佐村河内守騒動、鈴木博之死去、恵比寿映像祭

佐村河内守氏の騒動が複雑だが面白くなっている。森下唯さんのブログ吉松隆さんのこの一問一答細馬宏通さんのツイートは興味深い。指揮者の大野和士さんもインタビューに答えている。自分としては倫理性云々よりも交響曲がそもそもCDとなり発売されることが稀だという事実に驚き、ビートルズとのなぞらえ方がおもしろいと思った。ハリウッドが映画にするタイプの類まれなエピソードであり、日本でこのようなことが起きうるのかと、不謹慎ながら少しうれしくなった。

鈴木博之氏が亡くなった。建築史家として、著述された量がとにかく多く、すべてに目を通すことはできていないけれど、偉大な人だったことに変わりはない。遅れて手に取りたい。美学者の安西信一さんも亡くなられた。「ピクチャレスクの美学理論 : ギルピン、プライス、ナイトをめぐって」はこちら。スチュアート・ホールもなんだよな。
 

ソニーが大鉈を振るっている。ひとつは電子書籍ストアの北米市場からの撤退

「Marvel グローバル コミック」のアプリを試してみた

「最高の離婚」スペシャルを観た。とにかく台詞が豊かで面白い。坂元裕二って人はすごいなあ。日本版「glee」とも言える趣きで、日本におけるフィクションの倫理を更新しようとする力強さを携えている。

・「父の背中〜手塚治虫日記を読む〜」と「アトムとAKIRA〜大友克洋が語る手塚治虫」 が再放送していた。手塚治虫が過密な仕事のさなかにも日記をつけていた、しかも家族のことを仔細に書いていた、という特集がひとつめ。

東京都知事選が終わった。舛添要一が新しく東京都知事になる。今までの経緯は別項でまとめてきた。舛添の当選という結果は順当だと思うのでとくに感慨はない。20代の投票先で舛添に次いで田母神俊雄が多かったというデータには驚いた。数十年後には右派的な候補が当たり前に当選する世の中になるのだろうか。それとも、それなりにより戻しがあるのだろうか。家入候補は、終わってみれば、新しいことをやれたのだという気になってくる。もうこのようなことにしか、可能性はないのかもしれない。それにしても若者の投票率低すぎだね。
23区のヤンキー度と反原発度

恵比寿映像祭を見てきた。アンリ・サラがよかった(というか検索したらyoutubeでも見れるようだ)。あとはどうってことなかった。西京人はどこがどのようにいいのだろう。きいてみたい。ワン・ビンの《収容病棟》は見たかったな。 NADiff Galleryの蓮沼執太展「無焦点 unfocussed」はなかなかよかった。

時が奏でる

時が奏でる

ソチ五輪が開幕した。開会式ではダフト・パンクを歌うロシア軍

スイス国民投票で移民を規制へ
好調なスイスの雇用状況を背景にここ数年、毎年およそ5万人がスイスに移住しています。これに対し移民の規制を求めるスイスの極右政党の呼びかけで、移民の数を制限するべきかどうかを問う国民投票が9日、行われました。開票の結果、規制に賛成が50.3%と僅かに反対を上回って可決されました。可決された背景には、失業率が高いEU各国からの移民が急増したことで、不動産価格が上がったり各地で交通渋滞が増えたりしたため移民に対するスイス国民の不満が高まっていることが指摘されています。

