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2017-05-26

河合隼雄さん

ユング心理学と東洋思想 (河合隼雄全対話)

久しぶりに河合隼雄さんの対談本を読みました。
心の動きについてしみじみ思うところがあったり…
また印象に残ったところを書きとめます。

ここは魔についてのお話です。ちょっと端折りすぎでわかりづらいかもしれませんが…

P54
川田 ・・・釈迦菩提樹の下に座って、そこから禅定に入っていきます。そのときに、菩提樹の下に座らせないように、魔が働きかけてくるわけです。菩提樹の下に座ると仏陀になってしまうから、座らせないようにという働きです。菩提樹の下というのは、人間の肉を食べる鬼とか、そういう恐ろしいものがいっぱい出てくるから、そういうところに座ってはいけないと魔が言う。釈迦が、それらを乗り越えたときに、こんどは魔が姿を変えて、釈迦族の一員になって、うその報告を菩提樹の下に座ろうとする釈迦にするわけです。というのは、提婆達多がいま釈迦族の城に入って、王位を受けて王になってしまったと。なんじの宮内に入ってことごとくなんじの妃を納受し、なんじの父浄飯大王もまた牢獄につながれている、釈迦一族は全部城から追放された。それなのになぜそんなところに座ろうとするのかという魔の働きです。ユング心理学でいう影というのもこういう働きになってあらわれてくるんですね。

河合 ―いろんな見方ができると思います。もし釈迦がそれを本当のこととしながら、なお菩提樹の下に座ったとするならば、それは肉親の否定を意味するわけですね。つまり個人的な層で肉親を否定して、たとえ自分の妃なり父親がなんとなろうと自分は座り続けるということは、それによって個人的な肉親を否定し、その後に全人類の父になり、全人類の母になれば、より広い意味において、それが回復されるわけです。普遍的な存在となる以前に肉親を否定するという見方をしますと、面白いと言えます。また、逆の言い方をしますと、釈迦だから座りきれたわけで、普通の者はそこに座り続けると死んでしまう。あるいは家族が非常に不幸になるかもしれない。だから魔とも言えるんだけれども、非常に健全なる批判精神という言い方もできるわけです。両面を持っていると思うんです。
 われわれは、健全なる批判精神と魔とが分からなくなって、変なところに座り込んで家に帰り損ねたり……(笑い)、菩提樹の下のつもりでバーに座っていたりするから間違うというふうに考えますと、その影の働きというものは非常に微妙なものなんですね。にわかに善悪は判定しがたい。

川田 ―釈迦にとってはこれは善ですね。

河合 ―そうです。そしてそれを乗り越えていくわけです。だからそういう意味からすると、魔の働きというのは非常に面白いですね。

・・・

川田 ―魔が釈迦の成道の際に全部生き返りますね。

河合 ―そういうことなんです。それと常に対決して、釈迦が自分のものとしているから生き返るわけですが、それを完全に排除したり、それに巻き込まれたりしたら、全部そこでだめになるわけでしょう。そういうふうに考えると、変な言い方ですけれども、釈迦釈迦であらしめるために、どれだけ魔性の力があったかという見方で魔性全部を見ることができる。つまり影のほうからものごとを見るわけです。

・・・

河合 ―われわれの心の状態もそうでして、われわれの影の部分というのは排除されるべきものでなくて、変わるわけでしょう。

川田 ―そのあたりも意識を広げて、影を組み込んでいって、最終的なところにまで至るということ、つまり、自己の顕現に至るということですね。

2017-05-25

じっくり考えるよりも・・・

脳はこんなに悩ましい (新潮文庫)

「じっくりと考えると、人はこじつけを始める」というところ、ほんとにそうだなと興味深かったです。

P253
池谷 厳密な記憶情報にこだわらないで、思いきって些細な部分を無視する能力も重要なのです。たとえばこんな実験があります。サッカーが大好きな人に「ワールドカップの勝敗を予想してください」という課題を与えたときに、みんなで慎重に議論しても、意外と予想が当たらない。反対に、「目を閉じてボーッとしてください」とお願いして、目を開けた瞬間に予測してもらっても、やはり当たらない。つまり、じっくり考えてもダメ、考えなしに決めてもダメ。では、どうすれば一番予想が当たったかというと、注意力を要求するゲームを別途でやってもらったときです。

中村 ゲームで気をそらすと、なんでサッカーの勝敗を正確に予想できるの?

池谷 たくさんの情報を吟味して、じっくり考えると、人はこじつけを始めるようなのです。作話して、間違った結論に落ち着いてしまう。考える時間がまったくないのもいけませんが、考える時間がありすぎるのもよくない。ほかのタスクをやりながら適度に気をそらしたうえで、「勘」にしたがって判断したほうが成績は良いのです。

2017-05-24

日常的に幻覚を見ている?

