田名部伸紀建築設計事務所

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2016-09-29

断面スケッチを改めて。 【編集中】

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道南は5年あまりの間、二つの住宅の設計に

携わり通う機会があった。

観光地ではあるけれど、観光をした事が

殆どなく、仕事の際はその余裕もない。


訪ねる際は常に、感じる事に努めていた。

自分自身が住まう事を想像するに十分なだけ

知る事を心掛ける。様々な天候も寒暖も、

一つ一つが設計では大切な事に思われる。


・・・でも、折角遠くまで行ったのに?

と思わないでもない。そういう時は食べる。

函館ラッキーピエロだった。

仙台の時は牛タン、今の帯広豚丼

けれど大抵は通り道にある入り易いお店が

馴染みとなる。

日常を感じる方が好きなのかもしれない。




DOMA/道南のオーナーより便りがあり、

この週末に、久しぶりに訪ねる予定。


この機会にもう一つの住宅も訪ねたいと

思うもののオーナーの都合が付かず。

一枚目のスケッチはその住宅。

内装はほぼ未完での引き渡しとなった住宅、

コツコツと御自身で手を加えられている。

どのような具合なのか?気になっていた。

家族が増えたとの連絡もあり、

さぞ賑やかになるのだろうと思う。


この住宅も思い入れ深い。

初めて見た敷地の印象はとても素敵だった。

しかし高低差のある変形の角地には難儀した。

既存の樹木を残し庭を広く確保しようと努め

建物を計画したために、エスキースは膨大、

小さな規模にも関わらず平面的な猶予はなく、

断面的にも様々な工夫を凝らす結果となり、

再現の難しい構造の建築が出来上がった。


出来るだけルールを簡単にはしたものの、

プレカットでは対応できない斜め加工もあり、

現場が苦労を掛けた事は今も感謝している。


改めて断面のスケッチに昨夜、挑戦した。

どこから手を付けようか不安にある複雑さ。

要はこの家、ジャングルジムなのだと思う。


レベルは複雑で7つを想定したスキップする

床構成、これを変形した土地に合わせた

複雑な平面の中で達成させている。

小規模にも関わらず動線が多数あり、

上下階を含め3つのループがある。

手を加えると、もう少し増やせそうでもあり、

テーブルや調理台も含めると実は十分に

鬼ごっこが出来る。


子供達が友達を連れてきたりしたら、

走らずには入られないはずなので、

奥様は、その時は大変かもしれない。

でも日常では、便利に使えるはず。

プランは何度も何度も微細に変更を

繰り返しては提案をさせて頂き、

様々を検討した上でオーナーが選ばれたもの。

それが果たしてどう機能しているのか?

未完の部分がどう手を加えられているのか?

これを確かめるの機会が待ち遠しい。


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絵での印象とは違い、街並みから一歩引いて建つ、

とても小さな建築は、初めて訪ねる人には気付かれ

ないかもしれない程にそっと建っている。

そして、見えない高みに庭があり、ドマを通じて

室内と一体的に繋がり、広がり、様々な床構成が

連続する内部空間は本気で鬼ごっこが出来る。


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複雑な構成ではあるけれど室内は至って端正。

2016-09-26

ある日の仕事

『取手』が突如、脳裏に過ぎり目覚める。

考える余地はあるなと考えた先日の現場、

黙っていれば取手金物がつくだろう扉、

金物は他に使っていないし不適だな・・・

頭の片隅に置いたまま、でも放置されずに

それが眠りを妨げた?


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夜更けにスケッチを開始、あれこれ悩んだ末に

二案に絞る。フラットバーを用いた案は下の

スケッチ。でもこれは手間とコストが掛かるか?

減額で大工造作とした部位、大工が出来るもの、

・・・穴を開けよう、上のスケッチ。


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伝えるには立体の方が分り良いだろうと、

スケッチを更に加える。1分の1、つまり実寸の

詳細スケッチと共に使い勝手を想像しつつ・・・


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明朝、施工者との協議。どう造るのか?

