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ハイカロリー

Shin Yamagata

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2015-01-31

1月20日

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最初に降り立ったバス停は山の中の道の駅なのに自動販売機しか稼働していなくて食べたかったこんにゃくを食べることができない。道の駅を立ち去り川沿いの県道を上流へ歩いていく。川をのぞき込んでも魚の姿は見えない。魚はいるはずだけど冬の間どこにいるのかわからない。しかしカワセミが飛んでいてカワセミは魚のいる場所を当然知っていて毎日捕まえては食べているのだろう。わたしが魚のいる場所を知らないだけのことでわたしと川のつき合いがそれほどのことでしかないということだ。

2015-01-29

1月24日

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今日はやたらと人を見かけるのは土曜日だからなのか。畑で作業しているおじさんが「どこへいくんや、上まで行くのか?」と聞いてくるから「はい、そのへんまで。」と答えて少し上まであがって撮影してもう家がなさそうだから下って歩いていると、うしろからピッと軽トラに警笛を鳴らされた。さっきのおじさんで、「山の上まで乗せていってやる、今日はサービスや。」と言う。「今日はよく晴れてるからあの向こうのなんとか岳とかなに山も見えるぞ。山の上にひらけた場所があってそこからの景色は最高や。」わざわざ軽トラに乗って追いかけてくれてきたのだから断るに断れないけど、どうやって断ろうかとしか考えられない。

2015-01-27

1月18日

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土にまみれただいこんを抱えているおじさんが上の畑から降りてきた。「うお、うお」とこっちを見て何か言っている。ここは明らかにこのおじさん家の敷地内だった。こんにちは、写真撮ってます、と言うとそれでよかった。おじさんはよくしゃべった。しかししゃべり方が独特で聞き取れるまで少し時間がかかった。山の上に出ればどこへでも行けた、というのは昔の話で、昔は川沿いじゃなくて山の上をみんな歩いていた。そこの山あるやろ、とおじさんが指をさす山を見る。その山越えて行ったら大塔の篠原って知ってるか?あそこにいけるんや、と教えてくれて、はっとした。篠原というところは行き止まりの集落でかなり奥深いところにあっておじさんと話しているところからだと車道で20キロ以上離れている。それが歩いて一つ山を越えれば篠原に到着し、距離は直線で3キロにも満たなかった。だからといって歩いて一時間で行けるわけがなかった。

2015-01-25

1月21日

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川へ降りると川にいた数羽の鳥がバタバタと山の茂みに突っ込んでいった。川の上流にはあと二つの集落しかないしその集落にも人がもうあまり住んでいないから水はきれいで澄んでいる。またネイチャーフォトグラファーに自動的になる。普通に撮るだけだときれいな写真はできない。様々のものを排除してやっときれいになる。たとえば水底に沈んで固まっている枯れ葉や枝とか川底の目立っている黒い石とか上から画面に割り込んでくる一本の太い木の枝とか。どんどん排除すれば撮影する場所というのはごくごく限られた場所になってしまう。その排除する課程である種の高揚感を覚える人もいるだろう。ここではない、ここでもない、こっちだとこうだからここしかない、と自身の置き場所を探る行為。そうやってできあがった写真は確かにきれいだ。しかしつまらない。そういう限られた一点を見つけ出すのがわたしの仕事ではない。わたしは別の一点を探る。しかしカメラはどこか一点に置かなければならないということでは前者も後者も変わらない。

2015-01-23

1月19日

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午前中は雨が降ったり止んだりの繰り返しであまりカメラを鞄から出そうとは思わない。集落の端っこまで歩くとそこに舗装されていない砂利の林道があるから入ってみる。普段はそういうところへはいかないけど天気が天気だから行ってみる。林道の脇はすぐに鬱蒼とした山で、それは人間の手の入った山だからそれを大自然と呼んでいいのかどうかは意見の分かれるところだけど鬱蒼としている感じは人里にはないものでどちらかといえば自然に近い。林道から外れて大きなシダをかき分け山に入り地面に落ちている枝を踏んで枝の折れる音を山の中に響かせネイチャーフォトを撮りだした。別に撮ろうと思っていたわけではなかったのにシャッターを押せば押すほどわたしはネイチャーフォトグラファーになった。

