Bi-Bo-6

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日常のあれこれ

FLAT 50

永作博美

「書くことで、いろんなことを解消している感じです。だけど日記とはちょっと違う。文章がつながっていてもいなくてもなんでもよくて、抽象的なことばっかり書いているから、たぶんほかの人が読んでもわからないはず。自分で読み返すことさえ意識していないですし。でもそうやって文字にして吐き出すと、すごくスッキリするんです」「こんな文章、私もわかんないよって思っていたんだけど、何年も経ってから紙切れを見つけたことがあって。そしたら、そのときどんなことが起きて、何を思って書いたのかが、全部わかったんです。私のすべてが、その言葉にきっちり乗っかっていたんですよね。今思えば書く方法を見つけたことは、私にとって重大な事件でした。これがなかったら、今こうしていられたかどうかもわからないくらい」

Salyu×Salyu

「私がまず衝撃を受けたのは、声というものの面白さですね。人間という生き物は本当に不思議で、『こんな声も出るんだ』『こんな歌い方もあるんだ』と思うことの連続でした。」「音楽の面白さって、もっとたくさんあるんです。リズム、メロディー、ハーモニーのあり方など。でも今の音楽シーンではわかりやすいものが求められているとみんなが思っていて、保守的で形骸化している。私はそれがすごく嫌です。ただし、ニーズに応えるのも大切。私が17歳から今まで歌を歌う活動をしてきたなかで、世の中に評価されてきた作品には、世の中と私のコンセンサスが取り合えたひとつの声の魅力がある。そうしたニーズを大切にして、スタンダードナンバーを歌うのがSalyuだとすると、Salyu×Salyuは新しい音楽を実験して提示していくための研究所=ラボです、言い換えると、Salyuはニーズに応える場所で、Salyu×Salyuは今の時代のなかで新しいニーズとなるような音楽を提案する場所。それを同時にできるのがアーティストだと思います。」

SALUS June 2011 Vol.123

シニカル作家の「お人好し」賛歌? 文・山下敦

ヴェニスの商人 (新潮文庫)

ヴェニスの商人 (新潮文庫)

「きっとシェイクスピアの時代から、人はシャイロック的であることを求められていたのだろう。抜け目なく、機を逃さず、相手の隙を突いて優位に立つ。騙されるより騙す側。今も昔も、最後に勝つのはそういう人間なのだ。
 でも、本当なら、できることなら、間抜けと思われても、バカがつくよい人でありたいとどこかで思う。シェイクスピアもきっとそうだったんだ、と勝手に信じる。現実には負けてしまうから、最後にバカが勝つ物語を書いた。」

シューベルト 弦楽五重奏曲

「天国的に長い。
 これはシューマンシューベルト交響曲ハ長調「ザ・グレート」について述べた、あまりにも有名な言葉だ。〜彼はこう書いた。「この交響曲は、ジャン・パウルの四巻の大部の小説に劣らず、天国のように長い。(中略)全曲にみなぎる豊かな感じも、どれほど人の心をさわやかにすることだろう。ほかの曲ではいつもいま終わるかいま終わるかと思って心配していなければならない……」