製作過程を漫画にし描いて送る。


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穴の手掛け部分に違う材を組み込んだ形状、

扉が閉じ状態なら部材を頭からビスで固定しても、

見えない。ここではOKだ!と考える。




ある日の仕事、この日は他にも幾つか問題を確認、

せっせと図面やスケッチを描いた。

監理終盤は仕上関係、その納まりや形状の

検討は実寸が殆どになる。夜までに机が図面で

埋め尽くされる日だった。

2016-09-24

塗壁

塗壁は好きだ。塗装のドライウォールも、珪藻土

漆喰塗りも好きだ。何といっても光が綺麗に映える。

ただ高価だ。一般的なクロスの壁よりもずっと高価。

でも使いたい。見積もり調整の時、減額案として

施主施工を選択する事を昔から使っていた。

自分で塗っても、その方が良いと考えている。


ということで自分もあれこれ、漆喰や珪藻土やらを

塗った経験がある。コテ返しは出来ないけれど、

素人でも何とかなる塗材料は少なくない。


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帯広で設計している住宅、現在は監理の真っ最中。

この住宅も減額案として手の届く範囲は施主施工。

写真は塗り上がったばかりの、乾く前の珪藻土壁。


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施工は先日のもの。改めて眺めても、いいなーと

心から思う。素人塗りなので決して上手くはない。

けれど、塗り手の個性が現れる趣ある壁とすれば、

思い入れある思い出深い壁になれるかもしれない。


塗手はクライアント御夫妻と私、飛び入りで

工務店のO氏、そして難所サポートは職人さん。


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施工当日は職人がサポートしてくれた。

種を明かせば、彼等が仕事をすれば、我々に付き

合って下さった時間の1/4くらいの時間で塗り終え

られたそうなので、これが本当に減額案であるのか?

疑問は残るけれど、実に良くして下さり、また

手配頂いた工務店の担当者共に感謝しかありません。


彼等のコテさばきはあまりに見事で、眺めていて

惚れ惚れしてしまう。珪藻土を見事にまな板の上に

載せ、如何様にも調理しますよ!という具合だった。


親子の職人さん、お父さんはもう耳も遠く、本当に

話が通じているのか?不安になる上に、腰は曲がり

ふらふらにもみえるのに、コテを持つと誰よりも

シャキッとしていた。


施主施工の範囲は脚立で手の届く範囲。足場が必要な

高い壁や手の届き難い場所、難所は職人仕事とした。

そんな難しいところをひょうひょうと塗ってゆく。


プロの技は流石。眺めていてあれほど気持ち良いもの

もない。大工も塗装も同じ、職人さんあっての

建築だと実感する日だった。


工務店のO氏、案外夢中で塗仕事にも参加下さり、

作業着を真っ白にしていたのは印象的だった。

2016-09-22

竣工写真 その4 【DOMA/NATORI】

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【 DOMA/NATORI 】

仙台平野の西側、一気に駆け登る丘陵に切り

開かれた敷地は、南に緑豊かな山斜面、北に

遠く仙台の街並み霞む谷がある。


建築が丘陵の一部となり風雨、陽射しを受け

流し、切り開かれる前の稜線を再現する形状

とし無理なく景観に馴染む佇まいを計画する。


内部は南北へ伸びる吹抜のドマを中心に展開、

床暖房を組み込んだドマは夏涼しく冬は暖かく、

丘陵を流れる風を取り込み通風し、各所窓から

天空光を取り込み室内に明るさをもたらす。


様々な床高、天井高の各スペースは、プライバ

シーに配慮しつつこのドマを通じて一体的な

空間となる。開かれた南側は緑豊かな山斜面を

庭の様に取り込み、室内にあっても景観を感じ

られる様に設計した。


以上、設計趣旨。



所用にてコンセプトが必要とあり、改めて文章に

まとめてみた。簡潔に記すとこうの様な具合。

更にコンセプトを表せる断面図も求められたので、

これも、改めて描きおこした。


この住宅は手描きのスケッチをこれまでにも描いて

いるのだけれど・・・

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今回描いたスケッチと二つ合わせると一つになるな−



この住宅、計画や実施設計、監理の事をまだあまり

記していない。改めて、落ち着いて書き出したい。

2016-09-17

竣工写真 その3 【DOMA/NATORI】

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東京の写真家、半村さんが撮影された日は曇り

だったらしい。空の明るさで写真を撮る機会。

室内はどれもしっとりとしていて気持ち良い。


室内の明るさは日差しが入り作るわけではない。

日差しは強過ぎ、影も多く作り、むしろ暗く

感じられることもある。光のコントラストが強

過ぎると落ち着かず、居心地を損なうだろうか。


太陽は動くのだし、季節によっても違う。

日差しを室内へと考えても安定はしない。

では、どうすれば室内を明るく出来るのだろう?


