新小児科医のつぶやき

2008-04-12 怖ろしい時代

この事件を書くのは私には荷が重過ぎるのですが、やはり書いておく必要があると考えます。4/11付Asahi.comより、

「もう管制できない」ニアミス逆転有罪、現場に衝撃


 「危険は決して生じさせてはならない」――。01年に起きた日本航空機のニアミス事故訴訟で、東京高裁は管制官の職務上の義務を厳しく指摘し、管制官2人に有罪判決を言い渡した。様々な要因が絡む航空事故で、個人の刑事責任が認定されたことで、関係者に驚きと不安が広がった。

 「明日からというか、今日から管制業務はできない」。籾井康子被告は判決後の会見で、現場への影響をこう語った。一瞬の「言い間違い」が厳しく断じられた点について、「現場に不安と緊張を強いるもの。安全にとって有害」と声を詰まらせた。

 国土交通省航空局の幹部は「実務への影響が心配」と話す。日本上空の交通量は、事故当時の年間約410万機(全空域の延べ数)から現在約500万機と約22%増加。だが管制官は1732人から1950人と約13%しか増えていない。今後成田空港の滑走路延伸や羽田の再拡張などで、より多くの機体をギリギリの間隔でさばくことが求められている。

 今回の事故は、同省航空・鉄道事故調査委員会の報告書でも、システムの不備や運用の不徹底など複数の要因が指摘された。こうした状況を踏まえ、一審・東京地裁は、個人への刑事責任追及は「相当でない」としていた。

 欧米では影響が大きい事故の場合、当事者を免責したうえで真実をすべて語らせ、再発防止に役立てる考え方が主流になりつつある。過度な責任追及は、原因究明に支障をきたす恐れもある。処罰を逃れようと、当事者が真実を語らなくなる可能性があるからだ。この点で、今回の高裁判決は国際的な流れに逆行する形となった。

 管制官ら運輸行政に携わる労働者で構成される全運輸労働組合(組合員約9千人)も「再発防止より個人の責任追及を優先する対応は問題」と批判する声明を出した。

 管制交信ミスによるトラブルは最近も多発。ほとんどが「聞き間違い」や「誤解」だ。ベテランの事故調査官も「声だけに頼る交信に誤りはつきもの」と言う。国交省も「人間は間違える」ことを前提に、二重三重の安全策の構築に乗り出したところだった。

 10月から事故調査委は「運輸安全委員会」となり、海難も扱う総合的な機関として調査力の向上が期待される。同委が当事者から再発防止の核心に迫る証言を引き出すことが必須で、航空関係者には「免責」を含めた検討が必要とする意見もある。

 一方で、多くの犠牲者が出たり、過失が明らかだったりした場合には「刑事責任は当然」という意見が強くなる。被害者感情もある。再発防止と刑事責任追及のどちらに重きを置くか、議論を求める声が高まっている。(佐々木学)

元の事件の概略は航空管制を行なっていて、管制官が指示する便を完全に勘違いして誘導し、ニアミス事故が発生したというものです。結構な数の負傷者が発生したと記憶しています。専門的に細かい事はいろいろあるでしょうが、事故の原因として管制官の勘違いであると判断されても事実関係だけなら間違っていないかと思います。この辺りについても異論はテンコモリあるかもしれませんが、元の事件の経緯の記憶が曖昧なのと航空事情についての知識が浅いので航空管制官にミスはあったととりあえずしておきます。

過失があり負傷者が出たら業務上過失致傷になるのは法律です。だからこの航空管制官が有罪となった事自体は無茶苦茶とは言い切れません。法に規定してあればこれを忠実に適用するのが裁判官であり、法治国家だからです。それでも猛烈な違和感が残ります。過失に対し罪を課すのは何のためかと言うことです。もちろんこれも過失を罰によって償わせるためです。では過失を罰によって償わせる目的は何かとなります。

過失を罪によって償わせる目的は幾つかあるかと思います。ここも法学の専門家なら様々な法理論があるのでしょうが、あくまでも素人なので至極単純に考えて、

  1. 負傷者の処罰感情の慰撫
  2. 再発の抑制

この二つが目的であると考えます。通常この二つは無理なく両立するはずですが、この事件では両立しているように思えません。まず「負傷者の処罰感情の慰撫」の目的には有罪判決と言うことで適っているとまず考えます。では罰を課す事により「再発の抑制」につながるかと言えばそうとは思えません。

この事件で起こった管制ミスは過失です。管制官に刑事罰が下される事により他の管制官が震え上がり、「ミスをしてはいけない」と感じるとは思います。感じることで防げるミスであれば「再発の抑制」効果はあるでしょうが、いくら注意しても絶対には防げないミスであるなら震え上がる程度の反応では済まないと考えます。

航空管制官の業務はレーダーやコンピュターが発達したと言っても基本的に手作業です。モニターに映し出される情報から瞬時に判断し、無線で航空機に指示を与えます。判断する作業も指示を出す作業もすべて人間の手で行なわれます。人間の手で行われる事に絶対はありません。いくら業務に習熟していても、何千回、何万回の作業のうちに絶対にミスはでないと言い切れるものはまずいないかと思います。人間が行なう限り必ずミスは発生するのです。

そのミスに対し刑事罰が下されるのであれば「ミスしないように頑張ろう」という生易しい反応で済まないと考えます。そもそもミスなど出ない航空管制、つまり少々のミスが出ても事故につながらない過剰なセーフティ・マージンを取った航空管制を行なおうとするか、航空管制業務から逃げだそうと考えても不思議ありません。航空需要を満たすために限界ギリギリの名人芸のような航空管制を目指すより、ど安全な航空管制でひたすら安全運転を目指さそうと考えて不思議ありません。

ど安全な航空管制を行なって航空事故を防止したら、それはそれで「再発の抑制」になるとも皮相的には考えられない事もありませんが、一方で航空機による輸送量は大幅に減少します。現在の需要を満たすにはもっとたくさんの空港を作らないとならなくなりますし、空港も隣接していたのでは管制の安全を確保できませんから、十分に安全な距離を取って建設する必要がでてきます。簡単に言えば多くの航空機利用者はすごく不便になるということです。

