あらきけいすけの雑記帳

2100-12-30 (Thu)

このページの内容が正しいとは限りません。なるべくミスらないよう、がんばるけど。過去記事もまちがい等に気がついた時点で書き換えていきます図版の一部は外部へのリンクなので、その図版サーバが落ちていたらゴメンナサイ。

検索エンジンで調べてたどり着いた人へ:上の「検索」で日記内の検索をかけてみるか、記事一覧を見てください。書いて欲しい項目のリクエストがあれば、コメント欄に書いて下さい(ただし高校数学程度の範囲内でね)。なるべく答えてみようと思います。


あらきけいすけの研究日誌の別館のようなものになってしまった。mimeTeXが使えるので使っている。高等学校数学に関するメモを書き留めるつもりで始めた(新しい記事も過去の日付に追加して書いている)。


2008.5.9:いくつかのリファラを消すつもりで、エントリ全体を誤ってバッサリと消してしまった。トラバも意に反して消してしまった。検索エンジンのキャッシュを元にリンクさせていただきます。

はてなダイアリー

あらき氏が「匿名のつもり」だったはずはないことを明示しとく - 石田のヲモツタコト

HINOKIHINOKI 2010/03/08 12:41 どうしても解けない問題があって困っています。私は文系なので、数学IAIIBでの解法を教えてくださらないでしょうか。どうぞよろしくお願いします。数式を入力できないので問題を画像でアップしました↓。
http://upload.fam.cx/cgi-bin/img-box/ck4100308123850.jpg

arakik10arakik10 2010/03/09 07:02 数IIIは使わない方がいい問題ですね。数IIの放物線の接線の知識は使いました http://d.hatena.ne.jp/arakik10/20100308/p1

takataka 2010/09/02 13:28 g95コンパイラを使いfortran言語でプログラムを作っているのですが,g95ではラパックを使うことが出来るのですか?
出来るのであれば,使い方の詳細な説明をお願いしたいのですが…

arakik10arakik10 2010/09/03 17:15 いちばん安直な(?)ダウンロード、コンパイル、リンクの仕方を書いてみました。http://d.hatena.ne.jp/arakik10/20100903/p1

kamaplakamapla 2011/10/12 00:04 1/(1-x^4)の積分の結果を自分でもやってみましたが、符号が+-逆と思いますがどうでしょうか? 小生リタイアー後、興味があり物理を読み解いてみたく思いまして、数学の基礎から学んでいます。∫1/(1+x^2)dxの説明で別法で1+ix, 1-ix の位相から求めるとありますが良く分りません。

arakik10arakik10 2011/10/12 16:08 kamaplaさま
ミスのご指摘ありがとうございます。修正しました。それから「位相」の部分の説明を書き加えました。ご高覧いただければ幸いです。

nyamanyama 2016/05/04 18:28 gfortraneは4.8が比較的安定しているらしく、Net上で昔のVersionのInstall法がありました。 ----> http://phits.jaea.go.jp/image/Install_gfortran4-8.pdf
TDM-GCC 4.8 series packages以降のインストールでは、現在ダウンロードの階層が深くなっており
1)TDM-GCC 4.8 series packagesを選択
2)TDM-GCC Old Releaseesを選択
3)TDM-GCC 4.8 seriesを選択
を追加的に行う必要があります。

nyamanyama 2016/05/04 18:28 gfortraneは4.8が比較的安定しているらしく、Net上で昔のVersionのInstall法がありました。 ----> http://phits.jaea.go.jp/image/Install_gfortran4-8.pdf
TDM-GCC 4.8 series packages以降のインストールでは、現在ダウンロードの階層が深くなっており
1)TDM-GCC 4.8 series packagesを選択
2)TDM-GCC Old Releaseesを選択
3)TDM-GCC 4.8 seriesを選択
を追加的に行う必要があります。

2017-03-15 (Wed)

