にちぶんにっき

早稲田大学日本語日本文学コース室のブログです。

マンガにみる文学作品

こんにちは。小倉です。
今日は佐助さんがお休みということで、
さみしーよーテンションあがんねーよ―といった感じです。


そんなこんなで、今日は「〜な文学作品」シリーズ第三弾といたしまして、「マンガにみる文学作品」をお送りします。
しかし、ただ真似するのもアレなので、今日はマンガの「作品中に登場する」文学作品を紹介してみたいと思います。


まずは、川原泉『バビロンまで何マイル?』です。
この作品の主人公の愛読書は、なんと「日本プロレタリア文学全集」なのです。
刊行時期からみて、この書名はおそらく『日本プロレタリア文学集』(新日本出版社 1985〜88)を意識していると思われます。
さらに作品中では、小林多喜二蟹工船」、徳永直「太陽のない街」、宮本百合子「貧しき人々の群」という作品タイトルまでも列挙。
おもしろいのはこの『バビロンまで何マイル?』は白泉社の「花とゆめ」コミックスだという点です。
おそらく、「花とゆめ」コミックスの主人公のなかでプロレタリア文学を読んだのはこの主人公が最初でしょう。
プロレタリア文学には花もゆめもないけど大丈夫なのかと心配になります。


次は谷川史子『積極』です。表題作は河野裕子さんの短歌に捧げたオマージュとなっております。
その歌はどのような歌かというと、
 青林檎与へしことを唯一の積極として別れ来にけり   河野裕子
     (河野裕子『森のように獣のように』(青磁社 1972))
です。
かなり有名な歌ですが、こういったような短歌から発想したマンガというのはなかなかありそうでないのではないかと思います。
最近では穂村弘が編集した「めくってびっくり短歌絵本」シリーズ全5巻などもありますし、短詩型文学がいろいろな世代に親しまれていくとよいですね。


それではまた来週。