不便になっても人間の命には代え難いからすべての利用者が我慢するのなら、まだ話は収まりますが、現実は増大する航空需要を満たす要求は1mgとて減らすことは許されません。航空管制官は絶対には防ぐ事ができないミスの可能性をこれからも抱える事になり、ミスが起これば刑事罰を下される状況下にこれからも置かれる事になります。そんな重苦しい世界に人間は耐えられるかです。

この話は医療者にはよくわかる話です。医療者が現在直面している問題そのままと感じています。医療もすべて手作業であり、いかにシステムを張り巡らそうとも必ずミスは生じます。ミスが生じればその過失を問われます。誰も故意にミスを冒そうとしたわけでなく、くり返される膨大な作業量の中での単純ミス、思い違い、結果としての判断ミスなのです。これは絶対には防ぐ事は不可能です。いかにミスに対して厳罰が下されようが完全に防止する事自体がそもそも無理な要求です。

医療は既に刑事罰で処罰する傾向が著明となっています。その結果としてミスは激減したでしょうか、医療レベルが向上したでしょうか、いずれも否です。刑事罰が下されるのを見せ付けられた医師はひたすら防衛医療、萎縮医療に傾きつつあります。刑事罰が発生しやすい職場からはドンドン逃げ出していき、そこへの志望者も激減しています。これに対する批判は盛んですが、人間ならロシアンルーレットを毎日もてあそばなければならない職場はゴメンと考えるのを非難できないと考えます。

現在の日本では「被害者感情の慰撫」が何より最優先されます。感情の慰撫は必要な事であり、これを行なう事自体は何人も否定は出来ません。しかし優先させすぎていると感じてしまいます。感情の慰撫を優先させるために貴重な社会システムも一緒に破壊している様に最近は思えます。感情の慰撫への過度の傾斜がかえって社会に歪をもたらしているように思えるのです。

これは単純には法体系の是正で対応は可能ですが、そういう処分を当然のものとして求める社会の変質も大きいと思います。これに対する処方箋となると簡単には思いつきません。どうにも、こうにも大変な時代になっており、その傾きは拍車がかかっているように思います。これから5年後、10年後の社会がどうなっているかを想像するだけでも怖ろしく思えます。

ssd666ssd666 2008/04/12 09:05 「司法の非社会性」というのはもはや、SF的喜劇ですね。
今読んでいる、self referrence engineの巨大知性体のようです。

暴利医暴利医 2008/04/12 10:08 > 過失があり負傷者が出たら業務上過失致傷になるのは法律です。だからこの航空管制官が有罪となった事自体は無茶苦茶とは言い切れません。
でもねえ、冤罪事件が一体どれほどあるか考えたら、やはりこれは無茶苦茶じゃないでしょうか。判決を下した裁判官が冤罪判明後に処罰されたことがあるでしょうか?法の執行は公正かつ公平というのが大原則のはず。それを司法だけ無謬性を認めて特別扱いするから暴走するのではないでしょうか。法を執行する側が「公平に執行」という大原則を守らないなんて、法の素人である私には無茶苦茶に見える。なんで裁判官だけ免責されるんでしょうか。

> 現在の日本では「被害者感情の慰撫」が何より最優先されます。
そうですね。でもそのさらに上に裁判所の判決が位置しています。冤罪が判明したら刑を受けた人間は当然被害者ですが、彼らの被害者感情は無視されているのではないでしょうか。

YosyanYosyan 2008/04/12 10:56 暴利医様

この問題はそもそも手に余る部分が多いのですが、

 >司法だけ無謬性を認めて特別扱いする

仰りたい事はわかりますが、それでも私は裁判官の「特別扱い」は必要と考えます。裁判も人の手によって行われますから、これもミスは必ず冒す業種と見なされるからです。問題はそれぞれの職種のどの部分まで「特別扱い」の範囲が広がるかのように考えています。範囲の判断と言い換えても良いと思います。

範囲の判断については議員や司法関係者などの一部の例外を除けば、すべて司法のその時々の判断に委ねられてきました。従来はそれで大きな支障は生じなかったのですが、社会の変化が司法判断を厳罰化に傾かせていると感じています。条文に基づけばその判断が必ずしも間違っているとは言い切れないようなきはしています。

そういう司法判断の変化が社会に及ぼす影響が良い方向であれば問題は無いのですが、相当悪い方向であれば問題と考えます。言っても司法判断の重みは大きいですし、もたらす影響力は深刻で時に破壊的です。

あくまでも個人的な意見ですが、事故調で焦点となっている「謙抑的」運用で問題なかった社会が、法に基づく明文化を行なわなければならないように変わっていると考えています。そういう抑止力を持たない限り、謙抑的でなんとなく運用されていた社会システムが、順次破壊されていくのではなかいと危惧しています。

BugsyBugsy 2008/04/12 11:04 http://www.jrcl.net/web/frame080101h.html

「乗務員に対する長時間過密労働の強制、パイロットと整備士のリストラ、機体整備のコスト軽減は継続しており、安全軽視、ヒューマンエラーに追い込む組織構造は温存したままである。」

「戦略的新航空政策ビジョン」を掲げ航空需要の増大を繰り返すが、必然的に発生する過密運航状況と航空機事故の多発化と危険について取り上げることをしない。」

わ わ わ
オイラ達と一緒。
航空管制官も成り手がいなくなっちまうのかなあ。

moto-tclinicmoto-tclinic 2008/04/12 11:23 この事件、ニュースを覚えてます。
たしか、訓練中の下の者と、女性の上司管制官とがいっしょにやっていて、機の番号を間違ったかなんか。
直後、衝突を回避した機長が、緊張のあまり、通常英語で言わなければならない通信を、「日本語で話します」といっていました。
急降下にともなう怪我はあったものの、最悪はまぬかれた事件でした。

飛行機事故の操縦士は免責ですが、管制官ってのは、どうなんでしょう?微妙ですね・・操縦士は、じぶんがまさにその機に乗っていた、っていう心情的な寛容感が、働くってのもあるし、何より、黙秘されると、事故経緯がわからなくなって、再発防止につなげにくいっていう取引的なところがある。
今回の管制官のは、事故経緯は明らかだから、「取引」が成立しないですからね。
医者にあてはめると、この「取引」を強く打ち出すといいのかもしれないのですが、そこまでの密室性が、医療の場合無いような気もするしなあ。。

