バス旅

 先日、何年かぶりに映画を観に行った。テレビ東京でやっている私が大好きな番組「ローカル路線バス乗り継ぎの旅」が映画化されることになったので、公開前からすごく楽しみにしていて出かけたのだった。

 私はこの番組を好きすぎて、放送されるのをたくさんDVDに撮りだめ、おそらく2,3日に一度はどの巻かを観ている。ところどころセリフを暗記している場面もある。はっきり言ってアホである。放っておくと何時間でも見続けて、余計にアホになってしまいそうなので、意を決して時々録画を消去する。だけどそのうちまた再放送されるので、その時再度録画してまたまた何度も見てしまい、また録画を消去、というまったくアホなことを繰り返している。でももう何年も続いている番組だし、映画化までされたくらいなのだから、みんなにとっても人気番組なのだろうな。

 旅好きの我が家としては、旅先でこの番組でやっているようなことを実践しようとすることもよくある。(←本当にアホだ。)とは言っても、番組のような厳密なルールはなくて、前もってバスの情報などもインターネットで調べまくるし、電車も使いまくりだし、ま、要するに、イタリアで車の運転が出来ない理由から、すごく不便な土地を公共交通機関を使って目的地まで移動出来たらいいな、くらいの、すごくゆる〜いもの。だけど電車もバスもない場所だったらタクシーだって使っちゃえ!ということもあるから、途中から自分でも何をやっているのかわからなくなる、ということもよくある。

 イタリアでこのバス旅もどきをよくやるのは、トスカーナのオルチャ周辺。ま、バスしかないのでやむを得ず、というわけでもあるが。オルチャの景色が大好きなので、このあたりは10年くらい前から数回バスの旅をしている。

 シエナからバスに乗るのだが、何度かこのブログにも書いたけれど、シエナの何とか広場の地下のバス案内所も、国鉄の駅の中のバス会社の案内所も、ものすごく不親切で、いつも気分が悪くなる。私だけでなく、他のお客さんも怒っているのをよく目にする。あの会社の人たち、世界感じ悪い選手権に出ればかなりいい線いけるのではないかと思う。だけどオルチャへ向かうときはまた彼らにお世話になるしかないので、今度こそはどうか親切に教えてください、と言いたい。

 話がそれた。2年くらい前に行ったときは、まずはシエナからバーニョ・ヴィニョーニまで向かったのだが、途中、サン・クイーリコ・ドルチャで乗り継ぎがあった。シエナからのバスがサン・クイーリコに到着する時間と、サン・クイーリコからバーニョ・ヴィニョーニに向かうバスの発車時刻が同じで、しかもバーニョ・ヴィニョーニに行くバス便はそれがその日の最後の便(日に1、2本しかバスがない、というのも、いかにもあのバス旅番組っぽいと言うもの。)というのでどうなることかとヒヤヒヤしたが、サン・クイーリコで乗り継ぐバスの運転手はシエナからのバスが到着するのを待っていてくれたので驚いた。時間が来たのできっちり発車しますね、という感じの日本の交通機関よりも、こういうところはおおらかなイタリア時間が幸いするのであった。同じようなことは、フィレンツェからヴォルテッラにバスで行ったときも起こった。乗り継ぎのコッレ・ディ・ヴァル・デルサで、運転手さんがバスの外に出て「こっちだよ〜。」と手招きして待ってくれていた。トスカーナのバスの運転手さんの間では普通のことなのかもしれないが、優しいなあと思う。

 サン・クイーリコに着く手前で、よく絵葉書や写真で目にする糸杉の景色が見えてくる。
    
   

 シエナから進行方向に向かって右手にこの景色があらわれるので、右側に席を取り、そしてシャッターチャンスはほんの数秒間しかないので、カメラを準備して待った。こんな緑の丘の風景が見られるのは、4月と5月じゃないかと思う。ちなみにこのとき私が旅行したのはゴールデンウィーク中だった。
走っているバスの中からでも、けっこう上手く撮れたんじゃないかなあ、なんていい気になっていたら、帰りのバスでは大失敗。↓↓
   
    

 しかもがっつり雨です(笑)

 バーニョ・ヴィニョーニで温泉を堪能し、一泊したあとは、サン・クイーリコへ再びバスで移動。サン・クイーリコに宿を取ったのはこの旅が初めてだったが、この村はとても可愛らしくて趣きがあり、今まで滞在しなかったことを後悔した。城壁に囲まれているこの村からはオルチャの谷の景色が堪能できないのだろうと想像し、それではこのエリアに滞在する意味がないと決めつけて一度も泊まったことがなかったのだが、景色は望めないものの、村のなかにいろいろと見るべきものがあり、じっくりのんびりと散策が楽しめそうなところだった。なのにこの初めての滞在のときも、近くのピエンツァの観光を優先させたことと雨に降られたこともあって、ほとんどサン・クイーリコの街歩きに時間を割くことが出来ずに終わり、ここは今後ぜひに再訪せねば、と心残りとなっている場所。

