いただきもの:土場ほか編『社会を<モデル>でみる』

まだパラパラめくってみているだけなんだけど、数理社会学のギョウカイ的な勢いを感じさせる、楽しい本に仕上がっています。
内容は飽くまで入門書ですが、世に 入門書・教科書_の_ふ_り_を_し_た_単なる論文集 があふれていたりするなかで、この本は きっぱりと教科書です。すばらしい。「社会学ってなんですか?なにができるんですか?」という学部生の人とか、「スウリ系とはご縁がありませんが、なんかおもろいネタありますか」とかという人によろしいか、と。 この厚さ(というか、薄さ)にもかかわらず、扱われているトピックは40以上。「数理社会学お買い物ガイド」、あるいは入門的事典としても使えそうです。 1トピックが4ページくらいに簡潔にまとめられているので、寝床でも読める気安さ。パラパラと適当にページをめくりつつ、「ほほー、スウリの人ってこんなネタもやってんのねぇ」と感心して楽しむのもよし。
巻末には「簡単にわかる数理社会学の歴史」みたいなのがついてて、これも特に初学者にありがたい親切企画。あと「簡単にわかる数理社会学の現在とこれから」みたいなマニフェストもついてる。

これ、つくるほうは大変だっただろうなぁと思うんだけど、数理社会学の5年後・10年後を盛り上げるぜ!的な、業界あげての学部生リクルーティングへの断固たる意思がヒシヒシと感じられて、非常に面白い本だと思いました。

学会のサイトにて「内容案」をみることができます:http://wwwsoc.nii.ac.jp/jams/japan/handbook.htm

(3/28) ルーマンフォーラムプレゼンツ北田暁大『責任と正義:リベラリズムの居場所』合評会

「第1部」17名、「第2部」15名の参加を得て、盛況のうちに幕を閉じました。
公開されているものだけ見ても、もう 笑うしかない ような過酷なスケジュールの合間を縫って参加していただいた筆者の北田暁大さん、はるばる海の向こうから──北田さんをして「それ自体がひとつの作品であるような」と言わしめた、見事な、しかし異様なレジュメを用意して──登場してくれた 評者の高橋徹さん、そして参加していただいたすべてのみなさんに、まずは深く御礼を。
会のほうは、丁々発止のディスカッションが大いに盛り上がる、というようなものではぜんぜんなく、参加者一同*1がほとんど絶句に近い状態に陥っている、という、不思議な、しかし静かな盛り上がりを見せた合評会であったといえるかもしれません。それもこれもたぶん、高橋さんのレジュメに原因があるように思いますが、これは、近く『日曜社会学』のほうに「合評会コーナー」を作ってアップする予定。

沢木耕太郎の「おばあさんが死んだ」というノンフィクションを題材に、北田本に登場する概念装置を「練習問題として使ってみる」ことを通じて、北田本の射程を測ると同時に そのさらなる可能性をも考えさせることになっている、というものでした。ただしこれを楽しむには──というか、読書会参加者と同様に「苦しむには」、といったほうがよいかもしれないですが、──北田本と沢木本の両方を読んだ上で、このレジュメを読む必要があります。

この恐るべきレジュメもさることながら、それに対して──ほとんどの参加者が絶句状態に陥っているなかで、独り矢面(?)にたちつつ──、紆余曲折したジグザグのリプライを、しかし とつとつと 紡いでいく北田さんの姿も感動的でした。 ‥‥まぁともかく、前代未聞の合評会だったのではないかな、と(自画自賛)。



合評回の最中、レコーダーを回してはいたので、時間がゆるせば、文字に起こして、サイトのほうに報告をアップできればと考えてます(が、たぶん時間がないので気長にお待ちくださーい)。


*1:こちらの顔ぶれも、けっこうすごかった──と私は思うのだが。しかしみんなほぼ絶句(w。

日曜社会学>社会学的告知>シンポジウム:「国際社会学」とは何か

奥さん! グローバル化ですYO!

【企画趣旨】
 1980年代後半国際化の波が押しよせる中、社会学の分野においても「国民社会」のみならず、国際的な視点から日本社会を見直すことが迫られてきた。その結果1990年前後より「国際社会学」という分野が開拓され、国民国家システムの国際比較、国境を越え、た資本や人の移動、地球規模での問題に対する国家や地域間協調といった視点が注目されてきた。現在では「国際社会学」という名称が、社会学の中でも市民権を得てきたように思われる。では「国際社会学」の中心課題とはいかなるものであるのか、グローバリゼーション、国民国家、さらには近代というものに対しどのようなスタンスを持って語られるものであるのか。今後の方向性はいかなるものなのか。こういった問いを射程に含め、「国際社会学」の対象、方法、可能性といったことがらを討論していくことが本シンポジウムの目的である。
筑波社会学会主催。(情報提供 thanxto 周藤さん)