auキャリアメールの復旧。

 BlackBerry KEY2における、auのキャリアメールアドレス「*@ezweb.ne.jp」のメールアプリケーション上の利用に成功した。
 今回、キャリアがいかにSIMフリー端末を排除しようとしているのか痛感することになった。
 必要な契約、オプション、そして設定について、auショップのスタッフがほとんど知らない上に、au自身も基本的な設定情報を公開していない。サポート外なのだから誰もauショップに設定操作をやれとまで言わないのだが。
 
 先週末に最寄りのauショップに行き、IS11TからKEY2への機種変更手続きを行った。具体的にはIS11Tで使用していた旧来の3G対応フルサイズSIMカードがKEY2では使えないため、4G VoLTE対応nanoSIMカードへの交換をしてもらい、かつスタッフからの料金低減の勧めに従い利用プランも従来のプランSシングルとISフラットからauピタットプランに変更もしてもらった。
 ここでスタッフからは「料金はこれでかなり下がると思います」と聞いていたが、キャリアメールを含め、機能に関する変更点は何も言及はなかった。俺も料金以外はそのままだと勝手に思い込み、特に質問もしなかった。
 帰宅してキャリアメールが停止していることに気付いた後、既に閉店時刻も過ぎていたこと、店舗に行けるのが次の週末になってしまうことからauのWEBサポートサイトに質問を投げた。
 一般的なeメールの仕様上、機種依存するものではないので、問題は契約もしくはオプションサービスのどれかが適切でないため、契約上のアカウントの所有権がなくなったためだと見込んだ上で、もしそうであれば追加すべき契約プランもしくはオプションサービスはどれか?という内容だ。
 一昼夜置いて返信があった。丁寧な内容だが「端末本体持ち込みの場合の利用は動作保証外であり、設定手順は案内していない」とのことだ。
 だから、設定を聞いたわけじゃない。それは俺の仕事なのだから、そっちは「何が必要なのか」答えればいいじゃないか。
 …と、こちらも丁寧に言い換えて再質問した。
 これに対する返信はまた的外れな内容だった。「お前ら端末持込勢は最初から全部理解してやってんだろ。俺らはそれ前提で、店頭では全ての仕様に関して案内してない。しかもBB KEY2はauキャリアメールに未対応だから案内できる話はない」との、今回はかなり突き放した文面だ。
 ちょっと待て…。auはユーザの利便性を図るため、キャリアメール利用者に所有PC等からでも接続できるWEBメールサービスを行っていて、これはそのままIMAP方式だ。そもそもeメールなのだから、メールサーバアドレスとユーザアカウント・パスワード、暗号化方式が分かれば、端末がAndroidだろうがiPhoneだろうがWindowsだろうがOS上で動作するメーラーがあれば送受信できるじゃないか。未対応もクソもあるか。
 もし自社ユーザ外からの不正接続を排除する必要があっても、自社ユーザ割当のIPアドレスからの接続のみ通過させるようにするくらいがせいぜいであって、それ以外に機種依存するどんな仕掛けをしてあるというのだ。
 いや、そんな仕掛けはない。IP/POP/IMAPに従う限り。
 恐らくこういった対応は自社端末の購入へ誘導するための施策の一つなのだろう。
 
