顔のない敵/石持浅海
- 作者: 石持浅海
- 出版社/メーカー: 光文社
- 発売日: 2006/08/22
- メディア: 新書
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石持浅海の特徴にして、人によって長所ととるか短所ととるか態度が分かれるのは、作者と物語が登場人物に情けをかけてしまい、また仲間内の情愛に絶大な信頼を寄せているところだ。私自身は、これらを弱点と考えており、巷間それなりによく言われる「石持浅海の作品は気持ち悪い」という感想には大いにシンパシーを感じるところである。『顔のない敵』にそれがないとは言わないが、短編なのでそこら辺の情緒面の描き方がアッサリしており、長編ほどには気にならない。個人的には大変好ましく思った。
そして、本格としての、突飛な舞台設定(地雷絡みの話ばかり!)と堅牢なロジックは、これまでの彼の業績によって求められる期待値どおり、手堅くも素晴らしくまとまっている。ここでもまた、短編であることがプラスに作用しており、非常にストレートな筋運びと(本格としては)オーソドックスな論理展開によって、ロジック型の本格ミステリを読む喜びを読者に与えてくれるのだ。読みやすいのも好ましい。お薦めです。
新日本フィルハーモニー交響楽団
- 松田奈緒美(ソプラノ)
- 永田峰雄(テノール)
- クレメンス・ザンダー(バリトン)
- 栗友会合唱団
- NHK東京児童合唱団
- クリスティアン・アルミンク(指揮)
《タンホイザー》序曲からしてなかなか良い演奏。あっさりとしていたが、こういう清潔感のある方がこの曲は良いと思いますです。オケも概ね好調で、技術精度には改善の余地はあるものの、音楽の魅力を損なうほどではない。さて、本日の白眉はやはり《カルミナ・ブラーナ》。迫力たっぷりで、合唱は技量面でも大健闘。松田奈緒美のソプラノは良かったと思うが、男声の方はまあ普通。つーかテノールには正直不満。もっと裏声を出してください。しかし、オケと合唱はホットな演奏で、満足した。