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ハイカロリー

Shin Yamagata

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2015-07-01

2015-06-30

11月6日

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夜にガスっているのがわかるのはそこに光があるからだ。街灯や車のヘッドライトによって照らされ乱反射するミスト状となった水は動きを止めることなく目の前を移動し続けている。ミスト状となった水は水滴とは呼べない。しかしそれは水であった。あなたは水の中を歩いている、しかし服は水浸しになったりはしない、それでもやはり少し湿った感じがする。衣服から露出している顔や手も同じように水に触れていることになるが特に湿った感触を感じないのはすでにこの状態に慣れてしまっているからだろうか、鼻から吸い込んだ空気中に含まれる水分はあなたの肺に到達している。あなたは水の中にいた。

2015-06-28

6月27日

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金村さんの写真展に行った。写ってるものがほとんど目に入ってこない、写っているものの上にあるシミ、液体が垂れ流れたような痕、試し焼きの印画紙がくっついていたような痕しか目に入ってこない、一応試し焼きはしてるんだ、写っているものを見ようとすれば意識的に見ようとしない限り見えてこない、見るのがめんどくさくなってシミしか見ない、シミそのものはたいしておもしろくない、こっちに垂れ流したんだ、ああこれはくるっとやったのね、これは現像中の印画紙に光を当てたのかな、写真に写っているものはもうどうでもいい、どうでもいいけどこれはいつもの金村さんの写真と同じ撮り方だ、薬品のにおいはない、水洗はちゃんとしてるのかな、前の銀座の展示は薬品のにおいがすごかった、それにシミの向こうに写っているものがきちんと見えていた、随分変わったな、写真の大きさの問題かな、ちょと違うな、バライタとRCの違いもあるかな、シミに対してこれは何々のようだというのはアホらしい、こういう写真を見ると必ず写真の物質性がなんちゃらとか言いたくなる人いるなあ、そう言うのが一番簡単だなあ、それにしてもシミしか見えないなあ、写ってるのにシミしか見えないなあ、

2015-06-25

3月24日

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ゴーという轟音の方へ目をやると基地から戦闘機が三機離陸した。離陸直後に機体を傾けほぼ直角に曲がっていく戦闘機はすぐに見えなくなる。ここは沖縄だ。

2015-06-23

3月3日

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イオンに行ってみた。二階か三階にマネキンがソファーに座っていた。そのマネキンの手の位置を少し変えてみた。肩を少しまわし、肘も少しまわした。それだけでその売り場の空気が一変した。異様な光景になってしまった。これはおもしろい、と気付いてしまった彼女は少し離れたところに立っていたマネキンの腕も少しいじった。またもやその場の空気が変わった。彼女は全国のイオンマネキンをいじりたいと思った。それはできないからその辺りに立っているマネキンをいじった。いじりすぎて手首から先がもげてしまったものもあった。その手首は地面に置いた。それはそれでおもしろいと思った。彼女の目はいきいきとした。

2015-06-19

3月7日

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坂がある。坂の下には水を湛えた場所があるのだがそこがなんなのかわかっていない。お堀なのか池なのか川なのか運河なのか。お堀だとしたら城でもあるのだろうか、あるとしたら何城になるのか。どうして今日この場所にいなければならないのだろうか、男は見たくもない看板の文字を目で追っていた。しかし文字が読めない。遠くから列車の走る音が聞こえてくる。しかしそれほど遠くはないはずだ。さっき電車を降りたばかりではないか。

2015-06-17

7月14日

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外は蒸し暑く雨が降るかもと天気予報でいっていたのに雨は降りそうにない。「不安定な大気」などと言う言葉をここ何年かよく聞くようになったのは、そういう言葉を意識して聞くようになったからなのか、そういう言葉を天気予報でよく使うようになったからなのか、大気が不安定な状態が実際生まれやすくなってきたからなのか、いわゆる異常気象が続いていてそれが普通になったのか、ここ何年かよく聞くのではなく何十年も前から毎年「不安定な大気」と言われていたのか、なんなのか、昔のことを忘れてしまいやすいわたしは考えてもわからないことをだらだらと考えてしまい、アゲハチョウの幼虫の確認をしようと思っていたみかんの木を見るのを忘れて歩き続ける。アゲハチョウの幼虫は少しだけ大きくなっているはずだった。

2015-06-15

1月12日

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ストーブの前で寝転がっている犬は鼻息をフーと吐き出し口をクチャクチャと鳴らしたあとは動かない。ストーブの上に載せられている黒い薬缶からは水蒸気が出ているから部屋の中の湿度は充分で乾燥のことよりも結露をむしろ心配すべきだった。ラジオからは知らない音楽が流れていてそれは知らなくても古い音楽だというのはわかる。隣の一軒家の白い壁に夕方のオレンジ色の光が当たっている。空はまだまだ青く、色のコントラストはまだ冬なのだということをしつこく告げている。もう少しで日が暮れる。

2015-06-13

6月12日

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全員があいつはおかしいと言った。例外はなかった。普段は温厚な彼女が一番興奮してあいつがおかしいんだと叫んでいた。全員が同じ感想を持つことなんてあり得るのだろうかと疑う気持ちはよくわかる。しかしそういうことは起こるのだ。見たまえ彼女の興奮した赤い顔を。目深にかぶった帽子から時折見せる白い顔が、ほら、あんなに赤く、まるで太陽の熱に灼かれた鉄球のよう、それから右手に掴んだしわくちゃの帽子、今にも燃えだしそうではないか。それを見てもまだ全員が同じ感想を持つことなんてあり得ないと言えるのか。見たまえ彼を、普段標準語を話す彼があいつはアホだと叫んだ、まだあなたは信じないのかね、そういうこともあるのだよ。

2015-06-11

3月13日

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何かを言っているようで何も言っていないのは自分の知識を話しているからで、自分の考えだと装った知識はただの知識であって考えたことでもなんでもないものだということに気付いていないその人の得意になった顔、はっと気付いたような振りをしてわかったというその顔、実際本人はわかったと思っているのだろうけど、それはある知識とある知識が結びついただけでその結びつきはわかったということとは程遠いなどとはまったく思わずうきうきしたその顔、そんな顔を見るのはいったいこれで何度目だ、ぼんやり梅の花でも眺めていたい。