ロサンゼルス・タイムズなどを発行する米新聞グループ3位のトリビュー
ンは2日、同社を米富豪のサミュエル・ゼル氏に売却することを決めた。
買収金額は約82億ドルで、米新聞のM&Aでは過去最大。06年春には
2位のナイト・リッダーが同業のマクラッチーに買収されるなど、発行部
数・広告減に悩む米新聞は、生き残りをかけた大再編成時代を迎えた。

 

我が国の新聞は宅配制度によって部数が維持されていると言っても過言で
はないが、米国のように国土が広く、多民族国家であるなど多くの要因で
大新聞が育ちにくい点はある。インターネットの発達は自国内ですら時差
があるような米国のメディア事情にもろに影響し、発行部数・広告減につ
ながったと言える。米国の紙メディアが即無くなるとは思えないが、状況
が芳しいとは言えないのだ。

 

トリビューンが保有する大リーグ球団のシカゴ・カブスは、今年のシーズ
ン終了後に第三者へ売却され、トリビューン自体も非上場企業となる。海
の向こうの出来事とは言え、宅配制度にあぐらをかく我が国の紙メディア
とて他人事ではあるまい。団塊の世代の引退によって、彼等が主に買って
いたであろう駅売りが主体のスポーツ紙など生き残れるか、大いに疑問な
ところである。