暴利医暴利医 2008/04/12 11:23 Yosyan さま
読み返すと私の書き方が悪くて誤解を生んでしまったようですが、私は裁判官の免責を許すなと言っているのではなく、(裁判官に認めているように)ミスをゼロにできない業種があることを認めよ、裁判官だけ特別扱いするなよ、と言いたかったのです。そしてそれを認めないなら逆に裁判官にも同様に厳罰化を適応せよ、と。どうも見せしめ的な、つまりガス抜き的な有罪判決が多すぎると感じています。
(ついでに、個人的には裁判数が多すぎて正確な司法的判断が下せなくなっているという主張が認められるのであれば、過剰標本を診て誤診する病理医も免責して欲しいな・・・・・過剰な患者を診ている臨床医とて同じでしょう)

江原朗江原朗 2008/04/12 11:58 全運輸労組にメールしました。

「全運輸労組御中

札幌の医師江原朗ともうします。

さて、管制官が刑事処分を受けるとの朝日新聞4月12日の記事を拝見しました。

避けられないミスでも、システムではなくて個人が刑事罰を受けることに憤りを覚えます。

ちょうど、福島県立大野病院で産婦人科医が逮捕された事件(癒着胎盤で大量出血をして死亡した事件)と類似性を感じます。

システムではなく、個人に業務上過失致死罪などを適用する法体系は改めるべきです。

どうか、大野病院事件で逮捕された医師の支援のグループ等医師のグループとも今回の管制官の刑事処分の件では連携していただければ、幸いです。

江原朗
「小児科医と労働基準」
http://pediatrics.news.coocan.jp/

しろふくろうしろふくろう 2008/04/12 12:24 >ロシアンルーレットを毎日もてあそばなければならない職場

医療においても航空業界に見習った安全体制を早急に確立すべきと思っていたのですが、航空業界の方が医療を見習って司法の餌食とされつつあるようですね。
6連発のリボルバーの弾倉に1つだけ銃弾充填したロシアンルーレットになら挑戦しつづける向こう見ずな蛮勇の輩もいるかもしれませんが、銃弾が5つ充填されている状態でなおかつ挑戦するのはアブナイ連中でしかありません。普通の神経の持ち主ならそういう職場からは逃散するでしょう。

10年ドロッポ10年ドロッポ 2008/04/12 14:22 逆に考えてみるんだ!「ミスや間違いを許さない」という日本人の国民性こそが安価で壊れない工業製品や、WHOが世界一と認定した医療を生み出したのだ!と。…まあそれにしても、これ以上は逆効果でしょうけどね。
以下チラシの裏。
先日、愛用のGショックが水漏れして壊れました。もともとモンスター気質な私は憤激してアイスホッケーのパックにしても壊れない筈だろ!?と、メーカーに散々文句言ったのですがよくよく聞いてみると何したって壊れないしメンテなんか不要、と思い込んでたこちらの落ち度。これ以上ゴネるのはそれこそ死体換金業者なので引き下がりました。
ところが、気の毒な事に、「携行品損害保険使うから写真撮って置いてもらえますか?」と頼んでたのですが、
>写真撮影を関係部署に依頼をしておりましたが、社内連絡の不備によりお預りしておりました、写真撮影と合わせて水入原因調査のためGW−400を完全分解してしまい、お預りした状態にお戻しする事が困難な状態となっております。
>修理対応ではなく、製品交換にて対応致したくご連絡申し上げました。
尚、上記理由により修理料金は発生しないよう処理申し上げます。

医療ミスはなかったが説明義務違反で100万円の賠償、ってとこですかね?w

moto-tclinicmoto-tclinic 2008/04/12 17:33 トラック運転手が、過失で交通事故おこしても、業務上過失ですが、これを免責しようという話は無いです。航空機パイロットが免責されるのは、上にも書きましたが、黙秘されて、原因究明が困難になることの公益毀損が大きいから。
医療過誤の疑いあるときに、医者を刑事免責とするには、「医療は不確実で診断は確率にすぎない」と訴えて、共感を求めるのも一策ではあるのですが、やはり、「医者を刑事で追い詰めると、公益が害される」という事実が生じたほうが、有効なんだと思います。
(一般のかたに、断っておきますが、民事の損害賠償の免責の話じゃないですよ。あくまで、刑事罰としての医師の免責です。)
そう考えると、「取引」たりうる公益としては、やはり逃散で、とくに産科の先生方は、加藤先生が万一刑事で有罪になるようなことがあったら、産科から一斉撤退くらいのアピールを、発信していくほうがいいんじゃないかなあ。
事故調ってのは、当事者たる医者の意向を無視して、徹底的に事例をほかの医師によって再検討する、ということになると、確かに、医師の刑事罰免責とは逆の方向もってそうですね・・飛行機事故の場合、パイロットが真実を知りうる唯一人ってところに、免責取引の根拠があるんでしょうから。

YosyanYosyan 2008/04/12 17:50 moto様

 >パイロットが真実を知りうる唯一人ってところに、免責取引の根拠があるんでしょうから

たぶんそうだから日本でさえ免責じゃないでしょうか。航空管制官はある意味、医師同様に他の者でも調査可能ですから免責にならないとすれば、一応理屈は通ります。でもそれじゃ、やっている方はたまったものじゃありません。

