業務日誌

2018-05-23 水曜日(雨)@所沢

2018-05-17 木曜日(晴)@所沢

[]THE TETRIS EFFECT

テトリス・エフェクト―世界を惑わせたゲーム

テトリス・エフェクト―世界を惑わせたゲーム

『テトリス・エフェクト―世界を惑わせたゲーム』ダン・アッカーマン白揚社


冷戦終結直前のモスクワに一人のアメリカ人が降り立つ。

巨大資本のライバルを出し抜き、複雑怪奇な官僚機構相手に彼が求めるのは、『テトリス』のライセンス契約だった……!


『テトリス』のライセンス争奪戦を描いたノンフィクション。


メガドラ版の『テトリス』は権利関係で発売直前に回収されたんだっけ〜? というぼんやりした記憶をお持ちのそこの貴方! ぜひ本書をオススメ!

しかも、ライセンスを求めてきたアメリカ人は、あの『ブラックオニキス』のクリエイター


『テトリス』開発者のパジトノフと、ライセンス契約を結ぶためにモスクワにやってきたヘンク・ロジャースの物語が交互に語られる。


『テトリス』の発想はペントミノから来てるって知ってた?

『ブラックオニキス』の製作者は宝石商のもとで働いてたって知ってる?


『テトリス』と『ブラックオニキス』の開発秘話も十分に面白いんだけど、やはり、『テトリス』が鉄のカーテンの隙間から西側に漏れていき、ライセンス争奪戦になっていく中盤からが面白い。


デタラメなライセンス契約に加え、ライセンスのバラ売り、転売が繰り返され、誰が、どの地域の、なんのハードのライセンスを手にしているか、メチャクチャな状態。そこに、ある携帯ゲーム機のライセンスが空いていることに気づいたものがいた! それが当時のゲームキッズの脳裏に刻まれているメガドラ版販売中止の顛末につながるのだ。

今の40〜50代にとっては、この時代は記録ではなく記憶なんだよね。

知らない話でも、知ってる固有名詞しか出てこないw だから、こことここがつながるのか〜!という興奮が味わえると思う。


関係者がモスクワに集まり、真のライセンス争奪戦が始まる終盤が本書の白眉

ここからはスパイものとコンゲームを混ぜたような展開。特にラストの契約書の仕掛けは痛快すぎて、ホントに実話!?


SFなんかにしないで、このまま映画化してくれないかなぁ。


オススメ。

2018-05-11 金曜日(晴)@所沢

[]ANNO DRACILA

ドラキュラ紀元一八八八

ドラキュラ紀元一八八八

ドラキュラ紀元一八八八』キム・ニューマン〈書苑新社〉


f:id:ShisyoTsukasa:20180511035421j:image


烈先生じゃなくても、こう叫んじゃうよ。

なんで、こんな傑作が今まで絶版だったの?


興奮してしまいました。

知らない方(ジャンルフィクション好きで知らない人なんているの!?)のために書くと、虚実混交改変歴史小説

逆にヘルシング教授を滅ぼし、ヴィクトリア女王と結婚して大英帝国支配するドラキュラ

吸血鬼と人間が共存して三年がたったある日、吸血鬼の娼婦ばかりを狙う連続殺人鬼〈銀ナイフ〉が現れる。

ディオゲネス・クラブ〉の諜報員、ボウルガードは500歳の美少女ヴァンパイアジュヌヴィエーヴとともに切り裂き魔を追うを追うが……

もしも◯◯が、というIFものは1ジャンルを形成しているけど、『ドラキュラ』*1というフィクションのIFに侵食された、改変イギリスを舞台に、実在人物既存作品から借用したキャラクターオリジナルキャラクターが入り乱れる、〈ひとりスーパー大戦〉的作品。

屍者の帝国*2インスパイア源で、他に例えるなら『警視庁草紙』*3がちょっと近いかなぁ。いや、山風が素材をさり気なく使った上品なだし汁なら、キム・ニューマンのそれは、強すぎる食材をごった煮した挙げ句、何か違う味のものが出来た感じw


そんな強烈な味を知ったのは、20数年前。

今は亡き「SMH」の書評コーナーで紹介されてたんだったかな?

それに惹かれて読んだんだけど、これが大ハマリ!


