文脈解析検索エンジン:Quintura

入力したキーワードと関連が深い(と解析された)キーワード群が「雲」のように視覚的に表示され、その関連性(文脈)の広がりがダイナミックに変化するVisual semantic mapが「売り」の検索エンジンを見つけた。

Quintura
http://www.quintura.com/

Google, Yahoo! そしてMSNの検索エンジンの驚くべきパワーを評価しながらも、Quinturaはそれらを凌駕すると宣言している。

  • Limits of Today's Web Search

http://company.quintura.com/quintura/limits.asp

  • 5 Problems with Today's Web Search

http://company.quintura.com/quintura/todaysearchproblems.asp

実際に試してみた。"Jonas Mekas"をキーワード入力した。

このVisual semantic map上に表示されているキーワード群は文脈的ないしは意味的「雲」ないし「塊」の一部に過ぎず、その背後にはそれぞれのキーワードに固有の「塊」が控えている。で、例えば、"letter"にカーソルを合わせると、それに関連深いさらなるキーワードが出現するという仕組みである。ちなみに、"letter"をクリックすると"Jonas Mekas"に関係する"letter"の含まれた文書が1件ヒットした。そこで私は予想外の発見をした。ニューヨークの画家Dana Gordonのサイトで公開された彼女宛てのJonas Mekasからの素敵な手紙を見ることになったのだ。

  • Dana Gordon -- re Painting: reviews, essays, etc.

http://www.danagordon.net/reviews.html

Quintura社は「次世代のウェブ検索会社」を標榜していて、その特許申請中の文脈解析技術は三人のロシア人の創始者たちの十年以上に及ぶ神経ネットワークの研究と人工知能の開発に基づいているという。米国に複数の支所を置くが、研究開発本部はモスクワにある。

  • Company Overview

http://company.quintura.com/company/

  • Management Team

http://company.quintura.com/company/management.asp

奮っていると思ったのは、その"Quintura"という命名にも託された彼らの「哲学」である。古代ギリシアの哲学者ピタゴラスないしはピタゴラス派が初めて主張したとされる世界の根源(アルケー)としての「エーテル」、それは従来の世界を構成する「地earth水water火fire風air」の四つの元素(elements)に対してつけ加えられた「第五番目の元素(a fifth element)」だったが、四元素を統べる高度な元素とみなされて「第五番目の本質(the fifth essence)」という意味で"quintessence"と呼ばれるようになった。そのような"quintessence"の哲学にインスパイアーされた創設者たちは、古代の哲学をコンピュータと神経ネットワークの知識でいわば「武装した」。つまり、検索における第五番目の本質(the quintessence of search)が"Quintura"であるというわけだ。

  • Philosophy

http://company.quintura.com/company/philosophy.asp

米国産の検索エンジンとはひと味ちがった使い勝手を実現しているのは確かであるが、肝心の文脈解析技術の詳細は不明である。なお、単体のソフトウェアとしてはすでに2005年の11月に"Quintura Search"は公開されていた。オンラインの検索エンジン・サービスは2006年になってからである。

http://company.quintura.com/company/history.asp

365 Films by Jonas Mekas


2006-12-20のエントリー「Mekas launches a yearlong film-a-day series」で紹介したジョナス・メカスさんの365日映画の試みが1月1日から始まりすでに2日分2本の作品がアップされた。

365 Films
http://www.jonasmekas.com/Merchant2/merchant.mvc?Screen=CTGY&Category_Code=365JAN&mon=0

リーリースその日のうちなら、無料でダウンロードできる。それを過ぎると有料($1.99)。ただし冒頭部分の試写版は無料で見られる。
記念すべき一日目の映画は3分10秒の作品。サイトの画像では

New Year's Day.
What luck! What luck!
A pale blue sky!
Issa

小林一茶の句の英訳が引用されている。オリジナルの句はおそらく

元日や
上々吉の
浅黄空

ではないかと思う。クレジットタイトルは、

Me, at Zebulon,
a music bar in Williamsburg,
Brooklyn, dedicating this
365 day series to
Petrarca (1304 ? 1374) the poet
who wrote 365 poems to Laura,
the woman he loved.