 >加藤先生が万一刑事で有罪になるようなことがあったら、産科から一斉撤退くらいのアピール

医師は結束力が無いから難しいとしても、航空管制官なら組合があるでしょうから、抗議のゼネストぐらいはできるかと思います。航空管制官と一蓮托生の航空会社も協力してみたいな。もっとも航空管制官は国会公務員だったはずですから、やれば違法ストにはなりますが、それだけの価値はありそうに思います。

moto-tclinicmoto-tclinic 2008/04/12 18:21 >医師は結束力が無いから難しい

いや、逆に、結束力がないから、やりやすいという側面もありますよね?
わたしたちは、医師免許にのみ、拘束されます。あとは、もっと自由なはずです。
医師をまとめあげるのが困難なら、逆に、もっとバラバラにしてしまうというのも、いいんじゃないでしょうか?
中途半端な組織にしがみついて拘束され憂うのは愚かです。
個々人の生き方の違いはありますが、人生のどっかで、大局を見据えた思い切りどころってのが一つくらいあってもいい、そう思いませんか?いま、悩んでいる方々。
わたしが産科医だったら、ぜったいそうしますが、自分が産科医でないのが、実に惜しい・・

moto-tclinicmoto-tclinic 2008/04/12 18:32 環境が整ったら、ふたたび、現場に復帰すればいいんだと思います。
それまで、腕は錆びつかないように、勉強は欠かさない。
わたしも、美容に逃げて5年になります。だいぶ元気になってきたんで、いつか、昔のように、命を預かる現場に復帰したいです。環境(法的な)さえ整っていれば、わたしの場合、給料すらいりません。内心それに近い気持ちの開業医(昔の勤務医)ほかにもいると思う。
使える医者は、いくらでもいます。働ける環境を、社会なり法曹なりが用意さえしてくれれば。

ここりんここりん 2008/04/12 19:24 moto-tciinic様
>わたしも、美容に逃げて5年になります。だいぶ元気になってきたんで、いつか、昔のよ>うに、命を預かる現場に復帰したいです。
私も、いろいろな事情があって、今は在宅の仕事をしてますが、また、命を預かる現場に復帰したいです。
医療現場は、もっと働きやすい環境が整ってほしいです。。。
ちなみに、美容外科系(形成外科のOPですが)のOPは大好きでした。きれいを作り上げるというかんじが・・縫合の仕方ひとつもマニアックだし。
私も毎月看護雑誌を数冊買い、研修会に参加するなど、新しい知識や医療器具などの勉強をつづけています。

元もと保健所長元もと保健所長 2008/04/12 21:12 Yosyan先生
>もっとも航空管制官は国会公務員だったはずですから、やれば違法ストにはなりますが、

「日本の空港」の管制は、国土交通省の他、自衛隊や米軍の管制官がそれぞれの管理空港でやっているはずですから、ゼネストはムリでしょうね。

それよりも、このまま禁固以上の刑が確定すると国家公務員である被告たちは自動的に懲戒免職になります。過失致死なら懲役でも医業停止ですむことが多い医師に比べ気の毒でもあります。

ojyamadaojyamada 2008/04/12 22:16 皆様へ

諸外国ではそのようですが,航空機パイロットといえども日本では免責ではありません,下記の日本航空706便事故をご参照ください.(もっとも最終的には無罪が確定し,パイロットには同情的な意見が多いですが )

http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%97%A5%E6%9C%AC%E8%88%AA%E7%A9%BAMD11%E6%A9%9F%E4%B9%B1%E9%AB%98%E4%B8%8B%E4%BA%8B%E6%95%85

http://www.hi-ho.ne.jp/yamagatadenkumi/%93%FA%96%7B%8Dq%8B%F3%8E%96%8C%CC%82%CC%93%5E%96%96.htm

Med_LawMed_Law 2008/04/13 00:26
ojyamadaさんが言われるように日本ではパイロットも免責ではありません。

世界の常識と反していることは、世界中のパイロットもわかっており、日本の飛行機事故調査には、世界中のパイロットが協力しません。

自らが語ることで自らが刑事罰を受けるというのは、強制されることではありません
システムの問題を、自己犠牲や、倫理で乗り切らせるというのは、論外です。

日本の医療システムが如何に脆弱であり、善意と狂気のなかで支えられてきたかを考えるときに、医療崩壊は必然であるとすら感じます。

事故調云々の前に、訴える対象の医師がいない、救急車が向かう先が全くない事態を想定してもらいましょう。
事故調なんていう存在は、雲散霧消してしまうことでしょう
医師が患者より強いなんていうのは幻想にすぎません。
潜在的患者も含めれば、圧倒的多数の患者の人権要求で、押しつぶされそうなのは医師の人権です。
他人の権利の要求で、基本的人権が踏みにじられることは、憲法が許さない基本的人権の基本中の基本です。

BugsyBugsy 2008/04/13 10:04 昨日
医療現場の危機打開と再建をめざす国会議員連盟主催の第一回シンポジウム
で日比谷公会堂に行って来ました。

医療関係者の危機感はヒリヒリするほど伝わってきました。
国会議員様は発言者以外は少々きょとんとした表情も垣間見られました。

一回だけじゃ伝わりにくいようです。
これから何回も開催してもらいたいものです。

一方で地元の国会議員にメールを出したんですが、返事が来んなあ。
もう一度出して見よっと。

JUNOJUNO 2008/04/13 12:14 業界の人?

「管制官って、ただでさえ緊張強いられるんですね。ニアミス起こしたら管制官が訴えられるってのはみな知ってる話だし、羽田とか東京交通管制部なんかはめちゃくちゃトラフィックが多いわけで。確か俺がいたころで羽田の離着陸って3秒に1回ぐらいだったんじゃないかな。今はもっと増えてると思う。(中略)

さらにいえば、航空管制って、基本的に手作業部分がすげえでかいんですね。レーダーとかコンピューターがいくら発達しても、判断と指示出しはコンピューターじゃなく、管制官自ら行う必要があるし、その辺の業務量は決して減らないというか、人増やすしかないんですが、それが増えない」

http://d.hatena.ne.jp/muffdiving/20080412/1207995070

walnutwalnut 2008/04/13 13:53 昨晩の日比谷シンポの感想

1.これまで国会議員が厚労省を介して得てきた医療の情報が、いかに情報操作にまみれたものであったかを、議員自身がようやく気づきだしたということ。

2.発言者のうちの患者団体の一人は、シンポジストの構成が医療提供側に偏っていることばかり強調した。各演者の発言から、危機的現状と、原因が80年代以降の医療政策の失政にあることが明確にされたあと、それらを一括して、彼女は「医者のぼやきを聞く会」と表現した。医療側のリアリティのある指摘に対しては、「安全、安心、真相究明」を連呼した。
 日本の患者は、メディアを介し脚色された情報しか与えられていない。あるステロタイプでしか、反応できないようになっているかのよう。これから医療の現状を彼らに伝えることの困難さを痛感した。

hot cardiologisthot cardiologist 2008/04/13 14:43 >医者のぼやきを聞く会

ある意味では、当たっていますね。ぼやきというより現状への絶望感かも。
医療を提供する側の苦労を理解できない人は、どこまでいっても理解できません。
彼ら(患者団体)に、何かを期待するだけ無駄。

