天国でいちばん(現世に)近い島
ここは天国から現世にいちばん近い島。今日も魂たちが、うらやましそうに欲にまみれた人間たちを眺めています。
「あぁ、いいなあ、チョコレート食べたがってるよあの子」
「いいなあ、性欲から派生した物欲で手に入れた香水、吹き付けたがってる」
かわいそうに、生きているときに、欲望を欲望するなどという思考プロセスを内在化させたばかりに、死んでもその考え方の癖が抜けきらないようです。
…って、「欲望の欲望化」ってそういうことかよ!
『好色一代男 [VHS]』
オーケストレーションで幕が開く西鶴! かっこいいぜ増村保造! 雷さまの世之介は、もうほとんど諸星あたる。どんな境涯でもひたすらアホとしかいいようのない徹底した女好き、あの外見ならモテて当たり前なのに、もはやアホを通り越してあっぱれな世之介を演じきった雷さまに惚れ惚れ。
ちなみに今日は若尾文子より中村玉緒のほうがかわいい役でした。すごい混んでてスクリーン前から二列めだったので、若尾文子が出てくる後半は疲れてたのか?
と、思ったんですが、あの褪めきった花魁姿の若尾文子が、あとから時折、思い出されてきます。自分を一箇の商品として冷静に把握していると同時に、それゆえに若さとともに美しさが失われる将来への不安から、現在に対してあの大きな目で虚無的になっているところは、安野モヨコの『さくらん (KCデラックス イブニング)』を読む思い。