ALBUM OF THE YEAR 2015 (20-11)




【REPOOOOORT BEST OF 2015】(※随時更新していきます)
1. ALBUM OF THE YEAR ( 20-11 | 10-1 )
2. EP OF THE YEAR ( 5-1 )
3. TRACK OF THE YEAR ( 20-11 | 10-1 )



20. Najwajean - Bonzo


Najwa NimriとCarlos Jeanのタッグによる実に約7年半ぶり(!!!)の新作。2008年リリースの前作“Till It Breaks”は荒涼としたインディーロックでしたが、一変してベースミュージックを取り入れた妖しくヘヴィーな作風に。この振れ幅、個々のソロ活動が良い塩梅で活かされてます。もっとこの2人の組み合わせで色々やって欲しいな…着実にキャリアを積んで申し分ない技術と幅広い音楽的雑食性を持ち合わせた40代同士だなんて、どこをどうしたって間違いないじゃないですか。
そして相変わらず美魔女っぷり炸裂のNajwa、昨年リリースされたソロ名義での新作“Rat Race”でもその魅力が遺憾なく発揮されていましたが、女優としては今年に入ってキャリア初の連ドラ出演を果たす(しかも女囚人役でこれまたハマり役!)など、順調にいい年の取り方をしてます。





19. TOWA TEI - CUTE


極私的な話で恐縮ですが、今年の夏に初めて愛媛を訪れる機会がありまして、その時に立ち寄った今治タオルのお店で買ったTOWA TEIコラボの手ぬぐいをここ最近愛用しているところです。手ぬぐい、ってのがまた(根拠はないけど)「らしいな」と思わせてくれます。で、その手ぬぐいを買ってしばらくした頃にリリースされたのが本作。何だかいいタイミングだったな。
本当にこの人の安定感は半端無いというか、俗物的なものを感じさせない余裕のある大人が作る音楽なんだな…と一聴しただけでそんなことを思ってしまった。身体に馴染んだソファに腰掛けて、再生ボタンを押すとたちまちリビングルームの広さが2〜3倍になったような気分になります。最初の3曲(“FLUKE”〜“TOP NOTE”〜“LUV PANDEMIC”)の流れが特にお気に入り。CDを取り込んだ時に客演で参加しているLEO今井の表記が「家入レオ」になってたのはご愛嬌かな。笑





18. Popstitute - Dangerous Convicted Soul


南アメリカ大陸の北西部に位置するコロンビアの男性シンセポップデュオPopstituteのデビュー作。セクシーなボーカルのニュアンスとダンサブルな楽曲との組み合わせは、どうしても2010年のアルバムオブザイヤーとして挙げたロシアのTesla Boyを引き合いに出さずにはいられない。ただPopstituteはもっとミニマルでハウシー。その分ボーカルの息遣いが際立ちます。この「濡れ感」の中毒性の高さたるや…ぜひご一聴を。特にアルバムのラストナンバーを飾る“Decadent”はイタロっぽさも相俟って、フロア向けに10分くらいの長尺でエディットして欲しいくらいに延々と漂っていられる。うっとり……





17. Lianne La Havas - Blood


ミーハーなので全英(および欧州各国の)チャートのチェックは毎週欠かせません。そんな中で夏にリリースされアルバムチャートで初登場2位をマークしたことで知ったのが、こちらのネオソウル系SSWの2作目。ジャケットを一目見て、ああこれ間違いなく絶対好きなやつだなと思って聴いたらドンピシャでした。芳醇かつ豊潤。ここ数年でJessie WareやLaura Mvulaといったフィメールシンガーの活躍もあり、積極的に耳にするようになったUKソウル/R&Bシーンに年々着実にハマりつつある昨今です。年齢を重ね自分自身の音楽の趣味嗜好が徐々に変化していることを改めて実感して、あ、ちょっと楽しくなってきたかも…というタイミングで良い作品に出会えました。
余談ですが彼女は同じく今年リリースされたRudimentalの新譜“We The Generation”に2曲(うち1曲はデラックスエディションのみ収録)客演として参加しています。“Needn’t Speak”は楽曲前半で「これむしろLianne嬢名義の曲でいいのでは…?」と思わせておいて、後半突如として挟まれるドラムンベースのパートで一気に落としにかかるという隠れキラーチューンとも呼ぶべき良曲なので、合わせて聴かれたし。