私は天空光をいつも考えて設計に取り組んでいる。

曇りの空、その時の室内が人工照明なしに

穏やかな光の空間を出来ないかなーと悩む。


空は日出から日没まで安定して明るく、ある程度の

雲の量は効果的に光が屈折して広がりもする。

直進してくる強い光にのみ頼るのでなく、大気を

屈折して届く柔らかい光を上手く取り込めたなら、

より自然な佇まいが出来るだろうなーと思う。


このブログのタイトル画像は道南の家の北側高窓。

照明に頼らず、自然光のみで穏やかな空間を創る、

実はとっても難しい設計課題。



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DOMA/NATORIの竣工時の別アングルを一枚。

2016-09-15

竣工写真 その2 【DOMA/NATORI】

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これも建築写真家に撮って頂いた、内観の一枚。

低い天井のダイニング、その奥はキッチン。

右手のドマは長く伸びて更に奥にある造作浴室、

トイレ、洗面へと繋がり、スケルトンの階段は

3つのスペースある上階へと連続する一体空間。


このダイニングはこの家の中心にあるオープンな

空間。けれどこの落ち着きは創る事ができた。

決め手は天井の低さだろうか。


天井の高さは、そのスペース毎に適切がある。

どういう空間にしたいのか?これが定まると、

自ずと広さや天井の高さも想像が可能になる。


そもそもオープンな一体的な住宅空間の中で、

ここはその中心にあり、ともすると放散して

散漫な空間になるおそれがあった。

これを低い天井で抑え、むしろ囲われるような

緊密感のあるスペースとし、家族の団欒の場を

築きたいと考えた。


緊密さを創る為に囲い込み狭くする必要はなく、

他のスペースとの違いから創ることもできる。

右手のドマは吹抜空間、写真手前は天井の高さ

2900mmのリビングスペース。このダイニングは

天井高さ2150mmの、一般的には余り使われない

非常に低い天井の空間。これが連続すると、

メリハリが出てくる。

高いところはより高く、低いところはより低く。


実は2150mmの天井高さは実生活では何も

困ることがない。閉鎖した個室でなら圧迫感を

防ぐ事は難しくとも、様々が組み合わされた

空間でなら、これが落ち着きを生み、

団欒の場に相応しい緊密さを創ることも出来る。


空間の妙、にじり口効果、若しくは、

ドラえもんガリバートンネル効果だろうか。


手を伸ばせば届いてしまう天井の高さ、

実は囲まれているという安心感も導きます。

安心できるのに、狭さはない!という空間。


個人的にはダイニングのペンダントはもっと

低く設置したいところではありますが。


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竣工時は家具はなく、生活感はまるでない。

ダイニングはリビングと隣接し、ドマが結ぶ。

リビングからは透けて二階が見えています。

2016-09-14

竣工写真 その1 【DOMA/NATORI】

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この春先、桜は惜しくも散った後ではあるけれど、

東京在住の建築写真家に撮って頂いた、

昨年は仙台近郊で竣工した住宅の写真です。


プロは隅々まで気を配り、作品として撮影をする。

現状を在りのままに写すだけの自分の写真と違い、

流石はプロ、新鮮な驚き、感慨深い。




送られて来た写真をスキャンしたものの、色が

上手く再現できていない。本当はもっと美しい。




計画最初に敷地に立ち、二つ案を思い浮かべ住宅。

採用した案は、切り開かれた場所に元々の斜面を

復元するようなヴォリュームとなっています。

地勢に沿う佇まいは、景観上も馴染みが良く、

敷地との一体感が生まれるように感じます。

無理のない姿を求めた成果ではないかと思います。


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これは竣工時に撮影したもの、雨の夕暮れ時。

北海道を出て仙台に通う事1年9ヶ月、設計は

長期間でした。その間、何度も敷地を訪ね、

考えたり、悩んだり、現場に取り組んだり。


風はあって心地よく、清々しくもどこか、

しっとりとした印象のある敷地。

ここに住まう事、その建築が景観に馴染む事、

これが適切なものに至る方法だったのだと思う。

2016-09-08

海に行っていなかったこの夏、ふらり何処かの浜に出る。

出張先の白老から苫小牧への道を走り、耐え切れずに。


函館に通った頃は、スキを見計らっては噴火湾の何処かに、

浜への道を探しては出会い、束の間の海を過ごしたりした。

過去のブログに書いたかな。今回も良い海に出会えた。


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波打ち際。


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濡れぬ限界に挑みつつ。


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波にスキを突かれて走らされたけどね。


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濡れなかったよ。


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私がキャッキャと走り回るので、休んでいたカモメ達、

飛び立たされたらしい。風を受けて止まるように飛ぶ。


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ふと見上げるとカモメ、咄嗟の一枚。

撮った時は夏らしい一枚だ!と思えたのだけれど、

どこか既に寂しさも漂う初秋の一枚であった。

2016-08-22

え!?

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しばし前の豊平川花火大会、綺麗だった。

昼間は晴れていて、既に開催に向けて人員は動員され、

結果、開催直前のゲリラ・スコールにも負けずに開催。


本当はとぼとぼ川辺まであるこうかと思っていた所、

事務所の屋上で静かに眺めました。

真近で見上げると壮観なのに、少し距離を置くと冷静、

写真ではどう写るのかをあれこれ試し過ごしてみた。


シャッターをどれだけ開けているのか?

シャッタースピードが肝心なのだなーと実感する。

何というか、音に近い印象が残る。


長すぎると・・・花火が重なれば白く塗りつぶされ、

単発では萎れるまでが写り寂しさを醸してしまう。


音も同じだろうか。長く聞こえる音、残響と考えると、

重なれば不明瞭となり少なければ足りなく寂しいかも。


直近でPMFの催しはクラシック、スピーカー通じぬ音。

Sapporo City JAZZでのスピーカーを通じた音。

操作された音の良さとパフォーマンスとの違和感、

手の加わらぬ音の凄さ、発揮する環境の必要性。


そんな様々を思うかべつつ眺める花火。


露光時間が程よく、トリミングして加工した写真が

この写真なのだけれど、綺麗に撮れていたぞっ!