脳はこんなに悩ましい (新潮文庫)

へぇ〜そんなにちがうの?!と、ちょっと意外でした。

P248
池谷 ・・・そもそも「見る」という日常的な行為さえ、ほぼ幻覚に近いと思っています。携帯電話でさえデジカメの解像度は何百万画素以上ありますが、ヒトの目の網膜はわずか百万画素なんですよね。分解能で言えば、粗くざらついた貧弱な映像しか脳に届いていない。でも、「脳に見える風景」はなめらかで美しいですよね。脳は、少ない情報を得たうえで、「目の前にあるのはきっとこんなだろう」と想像で補っている。だから、わずか百万画素でも、こんなにスムーズでザラツキのない世界を感じることができる。

中村 過去の記憶なり情報をもとに「見た」気になっちゃっているのか。

池谷 網膜という粗末な装置から入ってきたわずかな情報を手がかりに、本当は見えていないはずの膨大な隠れた情報を補いながら、リアルな「体験」をしている。これはもう、ほとんど幻覚と言ってもいいくらいです。実際、黄色という色は幻覚です。だって目には赤と緑と青の三種類の色センサーしかないのですよ。黄色のセンサーを私たちヒトはもっていませんから、本来は感じるはずがありません。ところが、左目に赤色、右目に緑色を見せると、黄色を感じます。「外界に存在していない色」をあたかもそこに「存在している」かのように感じるのだから、幻覚そのものです。

2017-05-23

ともかく信じる

脳はこんなに悩ましい (新潮文庫)

予定を過去形で書く。夢を叶える方法としてもよく知られていますが、そのお話がありました。
「ともかくできるんだと信じることが重要」と脳科学者の方にも言ってもらえると信憑性が増しますね。
私も時々、手帳の、この辺りでこうなってて欲しいというところに「○○になった!おめでとう!」とか書いておきます。ほんとにそうなるので、逆にうかつなことは書けません(笑)
ヘミシンクセミナーでも「素敵な出会いを引き寄せる」という似た内容のものがあります。
次回は7月5日(水)、めずらしく平日です。
引き寄せのコツは、とにかくブレーキやブロックを外すこと。
潜在意識の浄化に興味がある方におすすめの内容になってます。
よかったらいらしてください♪
お申し込みはこちらです→http://www.aqu-aca.com/seminar/patterning/
あと、この週末にはインナーチャイルドコースがあります→http://www.aqu-aca.com/seminar/innerchild/
このコースは心身共に癒されます。こちらもどうぞ、ご参加ください(^^)

P172
池谷 それで思い出したのですが、私が続けている習慣があります。朝起きると、パソコンに向かってブログを書くんですよ。昨日あったことを書くんじゃなくて、今日やることを書く。しかも過去形で。「今日は海馬回路の学術論文を書き上げた」「今夜は中村うさぎさんと楽しい話題で盛り上がった」。こう書くと、実際そのとおりになる気がしています。

中村 おもしろーい!しかも、前向きな日記として書くんだね。

池谷 そうです。いや単に、「今日はこれをするつもり」と未来形で書いてしまうと、その日が終ったときに完了形に修正しなくてはならないので面倒くさいという理由もありますが(笑)。それでも、これから起きることを過去形で書くのは意外といいかもしれません。何も手をつけてない仕事でも、「もうできた」と書いてしまう(笑)。

中村 一日経って読み直したときに、けっこう高い確率でできているもの?

池谷 ええ。まあ、そもそも「このくらいなら、できそうかな」という範囲で書いているのもありますが。わりと達成率は高いです。最初から「無理だ」と思ったら、それは書かない(笑)。「ギリギリ行けるかも……」というボーダーラインを書いてみると、意外とできちゃったりする。・・・ともかく「できるんだ!」と信じることが重要ですよね。
 器械体操ムーンサルトという技は、つい四十年ほど前の人はできると思っていなかった。いや、概念すらなかった。でも塚原光男選手が世界に先駆けてやっちゃった瞬間、「人間にはムーンサルトができる」という認識が世間に生まれたわけです。すると周囲の人も、できるようになる。今や、小学生でもムーンサルトをこなす時代ですよ。そんな具合で「ヒトってこんなことができちゃうんだ!」という「認識」こそが重要。

2017-05-22

逃げ道の大切さ

脳はこんなに悩ましい (新潮文庫)

逃げ道があるだけでストレスが変わる、当たり前といえば当たり前ですが、大事だなと思いました。

P90
池谷 ・・・ストレスには二種類あります。精神性のストレスと身体性のストレス。・・・身体性のストレスは無意識です。本人はツラいと思っていなくても、身体が蝕まれているケースですね。身体性ストレスは、実は、きちんと計測できるんです。・・・ストレスホルモン血中濃度を測ればいいのです。ストレスホルモンについては重要なデータがあります。ストレスホルモンを強制的に放出させるペンタガストリンという薬を使います。いや、薬というよりは、毒に近いですね。「ストレス発生物質」ですから。点滴するとストレスホルモンの血中量が強制的に増えます。この実験は一般人からボランティアを募って行われました。二つのグループに分けます。一つはただ点滴するだけのグループ、もう一方は、枕元にボタンを置いて「具合が悪くなったら、ボタンを押せば実験を中断できます」と説明してから点滴するグループ。

中村 興味あるなあ。やってみたい。

池谷 そうですか(笑)。こういう嫌な実験にボランティアで参加して下さる方は真面目な方が多いのか、ちょっとくらい具合が悪くてもボタンを押さないんですよ。

中村 我慢しちゃうんだ。中断させたら申し訳ないもんね。

池谷 結局、両者に同じ量のペンタガストリンが点滴されます。にもかかわらず、ボタンがあるグループは、ストレスホルモンの上昇量が五分の一くらいで済んだのです。

中村 へぇ!逃げ道があると思うだけで、ストレスに耐えられるわけですね。

池谷 ストレスから逃げる必要はない。ボタンというストレス回避法があることを「認識する」だけで、すでにストレスを解消したのと同じ効果があるのです。・・・この実験にも、やはり、精神と物質の接点を感じますよね。

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