異国迷路のクロワーゼ 第6話

 湯音をかわいゝと思わない人間がいるのか?、そりゃ取り合いにもなるだろうよ。
 でもどうやらクロードとカミーユはいゝ仲らしい。ほら、アレだよ、身分違いの恋とかそんなのか。
 しかしよくわかんないな。あの頃のブルジョアと言えば、産業革命で金儲けして成り上がった連中が多くて、元は庶民だったわけだろ。王族貴族などの特権階級はフランス革命で軒並みブチ殺されているだろうし、そこらへん欧州の身分社会って良くわかんないんだよな。でも階級差は日本に比べていかんともしがたいほどに厳然としてあるっていうし。中世からの由緒ある貴族といったって没落するのも多くて、称号とか売っ払うのもいて、カネで貴族になったのがブイブイいわせてたりもするんだろ。“本当の”というのがどこまで通用するのかわからない世界。で、ユダ金の血筋はその莫大な財産と共に欧州全体を姻族の網で張り巡らせているっていうし、そもそも精神性というのではなく、差別の源泉としての家柄・門地という意味での貴族ってどう規定されているんだろうか?。
 まぁ日本はわかりやすいわな。天皇を頂点とする差別構造があって、で、成金がその時代時代に幅を利かせるってパターンだろ。天皇というか皇室自体に差別意識はないとしても、じゃぁ差別構造を維持するために他者に利用されるから、皇族はそのへん考慮して平民と同じ扱いになりますか?と問えば、まさか皇族が易々と特権を手放すはずも無いのでまともにとりあうのは無駄だ。で、皇族にまとわりつく貴族にしたって、例えば戦国武将だってどこの馬の骨とも知れない地方豪族が、やれ自分は源氏平家藤原氏の子孫だと言い張って、家系図を捏造したり養子関係で無理やり家柄を手に入れたりしてたろ。江戸末期から明治を経て昭和初期に到るまで衛生状況が悪くて生んだ子供の死亡率は高いわ、家柄血筋で選り好みしてたら婚期を逸して大して子供を生めなくて、簡単に血筋が絶えちゃうことが多かったから、やれ養子を入れるだのってこともたくさん行われていたし。いや、ホント“高貴”ってなんなんだろうな?と考えさせられる。
 自分なんかはクロードは偏屈者なのか?とぱっと見思ってしまったのだが、その後の湯音への対応、そして今回の肖像画家が特権階級に振り回される姿とギャルリの現状を重ねて見ていることなんかゝらすると、かなり賢くて思い遣りのある青年なのは間違いない。で、カミーユが鳥籠という湯音の感想からいろいろほのめかすところやアリスへの思慮深い対応を見ると、やはり彼女も物の道理がわかった人間であって、二人が惹かれあうのはなんかわかる気がするのだ。で、身分や立場の違いで一緒になることは適わないわけだろ。で、それを二人とも熟知しているようで。悲恋としか言いようが無いわな。
 と勝手に想像したが、実は二人は互いに思い合ったりはしてないとかいう展開だったりしないよな?。