先日の帯広の現場、帯広人を前に豊平川の4千発を話す。

最後は枝垂れる柳のような大玉が数発重なる様は壮観と。


その瞬間、彼ら皆が同じ表情をしました。

『え!?』・・・それだけ?という顔が同じだった。


地図を眺めると豊平川河川上空は半径300m程度の余地。

十勝の川辺、広がる地平でなら寂しい限りなのだろうなー






しばらくブログの手が止まっていた。反省するところ。

止まり慣れると、慣れてしまうのだけれど実際は、

春から書きたい、載せたい事が沢山あった。


思い出しつつ、改めて書き出そう。

帯広で進んでいる住宅現場、大工工事が佳境に入る。

2016-05-05 春、その1

この春は豆に、冬の頃から西岡水源地に通う。

銀世界からグレー、緑多くなる変化は、湿地に

流れる水量と生まれる淀みの変化にも等しく。


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雪解け水が水位を上げ、この時期だけに流れ込む

淀みが毎年気になる。流れ込む時は早く、

継続時は静かに動き、やがて流れが断ち切れ、

真に淀み濁り、消えてゆく水のたまり。


この写真がこの春一番のお気に入り。

雪解水本流の外れ、止まっているかの如く静か。

でも、少し流れている。静かな動性は水盤の、

昨秋の植物跡に乱され幾重にも小さな渦を巻く。

眺めれば、雲の切れ間から覗く陽が移りこみ、

周囲の森の影が水盤下の枯葉を垣間見せている。


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緩やかな流れとは、スプーンでタッチした様な、

アイスクリームの表面のような、穏やかさ。


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水は透過と反射、時に水そのものを見せる。

静かな水盤はその何れをも映し出す。


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水場の影は底を強く見せ、明ある場所は反射が強く。

気付く事ができれば不思議な同居を探す事が出来る。


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淀みの表情は実に豊か。離れればまるで鏡面であり、

寄れば濁る水の表情。やや動きのある水盤は、

突き出た植物の淵の張力の水の輪があり、

埃を浮き上がらせつつ、僅かな陽も映えている。


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影は水盤の底を見透かし、


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焦点を合わせると森を精密に写している。


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緩やかな流れは反射映像を僅かに揺らがせる。

この具合、見事な様。身近にある抽象世界。

これを発見できていればモンドリアンに成れた。


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春の雪解水、流水から生まれた淀み、淀みから

切り離された小さな溜り、移り込む森の風景。

2016-05-02

西陽。

陽・・・光を得た時は出来るだけ感知したい。

そして、その光を楽しみ、感じたいと願う。


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妙な光色を感じアトリエの窓から眺める春の夕陽。


久しぶりに陽を浴び続けて疲れたような風景が、

暮れる前に色付いた強い光を浴びて影を多くし、

コントラストのみで作られる深い陰影の中に、

雨上がりのしっとりした中に浮かび上がる光景。




西日はあまり肯定して設計はしない。熱さ伴う、

日常では余剰のもの故になのではあるけれど、

既に朝は陽を見るには早く、見る余裕もなく。

思えば西陽は休日の夕暮れに眺めるだろうか。


低く大気を多く透過し辿り着く暮れる前の光は