[][]固有値、固有ベクトル覚え

授業のための覚書。日記(2015.6.4)から転載。固有値の値があからさまな3×3行列

線形常微分方程式x’’’-(a+b+c)x’’+(ab+bc+ca)x’-abcx=0を解く。

(ab,-a-b,1)¥left(¥begin{array}{ccc}0&1&0¥¥0&0&1¥¥abc&-ab-bc-ca&a+b+c¥end{array}¥right)=(abc,-bc-ca,c)

¥left(¥begin{array}{ccc}0&1&0¥¥0&0&1¥¥abc&-ab-bc-ca&a+b+c¥end{array}¥right)¥left(¥begin{array}{c}1¥¥c¥¥c^2¥end{array}¥right)=¥left(¥begin{array}{c}c¥¥c^2¥¥c^3¥end{array}¥right)

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2016-12-24 (Sat)

[][]3行で語るe:=¥lim_{N¥to¥infty}(1+¥frac{1}{N})^N(ここでNは自然数)の由来

授業のための覚書

ネイピア数eの定義がなぜあの形か,先生は説明をしてくれなかった - ロボット・IT雑食日記

学習したことを内省して概念化して理解を深めていくプロセスってこんな感じだよなあ。てゆーか、ボク自身受験勉強最中(とそれ以降)は無自覚、無批判

指数法則a^{x+y}=a^xa^y, a^{xy}=(a^x)^y任意の実数 x, y で成り立つ
ことを受け入れて式変形にいそしんでいた。

それって社畜ならぬ数畜?

具体的に「0.5回の掛け算」って実行できる?「0.5回の掛け算」は「平方根」で平方根は「開平計算*1」や「バビロニアアルゴリズム*2」で値を求めることができて…という風に、「同じ値を与える(とせんせーがゆっていた)別の方法」に焼き直して計算していない?先生に言われるままに¥sqrt{2}=1.4142...を受け入れてなかった?

eの定義と万能の指数

ボクはここ数年の数学の授業では次の話を振ることにしている:

¥underbrace{(1.001)¥times(1.001)¥times¥cdots¥times(1.001)}_{694times}=2.001...¥approx2 だから  ¥underbrace{(1.001)¥times(1.001)¥times¥cdots¥times(1.001)}_{347times}=1.414...¥approx¥sqrt{2} じゃね?
この計算って1.1, 1.01, 1.001, 1.0001, ..., 1.00...001って細かくしたら、どんどん値が正確になるし、x=(1.00...01)^N で1より大きいどんな数でも作れるから、究極の「n乗根計算表」って作れね?*3
例えば¥sqrt{2}
¥sqrt{2}¥approx(1.1)^{3}¥approx(1.01)^{34}¥approx(1.001)^{346}¥approx(1.0001)^{3465}¥approx...
ただこれでは指数の桁が膨大になるので、指数に小数もOKという風に指数のかけ算ルールの定義a^{xy}=(a^x)^yを拡大して
¥sqrt{2}¥approx((1.1)^{10})^{0.3}¥approx((1.01)^{100})^{0.34}¥approx((1.001)^{1000})^{0.346}¥approx((1.0001)^{10000})^{0.3465}¥approx...
となる。ここで出てきたのがネイピア数 e
(1.1)^{10},(1.01)^{100}, (1.001)^{1000}, (1.0001)^{10000}, ..., e:=¥lim_{N¥to¥infty}(1+¥frac{1}{N})^N=2.718...
くそまじめな整数回の掛け算が考え方の基本になっているので、これは値を求める計算のアルゴリズムが明快。逆にいくつかの参考書で見かける定義 e:=¥lim_{x¥to0}(1+x)^{¥frac{1}{x}} は直接のアルゴリズムで書けない「実数回の掛け算」がコッソリと導入されているので、いただけない。

ついでにeの定義を使わずにロジックだけで対数関数、指数関数の導関数を求める

高校までの微分積分の知識(合成関数、逆関数の導関数、微分と積分が逆演算)が一通りあるなら、こんな導出もある;