>発言者のうちの患者団体の一人は、シンポジストの構成が医療提供側に偏っていることばかり強調した

この会の目的はは医療従事者側からみた医療危機を国会議員に理解してもらうことが趣旨なので、患者団体の代表をシンポジストに選んだこと自体(仮にシンポジストの発言として)が間違いですし、余計な人だったと思います。人選を誤りました(とは、あくまでも私の考え)。
医療専門職グループ、患者グループ、別個に読んで話を聞いたほうが良かったのでしょうね。

>日本の患者は、メディアを介し脚色された情報しか与えられていない。あるステロタイプでしか、反応できないようになっているかのよう

この人の所属する患者団体と限らず、ほとんどの患者団体はそうでしょう(例外的に、臓器移植の患者団体は世界の流れを知っていて、日本の現状を嘆いています)。こういった患者グループは医療危機や医療安全に関する世界の流れなんて知らないし、勉強もしていないから、そういう発言になる。
自分の周りしか見えてない。こういう人たちに世界の流れを教えても、頭に入るかどうか疑問です。はじめから受け付けようとはしない。でも医療者側は発信を続ける必要はあります。
なかには、兵庫県の小児科医療を守る会みたいに、理解を示してくださる一般人がいるのが救いです。

SORASORA 2008/04/13 16:08 あの場で患者側として手をあげた者ですが、あの方の不満は理解できませんでした。
患者団体としてシンポジュウムへの参加を広く呼びかけたり意見を提出するように呼びかけたりという努力はされていたのでしょうか?
残念ながら私は患者団体側からの情報であのシンポジュウムを知ったのではなく、医療関係者のblogを通じて知り、参加しました。
患者団体として非医療者にも積極的に参加を呼びかけ、患者側からの意見も多く出され、会場にも多くの患者側の人が押しかけたにも拘らず恣意的に患者側が選ばれなかったというのなら不満に感じて当然でしょうが、実際には事前の意見の提出も患者側は極わずかでで、会場に来た人も極わずかだっただけです。
これは単に患者を含む非医療者の危機感や積極性が不足しているだけの話で、医療関係者側の方が危機感や積極性があったからあのような割合になったのだと思います。
正直なところかなり不快に感じました。
その辺含めて昨日撮影したムービーと共にmixiの日記にも書いていますのでよろしければご覧ください。
http://mixi.jp/view_diary.pl?id=774026075&owner_id=7505216

SORASORA 2008/04/13 16:13 後半の質疑応答のところのムービーだけは容量の関係で
http://homepage3.nifty.com/sgu03026/080412.mp4
にしばらくの間置いておきます。
こちらはmixi入っていらっしゃらないかたでも大丈夫です。
最新のQuickTimeで再生できると思います。

ssd666ssd666 2008/04/13 17:10 「ぼくは航空管制官」ってゲームが人気シリーズで続いてますよ。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%81%BC%E3%81%8F%E3%81%AF%E8%88%AA%E7%A9%BA%E7%AE%A1%E5%88%B6%E5%AE%98
最新作では、アップデートされて、ゲームオーバーになったら、刑務所行きになるんでしょうね。
>航空知識をもつ人をも十分に満足させる水準の内容を維持

ライフアンドデスでも、怒られて研修医からやり直せと言われるだけでしたが。

hot cardiologisthot cardiologist 2008/04/13 18:57 本題からはずれてしまいますが、私が個人攻撃をしていると誤解されるのも嫌なので。

土曜の国会議員連盟のシンポジウムでSORAさまやwalnutさまが、おっしゃている患者団体代表のかたですが、ちょっと場違いな人選だったのでしょう。
コーデュイネーターが癌センターの院長だったため、患者代表も癌患者団体になったと思われます。もう一人のかたは小児科関連の市民のかたで、こちらのかたは適選です。
そのシンポジストのかたは癌の患者団体代表を務めておられますが、今回は特に救急医療や産科、小児科、内科や外科の人材不足からくる医療現場の危機をテーマにしたものなので、急性期医療や前記の診療科目に関連した人を患者代表に選ぶべきだったと思います。
患者代表としては、今回の第1回のテーマにふさわしくない人選でした。コーディネーターに責任がありますね。
次回以降、癌の患者のケアの問題をテーマにしたときにお呼びすべきでした。
SORAさまが仰っているように、患者や一般国民よりも医療従事者のほうが圧倒的に医療危機を感じていますから、当然、出席者が多くなります。
特に、このシンポジストのかたが立腹される筋合いではなく、意識の違いが出席者の比率の違いにつながったのでしょう。

人選のミスがあったとしてもロハスメディカルを読む限り、現場の医療専門職の声が国会議員に少しでも届いたのではないでしょうか。
あと数回は、第一線の医療専門職をシンポジストに招いて国家議員にいまの医療の状況を理解してほしいです。

hot cardiologisthot cardiologist 2008/04/13 19:11 もう一点だけ気になったのが、議員連盟に名を連ねている国会議員。
小泉路線を踏襲した安部内閣で重要なポストを得た議員達がいます。
医療費削減や混合診療路線を進めた人たちです。
それが、いまの医療危機を招いた大きな原因にも関わらず、どのツラさげて参加しているんでしょうか?
なんか胡散臭い面子です。
どんな話してるのか、スパイに来ているようで嫌な印象です(考えすぎかもしれません)。

とおりすがるとおりすがる 2008/04/13 20:31 故意犯でない、いわゆる過失犯を刑事で裁くのは世界的に先進国ではどれくらいあるんでしょうか。個人的には無茶といわれようが、業務上過失致死傷を含めて過失犯の処罰規定を刑法から除いてしまうくらい必要なんじゃないかと思います。無茶って言われるんでしょうけど・・・

moto-tclinicmoto-tclinic 2008/04/13 20:51 それは無茶ですよ。だって、故意の殺人犯が、みんな「過失致死で無罪だ」って言いだすじゃないですか。

SORASORA 2008/04/13 21:04 ブーゲンビリアのWebをざっと見てみましたが、一応4/6付けでシンポジュウムの開催案内が出ていました。
まぁ、全く患者側への情報提供をしていなかったって事はなかったようですから、やはり危機感の差が如実に出たという事でしょうか。

> どのツラさげて参加しているんでしょうか?

