ひぐらしのなく頃に 誓

昭和58年初夏。夕暮れにひぐらしが鳴く頃の雛見沢村
両親が離婚し、雛見沢村に戻って1年が経つ竜宮レナ(松山愛里)は、前原圭一(前田公輝)たちクラスメイトと楽しい毎日を送っていた。しかし、父親が交際相手に騙されていることを知ったレナは、今の幸せを守るために一人で立ち向かう。

それを機に、不可解な行動が目立ち暴走していくレナ。心配した圭一たちはレナを救おうと動き出すのだが…。



観賞日

2009年4月25日




【60点】










同人作品からはじまり、アニメ・マンガ・ゲームと様々なメディアミックス展開をし、その衝撃的な展開や謎から話題をまきおこした「ひぐらしのなく頃に」シリーズ。(少女が親を殺した殺人事件に影響したと、衝撃的な部分だけ抜き取られて誤解される事態にまで発展したほど知名度は上がっていた)











様々なメディアミックスには当然、実写映画化も含まれていた。
1作目「ひぐらしのなく頃に」が2007年に公開し、60館という少ない館数ながら興行収入は異例の2億円突破と一連のメディアミックス戦略が成功しているようにみえた。だが、この実写版を見た者は知ることになる。


やはりマンガ・アニメは実写にしてはいけない、と。

そもそもキャストへの演技指導がおかしい。もともと同人ゲームが出発点で、マンガ化・アニメ化がスムーズになされた作品だけに、各キャラクターの個性はかなりしっかりしていた。だが実写では中途半端なキャラクター設定がなされ、ただただ苦笑するしかない出来だった。もともとが非常に長いストーリーも、そこからちょいちょいと要素を抜き取った印象のようになり、乱雑な映画になってしまった。

ある意味、「映画の出来がホラー」という恐ろしいものになりました。
原作をしらないと全くわからないのは、はっきり言って”最悪”です。






















そして今回の映画は原作の『罪滅し編』(レナがトチ狂うやつ)を原作とするもの。展開としてはちょうど前作の「鬼隠し編」の裏にあたる映画で、2作品を映画化するならこのエピソードで間違いはない。



しかし映画好きで、「ひぐらし」を知らない方がレビューしているのをみると不可解な点が多すぎと一様に語っている。
これは、本来順番として1番目にあたるものから6番目にあたるものまで突然飛ばしているからに他ならない。



だけれども、「ひぐらし」は2つの話がセットで問題編・解決編という構造をなしているので、もしも「ひぐらし」を映画化するならこの2つを取らざるを得ない。そのへんがすでにこの作品を駄作化する布石みたいなもんで、そもそも原作とだいぶエピソードを変えなければどうにもならなかった。

そして結果として、いろんなところが未消化の作品が生まれてしまった。














ただ、前作でさんざんだった演技は改善。それぞれがキャラクターを意識している印象で、中途半端なキャラクターたちにいらいらすることもなく見ることが出来た。サイコっぷりもなかなか出てて多少はホラーしていた…かな?

前作のダメだった点を改善して”まとも”にはなっていた。


















映画版の唯一の救いは、前作も今作も主題歌にあった。

作品のテーマとぴたりと合致する、ハードな楽曲。
私自身「ひぐらし」シリーズで、アニメ音楽・同人音楽というものへの偏見が解消されただけにこの作品に関連する音楽は文句なしに素晴らしい。Amazarashiや藍坊主のようなアーティストが好きならオススメ。




主題歌「誓」はこちらから↓
http://www.youtube.com/watch?v=NF6-Dmlx8sk


















実写だけでは全く完結していないこの作品。

おそらく頓挫したのだろう。完結編の情報はない。
ひぐらし」シリーズを知っていて、なおかつネタとして見たい方のみにおすすめします。

普通に知りたいなら、アニメかマンガから入るのが吉です。








↓予告編はコチラから↓
http://www.youtube.com/watch?v=urW364pdnGI