テレビ東京は卓球から手を引いてくれ!
クアラルンプールでの世界卓球選手権団体戦,大変な熱戦続きで堪能させていただきました。卓球はありがたいことに,主要な試合をすべて世界卓球連盟運営のネット配信で見ることができる。ワールドツアーの予選や準々決勝くらいだと固定カメラからの映像だけだが,戦いが進むと複数のカメラと解説付きで楽しめる。
今回の世界卓球も多くの試合をネットで楽しんだ。ネットでは解説者はもちろん,アナウンサーも卓球に造詣が深い。日本男子の放送では,伊藤繁雄,長谷川信彦,河野滿といった往年の大選手の名前も出てきた。
ところが!このネット配信も日本のテレビ東京の利権が絡んだ試合(つまり日本チームの試合)になると,アクセス制限がかかる。つまり金儲けのための報道統制である。仕方がないので,テレビ東京にアクセスすると,そこではネットの放送になれた耳には,耐え難いアナウンサーの絶叫と,個々の日本人選手をわかりやすい物語でパッケージにした幼稚な実況が垂れ流される。しかも,選手の一部(例えば福原愛選手)も自らがその安易で幼稚な物語に自分を合わせようとしているから始末が悪い。
確かに何十年ぶりかの男女揃っての団体戦決勝進出なので,最初から「どう頑張っても中国には勝てない」とは放送/報道しづらいのかもしれない。まあ,視聴率を稼ぐことで,テレビ関係者のキャリアは成り立っているのだから。だが,彼らがしていることは,出世目当てで虚偽のGDPを発表する官僚や,不正経理をする経営者と同じということがわかっているのだろうか?
日本卓球協会もテレビ東京と組むのはやめて,地道な普及活動に徹し,世界卓球連盟と組んで,国内外の試合を独自に配信したらどうだろう?
テレビ東京のやり方では,一時的にこの国での卓球人気を盛り上げることができても,人々の卓球への理解を深めたり,日本に卓球文化を根付かせるには,障害にしかなりえない。
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