20世紀のフランスエリート層に甚大な影響力を与えたヘーゲル講義の主、コジェーブは1960年代の日本を訪れた。
実は、コジェーブはロシア革命からの亡命知識人である。
そこでこの生粋のヨーロッパ精神が観察したのは、いかなる西洋文明ともことなる動物精気だ。
やがて世界は日本化するだとろうと彼は呟いた。
世界はどうか知らぬが、フランスは第二のジャポニズムの洗礼を受けている。北斎に代わるアニメと、着物に置き換わるコスプレをパリジャンたちは消化した。また、ミシュランガイドでいち早く日本食レストランをグローバル化した。
ちなみミシュランはブリジストンと並ぶフランスのタイヤメーカだ。ルノーがニッサンを吸収しながら、フランスに日本車技術をもたらしたのとパラレルな現象だ。
トイレ事情の格差は世界の一般市民に知られるところとなった。同じ頃、東日本大震災と福島第一原発事故は日本社会の安定性や規律に注意を向けさせた。
安定と秩序がエコノミックアニマルジャパンに入れ替わっているのが、海外の反応からよく分かる。食と衣だけでなく、うさぎ小屋の畳が憧れの的になっていたりする。
コジェーブの予測はある意味成就しつつあるが、この哲学者はそんな表面的な現象をいいたかったわけでなないであろう。
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