かぶとむし日記

映画、音楽、本の感想を中心に日記を更新しています。

ブライアン・シンガー監督『スーパーマン リターンズ』

 
【写真】:新しく登場した、スーパーマンロイス・レイン


小さな頃からのヒーロー、スーパーマンが還ってきたというので、早速見てきました(笑)。スーパーマンは、クリストファー・リーヴからブランドン・ハウス(新人)へ、悪役レックス・ルーサーは、ジーン・ハックマンからケヴィン・スペーシーに代わっておりますけど、ストーリーは、これまでの話を継承しております。

スーパーマンの恋人、ロイス・レインケイト・ボスワース)は5年前にスーパーマンが突然地球から姿を消したことに傷つき、いまは新しい恋人と婚約し、子どもがひとりいます。スーパーマンと5年ぶりに再会して、戸惑いをみせるロイス・レインケイト・ボスワースが、切ない表情をみせてくれて、ちょっといいです(笑)。

つまり、今回の「リターン」でも、スーパーマンロイス・レインの恋の行方が、全編を一貫しているわけでございますね。

まだ公開されたばかりなので、内容的なことは控えます。スーパーマンの飛び方は、いっそう速度を増し、あのテレビ時代の悠然と空飛ぶスーパーマンが逆に懐かしくなるくらい……。しかし、昔も今も、スーパーマンが、町や空の上を縦横無尽に飛んでいく姿を見て、それだけでなんだか感動してしまいます。


スーパーマンが還ってくるや、アメリカ中、あちこちで災害が発生し、スーパーマンは、事故現場を駆け巡って、救助にあけくれます。それはそうでしょう。現代の災害の多さから考えれば、たった一人のスーパーマンでは、休むいとまがありません……思わず「がんばれスーパーマン!」と、こころのなかで叫びました(笑)。

特撮はたのしめましたが、ストーリー展開はこれまでのシリーズに依存しているせいか、わかりにくい気がしました。今回はじめて「スーパーマン」を見るひともいるでしょうから、もう少し親切でもいいのでは。


しかししかし、ぼくはクリストファー・リーヴよりも、今回の新人ブランドン・ハウスよりも、やっぱりちょっとおじさんだったテレビ・シリーズのスーパーマンジョージ・リーブスが一番好きでございます。あの頼もしい笑顔で(tougyouさんが、こちらでアップしております)、あやうい場面にあらわれ、よき市民を救い、悪い奴らをこらしめ、悠然としていましたですね。あのスーパーマンの笑顔は完璧でした。映画になって若返っただけ、ロイスに恋をしたりして、現代のスーパーマンは、ちょっとその分頼りない(笑)。




【注】:もう1つこちらで、ジョージ・リーブスが演じた懐かしきスーパーマンの立ち姿を発見!

アルバム『ビートルズ・フォー・セール』(日本発売1965年春)の想い出〜ringoさんへのコメントに代えて


【写真】:『フォー・セール』の中扉の写真。これがビートルズのオリジナル・アルアムでは、はじめての見開きジャケットではなかったでしょうか。


【注】:ringoさんのブログはこちら



ビートルズ・フォー・セール』の頃、ぼくのビートルズ熱は最高点に達していました。中学3年生で高校受験をひかえていましたが、毎日自室へこもってビートルズ三昧(笑)。母か父か忘れましたが、「受験とビートルズ、どっちが大切なんだ」といわれて、「もちろん、ビートルズに決まってるだろ!」と応えたのも、この頃(笑)。

そのためかどうか、アルバムが発売されても『フォー・セール』を両親から買ってもらえず、毎日レコード屋さんへいって、『フォー・セール』をしげしげ眺めていました。すると、レコード屋のおばさん(デパートなので、おそらくパートのおばさんでしょう)から、「よっぽどこれが好きなのねえ」と話しかけられ、事情を話すと、「お金はあなたが高校へいってからでいいから、このレコードをもっていきなさい」といわれました。信用貸しでぼくの名前も聞きません。その時、こういう大人もいるんだなあ、とその親切に感極まった想い出があります。「ビートルズ探検隊」では、以前お話した話題ですが。


大好きな1枚です。1曲目の「ノー・リプライ」からもう一気にビートルズの世界に惹きこまれてしまいます。「アイム・アー・ルーザー」、「ベイビーズ・イン・ブラック」と、子どもにはちょっとわかりにくい曲が2曲続きますが、次の「ロックン・ロール・ミュージック」で、一気に抑えていたものが爆発します。凄いロックン・ロールです。いまでも、唾が飛んできそうなジョンのヴォーカルに心が高鳴ります。次の曲「アイル・フォロー・ザ・サン」の美しさは、ロックとバラードまでのビートルズの振幅でしょう。とにかくシンプルな美しさで、ベタベタするような甘さはありません。

ミスター・ムーンライト」は、頭に出てくる、ジョンの一発のがなりで、卒倒しそうです(笑)。あとで、オリジナルも聴きましたが、ビートルズはオリジナルを超えています。

バディ・ホリーの「ワーズ・オブ・ラヴ」、カール・パーキンスの「ハニー・ドント」と、これらのカバーはオリジナルと拮抗しております。オリジナルも味わい深い、しかしビートルズがやるとこれはもうビートルズそのものなのです。このあたり、完全にもう『フォー・セール』の世界ですね。

全曲1つ1つ感想書いても仕方がないかなあ(笑)。でも、例えば「エヴリ・リトル・シング」は、一筆書きで書き殴ったような傑作小品。ジョンのヴォーカルがいい。しかし、ジョン本人はアルバムを埋めるためのゴミだった、というから、こういう人と一緒にお酒を飲みたくないなあ(笑)。

ホワット・アー・ユー・ドゥイング」では、リンゴがテンパニーを叩いている……のかな。あれ、ドラムの音ではないみたいですね。こんなところにも、ビートルズが少しずつ使用楽器を広げていることがわかります。

そしてそして、待ってましたぞ! ラストを飾るのは、ビートルズいちのシャイ男(笑)、ジョージ・ハリスンが歌う「みんないい娘」です。これもカール・パーキンスですね。

ずっとずっとあとになって、1986年でしたか、「カール・パーキンス・ショー」にジョージが出演し、「みんないい娘」をライヴで歌いました。隠居していたジョージが、イントロなしのこの曲をちゃんと歌ってくれるか心配でしたが、みごとなものでした。ジョージは、このテレビ出演で手ごたえを感じたのか、翌年傑作アルバム『クラウド・ナイン』を発表、大ヒットしましたですね。「みんないい娘」に歴史ありです(笑)。

ビートルズ・フォー・セール』は、ビートルズが成長していくなかの、過渡期的な作品といわれておりますが、実際そういう側面もあるわけですけど、彼らにかかると、だから軽視されていいものではなくて、このアルバムだけが発散している独特の渋い香りのようなものがありますね。ついつい、ringoさんのご紹介に、強く反応してしまいました。

最初にアップした見開きジャケットの中写真は、ポールが「カンサス・シティ〜ヘイ・ヘイ・ヘイ」を歌っているシーンでしょうか。何から何まで大好きなアルバムです。

ringoさん、ご紹介ありがとうございました。