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映画評論家町山智浩アメリカ日記


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2005-07-22 ロブ・ゾンビ版「時計仕掛けのオレンジ」The Devil’s Rejects!

TomoMachi2005-07-22

ロブ・ゾンビ監督『マーダー・ライド・ショー』の続編『デヴィルズ・リジェクツ』に行った。

客席は黒Tシャツと白塗りのGOTH一色!

ピアスしてないのはオイラくらいのもんだ。

で……映画の内容だが、これが……なんと感動作なのだ。

もう大泣き。マジで。


オープニングは前作のラストから始まる。

舞台は1970年代初め、テキサスのド田舎でヒッチハイクの若者75人を拉致拷問して殺していた殺人一家の牧場を、ついに保安官が急襲する。

ベイビー(ロブ・ゾンビのカミさん)とオーティス(『悪魔のいけにえ2』のチョップヘッド)は地下から脱出。

ベイビーのお父っつあんのキャプテン・スポルディング(シド・ヘイグ)と三人で逃亡が始まる。

このオープニング10分間はネットで観られる。公式HPの左下のフィルムリールをクリック。

http://www.thedevilsrejects.com/main.html


とにかくキャスティングがオイラにとっては超豪華。

殺人一家をかくまう売春宿の旦那に『ゾンビ』のケン・フォ−リー!

その従業員に『サランドラ』のマイケル・ベリーマン!

娼婦に『ロックンロール・ハイスクール』のPJ・ソールズ!

もう一人の娼婦に『デスレース2000年』のマリー・ウォーノフ!

保安官に雇われる殺し屋にダニー・トレホとダイヤモンド・ダラス・ペイジ!

殺人一家に拉致される田舎のオヤジにジェフリー・ルイス(ジュリエット・ルイスの親父)!


中身は『悪魔のいけにえ』のいやーな感じをいかにして再現するかに挑戦して、

トビー・フーパー自身の『いけにえ2』よりはるかに成功している。

ていうか、「殺人一家に身内を殺されたキリスト教福音派の保安官が一家に復讐する」というストーリーはまるっきり『いけにえ2』と同じなんだけどね。


オープニングでオールマン・ブラザーズの「ミッドナイトライダー」がかかってから、

「俺はいったいいつの映画を観ているんだ?」という気分になる。

ロブ・ゾンビ風のメタルは一切流れない。

音楽は70年代のサザン・ロックや泥臭いブルースばかりでスライド・ギターが唸りっぱなし。

砂埃が舞う荒野、ザラザラの映像、登場人物は誰も彼も油染みた服と埃にまみれたホワイト・トラッシュ……これは『ロリ・マドンナ戦争』か?

ロブ・ゾンビは70年代初期のニューシネマの映像を徹底的に再現してみせる。


と、思ったらエンディングで、本気でニュー・シネマになってしまった!

明日に向かって撃て!』か『バニシング・ポイント』か。


殺人一家を乗せたキャディラックがハイウェイを走って行く。

レイナード・スキナードの「フリー・バード」が静かに流れ始める。


 明日、オレが旅立っても

 忘れないでいてくれるかい?

 オレは旅を続けなくちゃいけない

 まだ知らない土地が山ほどあるから


 オレは鳥のように自由なんだ

 この鳥は変わならない

 オレは自分を変えられない

 Lord knows, I can't change.

 Lord help me, I can't change.


演奏が徐々にスピードを増す。

殺人一家の乗るキャディラックも……。


罪もない女子供を快楽のために嬲り殺しにしてきた変態殺人狂一家の話なのに、

どうしてこんなに感動的なんだ? どうしてこんなに泣かせるんだ?


実は、ロブ・ゾンブもインタビューで語っているように自由意志と暴力というテーマを見つめた深い映画なんだよね。

『時計仕掛けのオレンジ』や石原慎太郎の『完全なる遊戯』と一緒に考えてみたい傑作。