  1. 対数関数は f(xy)=f(x)+f(y)…(1) を満たす。
  2. (1)に x=1 を代入すると f(1)=0 とわかる。
  3. (1)に x=0 を代入すると f(y)=0 になっちゃうのでf(0)は定義できない。
  4. (1)をyで微分すると、x¥,f’(xy)=f’(y) なので、これにy=1を代入すると f’(x)=f’(1)x^{-1}
  5. だから対数関数は ¥displaystyle f(x)=f’(1)¥int_1^x¥frac{dx}{x} である。つまり y=¥frac{1}{x} のグラフを描いて面積を求めれば対数の値が求まることがわかる。
  6. ついでに対数関数は f’(x)=f’(1)x^{-1} なので、対数関数の逆関数(gとする)の導関数は逆関数の導関数の公式より g’(x)=g(x)/f’(1) となる。というわけで指数関数(対数関数の逆関数)の導関数の公式が求められる。

*1開平法 - Wikipedia

*2Methods of computing square roots - Wikipedia 日本語のWikipediaには載っていない。

*3ネイピア数 - Wikipediaの「歴史」「定義」の項のベルヌーイの利子計算の話を参照。

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2016-12-06 (Tue)

else if はC言語の仕様には存在しない

授業のための自分用の覚書。Cの文法の仕様*1には if ... else if ... という文法事項は書かれていない。

if ( [expression] ) [statement] else [statement]
しか明記されていない。ついでに言うとコードを書くときのお作法の波括弧*2も無い。else if が使える理由は if ( [expression] ) [statement] else [statement] の全体が一つの [statement] であるので、else の後の [statement] に代入できてしまうのである。制御文のコーディングの標準のお作法からするとチート書法である。

if        ( A ) {
} else if ( B ) {
} else if ( C ) {
} else {
}

*1:PDF資料:http://www.open-std.org/jtc1/sc22/wg14/www/docs/n1124.pdf の 6.8.4 Selection statements

*2:例えば IPA 組込みソフトウェア開発向けコーディング作法ガイド[C言語版] http://www.ipa.go.jp/files/000005123.pdf の p.75

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2016-12-02 (Fri)

インデントを崩さずにWordにソースコードを貼る方法

いくつかのサイトを見て共通するノウハウメモする

  1. ソースコードを1行1列の表の中に書き込む
    [目的]Wordの自動修正機能キャンセルできてしま
  2. MSゴシックフォントを利用する
    [目的]等幅フォントでインデントを揃える
  3. 段落」機能で「行間」をフォントサイズ+1の「固定値」にしてしまう
    [目的]1ページに入る行数を固定化してしまう
  4. 「タブ」はなるべく「半角スペース」に置き換える
    [目的]インデントの型崩れを避ける

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2016-10-23 (Sun)

グループ学習授業に「フリーライダー」っているのかな?

教育用の覚書。以下に日頃の授業を見ていて感じる「藁人形」を記す。

グループ学習の授業の「フリーライダー」という表現を聞くと、最近のウェブ上の(発言者は少ないのだろうが)やたらに目立つ障がい者や透析患者や生活保護受給者への侮蔑的な言説と似た、「役立たず(カッコつき)」への差別に似たにおいを感じてしまう。グループの中でグループの活動に関与(commit)できない、グループの目標寄与(contribute)できないという「活動、目標から疎外された(alienated)状態」が問題なのではないか?

まり「(意識的に)コミットしない(すなわちサボる)」のではなく、「コミットの方法、切り口、ロールモデルを知らないので行動ができない」のではないだろうか?*1参加のモチベーションよりむしろ参加者のロールモデル*2を内部に持たない人なのではないか。

では commitment/contribution を妨げる/促す心理は何かと言えば、参加した場に対して

懸念・疑問・アイデアミスなどを声に出しても大丈夫だ」という信頼があるかどうかで決まります*3
これは Amy Edmondson が「心理的安全性(psychological safety)」*4としてまとめたものである。これと同じ趣旨の記事としては Google のプロジェクト・アリストテレス*5を紹介したいくつかの記事がある(これも Edmondson の心理的安全性の活用例である)。この「心理的安全性」の醸成ができれば「フリーライダー」が減るのではないだろうか?