16. Jaloo - #1


何よりもまずジェンダーを超越した摩訶不思議なビジュアルに惹かれたブラジルのエレポップ男子Jaloo。彼の故郷であるブラジル北部Pará(パラ)州の州都Belém(べレン)は、80年代ポップスのリミックスを根底に持つ音楽ジャンル・Tecnobrega(テクノブレガ)発祥の地。彼が本作以前にリリースしている女性ボーカルネタ限定のカバーアルバムやリミックスアルバム(タイトルもそのまま“Female & Brega”)からも、テクノブレガ・カルチャーの一端を垣間見ることができます。ブートレグ感溢れる独特なアレンジは、インドネシアのファンキーコタ(ファンコット)にも通ずるものがあったり、バイレファンキともまた違った毛色をしていたりと、聴けば聴くほど興味は尽きず、ただでさえジャンルの細分化が著しい南米の音楽なだけに本当にキリがありません。
さて、オリジナルアルバムとしては1作目となる本作もテクノブレガが下敷きであることは一聴すれば明白ですが、(インターナショナルな)ポップミュージック的要素も取り込みながら、他のテクノブレガ系アーティストと異なるアプローチをもって既存の枠を飛び出し新たな局面へと押し上げた意欲作であると言えます。随所で使われる8bitサウンドも良いスパイスになっていて、チープでダサくなる一歩手前を攻めてるよう。ビジュアルも含め、もっと世界的に注目されるべき逸材ではなかろうか。





15. John Grant - Grey Tickles, Black Pressure


なんつージャケ写だ…そして同時に発表された血塗れ顔のアー写トレイラー映像(※ちょっと閲覧注意)にも魂消た。アルバムタイトルも含め、中年ゲイのリアリティにまさに直面している現在47歳の彼なりの皮肉とユーモアを伴ったアティチュードの表明なのでしょうか。おじさん急に一体どうしちゃったの…と心配になりましたが、蓋を開けてみると前作を踏襲した中身で安心。しかも全英アルバムチャートで初登場5位という快挙ですよ(同じ週で初登場組だったSelena GomezやHurtsの新譜よりも上でびっくりした)。
極め付けはアウトロ。小さい女の子と思しき声で話されるのは、新約聖書で「愛の章」と称される『コリントの信徒への手紙:第13章』の一節。《Love never fails.》(意訳:愛に失敗はない)と。紆余曲折あったけど結局は愛なんだ、と。アルバム本編を全て聴き終わった後にこれがくるので物凄い説得力。前作のジャケットで我々に冷たい視線を向けていた強面のおじさんと同一人物とは思えないほど、憑き物が取れたように解放されたんだな、きっと……しかしなんつージャケ写だこれ……(褒めてます)
そういえば前作はアイスランドでのレコーディングでしたが、よほど肌に合ったのか、今ではレイキャヴィクに居を移すまでに (ちなみに本作のレコーディングは米テキサスとのこと)。早速各方面で引っ張りだこのようで、元々2012年にアイスランド語でリリースされていたÁsgeirの1stアルバムの英語版“In The Silence”の歌詞を手がけています。“King And Cross”のMVにも登場してたりして。また、2014年のEurovision Song Contestでアイスランド代表を務めたバンドPollapönkの楽曲“No Prejudice”の英語バージョンの歌詞も彼によるものだそう。