 正直なところ非常に苛ついたが、苛ついても仕方ない。
 さて、IS11T当時の契約・オプションサービスと現状の差異を確認する。店舗のスタッフは「契約内容、特に印刷とかいらないですよね?」と聞いてきたので「いやいや、紙で下さい」と頼んで発行してもらったものの中に、来月の請求予定額表があった。ここに今月と来月からの旧契約と新契約のオプションを含む日割りの料金が列挙されている。
 また2chauスレに話を投げ、類似したユーザがいないか探してみる。
 予定額表で気になったのは、旧契約に存在する「IS NET/EZ WINコース」が新契約にないこと、また新契約には「LTE NET for DATA」が追加されていることだ。
 オプション「LTE NET for DATA」について調べた。
 auのサービス紹介WEBページではこう紹介されている。
https://www.au.com/mobile/charge/internet-connection/ltenet-for-data/
 「4G LTEデータ通信端末などでウェブをご利用いただくための、インターネット接続サービスです。」
 とすると3G対応だったIS11TのIS NETに代わるオプションということだ。しかしIS NETとは異なりキャリアメールに関する言及はこのオプションにはない。
 では、4G端末ではキャリアメールはどのオプションが担っているのか。
 サービス紹介WEBページを辿っていると、類似した名称の別のオプション「LTE NET」を発見した。
https://www.au.com/mobile/charge/internet-connection/lte-net/
 「スマートフォン (4G LTE)、4G LTEタブレットでウェブやメールをご利用いただくための、インターネット接続サービスです。」
 おお?これじゃないか?。しかも、俺の今回の契約内容には記載されていない。
 LTE NETとLTE NET for DATAの違いを調べると、LTE NETにはメール利用に関する諸注意が記載されている一方で、LTE NET for DATAでは4G LTEデータ端末と明示した上で、グローバルIPアドレスを使用してIPv4/IPv6でインターネット接続できるとある。
 スマートフォン本体はデータ通信端末の機能も包括しているから、恐らく音声通話が可能なスマートフォンの場合はLTE NETを、それ以外のモバイルルータやデータ通信専用端末の場合はLTE NET for DATAを基本プランに追加するのだろう。
 データ通信部分についてはサービス内容が重複するので両方を契約しておく必要はないように思える。
 ではなぜ、auショップはBB KEY2に対してLTE NETではなくLTE NET for DATAを追加したのだろう?。
 
 5chのスレッドでも有益な情報が返ってきた。同じようにauでBB KEY2を持ち込み機種変更を行った際に、俺とは逆にLTE NETだけ契約させられたユーザがいて、この人は音声通話はできるがインターネット接続できない症状が発生し、店頭でスタッフにLTE NET for DATAも追加契約が必要だと説明されたが、WEB上で他ユーザの情報を参照した際にauが非公開で運用しているアクセスポイント名(APN)「uno.au-net.ne.jp」を適用することでLTE NETのみでキャリアメールもデータ通信も可能になったと報告していた。
 LTE NET for DATA用のAPNは公開されていて、BB KEY2にもデフォルトで登録済みであった。だからauが公式にSIMフリー端末に対して必ず契約させているのがLTE NET for DATAであり、LTE NETはユーザの運用形態に合わせて任意で追加させていると考えられる。
 もしキャリアメールが必要なら、LTE NETも追加しておかなければならなかったのだ。
 
 ここまで分かったら、後は再度auショップ店頭で契約変更を行うだけだ。
 ショップに予約の電話を入れてこちらが希望する手続きと目的を話した。対応したのは店長らしき人物で、持ち込み端末契約の件だと話すとやや警戒したような雰囲気だったが、オプションの加除ならすぐ手続きできると教えてくれた。
 早速訪問してLTE NETの追加を依頼した。店長曰く、auキャリアメールは解約時にアドレスが90日間凍結状態となり一応保持されていること、今回は一旦解約され再契約した形になるため、過去のメールアドレスは表面上無効になり別のアドレスが新規交付されるが、これを旧アドレスと同じ文字列に変更することができ、@au.comドメインではなく@ezweb.ne.jpドメインも変更の際にアドレス文字列に続けて全て指定することで問題なく利用できると教えてくれた。しかしながら、通常はどのプロバイダでもメールアカウント発行時にユーザに開示するアカウント名とパスワードについては、iPhoneユーザ以外には店舗でもauヘルプデスクでも問い合わせに応じないという。
 iPhoneユーザにだけ公開?。これもおかしな話だが、iPhoneユーザ向けに限定して開示させる方法をiPhoneユーザ意外も使えるようにする手段があるのを知っていたため、その場は引き下がった。
 契約後の操作はかなり面倒だったが、これこそauショップに尋ねてはいけない事柄である。お礼を述べて店を出た後、ブリット内のVAIOで今後の操作手順の確認を行った上で作業した結果、従来の@ezweb.ne.jpドメインのままでキャリアメールを使用できるようになった。
 ただし。残念ながら過去に送受信したメールメッセージはサーバから失われてしまい、IS11Tのバックアップデータから復元しなければならなくなった。
 メールアドレス復旧までの手順は長くなるが、今後端末の故障時等に再度手順を繰り返す恐れもあるので記載しておく。