「参加者」の具体的な行動のモデルとしては、パズルを解くような研修プログラムのやり方がひとつの範例となるかもしれないが、設計、準備が大変。心理的安全性の確保とその上でのロールモデルの提示と行動の促しというのはとてもチャレンジング*6

ちょっとズルいかもしれないが、「ロールモデルを知っていたら、ポジティブな演技をして、埋没できるよ」と説得するのもありかもwwwww


*1:もちろん全員がフルにコミットした状態というのも、ファシズム的でキモチワルイ状態だと思ってしまう。

*2:わたし自身が「参加者」「ファシリテータ」のロールモデルでいくつかの研修形式的にしのいだことがあるwwwwwwもちろんロールモデルと思考トレーニングになったwwwww

*3職場を崩壊させないために必要な「心理的安全性」を作り出す方法 - GIGAZINE
http://gigazine.net/news/20161020-psychologically-safe-workplace/
これはTED講演の紹介記事
Building a psychologically safe workplace: Amy Edmondson at TEDxHGSE - YouTube
https://www.youtube.com/watch?v=LhoLuui9gX8

*4amy edmondson 1999 Psychological Safety and Learning Behavior in Work Teams - Google ????

*5:おそらくこれの1次文献的記事はNYTのWhat Google Learned From Its Quest to Build the Perfect Team, New research reveals surprising truths about why some work groups thrive and others falter. By CHARLES DUHIGG で、日本語の記事でプロジェクト・アリストテレスの出典を書いたもの完璧なチームはどうやって生み出されるのか? - GIGAZINEくらいである

*6:チャレンジング:とても難しそうのポジティブな言い換え

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2016-08-14 (Sun)

地震のイベント数が多くない?

今日、久しぶりにHi-net 高感度地震観測網を見ると、この30日間のイベント数が23,667とある。熊本の地震の頃よりもイベント数が1万ほど多い。群発地震とかのニュースもあまり目にしない。図を見ると列島全体で頻度が嵩上げされたような雰囲気。気になったのでメモを残しておく。

[2016.9.1追記]Hi-netの当該ページ*1には次の記載があった

【平成28年4月14日〜7月24日の震源情報について】
平成28年4月14日の熊本地震発生以来、熊本地方やその周辺では非常に活発な活動が続いていたため、 7月24日までに熊本地方周辺で発生した地震について、気象庁一元化震源要素には、規模の大きめの地震が優先して登録されていました。 7月25日以降、熊本地震の地震活動領域内で発生した地震については、規模の小さい地震も含めて掲載されています。 参照にあたってはご注意ください。
とは言うものの、数年前のスクリーンショットを見直したら、30日でおよそ1万イベントくらいだったので、小さい地震も拾うようになったのであろうか?

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2016-06-17 (Fri)

Excel VBA で曜日文字で回るループを作成する

自分用の覚書。Const では配列 Array を用いることができないので、文字列をデリミタ(ここではカンマ)で区切って、Split() で配列に分解する。Dictionary オブジェクトで連想配列を作って曜日で参照する For Each ループを作成した。サンプルコード

Const sList曜日 As String = "月,火,水,木,金"
Sub test(dic as Object)
    Dim v曜日 As Variant
    For Each v曜日 In Split(sList曜日, ",")
        MsgBox dic.Item(v曜日)
    Next v
End Sub
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2016-02-21 (Sun)

円の問題を丸く収めようとしないバカ

今日の釣り堀

算数の問題「円周率を3.14とするとき、半径11の円の面積を求めよ」の解を379.94とするのは誤り? - Togetterまとめ(4ページ目くらいで挫けた)

はてなブックマーク - 算数の問題「円周率を3.14とするとき、半径11の円の面積を求めよ」の解を379.94とするのは誤り? - Togetterまとめ

小学生の小数の計算問題の文脈なら「円周率を3.14とする」なので11×11×3.14=379.94でもいいんじゃないの?多分、10表記の積の演算ルール(すなわち筆算)の運用が主眼じゃないかな。そこに「有効数字」だのと、場違い文脈依存のフレーム問題をこねくりまわしてよろこんでバカじゃないかと思う。

