Marae Visit

今日は授業の一環としてマラエに行ってきた。 大学一年生は必修でこれをしなくてはいけない。 マラエはマオリ語で集会場とかそんな意味。 マオリの人達はなんだかのiwiに属している。 iwiは「種族」「骨」「民族」「部族」をあらわす言葉で、同じwaka(カヌー)に乗ってAotearoa(マオリ語でニュージーランドの事。 白い長い雲って意味)に来た人とか、その後の地域共同体とかの中で作られた形みたいだ。 

マオリについて書いてあるサイト(http://www.geocities.co.jp/SilkRoad-Oasis/3529/nz_life/maori/maori.html)からの引用なんだけど、こんなかんじみたい↓

"一口にマオリといっても、多くのイウィ(Iwi、部族)、ハプ(Hapu、イウィの下位分類)及びファナウ(Whanau、拡大家族)から成り立っており、習慣や方言もさまざまです。また、ファナウ及びハプのレベルで多くのことが統一されていると言うことも重要です。現在でも、土地問題や人権問題で何かを要求するときには、この単位で団結します。さらに、宗教もハプごとに異なっています。"

で、マラエは、そのiwiの集会場。 私の行ったマラエは、大学の構内にあるマラエで、iwiに属すると言うよりは、大学に属する、「生徒達のマラエ」って方針みたいだ。 マラエを司る人も大学のマオリ学の先生達。(全部情報が「みたい」で終わる、この確信のなさを許して。 だって、確実には分からないんだもん。 私からしてみたら、そこはイージーにとっちゃいけないでしょって所が曖昧で、そこを気にするか?って所に熱心であったり、結構異文化を感じます)

朝の八時半に大学の図書館の前に集合。 私はその十分前に起きた。 大変眠く頭がぐわんぐわんする出だしでありました。 図書館の前で歌の練習。 歌詞が全く思い出せない。 あと、横にいた友達の息が臭くてへこむ。 で、マラエはどこだと考える。 ここから歩いていくのかなとか、バスに乗るのかなとかたらたら考える。 でも、実は図書館の真向かいにある普通の建物がそれであった。 てっきり教室だと思ってました。 

