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ハイカロリー

Shin Yamagata

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2014-10-25

7月10日

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台風が来ているからか体に暖かい水が纏わりついている。空気中の水分が目視できるのではないかというくらい。実際着ている服は湿っている。水気を感じるのだが水を見ることはできない。間もなく飽和状態になり急に自身の目の高さの空間から雨が降り出すのではないかと思えるくらいなのだがそんなことは起こらない。誰もが不快な顔をして歩いている。しかし学校帰りの小学生だけは傘を振りまわしいつもと変わらずはしゃいでいる。駆け出す数人のランドセルを背負った小学生の後姿を見てから女は空を見上げた。

2014-10-23

9月4日

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品川ナンバーの大きなジープのような車に乗っていた小さな男の子を二人連れた若い母親のそばには父親の姿がないのだから三人で徳島へ何のために行っていたのかはわからない。母親の髪を掻きあげる仕草は母親らしい姿を想像させることはなく、見たことのない大きなジープのような車に乗っていたのを目撃していたからか、この親子はお金には苦労していない、という雰囲気だけが指の隙間からこぼれ落ちる髪の毛に現われているような気がしないでもなかったけれど、実際は女の色気だけが漂っていた。間もなく東京だ。

2014-10-22

6月20日

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パッと見ればすぐに二、三匹の鳥の糞のようなアゲハチョウの小さな幼虫がくっついているのを見ることのできた近所の家の庭に植えられている小さな金柑の木からアゲハチョウの幼虫の姿が消えてしまった。家の人が金柑の木を守るために駆除したのかもしれないし何かに食われたのかもしれない。近所のアゲハチョウの幼虫は時間がたつにつれて姿を消しつつあるのだがその原因はよくわからない。しかし成虫となったアゲハチョウが飛んでいる姿もよく見るようになっているのだからどこかで蛹になっていたものが羽化しはじめているのも間違いない。わたしには見えていないところがたくさんある。今日はクロアゲハを見た。

2014-10-20

5月14日

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不動産屋というのは水曜日が休みだ。「貸し店舗」と張り紙が貼られているものの不動産会社の会社名や電話番号はなくただ赤い字で「貸し店舗」とだけ書かれた紙が二箇所に貼られている。すりガラス越しに内部を見ると厨房は取り払われ床にはものが散らばり壁は剥がれ天上も剥がれコードが垂れ下がり随分と荒れている。ここはかつて居酒屋だった。隣にあるパチンコの交換所のおじさんに「隣はどこの不動産屋が扱っているのかわかりますか?」と聞くと「そこの角の蕎麦屋が大家だから」と教えてくれた。蕎麦屋は臨時休業ということで今日から一週間休んでいるようだ。

2014-10-18

7月4日

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新しいカメラを中古で買った新しい三脚にくっつけて近所を歩いてみた。三脚をたてる、雲台を動かす、ファインダーをのぞく、雲台を動かす、ライブビューにしてみる、雲台を動かす、シャッターを押す、三分の二段露出を落としてもう一枚撮る、移動する、三脚をたてる、ライブビューにする、三脚を動かす、雲台を動かす、ファインダーをのぞく、やっぱり三脚をもう少し後ろに下げる、雲台を動かす、シャッターを押す、本当に三脚は必要なのか?

2014-10-16

4月26日

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早起きしたとしてもすでに明るい。外へ出ても寒くもないから上着もいらない。犬を連れたおばさんが地面にしゃがみ込んで草をいじっている。その横でねずみ色の体の大きな犬はこちらを見て舌を出して笑っている。犬の頭上の電線にはスズメが三匹チュンチュンとないている。この辺りでツバメを見ることはない。本来なら上空にツバメが飛んでいる季節だというのに。

2014-10-14

3月21日

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祝日だから電車に乗った。かばんにはパンが一つ入っている。車窓から見えるマンションのベランダを猫が歩いているのが見え、あちこちで白や赤やピンク色の梅の花が咲いているのが見え、電車の外は祝日だ。電車を乗り換えると電車の外は暗闇だ。暗闇に目をこらしてもガラスに映る自身の顔や車中が見えるだけで暗闇そのものが見えるわけではない。そろそろかばんの中のパンは押しつぶされ、中のあんこがはみ出している。パンとは餡パンだ。

2014-10-12

10月9日

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迫り来る台風が人工的に作られたもので日本を攻撃している、なんてことを何の根拠も示さずに言っているのをそのまま信じてしまう人があまりにも多くて、小学校中学校の義務教育の中で教えられた科学の知識があればほんとにそんなことできるのかなという疑問が生じるはずだし生じてしまえばどうやって台風を人工的に作るのかという興味がわきそうなものだけど素直な人が多いのかなんなのか根拠も示されないまま疑いなく信じてしまえることが恐ろしいですねえ、とコメンテーターという職業の人がずり落ちそうになっているメガネを触りながら言っているテレビ画面を見ている猫が急に窓の外へ顔をやったので雨でも降ってきたのかしら、まさかもう人工台風が、

2014-10-10

7月8日

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久しぶりに青い空を見たと思ったらその空は以前の空とは何かが違っていて夏の空になっている。夏の空だなあと思う条件とはいったいなんなのだろうかと空を見て考える。まず重要なのは今が梅雨だということだった。そんなことよりも蝉が鳴いている。昨日の夜は気温も低く雨が降った直後だったので今鳴いている蝉は昨日土から出てきた蝉ではないような気がするのだけど本当のことは何もわからない。蝉の声はアブラゼミだ。地面に落ちる木の影が真っ黒だ。この影の黒さは冬の影の黒さといったい何がどう違うのか。何も違わないのだとしたらこちらの気分が違うのだ。こちらの気分によって影の濃さが変わるなんて馬鹿げた話だろうか。ただし写真に気分は写らない。そして写真に写る影の濃さは自由に変えることができた。夏の空がある。

2014-10-08

2月24日

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洗濯機にバケツで何回も水を注ぎいれる。ボタンを押すだけで済まなくなってしまった洗濯機によって生きていくとはこういうことだという実感を得ることとなり体力と時間を奪われることになる。