「稲田氏批判は「かわいそう」 かばう官邸、強まる逆風」

amamu2017-07-08


 以下、朝日新聞デジタル版(2017年7月8日10時12分)から。

 稲田朋美防衛相が一段と苦境に立たされている。自民党が惨敗した東京都議選の応援演説が問題視される中、九州豪雨への対応をめぐって野党だけでなく足元の自民党内からも批判される事態に。首相官邸は今は稲田氏をかばうが、逆風はますます強まっている。

稲田防衛相「食事せず戻った」 豪雨対応中の不在を釈明

 発端は6日昼。福岡、大分両県に大雨特別警報が出されて自衛隊が最大5千人態勢で安否不明者の捜索救助などにあたる中、稲田氏は「民間との防衛政策に関する勉強会」(防衛省)に出席するため、同省を約1時間留守にした。副大臣政務官も不在だったため、政務三役が約40分間いない状態になった。勉強会は閣僚の公的業務ではなく、政治家としての活動である「政務」案件だった。

 7日の記者会見では、災害対応時の対応として適切かとの質問が相次いだ。稲田氏は「15分程度で省に戻るところにいた」などと説明。政務三役の不在についても、「常に必要な情報を受け取り、適切な指示もできる態勢だ」と問題ないとの認識を示した。

 稲田氏の行動について、菅義偉官房長官は7日の記者会見で「自衛隊は大臣の指示で被災者の救助や情報収集に全力であたっており、対応に問題はなかった」と強調。官邸幹部は稲田氏への批判について「かわいそうだ」と漏らす。

 (後略)

「(フロントランナー)俳優・真田広之さん 時代を変える、この世代で」

 以下、朝日新聞デジタル版(2017年7月8日03時30分)から。

 米国・ロサンゼルスに拠点を移して12年になる。

 日本では40本以上の映画やドラマに主演し、俳優としての評価も確立していたのに、40代半ばにして、海外で一からの挑戦に身を投じた。

 「映像や舞台の国際的なプロジェクトに、日本人が当たり前にいる時代になればいいと。まず自分が経験して駒を進めてみたいと思った」

 転機となったのは、1999年から翌年にかけて、英国ロイヤル・シェークスピア・カンパニーの舞台に立ったことだった。ベテランと新人が対等に意見を交わし合い、舞台で競い合う姿に、俳優としての理想のあり方を見て、海外で活動したいという思いが膨らんだ。

 米国では現地マネジャーやエージェント探しから始めなければならなかった。

 「チームに入ると、『日本で何をやってきたかは知らないけどね』と言われました。でも向こうでは、誰に対してもそういう見方なんです。どんなベテランでも過去の業績に寄りかかることは許されない。毎回、新しいチームで、日々いかに信頼とリスペクトを勝ち取っていけるかが問われている」

 時にはなぜこんな苦しい思いをしなきゃならないのかと思うことも。「でも自分たちの世代で道を作らないと、いつまでも時代は変わらない」

 絶対に必要なのは英語力だ。シェークスピア劇では5人のコーチにつき、猛特訓した。そのときの経験を生かして、勉強を続けている。「セリフのセンテンスを書いて、ポケットに入れ、レストランでも信号待ちでも言っています。あとで映像を見て、もう100回言っておけばよかったと、後悔したくない」

 この12年、ハリウッド大作から芸術的作品まで幅広く出演してきた。気鋭の監督たちから次々にオファーを受け、コリン・ファースキアヌ・リーブスら同世代の俳優や、アンソニー・ホプキンスら名優たちとの共演も重ねた。

 世界中に配信される人気ドラマにもたて続けに出演。

 西洋人が描く日本人はいまだ古いステレオタイプが多い。そのイメージをただしていくのも自分の務めだと思っている。一方、国籍も人種も超えた国際人としての日本人も描かれ始めている。時代の変化と手応えを感じるという。

 最新作のSFホラー映画「ライフ」では、国際宇宙ステーションに集まる、異なる国籍の6人の宇宙飛行士の一人を演じる。国を超え、地球人として地球全体を、家族を考えるという監督の哲学的なメッセージに共感した。

 国境の壁が築かれようとする時代、異文化をぶつけ合って作品を作る必要を感じている。「こんな面白くてやりがいがあることはないです」

 (文・林るみ 写真・時津剛)

