平成16年(わ)第726号の第九回公判の傍聴の続き。



2人目の証人に対する検察側からの主尋問から。


拝命は昭和61年4月1日であり、階級は警部補である。
いくつかの部署の勤務を経て、平成15年9月からハイテク犯罪対策室所属である。
ハイテク犯罪対策室への配属前にハイテク事件を扱ったことはない。
ハイテク犯罪対策室では、企業やホームページへの不正アクセス、オークション詐欺と本件を扱っている。


甲88号証(平成16年5月25日付のバージョンアップ一覧)について

ダウンロード板の「MXの次は何なんだ」の中の「47」の書き込みを抽出して、Winnyの機能の修正などを分かりやすくするために作成した。
スレッドのデータは、すでにCDにあったのでそれを利用した。
開発宣言のあった平成14年4月1日から、最終のバージョンアップがあった平成15年11月までの間の全ての書き込みを見た。
見たのは自分と、第七回公判の1人目の証人、本日3人目の証人であり、どのような表を作るかを3人で相談し、概ね1/3ずつ分けて分担して抽出した。
3人が抽出した書き込みをまとめた表は自分が作ったので、全ての抽出された書き込みは自分が確認している。
ハンドル47のバージョンアップに関する記述があれば、すべてを抽出したわけではなく、取捨選別したので省いたものもある。
バージョンアップされたときは、Winny Web Siteに先に新バージョンのWinnyが蔵置されているようで、他人の書き込みがあった後、被告人による機能についての詳細な書き込みがあるという法則がある。
その法則に従い、「キター」「神光臨」などの前後の47による機能に関する書き込みを抽出した。
甲191号証(平成16年7月14日付のバージョンアップ一覧の訂正)について

訂正は、47氏による書き込みでないものを省くために行った。
公判資料として使われると聞いたので、確認するために見直してみると、甲88号証の中に重複した書き込みを見つけたので修正した。
添付資料について、表の上段にある甲88号証に記載した127番目の書き込みは間違いであり、正しくは表の下段の148番目の書き込みが本人によるものである。
表の上段の書き込みには「バージョン5.8」と書いてあったが、その詳細はバージョン5.7と同じ内容であった。
上段の書き込みにあるIDと同じIDの次の書き込みには「偽47」とあった。
続いて、2人目の証人に対する弁護側からの反対尋問。

パソコンは平成13年頃から、インターネットも平成13年頃から使い始めた。
Winnyは捜査では使ったことがある。
情報処理やネットワークに関する資格は持っていない。


甲88号証について

甲88号証に記載してある内容は自分が全て確認した。
甲88号証の5ページ6行目に、「Warezerの意見などを聞きながらソフトのバージョンアップを行っていた(?)」とある。
Warezerとは、違法著作物収集者のことで、著作物を違法に収集している人のことである。
違法著作物とは、著作権を侵害されたものである。
被告人は、掲示板の書き込みによってWinnyの不具合を修正していった。
(被告人が参考にした書き込みが)違法収集者による書き込みかどうかは確認していない。
Winnyを完成度の高いものにしたい人たちは、違法収集者とは言えないかもしれない(?)。
甲88号証の一覧の表の右には「バージョンアップにもしくは修正内容」とあり、バージョンアップと修正は違う。
バージョンアップとは新しい機能など全く違うものをつけることであり、修正はバグや不具合の修正である。
バージョンアップが必ず機能がつくわけではなく、不具合の修正だけの時もある。
ここの欄の内容は理解しているつもりだが、中には専門的なものもあり、分からないこともある。
新しい機能がついたバージョンを個別に起動させて、書き込まれていた内容を具体的に確認したことはなく、それは自分の作業の対象外である。
甲88号証の一覧には、書き込みをそのまま書いたものと、要約したものがある。
要約は、その部分を担当していた者がした。
2人とも、自分よりはプログラムなどについて詳しいと思う
他の2人も、ソフトを起動しての確認はしていないと思う。
書き込みの内容を要約するのは、どのような機能があるかを十分に理解していないといけないわけではなく、文章の要約なので可能だと思う。
甲191号証にある書き込みはすべて被告人の書き込みだと考えている。
なりすましがたくさんいたので、なりすましによる書き込みがある可能性があるが、訂正時に点検した結果、47氏以外の書き込みはないと考えている。
一度訂正を要する確認作業をしており、IDに対する検索をするなどしたので、被告人以外の書き込みはないと考えている。
弁護側は、執拗に「前後のスレから、被告人による書き込みであるとどのように確認できるのか、どのように確認したのか」と尋ねる
Winny Web Siteに新しいバージョンがアップロードされた後、しばらく後までの書き込みを確認した。
実装されているかは確認していないので、本人の書き込みかどうかは、書き込みのみから確認したことになる。
書き込みの内容だけから被告人の書き込みを特定した。
IPアドレスとは、インターネット上の住所であると認識している。
アクセスログとは、そのIPアドレスがいつ使われて、どのように動作したかを記録したものであると認識している。
弁護側から、アクセスログについての補足説明があった後アクセスログの解析をしないと、書き込んだ人の明確な特定はできないと言える。