殊更強く明るく熱い。この光の妙、捨て難い。




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ハイサイド・ライトは基本、北側に設ける。

北側ではあるけれど春分以降は陽は北に沈む。

ある現場、夕暮れ時に注ぐ低い日差しに驚く。

勾配天井に映える程に低い高度があるとは。


この住宅、お泊りさせて頂いてもいる。

朝は・・・弱いけれど、朝日でもこの風景を

確認する事が出来た。




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建築竣工時は基本、終日をその場で過ごすよう努める。

引き渡される直前までは自分の建築と思う。

その建築が、具体的にどう生活を支える器なのか、

得る光から確かめる、私にとって重要な時間。


この住宅、西陽が思いがけない現象を起こしていた。

低い日差しはドマの奥深くまで到達し、そのドマに

映えて光線を反射、階段の段板に陰影を生み出した。




二つの事例、どの季節にもあるものではなく、

ある季節にそこにある陽が生み出す光景。

刹那ではあるけれど、間違いの無い機会。




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故郷にある建築、その室内、暮れ行く最中の一枚。

人の目は確か、この時は照明なしで十分に明るい。

写真は柔軟ではなく、ただ、明暗を写し撮るのみ。

そのおかげで撮れた一枚。


正面が西、右手の北側からの光、左手南の光、

その多くは天空、空に残る光により、室内の

光空間が創られている。

窓ガラスを濾すと、光は残りわずかだと分かる。

その少ない光量にも関わらず、空間は宿る。


生死、自分、時と向き合う場を設計した。

住宅であっても、同じように取り組みたい。

僅かでもこれを教授し、創られる建築、その空間。


最後の写真の光景は想像していたもの。

これを創造できたのだと確信した一枚。


人工照明を使えば、再現性が担保できる。

しかし、作られたものに感銘は生まれない。

この光も、季節や天候に左右されるもの、

眺めた時、その時折で表情は変わる。

変わればその都度、想いを馳せる空間となる。


真摯に向き合える空間にも、

楽しむ事の出来る空間にも、

如何にもなる建築の可能性を模索したい。

2016-04-30

プロのカメラマン。

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半村さんというプロのカメラマン、関わりを

多く知らずにお付き合いして何年になるのかな?


ベテランの彼は古くから北海道の建築家と親しく、

これまで多くの写真を撮られてきたらしい。


前事務所時代に計画、実施設計、監理と全てを

担う、自分にとって貴重な設計機会となった

道南の家、彼に撮って頂いた時が初めて、

お会いする機会だった。


これまで幾人かプロの撮影現場に同行する事があり、

その度によくよく観察をさせて頂いていた。

皆、様々に成果を得るべく方法があり実践される。


写真はその際の一枚、撮影風景を。


横でカメラを構える私が煩かったらしい。

室内の一枚は、彼の作った構図を挑戦的に、

撮らせてやる!とお貸し頂いたっけ。


彼は毎年一度は北海道まで来られ、撮影をされる。

その際に札幌に寄られ、一晩飲む機会もあって、

その度に様々なお話を聞かせて頂く。


いつも目付きの悪いお前!なんて呼ばれながら、

まー楽しく、やや遠慮不足に付き合わせて頂き、

今に至る。


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彼に撮って頂いた住宅はこの住宅。道南に在る、

今は新幹線開通で今は賑やかであろう街の、

函館山を眺める場所にある平屋の住宅。



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彼への紹介は竣工時のこの寒々と降雪の時のもの、

二年後の撮影時にはオーナーが様々に手を加えられ

荒涼とした原野の・・・ではなく南国のリゾート?