「視聴率完全不在」ドラマが躍進する米国テレビの新世界:日経ビジネスオンライン

K-POPはサブカルであるべき 韓国音楽の専門家、古家正亨氏に聞く

イオンを拒んだ町  「眼鏡の鯖江」を悩ませた活性化の劇薬

平成24年度文化庁委託事業「諸外国の文化政策に関する調査研究」

【インタビュー】せーの代表 石川涼「ファッションは終わり、感動するものだけが残る」

【インタビュー】平成生まれの編集長 島崎賢史郎が「N magazine」を作ったワケ

「築地銀だこ」がアイス コールド・ストーンの日本事業を買収

特定秘密保護法と「社会的なるもの」 | SYNODOS

建築家とは何か──堀口捨己、神代雄一郎の問い

「廃虚」のセカンドライフ 仮想通貨に潜む危うさ

2施設の独法化求める 美術館と総合博物館
県立美術館、四月に開館予定の県総合博物館の二施設(いずれも津市)で、独立行政法人化を検討するよう県に求めた。現状では二施設ともに当面、県が直接運営する見通し。独法化すると、展覧会企画や組織運営で現場の裁量が大きくなり、職員の創意工夫を促す利点があるとされる。また指定管理者制度と違って運営期間が限られないため、専門性を高めたり長期計画を立てたりするのに向いているとされる。文化施設の独法化はこれまで、国立の美術館や博物館にしか認められなかった。地方でも認めるよう三重県などが国に要望し、昨年十月の制度改正で可能となった。ただ県の政策によって大きく予算を削られる懸念もあり、委員の一人は「指定管理と違って予算が歯止めなく縮小される恐れがある。独法化は県民サービスの充実が目的であり、予算削減による機能低下を招かないようにしてほしい」と県側に注文した。

①『殺しのドレス』(ブライアン・デ・パルマ★★★★☆☆
おもしろかった。さすがデ・パルマ。こてこての演出も今観るといい。女装ししているのが精神科医だと早々に分かるんだけどヒッチコックを模倣した恐怖の演出によってまったく飽きない。エレベーターやラスト自宅での(夢での)殺傷は痛々しい。見てられない。母を殺された少年と娼婦のつながりが切なく、愛おしい。

②『レボリューショナリー・ロード』(サム・メンデス★★★★☆☆
デカプーとケイト・ウィンスレットの共演作。だが『タイタニック』のようにラブラブイチャイチャはなく倦怠夫婦。出会いの頃の激しいケンカと妊娠以後の静かなケンカ。ウィンスレットが演じるエイプリルにもう力は残っていない。でかぷーは男の意地を随所で見せたがる。それまで自分の人生に誇りのなかった彼はパリに新天することで再度輝きを取り戻そうとしていた。誇りのなさは、妻を妊娠させないと男としてプライドを保てないことが証明している。だが、誇りのなさが招いた妊娠によってパリへの高飛びは不可能になった。妊娠と共にプライドを満たしたのは会社の昇進だった。あんなに不平不満を言っていた仕事も、そこそこ仲の良い同僚とたまに浮気をしてくれる(彼のプライドを満たす)部下の女がいれば、どうってことなく耐えられてしまうのだ。一方女には、女優としての生活があるはずなのに、映画では冒頭以後描かれることはなくなる。大根役者であったから必然かもしれないが、彼女のプライドが満たされない状態を描いているとも言える。だからこそパリに行きたかったのだし、自分の稼ぎで夫を養いたかったのだった。一度は子供を夫に黙って堕胎しようとしたエイプリルは最終的に救急車で運ばれる。レボリューショナリー・ロードという輝かしい住宅街に住んだ夫婦の転落(夫婦の愛の変遷)は、大家といえども例外ではない。大家の旦那はこれまた証明している。

③『嵐を呼ぶ男』(井上梅次★★☆☆☆☆
石原裕次郎の主演作。図体でかいただの眉毛野郎かと思っていたが、シティーボーイを熱演。活発で不良のドラマーとしてかっこいい。バンドが演奏しダンサーがいるレストランは当時は一般的だったのだろうか。だがストーリーは単調で後半にいくほど目新しさは失われつまらない。

④『冒険者たち』(ロベール・アンリコ)★★★★★☆
フランス出身で『美しき人生』『追想』の監督でもあるアンリコの67年の作。面白かった。スクラップを集めるおっさん、パイロットのアラン・ドロン、芸術家志望の女。みんな鳴かず飛ばず。危なっかしいんだけどお互いを大切にしていて、宝探しからだんだんとそのつながりがまとまりを持ってくる。途中で不時着の盗人が乗り込んできて、けれどみんなで分前を振り分ける。盗人自ら始めた銃撃戦で女は死に、女を大事にしてきた男二人はそれぞれなりに彼女への誠意を見せる。彼女の両親の前(彼女の悪口しか言わない)で弟に財産を相続させてあげ、海に浮かぶ島のホテルの実現を目指す。だが、ついに追手はきてしまい、再度の銃撃戦でアラン・ドロン演じる青年は死ぬ。そのあとの、おっさんの爆弾を投げつけるシーンがいい。無我夢中で爆弾投げるおっさんの演出でこんなにかっこいいことはかつてあったか!?敵をやっつけ島のてっぺんに立つおっさんを空撮しながら、映画は幕を閉じる。すばらしいロケーションとすばらしい友情の物語だった。