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 さなだひろゆき(56歳)

 (後略)

「萩生田氏、兼職の届け出せず 「加計」運営大学で名誉職」

 以下、朝日新聞デジタル版(2017年7月8日11時48分)から。

 学校法人「加計学園」が運営する千葉科学大(千葉県銚子市)で名誉客員教授を務める萩生田光一官房副長官が、官房副長官就任時から今年6月まで、「大臣規範」で定められた兼職の届け出をしていなかったことがわかった。野党議員からこの点を問う質問主意書が出された6月2日に、届け出を提出したという。

 大臣規範は、大臣のほか官房副長官を含む副大臣政務官に対し、営利企業の役職員の兼職を禁じるほか、報酬のない名誉職などを兼職する場合は届け出ることを義務づけている。
 萩生田氏の国会答弁や事務所などによると、萩生田氏は2010年に月10万円の報酬がある千葉科学大の客員教授に、12年12月以降は無報酬の名誉客員教授になった。15年10月に官房副長官に就いたが、大臣規範に基づく届け出は6月2日までしていなかった。
 萩生田氏は、加計学園獣医学部新設をめぐる問題への関与が国会でも指摘されている。萩生田氏の届け出と同日の質問主意書に対し、政府は6月13日、「届け出が行われている」と回答した。萩生田氏の事務所は「内閣総務官室に問い合わせたところ、届け出は必要ないということだった。違反だとは考えていない」としている。

「(社説)国税長官人事 政権の体質の象徴だ」

 以下、朝日新聞デジタル版(2017年7月5日05時00分)から。

 「指摘があれば、その都度説明責任を果たす」。森友学園加計学園を巡る問題が大きなテーマとなった通常国会の閉会直後、安倍首相は記者会見でそう語った。

 しかし、本当に国民への説明の大切さがわかっているのか。疑問符を付けざるを得ない人事である。

 新しい国税庁長官に佐川宣寿・財務省理財局長が5日付で昇任する。森友学園問題を追及する野党からの国会質問に対して何度も答弁に立ち、徹底調査を拒み続けた人物だ。

 佐川氏は大阪国税局長や国税庁次長を歴任しており、麻生財務相や菅官房長官は「適材適所」と口をそろえる。役所の通常の人事異動の発想で財務省が案を固め、首相官邸もすんなり認めたのだろう。

 しかし安倍政権には大事な視点が抜け落ちていないか。納税者、さらには国民がどう受け止めるか、という問題である。

 大阪府豊中市の国有地はなぜ、周辺と比べて9割安で森友学園に売られたのか。安倍首相の妻昭恵氏を名誉校長とする小学校の建設用地だったことが、財務省の対応に影響したのではないか。森友学園問題では、国民の財産を巡って不透明で不公平な行政が行われたのでは、と問われ続けている。

 佐川氏はどう答えてきたか。

 森友との交渉記録については「売買契約締結で事案は終了しているので破棄した」などと繰り返し、職員への調査を求められても「いちいち指摘を職員に確認することはしていない」と突っぱねた。国会議員とその背後にいる国民に真摯(しんし)に向き合う姿勢からほど遠かった。

 国税庁は524の税務署を持ち、5万人余の職員が日夜、個人や企業の金の動きに目を光らせている。国民から税金を徴収する権力は絶大で、税金を使って政策を行う他の役所以上に説明責任が求められる。

 その組織のトップに、国民への説明を拒絶し続けた人物をすえる。理解が得られるとは思えない。麻生、菅両氏、そして安倍首相はどう考えているのか。

 佐川氏のかたくなな態度の背景に政権の意向や指示があったとの見方は多い。今回の人事についても「森友問題で政権を守った論功行賞」と見る向きもある。「とにかく官邸の意向に沿わねば」との空気が官僚の間でさらに強まることが心配だ。

 調べない。説明しない。押し切る。政権はそうした体質を改めるべきだ。疑問が依然として残ったままの森友学園問題への対応は、試金石の一つになる。

映画「ヒトラーへの285枚の葉書」を観てきた

 映画「ヒトラーへの285枚の葉書」を観に出かけた。
 ヴァンサン・ペレーズ監督。
 エマ・トンプソンブレンダン・グリーソンダニエル・ブリュール出演。