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成毛眞ブログ RSSフィード

2013-05-09

殺人に対する感覚の違いー中国

| 23:00

http://www.asahi.com/international/update/0508/TKY201305080659.html

この北京での異例のデモは安徽省出身の女性の変死がきっかけだったという。発端は北京の警察が、地方出身者が殺害されたことに対応しなかったということだといわれる。しかし、これは氷山の一角でしかないのかもしれない。

最も信頼している中国を専門とするジャーナリスト富坂聰氏の著作『ルポ中国「欲望大国」』によれば、2008年5月の『法制晩報』に身元不明遺体に関する情報を求める広告が掲載されていたという。広告主は北京市公安局朝陽分局、すなわち北京市朝陽区の警察だ。

公表されていたのは04年から07年までに発見された身元不明死体だったが、06年と07年の2年間だけでも35体もあり、そのうち12体がバラバラ死体だったというのだ。もちろんこれは朝陽区内で発見された遺体だけだ。嬰児と女性がほとんどだったという。ちなみに北京には朝陽区の他に15の区がある。

バラバラ死体が1体でも出てきたら先進国では国をあげて大騒ぎになるはずだ。07年の北京市における殺人の検挙率は11%。この感覚の違いについて良く噛み締めてみる必要があるかもしれない。

2013-05-08

成毛眞の「これって暴論?」第5回

| 05:55


日本を・江戸時代化・する兵器 

朝鮮半島をめぐる緊張が日増しに高まってきている。朝鮮戦争1950年6月に北朝鮮軍が北緯38度線を越えて開戦、戦線は一進一退し53年7月に休戦協定が結ばれた。この3年間の戦争による犠牲者中国軍兵士100万人を含め、兵士と市民を合わせ400万人から500万人に上ると推定されている。

その休戦協定を白紙に戻すと北朝鮮3月11日に宣言したのだ。3月6日付の朝鮮労働党の機関紙は、最高司令部の声明として「われわれは多様化した精密な核攻撃手段で、ソウルだけでなくワシントンまで火の海にする。準備は整っており、金正恩第一書記の命令だけを待っている」という記事を掲載した。3月8日の朝鮮中央通信は「米国とその追従勢力の本拠地を跡形もなくする万端の準備が完了した」とする論評を伝えている。

この北朝鮮が考える「追従勢力」に日本が入っていてもおかしくはない。万が一にも北朝鮮東京に向けて「精密な核攻撃」ができるミサイルを発射した場合、7〜8分で東京上空に達する。自衛隊米軍ミサイル防衛に自信を持っているとされているが、はたしてその弾頭がEMP爆弾だったら迎撃は可能なのだろうか。

米国のテレビ局ABC朝鮮日報は、北朝鮮がEMP爆弾の開発に成功したのではないかと伝えている。このEMP爆弾は目標の数百・上空、空気のない熱圏で作動する最先端核兵器だ。高度50km以下の成層圏に到達した大量のガンマ線は空気分子に衝突し、コンプトン効果により大量の電子を叩きだす。この電子が地上に降り注いで、電線にサージ電流を発生させ、電子装置やネットワークを破壊するというものだ。影響は半径500kmに及ぶ可能性がある。

この爆弾には直接生物を殺生する能力はないが、防衛システムだけでなく、民間のコンピュータも通信システムも破壊されるため、金融物流も交通も完全にストップしてしまうことになる。攻撃を受けた側は数年間にわたって、反撃どころか100年以上前の社会に引き戻されてしまうのである。

北朝鮮が日本を攻撃する場合、東京から大阪の間の適当なところに向けてミサイルを発射し、高度100km以上の上空で爆発させるということになるだろう。この弾頭を付けたミサイルに精密誘導技術など不要なのだ。つまり、最悪の場合、一発の貧者のミサイルとEMP爆弾で日本の社会システムは江戸時代にまで引き戻されることになる。日本経済の破綻は世界経済破綻の引き金にもなるだろう。

ともあれ、このミサイルを防ぐためには発射から1〜2分以内の上昇期に破壊する必要がある。ミサイルが目標高度の数百kmに達した場合、それを確実に破壊する迎撃兵器は存在しない。日本人は太平洋戦争から、相手を見くびってはいけないということを学んだ。そして、東日本大震災からは、完全に想定外のことも起こりうるということも学んだはずだ。

万が一にも北朝鮮によるEMP爆弾搭載のミサイル発射がありうるなら、対策を立てておかねば――そんな心配は杞憂にすぎないのだろうか。

クーリエ・ジャポン 6月号掲載)

2013-04-29

『立花隆の本棚』

07:48

立花隆の書棚

立花隆の書棚

『ノンフォクションはこれを読め!−HONZが選んだ150冊』、『面白い本』と立て続けに「本の本」を出版してきたHONZだが、この「本の本」には驚いた。なんと本文650ページ、うちグラビア写真188ページ、厚さ5.2センチ、重さ875グラムで3000円なのである。1グラム3.43円。1ページ4.6円だ。これで「知の巨人立花隆の本棚をじっくり見せて貰えるのだからまさにお買い得だ。

