昨日書いたAIGボーナス課税の話。地裁判決だけども。
福岡地裁 平成20.1.29 平成18(行ウ)24 所得税の更正処分取消請求事件
東京地裁 平成20.2.14 平成18(行ウ)603等 更正をすべき理由がない旨の通知処分取消請求事件
結論は分かれてるけど、

(1)租税法規不遡及の原則について,憲法上明文の規定はないものの,憲法84条が規定している租税法律主義は,国民に不利益を及ぼす租税法規の遡及適用を禁じていると解すべきである。なぜならば,租税法律主義は,国民の経済生活に法的安定性,予見可能性を保障することをその重要な機能とするものであるところ,国民に不利益を及ぼす遡及立法が許されるとするとこの機能が害されるからである。
(2)もっとも,租税法規については,刑罰法規とは異なり,憲法上遡及適用を禁じる旨の明文の規定がないほか(憲法39条前段参照),適時適切な景気調整等の役割も期待されていることなどにかんがみると,租税法規不遡及の原則は絶対的なものではなく,租税の性質,遡及適用の必要性や合理性,国民に与える不利益の程度やこれに対する救済措置の内容,当該法改正についての国民への周知状況等を総合勘案し,遡及立法をしても国民の経済生活の法的安定性又は予見可能性を害しない場合には,例外的に,租税法規不遡及の原則に違反せず,個々の国民に不利益を及ぼす遡及適用を行うことも,憲法上許容されると解するのが相当である。
福岡地裁 平成20.1.29 平成18(行ウ)24 所得税の更正処分取消請求事件

といった枠組みで、例外的に許容される場合に当たるか否かを判断するあたりは共通してるっぽいです。
で、上記の2判例も総合した立派なまとめがこちらにございして。下記引用部分はむしろ傍論なので、全文読むことをお勧めします。

遡及適用に関する先行研究によると(自分で調べてはいません。すみません)、次のような傾向があるようです。
アメリカ…遡及適用は殆ど合憲とされる。(高橋祐介「租税法律不遡及の原則についての一考察」総合税制研究11号76頁(2003))
■イギリス…遡及適用は許容される。自由主義より民主主義を優先(?)(碓井光明「租税法規不遡及原則の再検討」税49巻4号5頁(1994))
■ドイツ…真正遡及は違憲だが不真正遡及は許される。(首藤重幸「法律規定における遡及効の2つの類型と憲法原則」ドイツ憲法判例研究会編『ドイツの憲法判例(第2版)』377頁(信山社、2003))
http://asatsuma.tax.ciao.jp/?eid=746548

立法裁量を重視した昨日の私見英米な感じか。
ボーナスが支払われ「た」なら遡及適用の問題、ボーナスが支払われ「る」なら、ぎりぎり遡及適用に当たらないのだろうか。*1
遡及適用の問題になるならば、上で引用した福岡地判のように考えたときに、納税者の予見可能性や不利益があまりに大きいから、たとえ税金の取り返しを目的とするという性質を有するあの課税が必要だとか合理的だとか言えたとしても、やっぱり違憲のような気がするかもしれない。うーん。
他方、遡及適用の問題にならないならば、合憲でいいような気がする。
びみょーだなぁ。


あと、昨日書いたのとほとんど同じことが今朝の朝刊で言われてた。というか、代案が出てるから記事のほうが上手だ。
http://www.asahi.com/sports/bb/TKY200903220085.html


しまった、ワンルームディスコの初回版が完売してる…。


トリガーハート エグゼリカ エンハンスド(通常版)
えー。PS2版でちゃうの?ドリキャス専用トリガーハート エグゼリカ(通常版)というのも趣があって良かったけど…。