2015-01-21

1月17日

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雲が多くたまに晴れ間が出ていた空の北側に黒っぽい雲があるのはわかっていた。しかし南へ向かって歩いていたしたいていは南側の天気が悪いから北側の黒っぽい雲のことはほとんど気にしていなかったしその雲がこちらに向かっているとも思っていなかった。雪がほんの少し降ってきて、風が強いからどこかの雪がここまで飛んできたのだろうと思って振り返ると顔に雪がたくさんぶつかった。振り向いたときにはもう雪がたくさん降っていて視界は真っ白で空は黒かった。一瞬のことだった。カメラを濡らさないように屋根のあるところまで急いだ。屋根の下にたどり着いたときにはさらに薄暗くなり道路に設置された蛍光灯が点灯した。雪なんてまったくなかったのに風景が白くなっていく。道路まで白くなっていく。

2015-01-19

1月15日

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朝から雨が降っていてどこへも行かない。夕方小降りになったから歩いて20分くらいのところにあるスーパーへ買い物へ出かけた。スーパーに到着してすぐに気付いたのは財布を忘れてきたということだった。帰りも行きと同じように20分くらいかかるから財布を取りに帰ってもう一度スーパーへ行くとなると全部で80分になる。足し算でもかけ算でも80分と答えが出た。

2015-01-17

1月16日

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男は一人でみやこへ行くことになった。あの東西の男の中間辺りに住んでいた男のすぐ東側に住んでいる昔飛行機に乗る仕事をしていた美人の女から頼まれた用事があり、その一環であった。美人の女はなぜ美人なのかというと飛行機に乗っていたから美人だというわけではなくたまたま美人にうまれてしまったのだった。飛行機に乗って世界中を飛んでいたから熱帯から寒帯までの様々な風景を上空から見ており、どこそこの上空から見たあの景色が忘れられない、と言った女の言葉が忘れられない。そんなことを言いつつ詳しい言葉は忘れてしまったのだけど女が話した言葉から頭に浮かんだ映像はまだ頭の中にぼんやり残っていて、その映像はあまりにも現実味がなくアニメのような映像になっているから長い年月の間に作り替えられたのかもしれなかった。そもそも女からそんな話を聞いていないのかもしれなかった。

2015-01-15

1月14日

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西に住んでいる男と東に住んでいる男とその中間辺りに住んでいる男が西に住んでいる男のすぐ東側にあるみやこで会うことにして、そのみやこを案内するのは当然西に住んでいる男になるのだけどその男の案内は途中からうまくいかなくなる。公共交通機関を利用することなくすべて徒歩で、というのが間違いのはじまりだった。三人は歩き疲れていた。それなのに座るところがなかった。西に住んでいる男は文句を言い始める。このみやこが悪い、どこで飯食うたらええねん、何にもないやんけ、いや、あったよ、あったけど、もっとこっちに来た方が絶対あるのが普通やろ、そやのになんでないねん、戻らなあかんのか、もう歩かれへんぞ、どんだけ歩いたと思ってんねん、

2015-01-13

5月3日

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どうやら腕が伸びたらしい。袖の位置が今までと違いすっかり手首が見える位置になっていることからそう判断したのだが、着ているものが洗濯によって縮んだとは思っていないらしい。しかしドアを開けムッとする空気に触れたとき、袖口がこの辺りの方がかえって涼しくていいのかもしれないと腕が伸びたことに喜びを感じ、廊下を歩いているときに下に見える民家の隣の空き地から聞こえる二匹の猫のけたたましいなきごえを耳にして、俺にもそろそろ発情期がやってくるのではないかと顔をゆるめ、それ以降腕が伸びたと思ったことを二度と思い出すことはなく彼の一日は終わる。