まず 3.14 という値は、円周率の10進表現を 3.141592654 で近似して計算すると*1、相対誤差が 0.001592654 ÷ 3.141592654 = 0.000506957 くらいなので「およそ1/2000」の食い違いである。円の面積の公式はπ×r×rなので、面積の相対誤差も1/2000程度である。バスケの選手の身長を1mm程度測り間違えた程度。そのあたりの誤差評価がtogetterには全然、出てこないので、「工学(or物理)がー」「算数(or数学)がー」と言っている割には、実用的な値の求め方に対するセンスが誰にも無い*2

もし「有効数字」を考えたいのなら、こんな問題を提案すべきだ

1mm方眼紙を用いて、半径11cmの円を描き、その面積を升目を数えて求めなさい
(ちょっと広い方眼紙を買えば実現可能だし、答えはおよそ3万8千個で下2,3桁にブレが出るだろう。)
しかし「有効数字こだわり派」の発言の中には、そんな小学生にも操作可能な実際的な問題の提案はなく抽象的な「べき論」ばかり。つまり「値」に関する実用的なセンスが無い。

それからtogetterの中にもハテブにもツッコミがあったが、「有効数字」は「計測値」に対するもので「定数」に対するものではない。が、しかし、定数を10進表現して打ち切ったときに打ち切った部分が真値とどれだけズレを持つか?という、打ち切り近似の収束性の問題は考えることができる。相対誤差がおよそ 1/2000 なので、0.19 ≒ 0.2 cm2くらい。1mm方眼紙にすると20升目分くらい。(ただ「打ち切り数値の収束性」の話を「有効数字」と言っちゃうセンスの無さがバカバカしい。)

約3万8千の升目に対する20升目程度のブレに「小学生にも操作可能な具体的なイメージ」を持たずにこだわるあたりが、みなさんとことんセンスが無い「杓子定規VS杓子定規の空中大決戦」になっていると思う。


*1我が家の5年生は 3.14159 くらい、習っている小学校先生は30桁くらい覚えているようだ。好きだねぇ。

*2:とくに@odakinと@astrophys_tan

通りすがり通りすがり 2016/04/07 09:01 さすがあらきさんだけあって、有効数字の論評は天下一品ですね。論点はずれてますが。

本論の「もとの問題の『円周率を3.14とする』を論理的にどう解釈すべきか」、すなわち「『π=3.14と仮定する』という意味に解釈するとprinciple of explosionにより答えが何であっても正解になってしまう」問題については、「円周率を3.14とする」というのは、C言語の#defineマクロのように、「πが出てきたらシンボリックに3.14に置き換えよ」という意味に解釈すれば整合的であると私は考えています。

たぶんこの問題を論理的に厳密に考えている人がいないので、この考え方は正しいのかどうかはわからないのですが。みんなどうでもいいんでしょうかね。

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2016-02-17 (Wed)

130年の放置プレイタイトル盛り過ぎでしょう、佐野先生

プレスリリースがかなりミスリーディングで「はでに盛った」解説の書き方になっているのだが*1立場センセーションを追いかけざるを得ない大学広報意向を汲んでいるのではないかと邪推している。

乱流発生の法則を発見:130年以上の未解決問題にブレークスルー - 東京大学 大学院理学系研究科・理学部
一般論として学者説明は「地味」で「精確」で結果として一般向けには分かりにくくなる傾向があるのは確かなので、これくらいの派手なプロモーションもあって良いのではないか。ただこのプレスリリースの中身を理解するには流体の研究を始めた大学院生程度の知識は必要だし、そうであればこそ大学院に入りそうなくらいの学生向けのカウンター情報は必要だろう。

