Cafe Ligia-exotica / 純喫茶 船虫

よしなしごとを。読書とか映画とか観劇と港の街の話しとか

TATAKARERU

 いらっしゃいませ。


 何か、いかすキャッチコピーを考えてもらいたいんですよ、ヨドガワ・ブレンドの。

こう、イトイさんでも思わず身を乗り出すような・・・。


 えーと、ノーベル賞とかとった人でしたっけ?イトイさんて・・・。





 彼は過日、水嶋ヒロ氏の小説『KAGEROU』のネットでの評判をみて思わず苦笑いをしてしまったという。




Amazonでのレビューがえらい事になっていると言う事で、そのレビューをまとめたまとめサイトがあったので覗いてみたんだ」




ほう。




「とりあえずコピペで申し訳ないが、そのまとめサイトのリンクを貼っておきます」
http://blog.livedoor.jp/news23vip/archives/3149549.html






ふむ。





「まあ、簡単に書くと、『ラノベ以下』、『文字数少ない』、『薄い内容』、『文章力がない』、『くだらないギャグはいらない』、『これが1000人の応募があった文学賞の頂点とは思えない』、『可もなく不可もなく。つまりくだらない』、『ストーリーは可もなく不可もなく。ただ文章力がない』、『ポプラ社、あまりにブラック』、『ポプラ社売名』、『マウスパッドにしては分厚い』、『この季節、燃やすと暖をとれる』、などなど・・・」





レビュー、凄いな。





「まあ、大半は読まずに書き込んでいるだけだろうけどね。ただ、このひどい書き込みにもそこそこセンスがあり、なかなかに読ませる」





ほう。





「あまりに誹謗中傷がひどいので、続々と削除されていっているみたいだけどね。実際に読んでどう思ったかを書き込む人も今後どんどん出てくると思うので、しばらくは面白い事になってると思う」





まあ、レビューなんだから、実際に読んだ人の感想とかが見たいよねえ・・・。





「・・・これだけ話題になっているのでちょっと内容も知りたいなと思ったら、あっさりあらすじを書いているサイトなんかがあったので、早速読んでみた」





ネタバレのあらすじを書く方も書く方だが、それを読むキミもかなりな外道だな・・・。






「・・まあ、ここでは内容は書きませんが、あらすじを書いた人のまとめ方が良くて、何だか星新一氏のショートショートとかになりそうな感じで、結構楽しめました」





あらすじでごちそうさまか・・・。





「二年間温めた作品でこれ?という感じのネタではありましたが、・・・逆に、・・・例えばこのプロットを元に東野圭吾氏が本気でやる気を出したら・・・、とか、・・・このプロットを元に宮藤官九郎が脚本を書いて、くだらないギャグを取っ払って劇団☆新感線が“いのうえかぶき”でやったら・・・。もしくは逆にギャグ満載で松尾スズキ氏演出で大人計画とかでやったら・・。とか、恩田陸氏に内容をブラッシュアップしてもらってキャラメルボックスで・・。とかそういう妄想は簡単に膨らみましたね」






プロット的には悪くないと?






「大学の映研とかで出てきそうなプロットですね。分かり易い。まあ、悪いアイディアではないですが・・・。特に良くもない。単純」





ふむ・・・。





「ただ、その程度なので、よほど渾身の文章力としっかりしたキャラ付けが無いと、文学賞を取れるほどのものでは無いでしょう・・・」





なるほど・・・。





「・・・まあ、実際の文章力はどうか分かりませんが、ここでのポイントは、本当に1000人の応募の頂点に立ち、2000万円の賞金に見合った作品なのかどうかと言う事でしょうね・・・」





・・・ふむ。





「ネットでの噂では、既に43万部が出版されて、さらに増刷するだのしないだの」





・・凄い売れ行きだな!






「まあ、売り上げだけで見ると、先ず出版元のポプラ社はウハウハというところかな?ただ自社の文学賞の権威は地の底まで落ちたけれど」





瞬時にベストセラーか・・・。





「さらに映画化も既に決まっているとか。まあ、これは問題ないだろう。逆にどんなヘモい文章でも、一流の脚本家がプロットだけを生かして組み上げ直せばいいわけだし、どんな演出になるかどんな画になるかは監督さんとかの力量だしね。別にどれだけ原作の文章力が低かろうとも全く別物の表現になるわけだしね」





切り刻んで組み上げ直せばいいと言う事か・・・。





「良い原作なら、『原作の雰囲気を壊さない』という大変に難しい問題が一番最初に発生するわけだけれど、『?』な原作なら、そんな問題は発生しない。プロットを生かした(良い)別物を作ればいいわけだしね」





ふむ・・・。





「・・・まあ、ここでも版権を持っているポプラ社は良い思いをするかもね。自社の資金をつぎ込まなければの話だけど。まあ、これがこけてもゾロリがまた稼いでくれるのかな?」





映画は売れるかね・・。





「さあ?権威の失墜したブラック文学賞受賞の作品でも、話題の監督さんとかを使って大々的に作るんじゃないかね?さらに水嶋ヒロ氏本人主演とかで話題作りして」






・・・・。






「思い切って、香港あたりで『インファナル・アフェア』ばりの作りにすれば意外に受けるかもね」






・・・完全に別物だな。






「・・・まあ、映画はさておき、問題はこの地に落ちてしまった文学賞の今後だね。今後応募者はいるのかねえ・・」





受賞しても同じ色眼鏡で見られる事になりそうだしな。





「・・・まあ、逆に、文章力が無くても適当なプロットがあれば大賞が取れて、2000万円が手に入るお手軽な文学賞として応募が殺到するかもだね」





・・・1000人に一人、2000万円が当たる・・。ちょっとした宝くじ感覚だな・・・。






「まあ、また、読んだ方がおられましたら感想をお聞かせ下さい・・・」






今回は、ちょっとブラックなままで終わる。