たしか議員側もこれまでは現場の状況を正確に把握できていなかったというような発言がありました。
まぁ、ここで間違いに気付いて正してくれるなら過去は不問にしてあげてもいいかなと思っていますが…。
#甘いかなぁ…。

元ライダー元ライダー 2008/04/13 21:15 >だって、故意の殺人犯が、みんな「過失致死で無罪だ」って言いだすじゃないですか。

それは無いような気がします。いまでも過失致死のほうが圧倒的に罪が軽いのに、そういう主張はあまり無いでしょう。
どんなに注意を払っても何千、何万回もすれば間違ってしまうことがあり、それは不可抗力だと誰もが想像できるはずなんですが、被害者の慰撫を重視する人々はその点をあえて無視しているんですね。

BugsyBugsy 2008/04/13 22:23 今回のシンポジウムに出席して感じたのは 患者側代表者なのでしょうか、女性でしたが相も変わらず「真実の究明」を一義的に主張されたことです。短時間でしたけどね。

全ての医療機関が真実を隠蔽しているという認識を持ち続けているご様子かと受け取りました。がっかりです。真実っておっしゃいますが、後になって医療機関にもわからない真実もありますよ。必ずしも隠蔽しているわけじゃない。ただわからないだけです。
彼女の意見も医師側の現状を目の当たりにして徐々に変わっていくと信じています。

事故調査委員会に関する報道の中で散見するkey wordとして「医師の隠蔽体質」を防ぐ目的という言葉を見かけます。患者側が鵜呑みにしているのかなあと漠然と考えました。

高齢者の介護や医療保険など問題は山積みしています。
患者側が頑なに医師との対決姿勢を崩さなければ 事実上焼け野原になってる現状で何の解決にもならないと思いました。少なくともお互いに対話しなきゃ。

全ての問題点を抽出するには限られた時間でしたが、まあ継続してもらって我々も積極的に意見を提出するしか現時点では解決策が思い浮かびません。

最後に思ったのは 国会議員にも家族の介護、子供の病気、娘や嫁が出産まじかの人もいないわけじゃないと思うんですよ。医師側が今回のように現状の困窮ぶりを何度となく直接訴えれば 実感として必ず通じると思いたいところです。

無能な土木役人無能な土木役人 2008/04/13 23:13 はじめまして、ずっとROMしてましたが、若干仕事に関係しますので、初めて書き込みします。

この判決には怒りを感じると共に、そういう風に世論誘導しているマスコミにも怒りを感じます。このような、大規模なシステムにからんだ事故について、冷静に考えれば、刑事責任を問うても、再発予防にはなんらメリットがなく、むしろデメリットがあるだけで政策的に大間違い。被害者感情も理解できないわけではないが、故意と過失は明確に区別すべき。また、冷静にメリット、デメリットを説かず、感情的な議論しかしないマスコミの論調おかしい。

役人の世界では、司法に面と向かって喧嘩を売るのタブーになっているので、誰も判決の批判はやらないけれど。まあ、役人の世界では、東京高裁のF判事のトンデモ判決(地裁で医療訴訟を担当する前ですが)には激怒していた人は多かったが正面きって判決非難はしなかったからなあ。今回のこの判決に対しても、怒りを感じている人は多いと思う。本来ならば、事務次官とか航空局長とかが、せめて「こういう判決が出た以上、現場が萎縮し、十分な安全確保の必要により、航空機の遅延等の発生が懸念される。」とでも、声明をだすべきなんだけどなあ。でも、うちの役所、道路関係で袋叩きにあっているから、また火に油を注ぐだけなんでそんな度胸はないだろうなあ。

本来、医療訴訟の無茶苦茶な判決に対しても、厚労省の次官なり、局長がちゃんと論評すべきなんですよ。正面きった批判はできないにしても、「こういう判決がでるとこういう影響(救急が機能しなくなるとか)が出ますと。」 ただ、最高裁とか、非常に世論に気を使っている様子があるので、実際に医療崩壊が社会問題としてクローズアップされて来ると、判決の流れが変わってくると思うんだけど。お医者さんは最高裁まで争わないから、地裁レベルでトンデモ判決が続いているんだと思う。

日本の役人の一番の問題点は、その役人の業績がどれだけ世のなかのためになる仕事をしたか第3者から見た評価がされないことなんだね。その評価によってその後の年金額でもきめると仕事の方向が替わるんだけどなあ。もっともそんなことになったら自分の評価は最低になるので困るけど。裁判官も、在職中はともかく引退時にこういう第3者的評価をされるようになれば、とんでも判決やら、無実の人を刑務所に送ったりということは減るんじゃないかな。

卵の名無し卵の名無し 2008/04/13 23:19 まー自分自身が隠蔽体質であるなら他人が隠蔽体質じゃないことなどあり得ないと考えるものだ。男なら考えるが女なら信じ込むという、実行動パターンにおいての性差もよくあるがねw

エイハブ船長エイハブ船長 2008/04/14 00:18 http://d.hatena.ne.jp/yjochi/comment?date=20080412#c
に弁護士氏の感想があります。
一瞬の「言い間違い」が刑事罰相当と考えているのかはわかりませんが、弁護士氏としてはこのミスと判決後の発言はプロ失格との考えです。
管制官が医師と同じうようにリアルタイムの判断と責任を持つ現実に対し、それを数千倍以上の時間をかけて裁く法曹関係者の現実感のずれは大きい。
”やり直しのきかないことだからミスはあってはならない”は純粋に理想論だが、現実ではない。どんな重大な責任があったとしても必ず誤りを犯すのが人間の現実です。ヒューマンエラーが許されない仕事ならその仕事から人間を外すしかない。人間を外すことができないなら仕事ならヒューマンエラーは許容するしかない。

moto-tclinicmoto-tclinic 2008/04/14 00:25 いや、医療のそれを、ミスとか過失、ヒューマンエラーと、一緒にしては、話がややこしくなると思います。

