Netflixかアマオゾンプライムか確認できていないが、アニメ化していたので(アニメは2024/2/10時点)思い返して全部読み直してしまった。今回の記事に挙げているのは、全て僕が「何度も読み返している」奴なので、クオリティは高いのを保証します。僕のピッコマのリストには、悪役令嬢ものが溢れているんですが、一段ジャンルを気づいてから何年も10年も経つと、「何度も見直す作品」と「そうでない作品」が確実に分かれてきます。何かがおもしろさの核があるんだろうと思います。韓国で小説版は2015-16、カカオページで連載されていて、miniさんによるウェブトゥーンが2017年から継続中ですね。ピッコマのウェブトゥーンの悪役令嬢パターンの量産型の一つですが、これは僕はとても好き。めちゃくちゃ読み込んで、選別してきた奴なので、おすすめの漫画です。
ブリチア帝国クロレンス侯爵家の長女エリーゼ・ド・クロレンスという悪役令嬢が皇后にまで上り詰めたんですが、あまりにわがままで悪行の果てに、夫である皇帝リンデン・ド・ロマノフに処刑されます
その後、前世の記憶を持ったまま現代の日本で高本葵というして生まれ育ち、その公開が故に、人を救おうと超優秀な外科医にまでなったのですが、航空事故で死亡します。
その彼女が、もう一回エリーゼ・ド・クロレンスになって人生をやり直す、というお話です。
この作品の設定を考えると、最初ちょっと複雑で、意味がわからなかったんです。
- エリーゼ・ド・クロレンスという悪役令嬢による人生の失敗
- 高本葵というブラックジャックばりの超優秀な外科医になりながら事故で死亡
- エリーゼ・ド・クロレンスをもう一回やり直す
このように、現代に転生して、さらにそこから戻ってきています。 メタ的に考えるならば、
1)なんで2回やりなおす(なおせるの)?
2)元々性格が捻じ曲がっていた最初のエリーゼが、なぜ優秀な外科医に努力してなったのか(なれたのか)?
この背景的な説明がいるんですが、何にも言及がないんですよね(苦笑)。なので、「そこ」を評価する物語じゃないんだなと思いますけどね。えっと、この辺の「転生やり直しのメタ的な構造を物語に組み込むかどうか」が、ペトロニウス的な物語評価の重要なポイントになります。その観点からすると、『外科医エリーゼ』は、作品の構造キャラクターどれをとっても、なんというか普通の作品です(作者さんすみません)。ブリチア帝国はイギリスがモデルだろうし、皇帝の名前はリンデン・ド・ロマノフは、ロシアのロマノフ王朝だろうし(宮殿や雰囲気は色濃くロシア風)、衣装デザインとかも含めて、なんとなく寄せ集めの雰囲気が漂う。すみません、上げる前の下げなので、ご容赦を。だから、そんなにガチで他人にお勧めする作品ではないです。。。。
が、、、、僕は、なんかとても好き。ピッコマで見つけて、結局単行本をも全て買って待ち遠しく続きを待っています。ペトロニウスは大好きすぎてます。
だから、そういうの(=メタ的な構造を評価する観点)ではなくて、物語の一番大事なところ(それは僕が批評する観点ではないけど)は、この現代に医術を使って、世の中を変える!とか自分の人生を変える!人を救う!というカタルシスが、プリミティヴな部分なんだと思います。物語はこのプリミティブな部分、荒々しく、「こうあってほしい!というエネルギーというか欲望」がコアにないと、面白さがないんですよね。このベースあって、その上にあるのが、枠組みなんだと僕は思っています。
エリーゼ・ド・クロレンス、、、、というよりは、高本葵という天才外科医の「生き様」ってのが、なんか、訳わからんほど胸を打つんですよね、僕は。この人、そんなに人生を医学に捧げなくてもいいじゃんというくらいエネルギー溢れているし、美人だし、人間的にも最高な感じがするのに(エピソード的にはほとんど全く出てきませんが)、なんか、仕事に命捧げています的な貢献の塊な感じがするんですよね。もちろんエリーゼという前世が、人を虐げて意地悪をして処刑されたという後悔があるという「設定」ですが、そんな後悔程度で、そこまで人に貢献しようという生き様にならないでしょう?って思うので、ここを本当は深ぼってほしい。だって、葵さん、やばいでしょ、この人魅力的すぎる。
この天才外科医の「生き様」がそのまま、医学が遅れた世界に行ったときに、私はこう生きたい!!!というエネルギーの塊になって、この世界の不自由さや将兵機を、ガンガンぶち壊していくところに、この物語の魅力がある。ああ、そうか、僕が転生モノで大好きな『本好きの下剋上』とかも、主人公のマインの「本が読みたい!」というプリミティヴな赤裸々な欲望が、清々しくキャラクターの動機として主軸に明確にセットされていて、そこにぶれないから、気持ちがいいんだ。僕が高く評価するのは、メタ的な設計の部分ではあるんですが、キャラクターのこのコアの動機の部分が、主軸になっていないと、「もう一度読みたい」という物語としての面白さにつな辛いんでしょうね。
医療モノ✖️異世界移転性(過去タイムスリップ)もは本当に増えてきたモノだなぁとしみじみ。この辺の津田彷徨さん『高度に発達した医学は魔法と区別がつかない』(2022ー)、2000年代は村上もとかさんの『JIN-仁-』(2000-2010)などがこういった系統の「医者としての使命感」を持った人は、どういう環境に叩き込まれても、やっぱり人を救おうとするし、病や患者をめぐる構造は、異世界であっても江戸時代にタイムスリップしても、実は、ドラマとしてはそれほど関係がないというのがよくわかる。この二つは、いいですよ。
ちなみに、ペトロニウス的おすすめの公爵令嬢もの系統は、
『外科医エリーゼ』
『ツンデレ悪役令嬢リーゼロッテと実況の遠藤くんと解説の小林さん』
『エリスの聖杯』
『謙虚、堅実をモットーにしております!』
『乙女ゲームの破滅フラグしかない悪役令嬢に転生してしまった…』
あたりですね。どれもなん度も読み返している。あえていうのならば、はめふらこと、『乙女ゲームの破滅フラグしかない悪役令嬢に転生してしまった…』がダントツかつ、最高傑作だと思います。この類型の完成系だと思う。
https://ncode.syosetu.com/n1230ei/
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span class="deco" style="font-weight:bold;color:#FF0000;">評価:★★★★★5つ
(僕的主観:★★★★★5つ)
このジャンルでは、上で紹介しましたが最高峰。ほめふら。この類型を理解したいときには、まず真っ先に読みたいところ。