コンピュータのソフトでは一般に、ベータテストを行うということは知らない。
2chに書き込みする人はWarezerとは言えない。
ダウンロード板に書き込みをする人はWarezerである人とそうでない人がいる。
「違法著作物収集者(=Warezer)からの意見を聞きながら」とあるが、Warezerとそうでない人の書き込みに区別することはしてない。
基本的には意見をする者がデータをダウンロードできるようにしたいと言っており、その中に動画やアニメという著作物の言葉を使っていたり、あえて隠しての書き込みがあったりして、それらが違法著作物収集者による書き込みと推測できる。
「キター」という書き込みがあっても、その前後に47の書き込みがなければ被告人による書き込みではない。
IDは一回変わると、もう一度元のIDに戻ることはできない
本物と偽物の区別はいろいろな資料を基にしており、自分だけでなく判断し、本物のものと思われるものだけを書いている。
甲191号証で訂正した箇所を担当していたのは誰なのか覚えていないし、自分ではないと思う。
甲88号証では、前半、真ん中、後半と分担し、自分は前半を担当した。
抽出には自分は2日ほど時間がかかり、他の人も同じくらいだと思う。
他の2人が作ったものを、自分が表にしたので、それらにはすべて目を通しているが、その際にもとの2chの書き込みは見ていない。
2人目の証人に対する尋問はここまで。


プログラムに関してある程度の知識を持つ人が確認しながらマージするべきなのに、ベータテストを知らない方にその作業を任せるような体制を取っている捜査班はどうかと思います。
確認するのは前後の書き込みなので、前後のスレというよりも、前後のレスじゃないかなぁと思ってみる。
同じ人が2つ以上のIDを同時に併用するのは可能であり、異なるグローバルIPアドレスを持つ2台以上の端末を併用できる環境があればいいだけですね。


続きはまた明日

うちのMozilla Thunderbirdで迷惑メールのチェックがつかなかった黒崎響子なる人からのメール。



Received: from unknown (HELO localhost) (220.100.198.52)
  by ******.****.ne.jp with SMTP; 19 Mar 2005 23:06:17 +0900
Received: (qmail 16374 invoked from network); 19 Mar 2005 13:35:31 -0000
Received: from unknown (HELO 192.168.0.1) (192.168.0.72)
  by localhost with SMTP; 19 Mar 2005 13:35:31 -0000
Subject: 黒崎です(*'(ェ )'*)
From: 黒崎響子 <future_perfect2010@yahoo.co.jp>
To: ********@****.ne.jp
X-Mailer: DM Mailer Ver.1.2.2
Date: Sat, 19 Mar 2005 23:06:20 +0900 (JST)



初めまして。黒崎響子といいます。
秘密厳守でお願いしたいことがあります。
私のセックスフレンドになっていただけないでしょうか?
私、貿易関係の仕事をしていて金銭面では全く問題ないんですが、
そうなるまで仕事に明け暮れるだけの毎日で、気がついたら27歳になってました。
職場では生真面目と思われてるのですが、そうでもなくて。。
非常に一方的なメールで失礼かと存じますが、
そちらの都合もじゅうぶん考慮します。特に、
金銭面は私のほうで全てカバーできます。
御返事いただけたなら、私の画像を送りますね。


黒崎響子(*'(ェ)'*)
<future_perfect2010@yahoo.co.jp>
220.100.198.52を調べてみると、220.100.0.0/16はIIJに割り当てられたIPアドレスのようです。
DM Mailerというメール大量送信ソフトを使っていることを隠さないあたり、やる気のないspamですね。