という風でもあった・・・




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この春、彼に再び撮影頂く機会があった。

昨年竣工した東北で設計した住宅。


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本当はこの窓から・・・


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昨年の今なら満開の桜が見えた筈なのに、既に、

散ってしまったらしい。


北海道が春の足音が確かになったのやら、でも、

今日は雪が舞っていたのではあるけれど、

東北は一足早く過ぎ去っていたらしい。



東北は仙台近郊のこの住宅、自分の敷地では

ないものの、眼前にある桜は楽しみな春のもの。

夏場には適当な生き物の場所ともなるので、

個人的には至って好みの敷地だった。

この先、どんな風景が眺められるのだろうか。



写真家から写真が送られてくるのは間も無く。

楽しみに待ちたい。

2016-04-29

足跡。

この春は週末毎に西岡の水源地へと足を運ぶ。

とあるオーナーから三月末に春の知らせが届き、

自分でも探しに行こうと訪ねてみれば、未だ雪。

一週毎に風景の変わる様に改めて興味を覚える。


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そんな中出会ったこの足跡、主は誰だろうか。


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次の機会には、まるでパーティーの後の如く。

比較的大きな足跡、犬狐狸は同じ仲間、

4本の指が前にくる。この足跡は5本が前を向く。


水源地には管理棟があり駐在者がある。

棟は新築されて訪ねる人も多く賑やかだ。

聞けば、水源地にはテンの居ることを知った。


テン?聞いたことはあるけれど札幌に居るとは!

北海道でもまずお目に掛かる事のない野生動物。

それが車で15分程の場所に生活圏があるとは。


テンにも警戒されない位に自然の一部になりたい。


写真の足跡、候補はそのテンの他にもう一つある。

ラスカルだった。アライグマの。





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数年前、函館の現場に通う最にたまたま昼過ぎに

岐路に着く事があり、下道を通って伊達を過ぎ、

室蘭に差し掛かる手前で思い立ち、寄ったのが

北黄金貝塚。ここはお薦めスポットです。


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その時、施設前の広場で何やら作業中の集団あり。


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質良い黒曜石があれば自分でも作れそうな、

そんな石器を自ら使い・・・


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鹿の皮をなめしている風景であった。

北海道に住んでいた人、一万年以上前から、

2、3千年前位まではメジャーな道具だったはず。

石器と言っても、用途に合わせて様々に整えられ、

ガラスに近い黒曜石は鋭利でもあり、刃物全般に

使われていた素材。


博物館では見るものの、実際に自分で割った事も

あるのだけれど、使っているのを初めて見た。


伊達は噴火湾沿いの縄文探求が盛んな場所、

学芸員も多い。この時、私の好奇心は駆り立てられ、

若い一人の学芸員を捕まえてあれこれ話を聞かせて

頂いたのでした。


ところがその方、帯広畜産大学で野生動物を

研究していた人との事。骨格標本製作の企画も

ありますので、是非どうぞとも案内を頂いた。


お聞きした話に・・・やっと最初の足跡の主の

話になるのですが・・・この学芸員の研究の

対象にアライグマがあったと記憶している。


一見、狸に似ているものの、狸はイヌ科の動物、

足跡が違うように種が違うらしい。北海道にも

狸は居るのだけれど、成体の体格は倍程にもなり、

明らかに狸の生活圏を脅かす存在なのだとか。


人事のようにも聞こえたのだけれど、こうして、

身近な自然の中にその存在を示すだろう跡を見て、

実に感慨深い。


アライグマは北海道の野山なら天敵はまずなく、

気性は荒く食欲旺盛で貪欲とも聞く。

市内近郊でも比較的豊かな自然のある西岡水源地、

そこで警戒心を感じさせる事なく遠慮もなく、

水場を、散策路を歩き、人の生活圏の先と重なる。


そのうちに街中で出会うこともあるのだろうか。


子供の頃にクワガタを採っていた森で、

いつしかカブトムシが当然のように採れるように

なっている故郷、同じことが起こるのかと疑えない。


連鎖の頂点に近い位置に立つ外来種が恒常的に

在るとなれば、何が起こるのだろう?