1.メールアカウント関連情報の確認
 肝心なメールアカウント情報は先に書いたようにWEBを通じてiPhoneユーザにのみ開示するが、これはWEBページへ接続する際のブラウザのUserAgent文字列によって端末を判別して行っているため、UserAgent文字列を書き換えられるブラウザを用いることで回避できる。
 今現在有名なのは「Chameleon broeser」を使用する方法。
 BBK2上にChameleon broeserをインストール。
 WiFiオフ、KDDI回線をオンにして、Chameleon broeserのユーザエージェントをiPhoneに変更した上で次のWEBページへ接続する。
https://www.au.com/iphone/support/guide/
 「メールの設定を変更・確認したい」を開く。
 「iPhoneをもっと使いこなすための設定画面」が表示されるので「メール設定画面へ」ボタンをタップ。
 「auIDでのログイン」を要求される場合あり。
 ログイン認証をパスすればメール設定画面が表示される。
 
2.メールアドレスの確定
 LTE NETのサービス追加直後は、以前のメールアドレスではなく新規のランダム文字列によるメールアドレスが付与されている。
 「メールアドレス変更・迷惑メールフィルター・自動転送」メニューをタップ。
 「メールアドレスの変更へ」ボタンをタップ。
 「メール設定 暗証番号入力画面」が表示される。
 テキストボックスに「au電話契約時の暗証番号」4桁を入力。例によって一定回数以上誤って入力すると、翌日まで操作できなくなるので注意。
 「送信」ボタンをタップ。
 「メールアドレス変更回数上限」に同意する。
 「メールアドレスの変更」画面が表示される。
 ここで、3つの選択肢が表示される。
a.「*@au.comへ変更する」
b.「希望のメールアドレスに変更する」
c.「以前利用していたメールアドレスに戻す」
 これらの選択肢のうち、一番下の「以前利用していたメールアドレスに戻す」を選択して「送信」ボタンをタップ。
 MMSへメッセージ「MMSメールアドレス」が送信されるので、着信したメッセージに従前のアドレスが記載されていることを確認する。

3.メールアカウント情報の取得(更新)
 ここでメールアカウント情報のユーザ名・パスワードを取得するが、これは同時に両情報の更新作業でもあるため、例えば既にメールアプリ等にキャリアメールアカウントを登録して送受信していた場合、そのアカウント上のユーザ名・パスワードもこれから取得する情報に書き換える必要あり。
 Chameleon broeserでメール設定画面に戻る。
 「利用アプリ変更」メニューの下にある「上記以外のアプリをご利用の方は、こちらから手動設定を行ってください」をタップ。
 「メール設定用のユーザ名・パスワードをSMSで送信します。」と、送信前確認メッセージが表示されるので「設定情報送信」をタップする。
 MMSにメッセージ「メール設定」が送信されるので、着信したメッセージに、メールアドレス、ユーザ名・パスワードが記載されていることを確認する。間違えないようにメモでもしておく。
 
 取得した情報を元に、使用したいメーラアプリのメールアカウントを作成する。
 もちろんPCの各種メーラーアプリケーションでも同様にキャリアメールを送受信できる。今回散々面倒を踏んだが、結果としてPC上でキャリアメールを操作できるようになったことが一番の収穫だったように思う。
 なお、俺はAndroid上のメーラーとしてGmailOutlookを使用しており、BB KEY2に変更した際に添付のBB Hubも使用することにしたが、今回取得したメールアカウント情報を登録してもOutlookのみはメールサーバへのログインができず使用できなかった。今のところ原因は不明…。
 IMAP関連情報は以下の通り。

 imap.ezweb.ne.jp
 SSL:on
 IMAP port:993
 smtp.ezweb.ne.jp
 SSL:on
 SMTP port:587 or 465

 ついでに、オプションとしてLTE NETだけを契約している場合に追加すべきAPN情報について。
 5chにも記述があったが、探した限りWEB上のソースはこちらのようだ。
https://for-money.com/uq-p10lite-apn-restriction/

 名前:(任意)LTE NET
 APN:uno.au-net.ne.jp
 プロキシ:未設定
 ポート:未設定
 ユーザ名:685840734641020@uno.au-net.ne.jp
 パスワード:KpyrR6BP
 サーバ:未設定
 MMSC:未設定
 MMSプロキシ:未設定
 MCC:440
 MNC:51(VoLTE:51)
 認証タイプ:CHAP
 APNタイプ:default,supl,mms,hipri
 APNプロトコルIPv4/IPv6
 APNローミングプロトコルIPv4
 ベアラー:未設定
 MVNOの種類:None
 MVNO値:未設定