天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

駒ケ根

駒ヶ根・光前寺にて

  今年の桜の見納めに一泊二日で信州・伊那市に出かけた。駒ケ根にホテルを予約しておいた。初日は、午後から僅かの時間しかないので、光前寺を訪ねるにとどめた。木曽駒ケ岳ロープウェイに乗ってみたいと思ったが、ちょうど工事中で休止。もっとも町中でもかなり気温が下がっていたので、都会の旅装程度では無理であった。
 宝積山・光前寺は、天台宗の別格本山で、開基は本聖上人とされ、貞観二年(860)のことと伝える。参道脇の樹齢数百年という大杉の並木には圧倒される。本尊は不動明王。境内には、早太郎という名前の山犬の伝説が有名で、立派な墓と石像がある。鬱蒼たる杉木立の中の三重塔の立ち姿が良い。この寺の山門にある枝垂れ桜も見事らしいのだが、残念ながらまだ莟の状態であった。


     八ヶ岳峯々の雪小海線
     冬枯の山野と見えて辛夷咲く
     飯田線花の上なる駒ケ岳


  生まれ来て餌をもとむる宿命をプラットフォームの
  鳩に思へり


  駒ケ根の駅より見れど見えざりし山の奥なる木曽駒ケ岳
  この年の桜開花の早きこと乗るたび話すタクシーの中
  亭々と立つ大杉の参道の石垣ぼうと苔の光れる
  山犬の霊を祀れる光前寺本堂に見る不動明王
  山犬に名前のありて早太郎人身御供の子供救ひし
  子に代り櫃に隠れて早太郎怪物を待ち飛びかかりたり
  格闘の末に仕留めし怪物の正体見たり大狒々(ひひ)なりき
  三重塔の前には山犬の銅像ありて人あがめ見る
  まだ咲かぬ枝垂れ桜の梢からはるかにのぞむ南アルプス
  駅前の食堂に入り生酒を十割蕎麦に酌む昼さがり
  USBメモリ挿せぬ旅先のホテル・パソコン使ひがたしも
  サントリー・ローヤル、烏賊足買ひて来しホテルの部屋に
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