 一番の見どころは、コッレジャータ教会。↓↓
ファサードの清楚な感じのバラ窓が好き。    
    
   
    

 柱を支えるオモシロ人間の彫刻。いろんな時代の建物の様式を体感したり、こういうおもしろい発見が愉しみになるのは、私の場合けっこう歳をとってからであった。若い頃は目に留めることもなかった。   
    

 この教会の脇をまわると、すこーしだけ村の周囲の、オリーヴ畑の広がる景色が見られた。
    
    

 サン・クイーリコからはピエンツァへもモンテプルチャーノへもバーニョ・ヴィニョーニへもバスで行けるので、サン・クイーリコに宿を取ってこの周辺をまわるのも良いかもしれない。

 ご参考までに。サン・クイーリコのバス停からバスを利用する場合、切符はバス停のところにあるバールでは売っていなくて、街の中心の通りにあるタバッキまで買いに行かないといけなかったので、ここからバスに乗って出かける方はご注意ください。

 ところでバス旅の映画についての感想は、おもしろかったのだけれど、私の場合、日常的にあの番組を家で観ているだけに、わざわざお金を払ってまで同じような内容なものを映画館まで観に来る意味があったのだろうか・・・と思ってしまった。そしてそのうち、あの映画もテレビで放送されて、そうしたら私、またそれを録画して暗記するまで見るんだろうな、と思った。

 
 

 

咲いちゃいました。

     
   

 昨夜は春一番の吹き荒れる夜で、台風みたいでしたけれど。お昼前から晴れてきて、午後の異様な暖かさといったら。ホント、気候の読めない時代になりました。

 その暖かさのせいでしょうか、夕方、庭に出たら早くもミモザが咲き始めており、思わず小さな一枝を玄関に飾りました。

 とはいえ、明日からはまた寒さが戻るそうで、皆さま、お互い体調管理には気をつけてまいりましょう。
 何やかんやと言いながら、まだまだ続く寒さ。玄関飾りは2月の定番マトリョーシカです。2月→寒い→ロシア→マトリョーシカという私の単純な頭の中のつながりです。

小さな楽しみ

    
    

 2月に入りました。今日は晴れるのかと思っていたらどんよりとしたお天気で、家のなかにいてもうすら寒く感じられ、本当に春の待ち遠しいこと。

 お花も少ない時期ですが、部屋には何か飾って気分を明るくしたく。

 ヒヤシンスの水栽培ならぬ(←何年か続けてやって、少々飽きました・笑)、今年はニンジンの端っこの水栽培。緑の葉っぱが出てきて、毎日少しずつ大きくなる様子が、それはそれはかわいいものです。
あと、おひたしにしようと思って買ってきた菜の花を一本だけ取りよけて水に差しておけば、こちらも小さな黄色い花が開いて春っぽい雰囲気に。

 すっかり冬籠りな毎日です。

計画中

 この冬は暖冬、と決め込んでいたら、ここへきてとっても寒くなってきましたね。今週は雪も降ったし。

 春の旅。もともとプーリアに行くには日数が足りないかなあと思っていたら、さらに復活祭とも重なることがわかり、じゃあ無理だな、とあきらめることに。その後、秋に一度断念した東北が浮上してきて、みちのく温泉めぐりと思ったのだけど、吹雪のなかの青森空港の映像を見て再び断念。では、とずっと行きたかった草津温泉と軽井沢とを組み合わせてはどうだろう?と話していたら、不幸なバス事故が起こって何となく気分が削がれ・・・じゃあ冬の城崎にカニを食べに行こう!と言っていたら、引き出しから某ホテルのお食事券が出てきて、「これで遠出せずにカニの食べ放題に行けるよ。」という展開に。

 ああ・・・で結局、話はまたイタリアに戻り、
    
  

  

 暖かそうな南イタリアで決着。

 この週末もすっごく寒そう。ぬくぬくおうちで過ごします。

あけましておめでとうございます。


    

 1月も10日以上過ぎ、今さらあけまして・・・もどうかと思いますが、今年もよろしくお願い申し上げます。

 喪中でしたので、本当は「おめでとうございます」とか言うのは気がひけたのですが、どなたかに会えば「おめでとうございます。」と声をかけられるし、ご挨拶しないわけにもいかず、「もういいや」となり、以後はおめでとうございますを連発している私です(笑)そうした方が、自分もずーっと気分がいいのです。

