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著作権保護期間の70年延長に反対
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2011-10-24

電子書籍の「閲覧」を許諾しているという主張

とある電子書籍を読み終わったら、最後のページに次のような表示があった。

f:id:copyright:20111024220513j:image

◎本電子書籍は、購入者個人の閲覧の目的のためにのみ、ファイルの閲覧が許諾されています。私的利用の範囲をこえる行為は著作権法上、禁じられています。

この表示を見て驚いた。

閲覧」を「許諾」していると言うのだ。

しかも「購入者個人」にのみとは。

まず基本的なところから確認しよう。

著作権には「閲覧権」とかは無い。

「見る」とか「読む」とか「聴く」とかの行為には著作権は及ばない。*1

だから、「見る」「読む」「聴く」などの行為は基本的に自由なのだ。

その、基本的に自由な「見る」とか「読む」とか「聴く」とかの手前のところの、「複製」とか「上演」とか「上映」とか「公衆送信」とか「口述」とか「展示」とか「譲渡」とか「貸与」とかを一定の範囲内でコントロール出来るようにしているのが著作権だ。私はそのように理解している。

では、この電子書籍の表示は何に基づいて、「閲覧」を「許諾」しているという主張をしているのだろうか?

一つ考えられるのは「上映権」。

実は、最近、電子書籍と「上映権」の関係について気になっていた。

というのも、「上映権」は映画の著作物のみに付与されている訳では無く、言語の著作物にも美術の著作物にも付与されている。そして「上映」とは著作権法では「著作物(公衆送信されるものを除く。)を映写幕その他の物に映写すること」と定義されている。

そのことから考えると、PCやスマートフォンタブレット端末や電子書籍端末の液晶もしくは電子ペーパーなどのディスプレイに表示することも「上映」ととらえられる可能性があるのではないかと、懸念している。

仮に電子書籍ディスプレイに表示する行為が著作権法上の「上映」に該当するとしたら、「上映権」を元に「閲覧」を許諾しているのだという主張をしてくる可能性はあるかもしれない。

しかし、仮にそうであったとしても、上記の記述は「上映権」の過剰な主張であるだろう。

というのもそもそも「上映権」が及ぶのは「公衆」*2への上映であり、「公衆」で無いもの、つまり特定少数の者に対する「上映」には「上映権」は及ばない。

また、「非営利かつ無料」の「上映」に対しては「上映権」は権利制限されている。

従って、仮に電子書籍ディスプレイに表示する行為が著作権法上の「上映」だったとしても、権利者は公衆に対する営利もしくは有料の「上映」しか許諾の対象にはならない。

つまり、上記の表記は過剰な権利主張であって、著作権法で認められた範囲を超えたものであると思う。

もう一つ考えられるのは、「契約」。

契約の中に上記の表記のような記載があるのであれば、契約に基づいて主張しているということも考えられる。

そこで調べてみた。

この表示があったのは、電子文庫パブリで購入した「原発社会からの離脱」。

原発社会からの離脱/宮台真司飯田哲也講談社)|電子文庫パブリ

http://www.paburi.com/paburi/bin/product.asp?pfid=20062%2D120069010%2D001%2D001

あと確認してみたら、これとほぼ同時に購入し、すでに読み終わっていた次の本も同じ表示があった。

原発報道メディア武田徹講談社)|電子文庫パブリ

http://www.paburi.com/paburi/bin/product.asp?pfid=20062%2D120069009%2D001%2D001

なので、パブリの会員規約を確認してみたが、関係ありそうな条項は次の2つぐらい。

第12条(知的財産権等の帰属)

電子書籍およびこれに付随する情報その他パブリに掲載された情報(著作物、標章、キャラクター、マーク等、すべての掲載内容)に関する知的財産権その他一切の権利は、パブリまたはパブリの掲載内容の提供者等に帰属します。

第13条(私的利用の範囲外の利用の禁止)

会員は、パブリが承認した場合(当該情報について権利を持つ第三者がいる場合には、当該第三者の承諾が条件となります)を除き、サービスを通じて入手したいかなるデータ等も、著作権法、関連諸法規、関連国際条約等で認められた私的利用の範囲を超える複製・改変、販売、出版、自動公衆送信等のための利用はできません。また、これらの行為を第三者にさせることもできません。

第14条(その他の禁止事項)

会員は、前条の他、次に掲げる行為をすることはできません。

1)パブリまたは第三者の著作権商標権等の知的財産権を侵害する行為、または侵害する恐れのある行為。

2)サービスによりアクセス可能なパブリまたは第三者の情報を改ざん、消去する行為。

3)第三者になりすましてサービスを利用する行為。

4)上記各号の他、法令および本会員規約に違反する行為、サービスの運営を妨害する行為、パブリの信用を毀損しもしくはパブリの財産を侵害する行為、または第三者もしくはパブリに不利益を与える行為、不正な手段でアクセスをする行為。

会員規約|電子文庫パブリ

これらの条項は、基本的には著作権をベースにしたものなので、これを元に前述のような主張をするのは、やはり、過剰な権利主張であると言わざるを得ない。


なお、パブリで自分が購入したほかの電子書籍も確認してみたが、この表示があったのは、講談社刊のこの2点だけだった。

ほかの電子書籍サイト(hontoReader Storeパピレス、eBook Japanなど)で購入した電子書籍も少し確認してみたが、自分が見た範囲ではこの表示はなかった。

講談社刊では、G2を何巻かボイジャーストアで購入しているが、それにもこの表示は無かった。

現状では「閲覧」を「許諾」しているというような電子書籍はまだまだ少数かもしれないが、このような過剰な権利主張を行うことは、電子書籍の普及には決してプラスにならない、むしろマイナスにしかならないと私は思う。

電子書籍を普及させるには、何よりもユーザーの利便性を高めることしか無いだろう。

使いやすい端末・ソフトを提供することと、そして何より、電子書籍で提供するタイトル数を圧倒的に増やすこと。*3その2つしか無い。

まずは、過剰な権利主張など考えずに、それに注力してもらいたい。

*1:そのようなところに権利を及ぶようにすべきだという意見の人も一部にはいるようだが。

*2:不特定もしくは特定多数

*3:当面の目標は10万タイトルだろう

とおりすがりとおりすがり 2012/05/27 10:25 権利者側と名乗っている出版社が著作権法に規定されていない「閲覧権」を主張しているということは、著作権制度をよく理解していないことを端的に示す事例であると思います。

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