モテキ


金なし夢なし彼女なしの31歳、藤本幸世(森山未來)。
派遣社員からニュースサイト「ナタリー」のライターとなり新しい生活をはじめたが出会いも無くさびしい日々を送っていたが…

ひょんなことから新たなモテキが訪れた!?
果たして幸世は本当の恋愛にたどり着けるのか?


観賞日

2011年9月28日







【83点】(ただし賞味期限あり)







テレビドラマ版で各界の話題をさらい、J−POP・J−ROCKと物語の融合をあっけらかんとやってのけた「モテキ」。まさにサブカルとともにある物語を確立させた。

そんな「モテキ」が映画になって帰ってきた!
しかも原作者久保ミツロウによる書き下ろしオリジナルストーリーという形で。






私は正直、ドラマの方は真剣には観てませんでした。
ドラマ終わった後のコンピレーションアルバムとかは、あまりにも選曲のセンスが良いんで聴いてましたが。

神聖かまってちゃんの「ロックンロールは鳴り止まないっ」やナンバーガールの「NUM-AMI-DABUTZ」とか真心ブラザーズホフディランフラワーカンパニーズとか凄すぎでしょう。←何が

とにかく「モテキ」はグッとくるんです。

とにかくポップスを"わかって"るんです。




映画でも、女王蜂、星野源在日ファンクとかのあたりをフューチャーしちゃってもうごちそうさまです。
このあたりのアーティストが分かる人には絶対オススメ。


























そんな「モテキ」は、フジファブリックの「夜明けのBEAT」で幕を開ける。
このシーンが、というか主人公の妄想の神輿シーンだが…

最高だ。


映画版にふさわしい超絶豪華絢爛な演出は、思わずリズムをとりたくなるほど。
そしてこのシーンでは、メインヒロインがみんなすんげーかわいいわけだ。

これを最高と呼ばずして何と言う。











途中、突然ミュージカル宜しくのダンスシーンになるPerfumeの「Baby crusing Love」も秀逸。

森山未来のキレキレのダンスは必見。さながら4人目のPerfumeとして違和感無く(?)溶け込む様といったら…




しっかし音楽を聴くリスナーの脳内ではこういうことが繰り広げられているのかもしれない。最後の藤本の「ありがとうPerfume!」という台詞が印象的だが、何かスイッチを入れようと音楽を聴くとき私達はこういう心境にあるのだろうな−と納得させられた。





その他子ネタを沢山盛り込んでくれるおかげで前半は笑いがとまらない。(苦笑含む)

























今作は、J−POPが果たす役割を映像化した作品だといえる。

いつか中学か高校かの先生が、「人々はサザン的恋愛をし、Mr.Children的恋愛を、曲を聴くことでしようとするものなんだ」と言っていたがまさにその通り。


主人公、藤本が自身の心情によって再生される(物語で流れる)音楽。それはその音楽によって"そういう"恋愛をしている気分になっているのと同義でもあり、自分が経験している恋愛が曲と重なっているのと同義でもある。


要は、両方がイコールの関係にあるのだろう。


























様々な世代の考え方も現れた映画だ。
ポップソングがその時代時代を象徴するのだからある意味当然といえば当然なのだが。



B'zやYUKIという題材の使いかたも絶妙。

B’zを王道すぎて全く聴かない藤本と、気持ちよく一人カラオケできるB'zが大好きだという、るみ子の二人の差異も面白いし、

YUKIになってから聴き始めた藤本とJUDY AND MARY時代のみを聴いている、るみ子の差異も面白い。



この映画はとにかくこういう細かいギミックが沢山あって、とにかくリアルだなぁと思わせてくれる。









藤本がももいろクローバーの「走れ!」を聴いて気が大きくなり、彼女のもとへ行こうとするのも面白いが、
もっと面白いのは上司が止めて、「アイドルソングは大体恋の歌で何聴いても勇気付けられるように出来てんだよ!」的な台詞をあっけらかんといってしまうところ。


まさにその通り。というかそれ言っちゃいますか。身も蓋もなくなっちゃいますけど。




























こういう業界に行く私にとってはあまりにもリアリティが大きすぎて少々ビビリ気味でもある。

特に藤本の女上司(真木よう子)の言動には毎回耳が痛くなりました…


多分?業界人も参考になる映画?なのか?



序盤のさえなくてモテないけど好きな事を仕事にしてるあたりなんて、もー未来の自分を見ているようで… 辛いけど笑いが止まらない(苦笑)
























ただひとつ納得がいかなかったのは、ラストのオチか。
基本的にネタバレする気はないので言及はしないが、あまりにも大衆的だった感はする。

まあ全国公開の映画である以上、そうなるのはしょうがないんだけれども…
むしろ全国規模ならその選択は正解。










でも個人的にはもっと最後まで壊れてる感じでも面白かったかも。
前半の怒涛のテンポが後半では薄れてしまっていたので、評価点数も少し下げました。

最初から途中、そして最後周辺でも前半の怒涛のテンポのよさがあったのなら(但し途中シリアスを含んでメリハリをつけていて)85点いっちゃってたかも?























しかしエンドロールの演出は完璧すぎてヤバイ。
webサイト・ナタリーを完璧に再現したデザインで全ての箇所に映画「モテキ」の様々な仕掛けが施されている。



Twitterや記事、主題歌の宣伝広告などなど…
もっとゆっくりみせろーと言いたくなるくらい凝りに凝っている。

細部までのこだわりがこの映画の面白さなのだ、と最後の最後に再確認させられた。


















役者面では、森山未来長澤まさみが『世界の中心で、愛をさけぶ』以来の競演。

しかし森山未来はとんでもない演技で、長澤まさみはエロティックなカメラワークや下ネタへの華麗な対応で、成長が伺えた。単なる清純派ではなく、演技派としての成長。







森山未来はヘタレ男っぷりが凄すぎる。そりゃあ観ている側は自分を重ねちゃいますよ。





長澤まさみは、テレビ版を通した上での映画版のラスボスとして、殺人的笑顔で圧倒的な貫禄を見せた。

脇を支える麻生久美子真木よう子仲里依紗もキャラが立っているわけだが…



メインヒロインは4人のはずなのに、真木よう子仲里依紗は全然出番が無い。
映画版は時間限られてるからしょうがないが、もう少し絡ませてあげても良かったんじゃないのか。(特に仲里依紗は)キャラがあるだけにもったいない。




















しかしここまでのサブカルからはじまりサブカルに終わってしまう作品は滅多に無い。
「今」を映し出している。つまりは、5年後には全くわからなくなる恐れもあるわけだが…


主人公の部屋にあるマンガとかも観てるだけで「ああ〜わかるわー」みたいな所もグッド。


音楽好きを自称するならば絶対観るべき作品だ。









↓予告編こちらから↓

http://www.youtube.com/watch?v=fV0zyJQU_uc