Music by Himalayas.

愛する女性に365の詩を書きおくった14世紀の詩人ペトラルカに捧げられている。ペトラルカに習って、メカスは今日から毎日365の映画を誰に届くか分からない手紙ようにネットに投ずることを、あの人生の震えそのもののような強いリトアニア語訛の震えるような英語(?)で歌うように宣言している。

二日目は、4分6秒の作品

In Avignon, at the Cloister
of St. Louis
,
reading the mystic,
Moshe Chaim Luzzatto.

一転して、18世紀のイタリア生まれのユダヤ人の哲学者Moshe Chaim Luzzatto(モーゼス・ハイム・ルッツァット)の"The Knowing Heart"の読書と朗読。場所はフランスはアビニヨンの16世紀の面影を残すクラリオン・ホテルの部屋と素晴らしい中庭。メカスの朗読の声("the variety of goodness"という言葉が耳に残る)、風にそよぐ巨大な樫の木の葉擦れの音、木が足元におとす南仏の柔らかい光と影の揺動、そして水。人生に必要なサウンドとイメージの凝縮された愛らしくさえある断片のように感じる。

ルイーズ・ブルジョア95歳の誕生日:365 Films by Jonas Mekas

ジョナス・メカスの365映画。時差のせいで、さきほど三日目の三作目が公開された。

Wednesday Jan. 3, 2007 5 min. 32 sec.

Benn, Sebastian and
myself, we visit Louise
Bourgeois
to wish her
Happy 95th Birthday.

この「蜘蛛(Spiders)」で有名な、1911年パリ生まれ、38年以来ニューヨークに住む破格で型破りな女流彫刻家Louise Bourgeois(ルイーズ・ブルジョア)をその95歳の誕生日を祝うために訪れたメカス。誕生日を祝うことはこの世に生まれてきたことを祝福とともに受け入れてくれる他人が存在することを意味する。何歳になっても誕生日をちゃんと祝うことは人生で一番大切なことかもしれない。メカスが持参したチョコレートの「甘さ」が伝わってくるようなフィルムだった。

***

ルイーズ・ブルジョアの作品の衝撃は、シュールレアリズムとか抽象的表現主義とかミニマリズムとか、美術史的なキーワード的思考ではとらえられない、一人の女性の想像力のパワー、普通の人々が想像力の欠如から振るう姑息な暴力を粉砕してくれるような痛快なパワーの源泉を暗示する。これは2003年自ら「タイガーマスク」となった91歳のルイーズ・ブルジョア

ルイーズ・ブルジョアに関しては、「ルイーズ・ブルジョワ ワーク・イン・プログレス1」と「ルイーズ・ブルジョワ ワーク・イン・プログレス2・3」が、こちらから入手できる。このビデオはルイーズ・ブルジョワの密着型ドキュメンタリー。すべてニューヨークのブルジョワの家にカメラが直接入って撮影したもの。ジョナス・メカスも顔を覗かせている。

獣の感覚

今朝の散歩では思い立ってハッタリベツ(八垂別)の原生林の中を歩いた。
11月15日以来だから、2ヶ月以上ぶりである。今日は蝦夷栗鼠には出逢わなかった。

樹々の間を縫うように、藻岩山を見た。樹々が電柱や電線以上に見通しを遮っているが、美しい。

子供の悪戯?

林の中を歩いていると、感覚がだんだん獣に近づくような気がした。

一見複雑すぎてどこに焦点を合わせたらよいのか戸惑う形態の多様性だが、どこをとっても美しいと感じるようになる。

原生林から出て住宅街に入ったとたんに目に入る、人工的で画一的な景観。いつもはこのなかに多様な姿を探している。