まだまだペンキぬりたて

ライトノベルの感想

ゼロの使い魔19 始祖の円鏡

  • ストーリー

ド・オルニエールでは、相変わらず、ルイズとタバサとシエスタが微妙な攻防を繰り広げていた。
しかしそんな中で、サイトはひとり、来るべきエルフとの戦いに心を悩ませ続ける。
ある日、またも元素の兄弟に襲撃されるサイト達だったが……。


待ちに待った新刊。新章突入ということで、この巻から砂漠編に入ります。
今回も目まぐるしい展開が続いて手に汗握りっぱなしですね。
ページ数が少なめなのが残念です。1ページ16行フォーマットになったし、もう少しボリュームが欲しいところ。


大きな謎のひとつだったエルフ世界にようやく焦点が当てられたということで、わくわくしながら読みました。
今までよりも多くのエルフたちが登場しますが、やはり彼らにとって、サイト達はあくまでも敵なのだと再認識しましたね。
中にはルクシャナのような変わり種もいるようですが。そのあたりは人間世界と変わらないようです。コルベール先生みたいなものでしょう。
このルクシャナ、いい味を出していますね。
周りに敵しかいない状況で、完全な味方ではないながらも、サイト達に協力してくれようとするおてんば娘。
理由は簡単で、蛮人に興味があるから。そのあっけらかんとした性格は登場するエルフの中ではかなり特殊で、それだけにとても魅力的に映ります。


今回はルイズでもタバサでもシエスタでもなく、ティファニアのターンですね。
いつ「おともだち」から先に進むのかと思っていましたが、2人きりになったことで思い切りがついたのかもしれません。
そんなテファを前にしたサイトの思考はとにかく胸、胸、胸。
なんだかんだで常にルイズのことを考えているあたり、多少は成長したようですが、やはり本質的なところでは全く変わっていないみたいです。なぜかほっとしました(笑)
その要望にお応えして(?)テファもこれでもかとばかりの大盤振る舞い。どうしてこうなった。
「おともだち」にはこんなことはしない。ようやくテファが気付いたのは最後の最後でした。


一方、それほど出番の多くないルイズですが、彼女がいなければ「ゼロの使い魔」ではない。きちんとメインヒロインの役目を果たしています。
まずは序盤ですね。タバサ、シエスタとの三つ巴の戦いにエレオノールが介入したことで、また新しいドタバタに発展しました。
このような恋愛のドタバタはいかにもラブコメチックで楽しいですよね。最近特にノリノリになってきているシエスタの毒舌がミソです。
タバサはもっぱらシルフィードの助けを得て参戦。シルフィもなかなか言うようになってきました。
束の間のコメディではありましたが、毎回きちんとこのような場面が描かれると、ゼロ使らしくて落ち着きます。
そんなドタバタを繰り広げるルイズ達も、目的があるときには一転して力を合わせます。
3人がシルフィードに乗り込む場面は胸が熱くなりました。恋敵だけれどみんな大事な友人なんですよね。
アンリエッタやエレオノールの言葉も彼女たちらしくて好きです。人を思うっていいなあ……そう思わされました。


終盤の展開がまた凄い。あのキャラが出てきてくれて安堵のため息をつきました。本当に良かった。
かと思いきや、始祖ブリミルと初代ガンダールヴに対して重要な事実が明らかになり……そして次巻へ。
4人目の使い魔の名前も分かったことだし、ああ気になる!
20巻が待ち遠しくてたまりません。3ヶ月後か、「烈風の騎士姫」のことを考えるとまた半年後になるのか……。
いくらでも待ちます。楽しみにしています。


あとがきで「終わり」「もうちょっと」という言葉が出始めました。
この物語が終わってしまうことを考えると淋しくて仕方がないですね。
全ての物語は終わりを告げる。それは百も承知ですが、もうしばらくの間はハルケギニアの風にたゆたっていたい。心からの願いです。


兎塚エイジさんのイラストは今回も光っていました。
八重歯がたまりません。船の上で夜空を見上げるルイズも最高です。