さて乱流はおそらくは「博物学」を作らないといけないかもしれないくらい現象として多様であり、今回チャネル乱流の発生時の規則性は見つかったが、これが他の乱流(例えば翼の上の流れや、気象現象)への応用が効くかというと難しいのではないか。というのも、流体の運動の研究をややこしくしているのは何も「非線形性」だけではなくて、流体の流れる場所境界の形状や温度などの「境界条件」によってもコロコロ変わるからだ。流体の絡んでくる自然現象は多様であり、それだけに「境界条件」も「方程式の解」も多様である

今回の研究で「法則規則性」は見つかって理論物理学者は喜びそうだが、工学的には「予測」「制御」への応用は難しいと思う。というのも、directed percolation という現象論モデルできれいにデータを整理できるという話であり、「なぜその規則性が、その形状・状態の、その速度で、生れるのか?」という大問題は未解決のままだからだ。さらにはこの規則性はどの形状まで適用可能なのか?は謎のまま。*2

乱流の発生は130年間未解決だったか?というと、そうではない。例えば気象現象の基礎となる熱対流による乱流を例に取ると、線形安定性の解析は1960年代の Chandrasekhar の教科書*3や、カオス研究の紹介ではおやくそくの題材の Lorenz アトラクタを出す Lorenz モデル*4、倍周期分岐 (period-doubling bifurcation) による乱流への遷移*5など、1980年代くらいのカオス研究や数値シミュレーション研究の勃興期くらいから、かなりの基礎的なことが実験的にもシミュレーション的にも分かっている(佐野先生も液晶を使って対流のパターンとかの実験をやってらしたはず)*6

その一方で、壁に挟まれた領域の流れやパイプの中の流れの不安定化の問題は亜臨界分岐 (subcritical bifurcation) であり、理論的にかなりハードであることが知られていた。ハードになるには理由がある。「境界の形状に応じた流れ」が存在しているところに、「流れに揺さぶりをかける」とどのように流れが反応するのかを調べねばならない。ということは元々の「境界の形状に応じた流れ」を調べねばならない上に、その流れに応じた線形安定性問題、非線形の解の分岐の問題を扱わなければならないからだ。数学的には…、まずはじめに「揺さぶり」を記述する方程式が線形だけれども非エルミートになるし(量子力学の固有値問題がなんとうらやましいことか)、さらには分岐の後の解は(乱流まで含めて)数値計算で求めるしかない。

今回の研究の「研究者向けの目玉」は流れが速くなるにつれて乱流の振るまいがどのように変化するかを丁寧に整理していることなのだ。「乱流の変化」を整理したら「乱流の発生」の振る舞いに臨界現象との類似が見つかったということ。後知恵で見ればそれはそうだ。不安定性の開始点では不安定モードが異常に長い相関距離と相関時間を持つ(という「ジャーゴン」で線形安定問題を見る流体力学者は多くない気がする)。しかし未知の野を切り開き、それを見出すことはなんと難しいことか。

いままではある意味で「何が問題なのかわからない」という出来の悪い学生のような状態であったところに、「directed percolation で記述できるダイナミクスは何か」という研究目標ができたのだ。もちろんこれが理解のすべてではないと思う。チャネル流平板クエット流の研究では河原・木田の「乱流の骨組みとしての不安定周期解」*7という大発見もある。

というわけで、乱流発生に関する「きれいな貝殻」はプレスリリースのタイトルとは裏腹にまだたくさんあるんじゃないかな。

*1:注:プレスリリースアブストラクトだけ読んで書いている。

*2蛇足だが、断面が正方形の管と円の管では臨界レイノルズ数が違う。

*3Hydrodynamic and Hydromagnetic Stability (Dover Books on Physics)

*4:熱対流の記述には粗すぎる近似だけど。

*5:Libchaberの実験なんかのレビューとかすぐに見つからないな(情けない>自分)。

*6:だから、この辺は刈り取りがほぼ済んで研究をやるネタが無い分野でもある…とボクは思っている。

*7:GENTA KAWAHARA and SHIGEO KIDA, Periodic motion embedded in plane Couette turbulence: regeneration cycle and burst, Journal of Fluid Mechanics / Volume 449 / December 2001, pp 291- 300. http://dx.doi.org/10.1017/S0022112001006243

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