本書の制作にあたってははまず写真が撮られた。しかも書棚1段1段をレーザー墨出し器を使って計測し、精密撮影したうえで全景を合成するという、非常に手間のかかるマニアックな手法で撮影された。あまりに膨大な蔵書のため、1万回にわけて撮影されたという。1カットに20冊が写り込んでいるとして、その数20万冊。御年72歳の立花隆が1歳から本を読み始めたとして(たぶん読み始めたのだと思う)毎年2800冊ほどの本に目を通したということになる。1日にして8冊弱である。

で、その写真を見ながら立花隆が語り起こしたのが本書なのだ。有名なネコビルの1階を第1章とし、その後ネコビルの2階、3階、地下1階と2階、階段、屋上、3丁目書庫立教大学研究室の7章建てだ。ネコビル1階の第1章には40弱の小見出しが立てられているのだが、そのなかから少しだけ書きだしてみよう。「日本近代医学の始まり」「分子生物学はこんなに面白い」「フロイトフィクションとして読む」「古本屋の商売」「嘘が面白い」「ブッシュの1日」「中国原発大国になる」などなど、HONZの方向性が間違っていなかったことを証明できそうな羅列である。

立花隆の語りは本を1冊づつ説明するというのではない。テーマ毎に集積してある本を眺めながら、それに関連する薀蓄を尽くす。しかも、その間にグーグルによるテキストのデータ化と紙の本の将来予測やら、政治・経済の本は玉石混交だが圧倒的に石が多いことやら、自身の執筆スペースやらについても語っているため、本好きにとっては格好の読み物に仕上がっているのだ。

これだけの厚みがあっても、読み通すには時間がさほどかからないであろう。本書の読み方のおススメはポストイット付箋を表紙の見返しにつけておき、気になったところにどんどん貼り付けおくことだ。これからの買い物に役立つであろう。1ページ目から読み進める必要もない、面白そうなテーマを選んで読んでも良いはずだ。トイレに置いておいて、ともかく写真を眺めるだけでも良い。重いのだがバカンスに持って行って、海辺のパラソルの下で読むにもじつに向いている。

帯には「圧倒的な知の世界」とあるが、お気軽に手にとって日常のなかで楽しめる読み物であると、あえて言っておきたい。厚みはあるがけっして本棚の飾りでは終わらない本だ。えっ?立花隆では敷居が高いって?そんな方はとりあえず『ノンフィクションはこれを読め!』か『面白い本』をどうぞ。

2013-04-27

『兵士は起つ』

08:07

 

兵士は起つ: 自衛隊史上最大の作戦

兵士は起つ: 自衛隊史上最大の作戦

陸海空の自衛官を描いた『兵士に聞け』から足掛け18年、本作で5作目となる兵士シリーズの最新刊である。自衛隊は国と国民と守ることを義務付けられた巨大組織であるにも関わらず、その発足から長い間「日陰者」として扱われ、顧みられることはなかった。杉山隆男イデオロギー観念論から決別し、ひとりひとりの自衛官に密着することで、自衛隊とは何者かを探り出そうとする現場の人だ。

本書の副題は「自衛隊史上最大の作戦」。もちろん東日本大震災における災害派遣だ。発災から2ヶ月間、自衛隊は10万人体制で被災者支援を行なってきた。派遣された自衛官自身が被災者であったり、原発事故現場に向かう決死隊であったり、それが彼らの仕事であり義務であると知っていても、映像を見て胸を打たれた人も多かったであろう。

 

本書にも勤務中に津波に飲み込まれながらも懸命に人命救助にあたる自衛官たちが登場する。かろうじて3歳と1歳の娘たちは祖母に助けられたものの、任務のために2ヶ月も自宅に帰れなかった女性自衛官が登場する。多くの自衛官は勤務中の発災だったため、家族の安否を確かめる前に災害派遣地へと向かったのだ。

彼らの任務は生存者救出からやがて遺体捜索へと切り替わっていく。一家で逃げようとしていたのか、バッグを肩に掛けた父親と3歳くらいの幼子の手を握りしめた若い母親の遺体を発見するときもある。おばあさんと5歳くらいの女の子と乳幼児の姉妹の遺体を目にすることもある。そのとき隊員たちは現場を飛び出して嗚咽し、深呼吸をしてから任務に戻るのである。

平素は必要悪であるとして軽んじ、有事になれば命を賭けよとは、国民のわがままがすぎる。本書の等身大の自衛官から学ぶことは多いはずだ。

2013年3月9日 産経新聞掲載)

2013-04-16

歌舞伎DVDを買う

09:50

松竹歌舞伎座新開場記念として、DVD歌舞伎名作撰 第3期」を先行販売するという。しかも4月29日締切という念の入れようで。訳が判らない。17巻全部を買うとAmazonでも6万円以上になるはずで、とても付き合いきれない。しかし、欲しいものは欲しい。厳選して6巻を選びだして予約注文した。丸本物も上方物もないのがご愛嬌。

このセットに第1期と第2期から「白浪五人男」「伊勢音頭恋寝刃」「梶原平三誉石切」と歌右衛門の「十種香・建礼門院」なんぞを加えると成毛好みの出来上がり。ともあれ、この散財が悔しいので松竹株式でも買おうかねえ。それじゃあいよいよ本格的な「松竹の肥し」となってしまうのであろうか。


なかのひと