スリーアウト、チェンジ

真冬の寒さが戻ってきた。今日は一日冷たい雨に降られた。しばらくは厳しい寒さが続く。雨はやむ前が一番激しい。寒明け前が一番寒い。夜明け前が一番暗い。つまりは春はもうそこまで来ているはずだ。
▼恐怖の2月が近づいている。長らくブランクがあったので、軽い準備運動にすぎない今週でも既に息切れ状態である。これで明日からの同時多発現場が乗りきれるだろうか。昨今はやたらに横文字を使いたがる人が多いが、こんな時最も必要なのは、やはりマルチタスクナンチャラなんかより、単に潰れない精神力だ。
▼アベチャンを見るがいい。降って湧いたような人質事件の対応に追われ、ろくすっぽ寝てないまま国会審議に突入して青息吐息だ。またお腹が痛くならないか心配だ。しかし「イスラム国」も日本の通常国会の日程まで計算しての犯行ならたいしたもんだ。塾の講師をしていた頃、中学生に公民で教えたけど恐ろしいほど手応えなかったもんな。倫理的にはともかく、少なくとも日本の中学生より知能レベルは上だな。
▼さて、サッカーアジアカップに続き、錦織圭の全豪OPの快進撃も終わった。結果は順当。個々のパフォーマンスはそこまで悪くないのに、いまいちパッとしない感があるのはこちらが集中できていないからだ。褒めるも貶すも応援に身が入らない。それもこれも全て人質事件が宙ぶらりんで解決していないせいだ。早く日常が戻ってくることを願う。
▼日経名物コーナー「私の履歴書」に王貞治氏が執筆中だ。早実での「投手、王」からプロ入り後「打者、王」に転向するための荒川氏と二人三脚の特訓。栄光の現役生活引退後、助監督を経て一転、屈辱の巨人軍監督時代。「巨人の王」を捨て、ダイエーの監督として弱小ホークスを常勝軍団に育てるところまできた。
▼人柄の上では奔放な長嶋、優等生の王という印象なので、長嶋が終身名誉監督として終生ミスタージャイアンツであるのに対し、王さんが巨人にとどまらなかったのは意外に思える。だがこうして振り返ってみると、壁にぶつかる都度、自らの殻をやぶって変身するところに彼の真骨頂があることがよくわかる。努力はもちろんだが、変化を恐れないメンタリティが大きい。それは彼が台湾から海を渡って日本にきたことに与っているのかもしれない。
▼さて、初場所で通算33回目の優勝を全勝で飾り、不滅と言われた大鵬の記録を塗り替えた平成の大横綱白鵬が、審判批判で物議を醸している。問題の一番は13日目、宿敵稀勢の里との一番。僕もこの取組は生放送で観て、直後のリプレイでも見た。率直に言って、生で見た時は同体、スローモーションのリプレイを見て白鵬が勝っていると思った。
▼気になるのは白鵬自身が会見で言ったことと、新聞等活字メディアに書かれていることが微妙に違っていることだ。放送された以外の部分はわからないが、僕がテレビで見た限りでは、白鵬は「うちに帰って自分でビデオを見たら勝っている相撲だった」と言っているように聞こえたが、記事の多くは「ビデオ判定もあるのに審判はどこを見てるんだ」となっていた。
▼彼が一番言いたかったのは、「盛り上がると思ってなんでも(安易に)取り直しにすればいいってもんじゃない」ということだろう。これは僕も同感。「こっちは命懸けなんだ」は「こっちの身にもなってほしい」くらいの意味だ。ところがこの部分はあまり注目されず、「子どもでもわかる」とか「髷を結ったら日本人」というセリフばかり強調されていた。この二つの言葉は僕は直接には聞いていない。
▼これでは「自分が横綱になれないのは日本人じゃないから」と言ってバッシングを浴びた小錦と変わらない。「外人だから差別されている」という物言いでは、審判部に代表される相撲協会、ひいては日本社会全体への批判ととられても仕方ない。しかし繰り返しになるが、僕には白鵬がそんなことを言ってるようには聴こえなかった。
▼北の海理事長は、「子どもでもわかるって、ホントにそんなこと言ったの?」と記者に聞き返した後、「もういっちょこいというくらいの気持ちでないと」と苦言を呈した。取り直しの一番を見れば、白鵬が「もういっちょこい」という気持ちでいたことは明らかだ。「あれは勝ってる相撲」と思ったのは、あくまでうちに帰ってビデオを見てからのことだ。
▼僕が見たリプレイの角度からは、二人の身体が同体で落ちながら、稀勢の里が伸ばした手が先につくことを予感させるものだった。稀勢の里がかばい手をしなければ、軍配は稀勢の里でもめることはなかった。いや、それでもファンサービスのための同体取り直しは変わらないかもしれない。
白鵬が告発したのは、一切の批判を許さないような絶対の権威が、そんな了見でいいのかということだ。白鵬があの会見で未熟さを露呈したのは確かだろう。その意味では大相撲人気を支える横綱大関、審判部の三者三者共未熟であることを明らかにした一番であった。別に嘆く必要はない。王さんのように過去の栄光にこだわらず、変わることを恐れず、淡々と前に進んでいけばいいのだ。

月曜は鶏とブロッコリーの炒めにポテトサラダ。

火曜は肉じゃがに菜の花のおひたし。

水曜は鶏のフリッターにクラムチャウダー。木曜はヨガカレー、今日は仕事のストレスから妻に八つ当たりして写真なし。プレッシャーで眠れず、今これを書いている。