 年頭にあたり、「今年は便通を良くする。」という誓いを立てたところ、「それはめっちゃ大事なことや。」と夫も褒めてくれて、こちらも今のところ気分良く過ごしています。
新しい年を迎えるのって、何だかいいものですね。

 3月末、プーリアへの旅を計画しておりましたが、いろいろと事情があり、こちらは断念しそう。

 今年も良い旅のできる年となりますよう。

 

今年もありがとうございました。

 2015年が暮れていきます。 
 個人的にいろいろとあったとはいえ、ほとんどブログの更新が出来ない一年でありましたが、今年もお世話になりました。
2015年は哀しい出来事があり、私にとっては一生忘れられない年となりました。

 年末はクリスマス前にさっさと帰省をし、実家の家族と一緒に過ごしてさっさと自宅に戻ってきました。だから帰省ラッシュもまったく関係なく、大掃除やらお正月を迎える準備も何もせずに、このまま新年に突入しそうです。父と別れたこの年と新しい年とを区切るような気持ちになれず、父のそばに心を置いたまま新年を迎えたいような、そんな年の瀬です。

 実家に帰省の折、四国88番札所の大窪寺にお参りに行ってきました。
    
 

 88か所参りの結願の寺として有名ですが、昔の地名でいえばここは私にとっては同じ町内にあったお寺で、お休みの日なんかにふら〜っと「大窪寺行こか?」とほとんど思いつきで出かけたりなどしていた場所。といってもすごい山の中なので、家族でドライブといった感じでしたが。

 すごく久しぶりで、そしてこの日はもう年末が近かったからか、あるいはクリスマスであったからか(?)お遍路さんや参拝の方の姿がまったく見当たらず、こんなときも珍しい。
   
  

 今風に言うと、ここもパワースポットと言われる場所なのでしょうね。冷たくて静かな空気のなか、後ろにせまった山の姿など、こんなに神聖なところだったのか、と恥ずかしながらこの年になってやっと素晴らしさに気がつきました。最近帰省のたびに、故郷のいいところにたくさん気がつきます。

 お参りをすませたらこれを食べなくては! ↓↓
   
  

 名物の打ち込みうどん。根菜がたくさん入った、お味噌仕立ての煮込みうどん。

 余談ですが、昔、門前にあるこのおうどん屋さんの外にはサルがおりました。まだすーっごく小さいとき、私はそのサルにかまれるという騒動を起こしました。それから何年ものち、家族や親戚みんなでお参りに来て、お決まりのうどんを食したあと檻のなかのサルを見ながら、私は昔ここのサルにかまれたことがあるんだよ、という話をした矢先、今度は一緒にいた叔父がサルにメガネを取られるという事件(?!)が起こりました。私のことも叔父のことも笑い話ですが、それ以後はここに来ておうどんを食べたあとは、いつもかなり遠巻きにサルを眺める家族でした。久しぶりにひと目ここのサルを見て帰ろうと思いましたが、もう飼っていない様子。見当たらず少々残念でした。

 亡くなった父も申年でした。生きていれば年男だったのになあ、生きられなかったなあ・・・と思うと、また少ししんみりしますが、来年からは少しずつ前を向いて進みたいと思っています。

 皆様、どうぞ良いお年をお迎えください。

馬篭・妻籠 秋旅

 秋旅と題しておきながら・・・
 すっかり冬になってしまいました。私ははやばやとどこで拾ったのか風邪をひき、久しぶりに高熱も出たので自分の身体はまだまだ体力もありひょっとしたら若いのではないか?という気がして、心ひそかに喜んだりもしましたが、その後いっこうに風邪は抜けず、体調も気分もさっぱりで、やはり老体であると認めないわけにはいきません・・・

 すでにひと月も経ってしまいましたが、先月末、中山道馬篭妻籠宿へ。まだその頃は寒さも到来しておらず、秋の旅行には季節も良いと思われたし、紅葉も見れるかも、と。昨年の暮れに北国街道の木之本宿へ行ったとき、江戸時代をおもわせる古い町並みを歩き、なんともいえないほっこりとした日本的な風情のようなものに魅せられ、その後宿場町を訪ね歩いてみたいなあという思いがありました。