オタク心をひどく震わせる濃密な空間に興奮したのを覚えている。

ブロック一つ一つにオタクネタが書かれたLEGOでホワイトチャペルを組み上げたかのよう。材料は既存でも、そこに現れた作品世界は唯一無二のオリジナリティ。

ジュヌヴィエーヴって聞き覚えあるな……と『ドラッケンフェルズ*4をひっくり返したのも懐かしい……


比較的続けて3巻まで訳されたのは幸せだったけど、幸せが大きければ大きいほど、その後の失意も深い……

3巻以降も書かれているらしいという噂や、〈ドラキュラ紀元〉シリーズ以外にもマッシュアップ作品を書いている、と耳には入ってくるけど、翻訳される気配はない(たまに短編が訳される)

〈ドラッケンフェルズ〉シリーズ*5HJ文庫から出たときには、もしや!?と色めきだち、『シャーロック・ホームズイレギュラーズ』*6の断片情報で乾きを癒したときもあったなぁ……


赤き渇きを満たすため、似たような作品を求め続けたんだけど、なかなか満足できるものに出会えない。

この20年で出会えた傑作は、『リーグ・オブ・エクストラオーディナリージェントルメン』*7と『ジャバウォッキー』*8

特に『リーグ・オブ〜』は「『ドラキュラ紀元』を漫画化したらこんな感じ!」と思ったことを覚えてる。


そして、ついに! 冒頭の叫びにつながる!


f:id:ShisyoTsukasa:20180510210941j:image


ぶ、分厚い……


心配だったのは、この20年で、初読時の印象が醸成されて、神聖化されてるんじゃなかろうか……ということ(たまにペラペラめくってはいたけど)


いや、やっぱ面白いよ!


すべてのキャラクターに出典があると言って過言ではなく、数行読むごとに巻末の人名事典をめくり、数行読むごとに……の動作が愛おしい。

翻訳者様には足を向けて寝られませんよ。


改めて、『リーグ・オブ・エクストラオーディナリー・ジェントルメン』と感触が似てる。同じくアラン・ムーアの『フロム・ヘル*9とは違うアプローチだけど、その執拗さが非常に近い。


その衒学趣味は当然ツボなんだけど、再読すると、キャラクター化された連続殺人鬼によって人種問題が湧き上がり、それによってできたばかりの帝国が崩壊することだけは食い止めたいルスヴン。逆にそれを煽ってかつての英国を取り戻そうとするディオゲネス・クラブ。狂気に陥ったセワード悲劇。ジュヌヴィエーヴとボウルガードのロマンス、マッケンジーとコスタキのブロマンス……と、オタクネタ同様にいくつもの思惑が同時に進行し、ラストの狂った宮廷になだれ込んでいく展開はなかなかしびれる。

ルスヴンの演説って、少佐の原型?


分厚いのには理由があって、本編以外に、原形中編より抜粋されたもうひとつの結末、 映画シナリオ抜粋、切り裂きジャック論考、短編、著者による注、改訂版登場人物事典とてんこもり。

創元版持ってる人もぜひ!


ところで、最初の方に出てくる、ヴァンパイアの心臓を欲しがってるアメリカ人って、いかにも元ネタありそうだけど、著者による注にも、登場人物事典にも載ってないんだよなぁ。

ハーバート・ウェスト? でも、彼は『戦記』に出てくるから、年齢が合わなそう。

フー・マンチュー代理人のチャイナさんも元ネタないのかしら?


は、早く、『ドラキュラ戦記』を…

2018-05-08 火曜日(曇/雨)@所沢

[]今月の備忘録


09『おもたせしました。(3)』うめ〈新潮社asin:4107720764

09『ティーン・タイタンズ:ダミアン・ノウズ・ベスト』〈小学館集英社プロダクションasin:4796877304

10『モンストレス vol.2:THE BLOOD』〈誠文堂新光社asin:4416618603

11『ちはやふる(38)』末次由紀講談社asin:406511697X

11『アオイホノオ(19)』島本和彦小学館asin:4091282881

18『三丁目雑兵物語(1)』グレゴリウス山田朝日新聞出版asin:4022142359

18『竜と勇者配達人(3)』グレゴリウス山田〈集英社asin:4088910184

18『だがしかし(11)』コトヤマ〈小学館〉asin:4091282474

23『スパイダーマン/デッドプール:イッツィ・ビッツィ』〈小学館集英社プロダクション〉asin:4796877312

23『デッドプール:エンド・オブ・エラー』〈小学館集英社プロダクション〉asin:4796877339

25『接触』クレア・ノース〈角川文庫asin:4041057302

25『ミステリマガジン』〈早川書房

25『デッドプール・キルズ・マーベルユニバース・アゲイン』〈ヴィレッジブックスasin:4864913811

31ケーブル&デッドプール:こんにちは赤ちゃん』〈ヴィレッジブックス 〉asin:486491382X