木の上の鳥達の巣、元来それを狙っていた蛇、

蛇から逃れていただろう小動物、それら小動物の

餌になっていただろう昆虫達、様々な仕組みが、

今後数年、数十年を経て変わってしまうのかも

しれない。

2016-04-23

久しぶりに縄文探検隊。 (編集中)

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地図を作るのは昔から好き。建築図面でも、案内図や配置図を描く時は夢中になれる。

悩むのは、どういうスケールでどの程度の書き込みをしようかなど仕様を考えること。

ここは試行錯誤を繰り返す。A4サイズに見易く納める事が出来たかな。


縄文への興味は継続していて、このGWに久しぶりに探検に出ることとなった。

新幹線が北海道に上陸したこの春、札幌まで延長されれば新幹線が通ることになる、

小樽余市のルート。開発時には大きく地面を弄るので、きっと様々が掘り起こさる。

この地の現状を確かめるべく、探検は企画し、ルートを計画する・・・


探検なので、その目的を明らかにし、探検が有意義であるよう真剣に取り組むと、

・・・ただの遊びも何か、意味のあることに感じられるので不思議だ。

2016-04-14

確認申請 

設計には様々な業務があり、建築前に必ず行う一つに確認業務がある。


確認業務には『確認申請』、『中間検査』、『完了検査』などがある。

必要に応じて省エネの申請や地域の条例、開発行為の他、時に各種補助金

対応も含まれるだろうか。

確認申請は建築主事の居る特定行政庁や、指定を受けた民間の確認機関にて行う。

建築には遵守すべき建築基準法があり、申請する建築がこれに適合するのかが

審査される。


法は建築が安全である事、良好な生活、利用環境が備わる事、健全な社会資本

して適切である事等が基本である、と思う。



階数や建築規模が一般的な木造住宅であっても、昨年申請した仙台においては、

北海道で行われていない『中間検査』が義務付けられていた。震災被災地では

構造の確認も申請時にあり、伴い建築中に現場審査も行われる。


東北では他に二つ大規模の建築の申請にも携わった。申請先は民間機関。

札幌で申請出来るので重宝したのだけれど、開発行為や保留地の取り扱い、

緑化や広告など多くの手続きが必要でもあり、本当に様々な機関を訪ねた。

中でも仙台のとある消防は印象深い。担当者が北海道出身だったこともあり、

楽しくもあったけれど審査内容は非常に厳しく、難儀難航を重ねたっけ。


現在、道東で進めている住宅の申請は民間機関にて行う。ある部分について、

相当な時間を協議に費やす事となった。法では触れられず、指針はあるものの

適応するのが正しいのか、実況を考えると悩ましい部分。判断した設計者、

審査判断する者、責任をどう負うのか問われる。


設計している建築の要望に叶う判断は頂けなかったものの適度な解は得られた。

結局、最後に判断するのは人、人と人が誠意を持って話し合う事が欠かせない。






規模の大きな建築で、それが不特定多数の人が利用する建築は関わる法が多くなる。

伴い選択肢も増えるのだけれど、経済的な選択は欠かせず、遵守するに様々を

検討することになる。法では用途が想定され、各々に基準が設けられている。

施行令や告示、指針などで詳細にもなるのだけれど、実際の用途は様々であり、

どこまで必要となるのかはいつも、協議の対象となる。


対して住宅のように、特定の人が住まう、特定の人の財産となる建築は、

設計者に委ねられる判断も多い。一昔前なら審査対象であったことが、

現在は設計者責任として除外されている部分もある。設計図書は保管義務があり、

言い逃れの出来ないことなので、除外されていても当然、取り組んでいる。

使う人が特定でき、大規模ではない建築ではあるのだけれど、それでも、

コストを抑え限りある空間を有効に活用すべく取り組む最は悩む事が多々発生する。


今設計している住宅での事、これは主事により判断が異なる類のものだった。

こういう事は得てして起こり得る。協議を重ね審査に時間を要した事もあり、

相手も人、嫌われたなーと思っていたのけれど、想定よりも早くに審査が進んだ。

難しい案件であっても迅速に対応下さった事、今朝、一言お礼の電話をした。