⑤『レイジング・ブル』(マーティン・スコセッシ★★★★☆☆
めっちゃよかったですわ・・。なんなんでしょう、この鑑賞後の気持ちは。一時間観た段階では、こんな感想を書いていました。「スコセッシの映画をろくに観ずに断言するのは憚られるがもしかしてつまんないんじゃなかろうか、彼の映画。リアルな画作りなのだろうけどロマンティックなドラマづくりは意図してないだろうから、どこを切り取っても同じような平野のような画面が続く。鑑賞者として薄っぺらい感情の起伏で相対さざるをえない。デ・ニーロの体重の増減はもちろん大変だったのだろうけど」終わってみると何を言ってたんやと。平坦だったのには変わりはないんですが後半急にデ・ニーロ齢を取ります。ボクシングを引退して興行師で生計を立てているんですね。腹はでっぷりとして、もう見てられない。あんなに強く引き締まってかっこよかった彼はいづこへという有り様。そんな彼がかつて妻と浮気しやがった弟を抱きしめたり、未成年のクラブへの出入りを許可してしまった門で捕まったり。この落差を、さも当然のことのように描いてみせる。人間への平等な視線に感動しちまいました。前半退屈なのはそうなんだけど、最後よかったなあ。

⑥『アフター・アワーズ』(マーティン・スコセッシ★★★★★★
こういう映画が見たかった・・・。すんばらしかった。本当に楽しくて最後までずっとわくわくしっぱなしだった。オールタイム・ベスト級。主人公の冴えないいっぱんぴーがありとあらゆる出来事に襲われ、災難を乗り越えていく話。でもその災難をいい話で乗り越えていくのではなく、次の出来事が四六時中押し寄せてくるから仕方なくなくなく展開していくわけだ。このどうでもいい出来事の連続で主人公にとっては悪夢のような時間は、しかしかけがえなく、日々忙殺される生活の中で夢見る甘さでもある。真の輝きは味わってみればこうもどうでもよくできれば出会わないことをお願いしたいような有り様であったりする。それをこうも緻密に構成し、描き切ったスコセッシの力技。最高のエンターテイメントであり、最高の人間の欲求・自意識を表象しえた名作。誰しもにオススメしたいし、これを見て映画監督を目指す若者が大量に現れるであろう逸品。お見事!!!

⑦『キングオブコメディ』(マーティン・スコセッシ★★★★★★
めちゃくちゃよかった。マーティン・スコセッシすげえっす。「どん底でいるより一夜の王に」。これがこの映画のスローガンなのだろうけど、だからこそ面白く、だからこそ『タクシードライバー』では実際の犯罪者を生むような結果になったのだと思う。それだけ甘さのない誠実な映画を作るのがスコセッシの持ち味なのだ。『アフターアワーズ』でも感じたのは、ヒリヒリするような誠実さがあれば何でもコメディに化けるということだ。世界はコメディに満ちている。それを欺かず丹念に追うだけでいい。キングオブコメディもまさにそういう映画だ。ひとりの、成功のために普通の努力を払えない男は、誰もが考えても絶対に選ばない手段で一躍時の人になり得た。どん底だった彼はしかし念入りに修練を積んでいた。母親にはうるさいと怒鳴られ、世間の女達にも変な目で見られた彼は本当に頭がちょっとおかしいのだけれど、異なる手段で人気者になってみせた。究極の手段によってだ。コメディが本来ただの薄ら笑いではなく価値の提示による大笑いであるのなら、リチャード・パプキンこそ真のキングオブコメディなんだろう。いい映画だった。とくに、いまの自分にとって。