14. Negicco - Rice & Snow


1曲目の“トリプル!WONDERLAND”のイントロで一瞬のうちに虜になってしまいました。MJでPerfumeと共演した回を観た時はうっかりもらい泣きしてしまったし、アルバムが出て聴き込んだタイミングでネギナンバ(南波志帆とのコラボイベント)も観れたし、何なら来年2月開催のNegipeciaのチケットも発券済みです。
普通の女の子感溢れるNegiccoの3人と、豪華な製作陣による純粋で真っ当にJ-POPしてる楽曲群。それ以上に何を求める必要のない、過不足でも飽和でもない丁度良さにホッとする。ちょっと冒険したような後半の“BLUE, GREEN, RED AND GONE”〜“Space Nekojaracy”〜“自由に”の流れは驚きの連続でしたが、この3曲がセットであることによってそれぞれの曲が浮くことなく、一枚のアルバムとしてきちんと集約されているように思えます。





13. Shamir - Ratchet


先に挙げたJalooも然りですが、ジェンダー超越系男子が確実にきている。(でもこんな風に何でもかんでもカテゴライズしちゃうと怒られそうだな…) 時代がようやく追いついたとも言うべきか。ポップでカラフルな味付けのアレンジにハイトーンなヴォーカル、MVで見せるキュートな仕草…何にも捉われない奔放な姿がとても印象的で、リスナーである我々をもあらゆる境界や括りから解放してくれるよう。

ふだん国内盤に封入されている歌詞の対訳をじっくり読むことはほぼ無いんですが、本作のそれはちょっと面白くて、つい聴きながら読み入ってしまいました。一人称が「あたし」なのがミソ。《そうそうあたしは止まらない/ガンガンこれがShamir的》(“On The Regular”より)なんか的を外さず尚且つパンチがあって、とても好きなフレーズです。訳文も韻を踏んでたりして思わず感心。これは今までに買った他の洋楽アルバムの対訳もちゃんと読むべきだな…と思った次第です。





12. Mariel Mariel - Foto Pa’ Ti


中南米インディ音楽に関してはエレポップ界隈ばかり聴いてましたが、彼女はまさしく現代の正統派ラテンミュージックの様相を呈しています。アルバム全体に色濃く反映された中米〜カリブ音楽のフィーリングが特徴的。本作以前に発表されているオーソドックスなラテンポップスの楽曲たちと聴き比べてみると、メキシコに移り住んで以降の今の音がより彼女にフィットしていることがよく分かります。ぜひMVと一緒に聴いていただきたい。

“Los Bajos Vibran En Mi Pecho”のMVにおけるレイドバックな楽曲とグリッチの手法を用いた映像表現の組み合わせなんてとても刺激的だし、アルバムタイトル曲“Foto Pa’ Ti”のVHS画質のカラオケ映像を彷彿とさせるリリックビデオの質感も非常にツボを心得ています。この曲に関してはDJ Casoによるリミックスも原曲と同じくらい好き。





11. Halleluwah - Halleluwah


プロデューサーSölvi Blöndal(ex.Quarashi)とシンガーのRaketaことRakel Mjöll(ex.Utidur, Sykur)から成るアイスランドの男女デュオによるデビュー作。2013年の夏にリリースされたシングル“Blue Velvet”の歌い出しで即KOでした。まさに《Kate Bush × ローファイ × 60年代フレンチポップス》な趣。元々はSölviのソロプロジェクトにRaketaがボーカルとして参加していたのがいつの間にかデュオとして定着したようで、2人の相性の高さやが窺い知れます。Raketaは最近Dream Wifeというガールバンドを始動させたようで、Halleluwahの音が今後聴けるかどうかは定かではありませんが、2人の引き合わせの妙にあっぱれ。クリスチャン・ディオールにインスパイアされた“Dior”なんてもう極上にキュートでメロウでシネマティック。魅惑の世界へようこそ。





【REPOOOOORT BEST OF 2015】(※随時更新していきます)
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