々はいなかった、ということだと思うし、その判断は間違っていないと思う。

あとは、未だに耳慣れない「民進党」という名前を、良い意味でも悪い意味でも注目度の高い代表の言動で、世の中にどこまで浸透させられるか、だろう。

個人的には、さっさと“民主党”に戻してもらった方が分かりやすいと思うんだけど・・・。

*1:タイトルがあまりにバカバカしい感じだったので、スルーしてしまっていたのだが・・・。最近の経産省系のプロジェクトには、こういうネーミングが目立つ・・・。

*2:もっとも、永久に今の寡占状況が続くとも思えない中で、まさに今この瞬間だけを捉えてプラットフォーマーに制裁を課すことにどれだけの意味があるのか?という問題は別途考慮されなければならない。

*3:もちろん「守秘義務」を口実に面倒な調査への対応を断ることはよくある(笑)。

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