 めずらしく車で出かけることとなり、イタリアへの旅行以外はほとんどどこへも出かけることがない私たち夫婦。荷作りもあっという間に終わり、小さなバッグを車にひょいっとのせたら準備完了!という手軽さに、「これだけで本当に大丈夫なのだろうか?」とかえって不安な気持ちになったり・・・ぎこちない出発であります。あまりの出不精さゆえ、家からわりと近いところに高速のインターが出来ていたことすら知らなかったのですが、ともかくそのインターから高速に乗り、一路走れば第一目標の馬篭宿は思ったよりもずっと近かったのでした。とは言えカーナビが古いので途中怪しくなり、なのでアナログに私が助手席で地図を広げてみたり、しかしそれだけでは不安なのでスマホのナビも同時に使ったりなどして、どうにか到着。
    
   

 馬篭は坂が多い宿場町。駐車場に車をとめ、行きは坂を下りつつ、両脇のお店をのぞきながらの楽しい散策。いったんお店をさらーっと見てから、お土産買うのは戻るときにしようね、と。が、引き返した帰り道では息があがり、坂道を登ることのみに集中してしまい、購買意欲は消え失せました。ここ馬篭宿は夫に言わせば「モンテプルチャーノ並みの坂道」で、ご年配の方には少々大変かもしれません。
    
    

 観光地だからなのかもしれませんが、玄関先など、どのお宅も花を植えたり飾ったりとても綺麗にされており、ここに住む方のもてなしの気持ちが感じられ、心を打たれます。それを見れば「帰ったらうちの庭も和風にする!」と、旅先の風景にすぐに感化され、私が無謀な決意表明をするのはいつものこと。(帰ってきたらそんなことはすっかり忘れてしまっています!)

 歩いていると、いつも水の流れる音を感じます。道の脇の水路にはかなりの水量で水が流れており、こんな場所もあったり↓
    
  

 お天気もよく、遠くの山も見渡せて気持ちのよい散策日和でした。    
    

    
    

 お蕎麦に五平餅など、地のもののランチ。食べ物はどこも同じようなメニューを出すお店ばかりで、これは妻籠に行ってもそうであって、もう少し違う物も食べたいなあ、と思ったのが正直なところ。お昼どき、坂を下りきったところのスーパーのベンチに腰かけた外国人(欧米人)の方が、シナモンロールをほおばっておられた。ここの食べ物の選択肢ならシナモンロールのランチはぜったいにアリだ!と私は思いました。夫も、「外国を旅していてもブレずにいつもの(かどうかは知らないけれど)シナモンロール、っていうのがなんかいいよね。」と。

 馬篭をあとにし、車で20分ほどだったでしょうか、つづいて妻籠宿へ。

    

妻籠の方が坂が少ないし、道幅の狭かった馬篭宿と比べてどこか開放的な雰囲気で、私はこちらの方が好きかな・・・

    
    
 木を使ったお土産物などたくさんあり、あちこちのぞいているうちに私はなぜか竹ぼうきを買ってしまう。(旅後、やはり使用せず・・・)
    
    

 上の写真中央の壁にかけてあるしょいこ、あれもすっごく欲しかったけど、さすがにこれは買わなかった。(お買いものに行くときに使おうか?と一瞬血迷ったのでした。)

 栗きんとんや栗まんじゅうの看板ばかりを見かけるなか、夫が「俺、なんかモンブランが食べたい。」と言い出し・・・

    
   

もちろんそれはかなわず、栗入りぜんざいとクリームあんみつで休憩。

   
   

 水車のあるあたりから来た道を引き返しました。

   
    
 里の秋、といった風情・・・

 下の写真のあたりは、時代劇のセットみたい↓
    
    

 お天気に恵まれたこともあって、とても思い出に残る小旅行となりました。本当はこの休暇では東北を旅するつもりでしたが、なんと予定していた日すべてが東北地方では雨の予報で、出発間際にキャンセル。飛行機のキャンセル料もかかってしまいましたが、雨の奥入瀬渓流散策も十和田湖も、旅気分が盛り下がることは目に見えていましたから、思い切って行き先を大幅変更したことは良かったと思っています。

 それにしても夫と近場の旅行ってあまり出かけたことがなかったのですが、こんなにお手軽に気分転換がはかれるなんて、しかもお財布にもやさしいし(←この段階では、手痛い飛行機のキャンセル料を払わされたことはいったん棚にあげます。)と二人であれこれと小旅行のメリットを発見し、これからはときどきこんな旅もいいかもね、と楽しみが増えたことでした。

 追記:この旅日記を書いてからすっかり寒くなってしまい、今では風邪もぜんぜん治らないし、旅行に出るなんて、たとえ近くであってもぜったいにイヤだよ、という気分。早く元気になって、また旅の計画したいなあ・・・