ダイアモンド


写真はビッカース硬度計の圧子。
先端に対面との角が 136度になるように部分的に正四角錐に研磨されたダイアモンドが、鉄のベースに埋め込まれている。
これを一定荷重で試料に押し付け、できたくぼみの対角線の長さを計測し、定義式からビッカース硬度を求める。
かなり質のよい単結晶のダイアモンドが使ってあるようで、四角錐の窓の部分から中がきれいに覗ける。角の丸まった八面体結晶を用い、4つの (111) 面を鈍角に整形しているようだ。


職場で、ビッカース硬度計を捨てるとき、貰って帰ってきた。
現在では、家の標本箱のモース硬度計10のところに入っているが、出番がなかなかない。ダイアモンドと硬度を比較するほど硬い鉱物は、オレのよく出かける山には少ない。
ダイアモンドの指輪を欲しがるカミさんも、これについては興味がないらしい。


ダイアモンドは炭素−炭素結合の結合様式から考えると、有機化合物に近い。
事実、疎水性を示し、水にはまったく濡れない。


ちょっと前に Science 誌にダイアモンド骨格の炭化水素縮合多環化合物が掲載されていたが、ナノスケールでは高い硬度を示すのかな?

工学系女子は厳しい!?プロの研究者1〜2%

http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20051010it12.htm

工学系の女子大学院生がプロの研究者になる道は、生物・医薬系に比べはるかに厳しい――こんな実態が、理工系の学会で組織する男女共同参画学協会連絡会による調査でわかった。

43学会(会員計約40万人)を調査。大学院生などの学生会員と、大学や企業、研究所などの研究職からなる一般会員についてそれぞれ女性が占める割合を学会ごとに算出した。

生物・医薬系では女子学生は30%、一般で10〜20%が女性だった。これに対し、土木や機械系では女子学生が5〜10%いるのに一般になると1〜2%と極端に低く、大学院まで進んだものの、一般会員である研究職には就けない傾向がうかがえた。
(2005年10月10日20時33分 読売新聞)


つまり工学系は研究者の男女間の格差が極端に大きくなってしまうということのようだ。


報告書は以下のリンク。


http://annex.jsap.or.jp/renrakukai/enquete_02.html


理学系は工学系に比べればまだましなほうらしい。
化学会は、全体から見ると、まあまあかな*1
春季年会に託児所が設置される*2など、整備は少しずつ進みつつあるが、雇用*3のほうはなかなか。


化学、特に合成化学では、女性は自分の体に対する試薬の生理活性への不安から、なるべく試薬を扱わない職業に少しずつずらしてゆく*4
知人やカミさんなどから話を聞くと、みんなその話をする。
やはりみんなクスリが怖いのだ。
これは、やはり母性が(意識的、あるいは無意識にかかわらず)強く影響した選択であり、この不安をどこまで取り除けるよう職場の環境を充実させるかが、合成化学の分野における男女雇用格差を小さくさせる解決策の一つのように思える。
もちろん、ほかの要因はいくらでもありそうなものだが*5、これに対する文句がオレのところによく回ってくるので、これを重要視してもいいかと*6


催奇性の物質なんていくらでもあるが、男性より女性のほうが嫌がるに決まっている。
環境基準も、安衛法も、しきい値も関係ない。
誰だって、自分の子供(特に乳幼児)を、試薬の悪臭漂う実験室に連れてきたいとは思わないだろう。
これから妊娠する可能性のある女性の立場としては、そんなところに長居したくないと思うのは極めて自然の選択といえる。
ここが合成系を選択した女性のもっとも大きなリスクなのではないか。


それを乗り越えて研究者になろうとすると、今度は雇用のブラックボックスが待っている。


猿橋賞*7を受賞されるような方々は、さぞかし苦労したことと思う。



才能多き女性は、がんばって欲しい。
男性も女流研究のいいところをぜひ評価してもらいたい。
カミさん、がんばれ*8


参考リンク;東奥日報
http://www.toonippo.co.jp/shasetsu/sha2005/sha20050530.html

*1:見た感じ、理論化学や結晶学は女性が多い。高分子はまあまあ。物理化学と有機化学はかなり少ない。無機化学はよくわからないが、際立って多いと思える要素が見つからない。

*2:産総研の Y さんや、T 先生らのご尽力による。

*3:問題にすべき点は採用の時点で雇用機会の格差が大きいというところなのだろうが、これは現時点のオレではどうにもできないところで動いているし、このネタについてここで触れるのはためらわれるような話ばかりだ。

*4:現実に、研究職に就いた女性が「妊娠したので他の部署に回してください」と転属願を出したケースを2人知っている。どんな女性だって妊娠中ならどんな小さなリスクでも避けようと考える。ましてや重ベンゼンなんか触りたいとも思わなくなるのは男性でも理解できることだ。

*5:以前、ある研究者に「家庭を取るか研究を取るかどちらか決めろ」と真顔で言われたことがある。「なんじゃそりゃ」と思ったが、実の所、この選択を迫られなくもない。育児休暇を取る研究者が身の回りにほとんどいないのは典型例。女性が家庭を捨てて研究を取るだろうか?この日本で。子育てした後に戻ってこれるほど実力があればともかく。

*6:思考の道筋の立て方に男女差を感じることもある。が、あながち間違っているとは思えないので、これは研究のスタイルの男女差であって、女性が化学に向かないなんて思ったことは一度としてない。でも、マニキュアを付けたままアセトンで器具を洗うのは勘弁してほしいぞ。

*7:自然科学の分野で、顕著な研究業績を収めた若手女性科学者に贈られる賞。一年に一人。ちなみに、猿橋賞受賞者の某さんは、とにかく実験が超下手で、ありとあらゆる機械をぶっ壊したらしい。で、理論系に進んだのだが、これがよかったようだ。友人の女性も合成が得意というわけではなかったが、その後就いた分析の仕事ではかなり頑張っている。こういう選択の余地が残されているというのは、いいね。ついでに言ってしまえば、別の受賞者である某さんの口癖は「これだから男ってヤツは」なのだが、そこまで行くとやりすぎだと思うぞ。まあ、そう言わざるを得ない気持ちもわからなくもないんだけど。

*8:カミさんは工学系出身の研究職。コツコツ派で、一発屋のオレとは研究スタイルがまったく異なる。

最近、愚痴ばっか日記に書き込んでいるので、今日の日常をメモっておく。

  1. 論文書き(英語の表現がつらい。3年ばかしアメリカに渡っていればよかった)
  2. パズル(例の「平面性」)
  3. ギターを弾く(ビートルズのコードばかりをたどっている)
  4. 音楽を聴く
  5. 日記を書く(ぉぃ)
  6. まだ精神状態と肉体状態がもとに戻ってこないので、よく寝る


もうちょっとよくなったら、実験だな。
月末までにビシッときまったデータを叩き出したい。
意外性のあるデータを予想しているので、そのようなデータが欲しいのだが、それも意外性と言うのだろうか?
まー、やってみなけりゃわかんないよね。

ピバリン酸

納豆臭い納豆臭い納豆臭い納豆臭い。
「誰だ!ピバリン酸をこぼしたのは!」と言ったらドンピシャだった。
オレ納豆苦手なんだよね。
納豆おやきを食べさせられたときは、どうしようと思ったぐらい。