マラエの前庭には女性から入る決まりになっている。 女の人がまたぐってことが重要なんだって。 女の人がまたぐ事で力がうんたらこうたら。 だから女が前に歩く。 マオリのしきたりで、歩くときは女の人が前を歩き、座るときは男の人が前に座る。 前庭に入ると、マラエの中から女の人の歌声が聞こえた。 歓迎って意味のhaere maiって言葉が混ざった(ってかそこしか聞き取れなかった)美しい歌だ。 おばあちゃんが朗々と歌う。 私が知っているマオリ人は100%歌を素晴らしく歌う。 私たち側も歌う。 で、受け入れてもらう。 ここでしくじると、戦闘になるらしい。 前庭では戦いが禁じられていないそうだ。 しかし、何も禁忌を犯さなかったようでマラエに入れてもらえた。 マラエには男の人から入る。 マラエに入るとき、入り口に受け入れ側が一列に並んでいて、一人一人とhongiをした。 hongiは鼻と鼻をくっつける挨拶。 いちいち感動するのも下品なのは分かるのだけれども、私はhongiにいつも感動する。 生命の息吹を分かち合うジェスチャーなんだって。 これは良いジェスチャーだと思う。 hongiをすると相手に対して優しい気持ちがあふれる。 hongiが終わったら、写真撮影とかが大丈夫になる。 受け入れ側がマオリ語でスピーチをする。 結構長いのを(意味が分からないから長く感じるだけかもしれないけど)何人もの人がする。 ユーモラスな事を言っているみたいで、マオリ語が分かる子は笑っていた。 で、次に英語でスピーチをしてもらう。 無茶苦茶話しが面白い。 良い冗談を沢山言っていた。 次に受け入れてもらった側として私たちが歌を歌う。 で、また彼らが私たちに歌を歌う。 で、haere maiの儀式が終わる。
次にお茶Kapu ti(勿論語源はcup of tea)の為、同じ敷地内にある、食べ物を食べる為の建物Wharenuiに移動する。 マラエ内には食べ物はいっさい持ち込んではいけない。 鞄の中にも持っていてはいけないんだって。 やってはいけない事と言えば、女の人は他の人をまたいではいけない。 マラエ内では力が強力になってはいけない(だから喧嘩は前庭でする)から、全ての力の源である女性の股でまたぐ事は禁止なのだそうだ。 そうか、私の股にはそんな力がとちょっと感慨を受ける。 「股」って言葉は人生で使った事が極端に少ない。 なんだかちょっと恥ずかしい。 ダイナミックな言葉な気がするのよ。 
お菓子食べたりココア飲んだりしてゆっくりした後、ワークショップが始まった。 私はマオリの織物のワークショップに申し込んだんだけど、定員オーバーでマーシャルアーツにまわされた。 最初はちょっと嫌だったけど、やってみたらとても面白い。 孫悟空の棒みたいなのを持って、踊ったりした。 ちょっとフラダンスみたいな感じ。 音楽もポリネシアンテイストばっちりので(勿論現代風になっているけど)、あんまり私にはなじみのない感じに初めは戸惑ったけど、途中からとても気持ちがよくなって、最後は楽しくて仕方なくなった。 繰り返すとか、パターンを作るとかがとても重要なようで、マオリの芸術(音楽、入れ墨、工芸、絵画など)にはいつでもそれが出てくる。 マーシャルアーツにおいてもそうだった。 マオリ人のおじいちゃんが先生でみんなでひたすら踊る。 そのおじいちゃんが本当にユーモラスな人で私は終止笑いが止まらなかった。 マオリ人は非常に冗談が上手い。 どーしてそんな事思いつくの?!って事をぽんぽん言う。 歌と冗談が好きなんだなーと、しみじみ感じました。 マーシャルアーツしている間も、歌を歌う。 マーシャルアーツって言っても、別に殴り合いはなく、どっちかって言うと見た目は歌舞伎っぽいなんか「かいぶているね、てやんでえべらぼう」って感じのノリの動きをする。 今度日本に帰ったときにまだ私が踊り方を覚えていたら踊りますので、どうぞ楽しみにしていて下さい。  歌がうまくなくて冗談も下手なマオリにあったら、私は少しは救われるかもしれない。 最近歌も踊りも冗談もそんなに上手くない私は、人間として欠陥があるのではないだろうかと本気で心配になってくる。 
お昼にまたwharenuiに戻ってみんなででっかな食事をする。 みんなで集まって、ローストポークとローストチキンとローストビーフ、三種類とも食べる。 サマーヒルの食堂では、一品しか貰えなかったのと対照的だ。 で、また甘いものとか食べてまったりした後に踊る。 
その後マラエで発表会。 今回ワークショップは、マオリの織物、影絵、楽器作り、ポイ(ジャグリングみたいなの)ドラム、マーシャルアーツ、ギター、踊り、ドキュメンタリー映像制作とありまして、順々に発表です。 楽器作りの人達は紙で作った筒に風船をなんだかの形でくっつけて、スッゲーディープな音がなる管楽器を作り上げ、それに踊り(限りなく舞踏の匂いがするヒッピーなダンスであった。 日本の大学での舞踏の授業を思い出し、白塗りとか、蚊に刺されとか、足の裏には千のナイフとかなんかしみじみとね、ええ、しみじみとしてしまいましたよ)の人達が加わり結構面白い事になっていた。 私たちの踊りは即興でスターウォーズマオリの神話を混ぜたものになった。 おじいちゃんが突然、スターウォーズの出だし(遥か昔銀河系の彼方で…みたいなやつ)を初めて、マジでうけた。 で、私たちの棒を使った踊りとポイの踊りを合体させて、銀河系の彼方(でも木星の近くらしい。 そんなに彼方じゃないじゃん!)でおこるマオリの神話の世界の始まりを表し、そして棒を投げてキャッチして空中でパターンを作るって技はことごとく失敗し、ひたすら見ている人達に笑われて終わった。 すごく楽しかった! 影絵芝居も、マオリの神話についてだったんだけど、スターウォーズネタ満載であった。 マオリの神話とスターウォーズは相性がいいのか。 
発表が終わった後はまたkapu ti。 ケーキが大量にあって、みんなでがっつく。 でまたまったり。 
その後はお別れの儀式。 ワークショップごと、先生に感謝の歌と言葉を捧げる。 そして今度はフリースタイルに(イエー! メン!)、自主宣告制で感謝している人にその思いを伝えていく。 とりあえず長々と、感謝の言葉を言う。 次に受け入れ側が歌と彼らの感謝の言葉を言う。 今朝、正式に歌を歌い、受け入れてもらえた(前庭での戦闘はおこらなかった)ので、これでこのマラエに大学一年生が属した事になり、私はこれから自由にこのマラエに入れるんだって。 で、いつでも会いにきてね的な事をマラエを司る人達に言われる。 で、またゲスト側が歌って、解散。 で、玄関でhongi。 
朝の九時から夕方の六時まで、ビッチリとマラエを充実した。 マラエは入り口が小さくて中がとても広い。 ってか、長い。 で、薄暗い。 先祖の体の中を表しているんだそうだ。 天井が肋骨のように見える。 マラエに入る事とマラエから出る事はとても神秘的な体験だった。 マオリは文字を持たなかったので彫刻やその位置に意味がある。 薄暗い場所で、細かく彫り込まれた彫刻は普通の光の下でよりも魅力的に見える。 明かりによってこんなに彫刻の持つ雰囲気が変わるのが面白かった。 先生達やマラエの人達の子供達も来ていて、サマーヒルにいたときみたいな気持ちになった。 広い世代の人達と一緒に時間を過ごすときサマーヒルを思い出す。 大学のマラエで、すごくシンプルな、平たく言うと地味なマラエだけど、こうやって時間を過ごすと、すごく好きになってくる。 

ディープな楽器隊、影絵芝居、そこら辺のものをひたすら叩くドラム隊、かなり自分たちの世界に入って誰のパフォーマンスをも見ていなかった子供達。

博物館の中にあるド派手なマラエ
http://www.tepapa.govt.nz/TePapa/English/WhatsOn/LongTermExhibitions/TheMarae.htm
ここの彫刻には、キリスト教の宣教師や、カメラを持っている人、科学者なども彫り込まれている。 

ニュージーランド政府の「遊びにきてねニュージーへ」ポスター。 その名も100% Pure New Zealand. サイトのアドレスはwww.newzealand.com! ニュージーランドドットコム。 すごいな。 さすがキャンペーン国家。 このマオリ人達がしているのがhongi。