医療の場合、「診断は確率にすぎない」ってことであって、そもそもミスではない場合が多い。
ちょうど、素粒子が小孔を通る前は波(確率)であったものが、通ったあとは、一個の粒子として結果的に観測されるようなもので。

そこを、一般に啓蒙することは大切かと存じます。

moto-tclinicmoto-tclinic 2008/04/14 00:41 「診断は確率にすぎない」ってことこそが「真実」なんだけどな・・

エイハブ船長エイハブ船長 2008/04/14 01:23 「診断は確率にすぎない」という真実と、医療で日々現実に生じているヒューマンエラーは別問題です。アマリールとアルマールの入力ミスやアスピリン100mgとバイアスピリン100錠の違いは確率論ではありません。今も世界中の病院でヒヤリ、ハット事例が生み出され続けています。多量のインシデントと幾分の一かのアクシデントが発生し続けています。医療という場には医療以外の世界と同じように”そもそも”ミスはつきものです。ヒューマンエラーから生じる損害を小さくしたければより多くの資源を投入しフェイルセーフを多重にかける必要があります。それでもミスは起き時に重大な結果を生じます。一つの病棟に原子力発電所と同じように予算をかければ、統計的にはミスが生じても損害が発生しないようにできるでしょう。有限の資源配分を前提とした現実の制度設計ではむしろ一定量のミスの発生、それに伴う損害の発生、患者の死亡はむしろ暗黙のうちに許容されているのです。道路行政でも同じです。毎年ほぼ一定の交通死が発生しますが、交通安全のために割かれる資源量は”現実的”な分量に抑えられます。
許容という言葉の程度は免責、損害賠償、行政処分、刑事罰などになりますが、さすがに死刑にはなりません。医療や管制サービスの提供者にとって許容の程度が耐えられなくなればどうなるでしょうか。

KEIKEI 2008/04/14 07:49 >過失を罪によって償わせる目的は幾つかあるかと思います。ここも法学の専門家なら様々な法理論があるのでしょうが、あくまでも素人なので至極単純に考えて、負傷者の処罰感情の慰撫 再発の抑制

今回の事例は航空機事故調査委員会ですでに公表されています。http://araic.assistmicro.co.jp/araic/aircraft/download/pdf/02-5-JA8904.pdf

当然当局は被害者感情や再発抑制も考慮するでしょうが、結局のところその事実によっていかなる法益侵害が発生したかを重視するようです。業務上過失傷害罪の保護法益は他人の生命身体の安全であり、さらに業務者には通常人よりも高度の注意義務が課せられていて、この義務に違反するこそ重く非難されるところにあるともいえます。

しかしながら、この状況は私たちの間隔からしてかなりの乖離があることも少なからずあるようです。

ただし、国民の処罰感情があることが追い風になっていることは否めません。

例えると、「自動車の運転者Aが交差点に差し掛かった時、対面する信号は青であり、運転者Aは安全に交差点を通過できる状況であったが、現場の警察官は交差する道路を通行中の車両の運転者Bに本来は赤である信号機の点灯状況とは違う青の指示を出したため、運転者A及び運転者Bは交差点で衝突する状況であった。しかしすんでのところで各運転者の回避行動により最悪の事態は避けられた。」という事例で、

国民は運転者には現場警察官指示は法律上優先し従うことが求められており、それに従った運転者悪くなく、結局現場の警察官を非難するのではないでしょうか。意外とそういった単純なことなのかもしれません。

とおりすがるとおりすがる 2008/04/14 12:16 私はお医者の側で法律は専門ではないんですが、国民の処罰感情という点からすると、米英法系のように民事の懲罰的損害賠償(punitive reward)という形もあるんじゃないかと思います。こっちもトンデモ判決が続出するので、それはそれでまた難しいんですが、少なくとも過失犯に関して刑法で裁かない方向が、大陸法系の国々を含めても先進国中では主流のような気がするんですが、間違いですか?国際法に詳しい方、間違ってたら指摘していただければ幸いです。
日本の刑法もいちおう過失犯不処罰の原則を採ってはいるんですけどねえ、原則は・・・。

tera2005tera2005 2008/04/14 14:28 江原朗様:この事件と福島県立大野病院事件に「類似性を感じます」などと言う戯言はやめていただきたい。この事件は、1)研修中の管制官がおこした、2)2つの飛行機への指示を取り間違え、A機に出すべき指示をB機にだした、3)指示ミスにより接近したあとも、再度、両機を取り違えた指示を出した、4)見習い中の管制官も監督すべき管制官もパニックに陥り、適切な指示を最期まで出せなかった。どこが大野病院と類似していますか???

moto-tclinicmoto-tclinic 2008/04/14 19:22 トラックバック先の「システムと個人の過失」のところがわかりやすかったです。過失について勉強になりました。

しかし、ヒューマンエラーってのは、たしかにシステム全体の不具合として捉えるべきなのは、わかるんですが、エラーを限りなく0に近づけようとすればするほど、費用は、たぶん指数関数的に増えますよね。
そうすると、業界というのは、最後の最後は、個人の過失という落とし所で切り捨てると思います・・悲観的な見方ですが。
そのcut off値をどこに置くかに関係した判決で今回のそれはあるような気がします。
判決は、それによって社会の安全へとフィードバックに働きかけてこそ、良い判決と言えるはずですから、今回の場合、業界(国)が、システムの安全ネットを見直し強化する行動に出る、出ざるを得ない判決が求められたわけです。
で、有罪判決と、無罪判決と、どちらが、そのような効果が高いかというと・・無罪より有罪の方が効果が高いのかも。
しかし、それによって、当事者である個人は、取り返しのつかない痛手を被ることになるわけです。人柱みたいですね。

