文藝評論家=山崎行太郎の『 毒蛇山荘日記(1)』

文藝評論家=山崎行太郎の政治ブログ『毒蛇山荘日記1(1) 』です。

小沢裁判の「新聞・テレビ報道」を読む。新聞・テレビは依然として政治的な「偏向報道」を続けているようだが、そのことによる新聞・テレビの地盤沈下は確実に大衆の認識することとなっている。新聞・テレビの影響力は依然として衰えていないように見えるが、小沢裁判報道こそは「新聞・テレビ時代の終焉」を象徴している。

僕は、かなり以前から小沢裁判そのものに関心を失っている。そもそもこの裁判は、裁判自体の根拠が疑わしいのであって、わざわざ小沢一郎無罪を真剣に議論すること自体が、敵側の思う壷だろうと「推察」するからである。新聞・テレビでしか小沢一郎裁判に内実情報を知らない読者大衆は、裁判の中身などにはきょうみない。小沢一郎が、起訴され、裁判所に呼び出され、被告席に立つ姿を見るだけで充分なのである。それを前提に新聞・テレビの小沢裁判報道は、裁判の中身よりも、一種の政界スキャンダルとして面白おかしく、読者大衆のレベルにそうように繰り返されれ来たのである。たとえば毎日新聞を見てみよう。

■小沢元代表:「記憶にない」繰り返す…実質審理終了
(毎日新聞)


小沢一郎被告
 資金管理団体陸山会」の土地購入を巡り、政治資金規正法違反(虚偽記載)で強制起訴された民主党元代表小沢一郎被告(69)の第13回公判は11日午後、東京地裁(大善文男裁判長)で被告人質問が続き、元代表は裁判官からの質問にも「記憶にない」と繰り返した。公判の最大の山場だった被告人質問をこの日で終えたことで実質的な審理は終了した。2月に元秘書らの供述調書の採否を決め、3月に結審する見通し。

そもそもこの「政治資金規正法違反(虚偽記載)で強制起訴されという文章が、マスコミの文章として落第である。「期ズレ」が「虚偽記載」かどうか。そしてこの文章にある「強制起訴」なるものが、検察が不起訴としたものを、素人集団である検察審査会という怪しい組織が強制起訴としたものである。しかも、検察官のデッチ上げ調書を元にした起訴であることも明らかになっている。毎日新聞はそれらを書かずに隠蔽している。

 2日間の被告人質問では元代表のあいまいな発言が目立つ一方、指定弁護士側も共謀を裏付ける決め手を欠いた感は否めず、裁判官が元代表の法廷供述や状況証拠を総合的にどうみるかが、元秘書3人の供述調書の証拠採否(2月17日)や4月下旬の判決を左右しそうだ。
 被告人質問で際立ったのが元代表が「秘書に任せていた」「記憶にない」を繰り返す姿で、その結果、元秘書らの法廷証言とも一部に食い違いが生じた。
 陪席裁判官は、土地購入手続きへの関与を全て否定する元代表の発言と元秘書らの証言の違いに着目。「『定期預金を担保に銀行融資を受ける』と元代表に報告した」という元秘書の衆院議員、石川知裕被告(38)の証言の真偽をただすと、元代表は「多分なかったと思う」と述べた。
 石川議員と後任の元秘書、池田光智被告(34)が関連団体の収入について対前年比などを一覧にして毎年末に報告していたと証言したことについても「『政治団体はうまくいっているか』という会話を交わした程度。細かい報告を受けた記憶はない」と否定した。

小沢裁判の本質とその前提にまったく言及することをせず、裁判所での発言自体だけを問題視する。繰り返すが、この裁判そのものがはたして裁判に値するかどうかが問題なのだが、そのことには一切に触れず、法廷での発言だけを取り上げ、客観性を装いつつ解説する。しかし、新聞社の報道自体が問われているのが、この裁判の本質の一つなのだ。

 また、元代表の政治資金制度に対する安易な認識も浮かび上がった。「会計責任者への指示はしていない」と繰り返し、裁判官から「規正法は代表者が正確な報告書作成を指示するよう定めている」と追及され、元代表は「その意味では責任がある」と渋々認めた。
 さらに大善裁判長は「石川議員たちが政治状況を考慮して収支報告書への土地購入計上を翌年に遅らせたことをどう思うか」と尋ねた。元代表は「彼らは彼らなりに少しでもマイナスにならないよう、良かれと思ってやったことだと思うので、しかるたぐいのことではない」と話した。

「さらに大善裁判長は『石川議員たちが政治状況を考慮して収支報告書への土地購入計上を翌年に遅らせたことをどう思うか』と尋ねた」ということだが、大善裁判長は、いまだに「記載ズレ」が重大な政治資金記載における違法行為だと考えているらしいことがわかる。言うまでもなく、これでは、新聞報道としては失格である。「記載ズレ」については、読者大衆の方が、もっと詳しいことを知っている。おそらく新聞記者たちも、違法でもなんでもないことを知っているだろう。しかし、裁判長や裁判自体をひはんするようなことは書かない。これは、これまでの新聞自体の報道姿勢にも関係することなので、書けないのだろう。

 一方、検察官役の指定弁護士は午前の質問で、土地購入に充てたとされる元代表提供の4億円の由来を改めて追及。10日に元代表が「印税や議員報酬が含まれる」と説明したことについて、指定弁護士は4億円提供の04年当時、印税と議員報酬を管理する個人口座から億単位の引き出しがなかったと矛盾を指摘した。だが、元代表は「分からない」と述べるにとどめた。
 指定弁護士は2日間で陸山会を巡る多額の資金移動の質問にも時間をさき、元代表は09年の衆院選候補者に対し党支部を介した迂回(うかい)献金で資金提供したことを認めた。起訴内容とは直接関係ないとはいえ、「会計実務は担当者に任せていた」「収支報告書は見たことがない」という元代表の「防御」とのズレが間接的にのぞいた格好だ。
 しかし、公判の核心である▽政治資金収支報告書の虚偽記載の認識▽内容についての報告や了承の有無−−については、「報告・了承」を全否定した2人の元秘書証言と一致する結果となった。
 また、元代表と直接の共謀関係にない元会計責任者の元公設第1秘書、大久保隆規被告(50)は「形式的な会計責任者だ」と述べ、報告書作成への関与を否定。元代表もそのことを認め、「報告書作成は事務担当者を信頼して任せていた」などと大久保元秘書と歩調を合わせる格好となった。
【和田武士、鈴木一生、野口由紀】
2012年01月12日 01時34分

四億円の原資。検察や裁判所、あるいはマスコミの当初の「目標」は、この四億円の中に水谷建設などからの「献金」が含まれているというのが予想されたストーリーだったが、このストーリーが成立しなくなったというのが、この裁判の経過である。つまり、今となっては、この裁判自体の前提が崩れているわけで、裁判が成立しなくなっているのである。言い換えれば、新聞やテレビの報道が、裁判の本質ではなく、些末なことしか伝えないのは、肝心な問題を報道すると、そのまま新聞報道自体の否定へとつながることになることになるからだ。



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