影響されるね

■午前中から村上春樹の「海辺のカフカ」を読み始める。
二ヶ月ぐらい前に通勤の満員電車の中で
すぐ前の男性が読んでいたのがきっかけだ
(僕は電車の中で他人の読んでいる新聞や雑誌を
覗き込むのはちょっとはしたない事だと思っているんだけれども)。
その時その男性が呼んでいた箇所の、
車のディーラーマン?と登場人物が
マツダの車は買い取り(だったかなんだったか)が悪い」
と話をする一節が目に飛び込んできた瞬間から、
その物語を読みたい衝動に駆られてしまった。
失礼ながら本の表紙が見えるまで
その男性(の手元)に粘っこい視線を送り続けてタイトルを知り、
帰宅後に村上春樹の作品を好きな女房に話したところ、
少し経ったこの正月休みに図書館で借りておいてくれたのだった。
ずっと読まずに暖めていたんだけれども、いよいよ休暇も終わりなので
今日のうちに読み終わらないと返却に間に合わない。
で、朝の9時から上巻を読み始めたわけだ。
しかし、早くそのマツダの車のところに行きつきたくて
ものすごい飛ばし読みをし、
結局上巻は90分で読み終わってしまう。
村上春樹の小説はいろいろな描写が美しいが
それらをまるで味わわないままに流してしまった。
ファンが聞いたら卒倒しそうな話だ。
■状況描写といえば僕は昔、片岡義男の作品に傾倒していて
今でも数十冊の文庫本が本棚にある。
ずいぶん読まないまま時間が経ったのだが、
この間ふとオートバイの小説が読みたくなって手にとってみた。
その中の美しいシーンとして、美しい女性が無機質な風景の中で
美しいグラスを美しくコンクリートの谷に落とすシーンがあった。
確かに絵的にはすばらしい。
でも、それを読み返した瞬間に僕はその作品に、
今まで抱いた事のない嫌悪感を抱いてしまった。
僕は、およそ川と呼ばれるものに素足で入りたいし、入れる川であって欲しい。
また、氏の小説の登場人物にもそうしてほしい
(おそらくミーヨはそうするだろう)のに、
美しい情景のために素足で川に入るのを阻害する文章には共感できない。
僕はそういう洗練のされ方を好まない。
僕は、氏の作品を読む自分よりも、オートバイに乗る自分の方が大事なのだ。
思うに「一日じゅう空を見ていた」あたりから、片岡義男作品は
僕の好みと違い始めたようである。
しかし「ボビーに首ったけ」中の「どしゃ降りのラスト・シーン」等は
今でも僕の中で大切な位置を保っている。
世の中が変わっていくのを止める事はできないけれども
自分の中の世界は自分だけの物であるから
それは自分を大事にしていってもいい事なんじゃないだろうか。
「あ、違うって思った。だから終わりにしようと思う」、本当にそういう事だと思う。
※記憶に誤りがあったので、この文章は校正いたしました。
最初の文章で不愉快になった方には申し訳ありません

#なんでこんなにその部分が気になってしまったんだろう。
たぶん僕はタンク車の描写によって、一度はその女性を同類として認めたのだ。
しかし、次にその女性が自分とは違う種類の人間である事を思い知らされて
ショックを受けたんだと思う。
■昼に新宿に行って、テレビゲームソフトを眺めていたら、
R:RACING EVOLUTION」が驚くほどの値段で叩き売られていた(ふよゆわ円)。
正月の特別価格かもしれないけれど。
このゲームはかなりストイックな内容らしくて、評価はかなり厳しい物だったが、
発売から一ヶ月で半額以下ってのはあまりにもひどい。
まぁ言っちゃなんですけれど、ルマン観戦やらモナコ体験やら、
ゲーム制作にかこつけて何か見失っていたんじゃないですか?マッチのCMとか。
■そんなわけで今から「海辺のカフカ」の下巻に取り組む。
気に入ったら自分で購入して読み返す前提で。
マツダのレンタカーを借りる所までは到達した。
その後僕はコタツで夢うつつの状態でかなり読み、そして寝てしまい、
目覚めて本に戻ってみると読んだはずのページの内容が全然頭に入ってなかった。
もう一度読み直しだ…。
■そのうたた寝で、見事に仕事の夢を見る。マジリアル過ぎて、たちまち仕事モードの頭にTT
■そういえば今日は、透明なデカールのシートを買ってきて、
オートバイのダイキャストモデルのステッカーを作ったんだった。
ALPSのマイクロドライプリンタを使ったんだけど、
このプリンタは本当にお気に入り。