ヒューマンエラーの抑止の目的で個人を刑事罰すべきでない、っていう考えには賛成です。組織に対する経済的な制裁がいちばん効果的なんじゃないでしょうか。

YosyanYosyan 2008/04/14 19:54 moto様

ここでの議論の難しい点は「ヒューマンエラーはすべて免責か」の議論になってしまう事です。トラックの運転手の交通事故と医師の医療事故との線引き問題に比喩が下がることです。そうなれば議論が非常に難しいものになります。そこで御指摘の

 >cut off値をどこに置くかに関係

航空管制官のミスとトラックの運転手の交通事故と医師の医療事故が同列なのか、どこか本質的に違うところがあるのか、これをはっきりさせなければ議論は迷走します。一つの考え方ですが、事故によって罰を受け個人が破滅するのは同じです。では業界としてはどうかの見方は出来るかと思います。罰の影響力の問題です。その影響力で罰が適正範囲内かそうでないかを見ることもできるかと思います。もちろんあくまでも一つの物指しであって、決定付けようとする話ではないので誤解無い様にしてください。

トラックの運転手の交通事故は個人の悲劇ですが、業界全体はビクともしません。ところが医療事故や航空管制官のミスに対し刑事罰を加えると業界が震撼します。これは本質的に与えられる罰に対する重みが異なっている事を示唆していると思います。トラックの交通事故では業界全体はビクともしないとしましたが、これがどんな交通事故でもすべて即座に死刑となれば震撼すると思います。誰もそんなところに就職しなくなるというわけです。

あんまり良い物指しではありませんが、その辺りに本質的な違いがあるように感じています。簡単ではない問題です。

エイハブ船長エイハブ船長 2008/04/14 22:35 トラックドライバーの交通事故に刑事免責を求める働きかけがないのはなぜでしょうか。運送業界全体のシステム内では末端のドライバーは消耗品、交換可能部品で一定の損耗が計算済みということかもしれません。もしトラックドライバーにF1ドライバー並の技量が求められ、きわめて稀少価値の高い能力がなければ流通機構がなりたたないとすれば、どうでしょうか。

不快な議論ですが、人類はみな平等、職業に貴賤なしでは済まないのです。

とおりすがるとおりすがる 2008/04/15 10:17 >トラックドライバーの交通事故に刑事免責を求める働きかけがないのはなぜでしょうか

同じ意見です。タクシーやトラックのドライバーが業務中に、ヘッドホンをして音楽を聴きながら赤信号で横断歩道につっこんでくる無謀運転の自転車にぶつかられても、業務上過失傷害で人生終わったりするのは、やはりおかしいわけで、しつこいですが、社会全体の利益を考えたときに刑法から過失犯処罰規定を無くしてしまうという選択肢も、十分議論に値すると思います。

飲酒運転などによる事故が過失犯として裁かれるのもおかしいわけで、原因において自由な行為として、故意犯として処罰すべきだと思ってます。あくまで法律は素人ですが・・・

YosyanYosyan 2008/04/15 10:36 とおりすがる様

法律論争をするには余りにも知識不足なんですが、過失犯と故意犯の線引き問題が実情と合わなくなっている気がしないでもありません。もちろんそれに対し下される刑罰の重さもです。ただそれを煮詰めてある程度の結論を出すのは手に余る問題ですし、その結論を世論にするのにも途方にくれる問題です。

誰だって自分の職種・業界事情は知っていても、全体のバランスの中ではどうかとなると大変難しい問題となります。総論は気分で語れても各論は手に負えないというところでしょうか。

とおりすがるとおりすがる 2008/04/15 11:00 管理人様からのコメント恐れ入ります。全くおっしゃるとおりで、自分も医者ですので、法律論になると、気分で語っている範疇の外に出るものではありませんが、以前のエントリーで、法律家の方から、医療の世界の人たちは司法に不平を言っているばかりで、なぜ必要な法律改正や立法処置を求めていかないのか、といったコメントがあったと思います。そういう視点から、一見極論に見えますが、刑法から業務上過失致死傷を除くべき、なんていう運動が、医療業界や航空業界、運送業界などが声を合わせて起こり、経済界にうねりとなってひろがっていったりすると、世の中すこし変わらないかなあなんて思うんです。

産業界で、何かををしたいときに、法律の規制があるから無理ですではなく、じゃあ、この法律を変えればできるんだな、と考えるとどこかで読んだことがあります。医療行為で患者が死亡すると構成要件上は業務上過失致死を満たしているが、正当業務なので違法性が阻却されるなんていう、極めれ脆い論理の下でしか医療行為が行えないのは、そもそも法律の不備じゃないでしょうか、なんて思いながら、ボクは外科医辞めちゃったんですが・・・。

10年ドロッポ10年ドロッポ 2008/04/15 11:43 >なんて思いながら、ボクは外科医辞めちゃったんですが・・・。
結論が出ましたねw。

ko_chanko_chan 2008/04/17 18:06  もともと『現在の日本では「被害者感情の慰撫」が何より最優先』で、再発の防止など社会全体にとっての合理性など無関心だったのでは。変わってきたのは司法の側で、世論を過度に気にして、過失・故意の別なく厳罰化の傾向が出てきたように思います。
 「裁判官は世間知らず」というのが昔は通り相場だったのが、いつからこんなふうになったんでしょうね。素人のあいだで、裁判官にかぎらず専門家(医師、教師、官僚や学者など)への信頼みたいなものが薄れてきたのとパラレルのような気がしています。この辺は自分のなかでまだ整理がついてないんですが。

ななこななこ 2008/04/25 17:20 遅い投稿でごめんなさい。

私もこの判決を見て非常に驚きました。
もしかして、K先生も有罪になる可能性があるということなのでしょうか?すごく嫌な予感がしてなりません。論告求刑公判で、ご遺族が先生の説明が不十分だったと主張されていましたね。

どなたか教えてくださいませんか。お願いいたします。

何言ってんだ?何言ってんだ? 2009/06/07 19:45 業務上の過失によって、怪我人を出したのだから、刑事罰は当然!

刑法上は、業務上過失致死傷罪!

ここで、医師の免責だの、管制官の免責だの言ってる連中は、車を運転していて人をはねても!無罪にしろ!と言っているのに等しい。

それとも、自信がないのかな?