読売社説 [『共謀罪』法案]「懸念の払拭へ慎重な詰めを」

 国連総会で2000年に採択された「国際組織犯罪防止条約」は、共謀罪の設置を義務づけている。119か国が批准・締結し、発効している。日本は条約に署名し、与党だけでなく、民主、共産各党も賛成し、国会承認されている。
 共謀罪の問題点は大きく二つある。どんな団体や組織に適用するのか、さらに共謀の「謀議」は、どの範囲で成立を認めるかだ。
 適用対象について、与党の修正案は、暴力団など「犯罪の実行が目的である団体」に限定した。
 民主党の修正案は「組織的犯罪集団」としたうえで、懲役・禁固5年以上の罪に当たり、かつ「国際的犯罪に限る」と厳しい枠をはめた。
 しかし、条約は、「4年以上の懲役・禁固に当たる罪」を対象とし、「国際的犯罪に限定しない」ことを義務づけている。厳しい制約を課した場合、犯罪摘発が遅れ、条約の目指す「未然防止」が期待できなくなる恐れがあるからだ。
 やはり、条約に沿って、「国際標準」で考えるべきではないか。

 こうした正論を堂々と述べることができるのは、なんだかんだといっても読売新聞のよいところだと思う。